コンテンツにスキップ

太陽と戦慄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Addihockey10 (automated) (会話 | 投稿記録) による 2012年2月3日 (金) 19:23個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (ボット : ラスタ画像をベクタ画像に置換するボット - ファイル:3of5.png → ファイル:3of5.svg)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

太陽と戦慄
キング・クリムゾンスタジオ・アルバム
リリース
録音 1973年1月-2月
ジャンル プログレッシブ・ロック
時間
レーベル イギリスの旗アイランド・レコード
アメリカ合衆国の旗アトランティック・レコード
プロデュース キング・クリムゾン
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 20位(イギリス)
  • 61位(アメリカ)
  • キング・クリムゾン アルバム 年表
    アースバウンド
    (1972年)
    太陽と戦慄
    (1973年)
    暗黒の世界
    (1974年)
    テンプレートを表示

    太陽と戦慄(Larks' Tongues in Aspic)は1973年に発表されたキング・クリムゾンアルバム。原題の直訳は「アスピック(ゼリー)の中の雲雀の舌」となる。全英20位・全米61位を記録。

    解説

    リーダーのロバート・フリップはメンバーとの音楽性の相違から来るバンドの内紛に嫌気がさし、契約の残っていた1972年アイランド・ツアー終了の4月、キング・クリムゾンの解散を宣言する。しかし、フリップは当時イエスドラマーだったビル・ブラッフォードの演奏をライブで見て感銘を受け、イエスから彼を引き抜き、旧友ジョン・ウェットンらの新メンバーを集めてキング・クリムゾンを再結成し、1973年に本作を発表した。作詞は、ジョン・ウェットンの友人リチャード・パーマー=ジェイムズが担当。

    1969年のデビュー以来、キング・クリムゾンは作品ごとに音楽性を変化させてきたが、本作の表題曲では「静と動」で構成された即興演奏を披露している。その意欲の高さと高度な演奏、前衛的ながらロックの枠からははみ出さない音楽性は高い評価を獲得し、後にはキング・クリムゾンの代表作のひとつに数えられた。収録曲の「太陽と戦慄パート2」は現在でもキング・クリムゾンの人気レパートリーの一つである。タイトルのLarks' Tongues in Aspicはミューアの発案。

    ジェイミー・ミューアのパーカッション演奏も話題となったが、ミューアは2月10日のライヴ(アルバム発表前)を最後に仏教修行の為脱退。ミューアから相談を受けていたEG首脳部は「怪我の為に脱退した」と発表したが、事実ではないと後年本人がインタビューで述べている。そのため、このラインナップは本作だけで終わり、次作『暗黒の世界』は4人編成で制作された。

    「トーキング・ドラム」の曲名の由来は、曲中にミューアが使用しているブードゥー・ミュージック系打楽器の名称から。上下2面のドラム皮を互いに紐で張り合わせた形状で、紐の締め付けで音程を自在に操るミューアの妙技が披露されている。

    レコーディングメンバー

    収録曲

    1. 太陽と戦慄パート1  Larks' Tongues in Aspic, Part One
    2. 土曜日の本  Book of Saturday
    3. 放浪者  Exiles
    4. イージー・マネー  Easy Money
    5. トーキング・ドラム  The Talking Drum
    6. 太陽と戦慄パート2  Larks' Tongues in Aspic, Part Two

    豆知識

    • 映画エマニエル夫人』(1974年)の公開後かなり時間がたってから、劇中で使用されている音楽が「太陽と戦慄パート2」の盗作だとしてロバート・フリップが訴訟を起こし、最終的には示談で解決した。
    • 2007年の日本で、「イージー・マネー」がトヨタ・istCMソングに使われた[1]
    • LARKS' TONGUES IN ASPICは「毒蛇に呑まれた雲雀のさえずり」とも訳せるという説があるが、ゼリーの意味のaspicは不可算名詞なので無冠詞単数形でもちいられうるのに対し、毒蛇の一種をあらわす同音異義語aspicは可算名詞なので、文法的にはふつうin an Aspic(あるいはin the Aspic/in Aspics)となるはずである。
    • 「太陽と戦慄」は日本のレコード会社がつけた邦題であり、後年、2002年に日本の音楽雑誌「クロスビート」の編集者がロバート・フリップにインタビューした際、「太陽と戦慄」を英語に直訳したタイトルを言ったらフリップには通じず、初めてフリップに日本の邦題が全く違うものとして浸透していることが発覚してしまった。「ポセイドンのめざめ(In The Wake Of Poseidon)」も誤訳したタイトルが日本では浸透していることを伝えたら、フリップはとても苦い顔をしたという。

    脚注