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カミング・アップ (曲)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ポール・マッカートニー > 作品リスト > カミング・アップ (曲)
ウイングス > 作品リスト > カミング・アップ (曲)
「カミング・アップ」
ポール・マッカートニーシングル
初出アルバム『マッカートニーII
B面 カミング・アップ(ライヴ)/ランチ・ボックス〜オッド・ソックス
リリース
規格 7インチシングル
録音 1979年7月 - 8月
ジャンル ポップ・ファンク[1]
時間
レーベル
作詞・作曲 ポール・マッカートニー
プロデュース ポール・マッカートニー
ゴールドディスク
後述を参照
チャート最高順位
後述を参照
ポール・マッカートニー シングル 年表
  • カミング・アップ
  • (1980年)
ポール・マッカートニー & ウイングス シングル 年表
  • カミング・アップ
  • (1980年)
マッカートニーII 収録曲
カミング・アップ
(1)
テンポラリー・セクレタリー
(2)
ミュージックビデオ
「Coming Up」 - YouTube
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カミング・アップ」(Coming Up)は、1980年にポール・マッカートニーが発表した楽曲、および同曲を収録したシングルである。同年にリリースされたマッカートニーの2枚目のソロ・アルバム『マッカートニーII』の先行シングルとして発表された。

解説

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1979年6月から7月にかけて、マッカートニーはサセックスの自宅スタジオでシンセサイザーを使った実験的な作品の録音を開始した[2]。ベースとなるバッキング・トラックを録音した後、スコットランドキャンベルタウンにある農場のスタジオ、スピリット・オブ・ラナチャンに場所を移して作業を継続した。

マッカートニーはローリングストーンズ誌のインタビューで、「元々はスコットランドにある僕の農場で作ったもの。毎日のようにスタジオに行って、まずはドラムのトラックを作ってみたんだ。どんな曲になるのか分からないまま、少しずつ作り上げていって、ドラムを叩いた後にギターベースを加えてバッキング・トラックを作っていったんだ」と語っている[3][4][5]。また、マッカートニーは同インタビューで「自分の声を速くしたり、少し下げたりできるスピード・マシンを使って作業をしていたんだ。それで声の響きが生まれたんだよ。で、少しスピードを上げて、僕が遊んでいたエコー・マシンに通したんだ」と語っている[4]

セッション終了時には約20曲が録音されており、その後、9月にアビー・ロード・スタジオでミックスされた。しかしこの時点ではアルバムにまとめるつもりはなかったため、11月にリリースされた『ワンダフル・クリスマスタイム』以外は棚上げされた。

1980年4月11日にアルバム『マッカートニーII』からの先行シングルとして発売された。録音されたときは5分を超える曲だったが、アルバムに収録するにあたり短く編集・リミックスされた[注釈 1]。B面にはウイングスの英国ツアーからの同曲のライブ音源と、ウイングスのアルバム『ヴィーナス・アンド・マース』制作時に録音されたが未発表となっていた「ランチ・ボックス〜オッド・ソックス」が収録された[6][注釈 2]

このシングルは発売直後からヒットし、英国では全英シングルチャートで3週目に最高位2位を記録した[7]。米国では、コロンビア・レコードがB面のライブ・バージョンを強力にプロモーションしたため、スタジオ・バージョンよりも多くラジオで放送された[注釈 3]。ライブ・バージョンはBillboard Hot 100で1位を獲得し、全米レコード協会から100万枚以上の売上を認められゴールドディスク認定を受けた[8][注釈 4]

ジョン・レノンは、1980年の秋に行われたインタビューで本曲について「良い仕事だと思った」と評価している[10][11][注釈 5]

ライブ・バージョン

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B面に収録されているライブ音源は、1979年12月17日にスコットランドグラスゴーアポロ劇場で行われた、ウイングス公演で録音されたものである[12]

このライブ・バージョンが北米で大ヒットしたことを受けて、コロンビア・レコードは『マッカートニーII』に収録したいと考えたが、マッカートニーはあくまでもソロ・アルバムとしての発売を考え、提案に反対した。結局、北米では7インチ片面シングルが付録として同梱された[15]

この音源は、1987年発売のコンピレーション・アルバム『オール・ザ・ベスト』のアメリカ盤や、2001年発売の『夢の翼〜ヒッツ&ヒストリー〜』、さらに2011年発売の『マッカートニーII』のアーカイブ・コレクションにも収録されたものの、それぞれシングルと収録時間が異なっている。

また、1981年発売のライブ・アルバム『カンボジア難民救済コンサート』には、1979年12月29日に行われたハマースミス・オデオンでのウイングスによる演奏が収録されている。

シングル収録曲

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#タイトル作詞・作曲アーティスト名義時間
1.「カミング・アップ」(Coming Up)ポール・マッカートニーポール・マッカートニー
2.「カミング・アップ (ライヴ)」(Coming Up (Live At Glasgow))ポール・マッカートニーポール・マッカートニー & ウイングス
3.「ランチ・ボックス〜オッド・ソックス」(Lunch Box/Odd Sox)
ポール・マッカートニー & ウイングス
合計時間:

演奏者

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スタジオ音源[16][17]
ライブ音源
ランチ・ボックス〜オッド・ソックス

チャート成績

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週間チャート

チャート (1980年)最高位
オーストラリア (Kent Music Report)[23] 2
オーストリア (Ö3 Austria Top 40)[24] 15
ベルギー (Ultratop 50 Flanders)[25] 18
Canada Top Singles (RPM)[26]
1
オランダ (Single Top 100)[27] 20
ドイツ (GfK Entertainment charts)[28] 11
ニュージーランド (Recorded Music NZ)[29] 2
ノルウェー (VG-lista)[30] 2
UK シングルス (OCC)[31] 2
  • US Billboard Hot 100[32]
  • 「カミング・アップ (ライヴ・アット・グラスゴー)」でのランクイン
1
48

年間チャート

チャート (1980年)順位
オーストラリア (Kent Music Report)[23]
22
Canada Top Singles (RPM)[34]
11
イタリア (FIMI)[35]
40
ニュージーランド (Recorded Music NZ)[36]
2
US Top Pop Singles (Billboard)[37]
7

オールタイム・チャート

チャート (1980年)順位
US Billboard Hot 100[38]
241

認定

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国/地域 認定認定/売上数
アメリカ合衆国 (RIAA)[39] ゴールド 1,000,000 ^

^ 認定のみに基づく出荷枚数

ミュージック・ビデオ

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キース・マクミラン監督によるのミュージック・ビデオでは、マッカートニーが10役(本人、ギタリスト2人、ベーシスト、ドラマー、キーボーディスト、サックス奏者4人)を演じ、リンダが2役(女性バックボーカル1人と男性バックボーカル1人)を演じている[12]。2007年に発売されたビデオ・コレクション『マッカートニー・イヤーズ』のマッカートニー自身による音声解説によると、マッカートニーが演じた10役の中には、シャドウズハンク・マーヴィンスパークスロン・メイルレッド・ツェッペリンジョン・ボーナム、そしてヘフナー・バイオリンベースを弾くビートルズ時代の自身の物真似が含まれている[40][41]。 また作家のケネス・ウォマックによればバディ・ホリー[42]の、フレッド・ブロンソンによればサックス奏者のアンディ・マッケイフランク・ザッパ[43]の物真似も演じているという。

ドラムセットには「THE PLASTIC MACS」と書かれおり、また長髪で左利きのベーシストがジャケットの下に日本語で「ザ・プラスティック・マックス」と書かれたTシャツを着ている。これは「プラスティック・オノ・バンド」と、レノンが1968年の『ロックンロール・サーカス』出演時に結成したバンド、ザ・ダーティー・マックに由来している[12]

このミュージック・ビデオは、イギリスでは『ケニー・エベレット・ビデオ・ショー』(1980年4月14日放送回)、アメリカでは『サタデー・ナイト・ライヴ』(1980年5月17日放送回)でプレミア公開された[44]

その他

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イエロー・マジック・オーケストラのアルバム『増殖』収録の「NICE AGE」に、訪日したマッカートニーが大麻不法所持容疑で逮捕勾留されたことをニュース速報として読み上げるパートがあり、そこで"Coming up Like a Flower"というサビのフレーズが登場する[12]

脚注

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注釈

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  1. 全長版は2011年発売の『マッカートニーII』のアーカイブ・コレクションに収録された。
  2. このためB面収録曲は、クレジットが「ポール・マッカートニー & ウイングス」となっている。
  3. 当のマッカートニーはこの動きを知らなかった。もし知っていれば、自身がより優れたバージョンと考えていたA面(スタジオ版)の採用を強く主張した可能性が高い。コロンビア・レコードの幹部は「アメリカ人はポール・マッカートニーの生の声の響きを好む」と述べ、この変更を説明した[3]
  4. ビルボード誌はライブ・バージョンの方がより多くのエアプレイを獲得し「ヒット曲」と見なされていたにもかかわらず、チャート初登場から12週間にわたりA面曲をHot 100に掲載し、うち3週間は1位を記録した。その後、残りの9週間はより人気の高かったB面曲に切り替えた[9]
  5. 本曲が発表された当時、活動休止中だったレノンは同年4月9日に一家でロング・アイランドを訪れ、その翌日に車中のラジオで本作を聴き「頭から離れない」と言って、本曲のメロディを口ずさんでいたという。こうしてレノンは、「ディア・ヨーコ」の作曲を皮切りに、6月から7月にかけて9曲のデモ・テープを作成、音楽活動を再開させた[12]。また、マッカートニーは「どうやらジョンはニューヨークでこの曲を聞いたらしい。ジョンのドキュメンタリーを見ていたら、誰かが『ポールのレコードを持ってきて、ジョンに聞かせた』と話していたんだ。するとジョンは『ちくしょう、やりやがったな。俺も頑張らないと!』となってね。嬉しくなる話じゃないか。つまり僕が彼のお尻を押したのだよ」[13]、「ジョンをインスパイア出来た曲だから「カミング・アップ」を誇りに思っている」[14]と語っている。
  6. ホーン奏者兼アレンジャー。1975年初頭にニューオーリンズでウイングスの『ヴィーナス・アンド・マース』のセッションに参加して以降、2010年代末までマッカートニーと共演を続けた[18][19]
  7. ニューオーリンズ出身のアメリカ人マルチプレイヤー。1974年にナッシュビルでマッカートニーと出会い、5年間共演した[20][21]
  8. テキサス出身のトランペット奏者。1975年初頭にニューオーリンズで『ヴィーナス・アンド・マース』のセッションに参加して以降、1980年までウィングスのツアーに参加した[22]

出典

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  1. Buckley 2003, p. 652.
  2. Paul McCartney's 'McCartney II' Turns 35 Years Old: How It Foretold The Sound Of 1980s Pop – NME”. NME (2015年5月15日). 2016年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月6日閲覧。
  3. 1 2 Gambaccini, Paul (26 June 1980). “Paul McCartney's one man band”. Rolling Stone: 11, 20.
  4. 1 2 Gambaccini 1980, p. 11,20.
  5. ビートルズ解散後のポール・マッカートニーのベスト・ソング20曲 : 本人のコメントなどで振り返る【全曲試聴動画付】”. uDiscover. UNIVERSAL MUSIC JAPAN (2020年4月4日). 2021年3月14日閲覧。
  6. Evans 2021, p. 48.
  7. Official Charts: Paul McCartney”. The Official UK Charts Company. 2011年10月13日閲覧。
  8. Gold & Platinum Searchable Database”. Recording Industry Association of America. 2015年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月15日閲覧。
  9. Billboard Hot 100 Billboard 12 July 1980: 60
  10. Sheff 1981, p. 70.
  11. 【スピリチュアル・ビートルズ】ジョンを鼓舞したポールの曲「カミング・アップ」”. OVO. 共同通信社 (2016年9月4日). 2021年3月14日閲覧。
  12. 1 2 3 4 5 連載:“マッカートニー・シリーズ”とは?【第5回:『McCartney II』の内容、ジョンやYMOとの関係】”. uDiscover. UNIVERSAL MUSIC JAPAN (2020年11月27日). 2021年3月14日閲覧。
  13. ポール・デュ・ノイヤー 2016.
  14. マッカートニーII 初回限定盤ハードカヴァーブック インタビューより
  15. Paul McCartney – McCartney II”. Discogs. 2026年2月24日閲覧。
  16. McCartney II (LP liner notes). Paul McCartney. Parlophone. 1980. PCTC 258.{{cite AV media notes}}: CS1メンテナンス: cite AV media (notes) のothers (カテゴリ)
  17. “Coming Up - Song by Paul McCartney”. Apple Music. Apple. 2025年8月25日閲覧.
  18. Tony Dorsey”. Discogs. 2026年2月24日閲覧。
  19. Tony Dorsey”. Paul McCartney Project (2010年2月23日). 2026年2月24日閲覧。
  20. Thaddeus Richard”. Discogs. 2026年2月24日閲覧。
  21. Thaddeus Richard”. Paul McCartney Project (2010年2月23日). 2026年2月24日閲覧。
  22. Steve Howard”. Paul McCartney Project (2010年2月23日). 2026年2月24日閲覧。
  23. 1 2 Hung, Steffen. Forum - Top 100 End of Year AMR Charts - 1980s (ARIA Charts: Special Occasion Charts)”. Australian-charts.com. 2014年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月27日閲覧。
  24. "Austriancharts.at – Paul McCartney – Coming Up" (ドイツ語). Ö3 Austria Top 40. 2021年3月14日閲覧。
  25. "Ultratop.be – Paul McCartney – Coming Up" (オランダ語). Ultratop 50. 2021年3月14日閲覧。
  26. Top RPM Singles: Issue 153”. RPM. Library and Archives Canada. 2022年3月30日閲覧。
  27. "Dutchcharts.nl – Paul McCartney – Coming Up" (オランダ語). Single Top 100. 2021年3月14日閲覧。
  28. "Offiziellecharts.de – Paul McCartney – Coming Up". GfK Entertainment Charts. 2021年3月14日閲覧。
  29. charts.nz – Paul McCartney – Coming Up”. Recorded Music NZ. 2021年3月14日閲覧。
  30. "Norwegiancharts.com – Paul McCartney – Coming Up". VG-lista. 2021年3月14日閲覧。
  31. "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2021年3月14日閲覧。
  32. The Hot 100 Chart”. Billboard (1974年6月8日). 2020年4月27日閲覧。
  33. Paul McCartney Chart History (Adult Contemporary)”. Billboard. 2022年3月30日閲覧。
  34. Top Singles - Volume 34, No. 6, December 20 1980”. RPM. Library and Archives Canada. 2021年3月30日閲覧。
  35. Hit Parade Italia - Top Annuali Single: 1980”. hitparadeitalia.it. 2022年3月30日閲覧。
  36. Top Selling Singles of 1980”. The Official New Zealand Music Chart. 2021年3月14日閲覧。
  37. “1980 Talent in Action – Year End Charts : Pop Singles”. Billboard 92 (51): TIA-10. (December 20, 1980).
  38. Billboard Hot 100 60th Anniversary Interactive Chart”. Billboard. 2021年3月14日閲覧。
  39. “American single certifications – Paul Mc Cartney – Coming Up” (英語). Recording Industry Association of America. 2022年3月30日閲覧.
  40. The McCartney Years DVD, Warner Music, Rhino Entertainment, 2007, MPL
  41. McGee 2003, p. 139.
  42. Womack 2014, p. 197.
  43. Bronson & 20003, p. 526.
  44. Saturday Night Live: Steve Martin/Paul and Linda McCartney Episode Summary”. TV.com. CBSインタラクティブ. 2020年4月28日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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