イランの最高指導者
最高指導者 ولی فقیه/رهبر | |
|---|---|
| 状態 | 元首 |
| 担当機関 | 最高指導者事務所 |
| 庁舎 | 最高指導者事務所 |
| 庁舎所在地 | テヘラン |
| 任命 | 専門家会議 |
| 任期 | 終身[2] |
| 根拠法令 | イラン・イスラム共和国憲法 |
| 前身 | イラン皇帝 |
| 創設 | 1979年12月3日 |
| 初代 | ルーホッラー・ホメイニー |
| 職務代行者 | 暫定指導評議会(2026年) |
| ウェブサイト | www.leader.ir |
イランの最高指導者(イランのさいこうしどうしゃ、ペルシア語: ولی فقیه または رهبر [rahbar])は、イラン・イスラム共和国の元首[3]、指導者であり、イランの統治者と言える存在である。初代最高指導者はルーホッラー・ホメイニー(ホメイニ師)。現職者は2代目最高指導者であるアリー・ハーメネイー(ハメネイ師)の息子のモジュタバー・ハーメネイー(モジタバ師またはモジタバ・ハメネイ師)である。
原語に近い発音をカタカナ表記をしてラフバルともいう。ルーホッラー・ホメイニーの思想(ホメイニズム)に基づいたイスラム共和制の理念に基づき、イスラム法学者(ウラマー)から選出される。
これまでの最高指導者は、ルーホッラー・ホメイニー(初代)、アリー・ハーメネイー(第2代)、モジュタバー・ハーメネイー(第3代、現職)の3人であり、最も就任期間が長いのはアリー・ハーメネイーである。
概要
[編集]1979年のイラン革命で帝政が倒れたのち、ルーホッラー・ホメイニーが提唱したヴェラーヤテ・ファギーフ(「(イスラム)法学者による統治論」)の思想を支持する勢力、共産主義国家を目指す共産主義勢力、欧米型の議会制民主主義を支持する勢力などが権力闘争を展開したが、最終的にホメイニーとその弟子たちの勢力が勝利し、革命後に制定された憲法にはヴェラーヤテ・ファギーフとイスラム共和制の考えが盛り込まれ、イラン・イスラム共和国が成立した。それにともない、最高指導者が国家元首に相当する官職として新設された。イランには大統領職も置かれているが、通常国家元首は大統領一人であるのに対して、イランの場合は最高指導者と共に元首の機能を果たすと考えられている。なお、1989年の憲法改正までは大統領を補佐する首相職も存在した。
最高指導者は、ホメイニーの唱えたヴェラーヤテ・ファギーフを具現化したものである。すなわち、イスラム共和制のイランはシーア派教徒の共同体であり、そこではマフディー(救世主)が出現するまでの間、シャリーアの最高解釈者が「神(アッラーフ)の意思に従う」という形式で国家を指導する責務を負う。その統治権は、アッラーフからムハンマドへ与えられ、ムハンマドから12イマームへ、12イマームから法学者へと受け継がれてきたものとされる。
2026年に第2代最高指導者のアリー・ハーメネイーがイスラエルとアメリカによるイラン攻撃で死亡したことに伴い、職務代行はイラン・イスラーム共和国憲法第111条に基づき、ペゼシュキヤーン大統領及びゴラームホセイン・モフセニー・エジェイー司法府長官、アリーレザー・アラーフィー専門家会議副議長の三者から成る「暫定指導評議会」が次期最高指導者を選出するまで担う事が発表された[4]。
職責
[編集]行政府、司法府、立法府の三権のほか、イラン・イスラム共和国軍(国軍)、イスラム革命防衛隊の両軍における最高司令官であり、国政全般にわたる最終決定権を持つ。憲法に明記されたその権限は極めて強大で広範にわたる。
選出
[編集]最高指導者は、国民の直接選挙で選出された86名のイスラム法学者(ウラマー)により構成される諮問機関である専門家会議(シューラーイェ・ハブレガーン)により選出され、任期は終身である。
当初は、前任者の生存中に後継者を決定する形態が想定されており、次期最高指導者として、ホメイニーの弟子でありマルジャエ・タグリードであるホセイン・アリー・モンタゼリーが内定していたが、彼の自由主義的志向が問題視されたことと、イラン・コントラ事件に関わるスキャンダルによって失脚し、その後まもなくホメイニーが死去したことにより、それは不可能となった。
モンタゼリー失脚後、ホメイニーは弟子の一人であるハーメネイーが後継者となることを希望していたが、当時の憲法は最高指導者就任にマルジャエ・タグリードの地位を要求しており、彼はその要件を満たしていなかった。改憲が間に合わないままホメイニーは死去し、専門家会議では集団指導体制も検討されたが、彼の遺志により、ハーメネイーが単独の最高指導者に就任することとなり、その就任は専門家会議の選出によって正当化された。ハーメネイー就任後に行われた憲法改正により、専門家会議が単独の最高指導者を選出することが明文化された。
最高指導者の一覧
[編集]| 代 | 最高指導者 | 在任期間 | 備考 | 選挙 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ルーホッラー・ホメイニー Sayyid Ruhollah Khomeini (1902‐1989) سیدروحالله خمینی |
1979年12月3日 - 1989年6月3日 |
9年 + 182日 | |||
| 2 | アリー・ハーメネイー Sayyid Ali Khamenei (1939‐2026) سیدعلی خامنهای |
1989年6月3日 - 2026年2月28日 |
36年 + 270日 | 米軍・イスラエル国防軍による軍事作戦にて死亡。 | 1989年 | |
| - | マスウード・ペゼシュキヤーン Masoud Pezeshkian (1954 - ) مسعود پزشکیان |
2026年3月1日 - 2026年3月8日 |
7日 | 暫定指導評議会(大統領) | - | |
| ゴラームホセイン・モフセニー・エジェイー Gholam-Hossein Mohseni-Eje'i (1956 - ) سیدعلی خامنهای |
暫定指導評議会(司法府長官) | |||||
| アリーレザー・アラーフィー Alireza Arafi (1959 - ) علی رضا اعرافی |
暫定指導評議会(専門家会議副議長) | |||||
| 3 | モジュタバー・ハーメネイー Mojtaba Hosseini Khamenei (1969‐) مجتبی خامنهای |
2026年3月8日 - |
154日 | アリー・ハーメネイーの次男。 | 2026年 | |
年表
[編集]
脚注
[編集]- ↑ https://jp.reuters.com/markets/commodities/6USFQUO4UNNPRN3QFHTRRFR5CU-2026-03-08/
- ↑ “Iran's possible next Supreme Leader being examined: Rafsanjani”. Reuters. 2015年12月13日. 2015年12月16日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2023年11月5日閲覧.
- ↑ 外務省 各国元首一覧
- ↑ “暫定指導評議会を設置 ハメネイ師死亡で職務代行―イラン”. 時事通信社 (2025年3月1日). 2025年3月1日閲覧。