国民識別番号
国民総背番号制(こくみんそうせばんごうせい、国民番号、National identification number)とは、政府が国民全部一人一人に番号を付与し、個人情報を管理しやすくする制度。電子計算機による行政事務の効率化を目的とする[1]。
概要
国民一人一人に重複しない番号を付与し、それぞれの個人情報をこれに帰属させることで国民全体の個人情報管理の効率化を図る。氏名、本籍、住所、性別、生年月日を中心的な情報とし、その他の管理対象となる個人情報としては、社会保障制度納付、納税、各種免許、犯罪前科、金融口座、親族関係などがあげられる。多くの情報を本制度によって管理すればそれだけ行政遂行コストが下がり、国民にとっても自己の情報を確認や訂正がしやすいメリットがある。
政府による国民の個人情報の管理が容易となる反面、官僚の窃用や、不法に情報を入手した者による情報流出の可能性が懸念される。
タイプとしては、
- 社会保険制度給付と保険料納付の状況を管理するために番号を付与するタイプ
- 住民登録に基づいてすべての国民に番号を付与するタイプ
- 納税管理を目的に税務当局がこれを利用するタイプ
がある。一部の国では上記によって付与した番号を軸にその他の個人情報を管理している。
各国の状況
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国名 | IDの名称 | 用途 | 導入年 |
---|---|---|---|
アイスランド | 個人識別番号 | ||
アメリカ | 社会保障番号(SSN) | 社会保障、税務 | 1936年 |
イギリス | 国民保険番号(NINO) | 社会保障、税務 | 1948年 |
イタリア | 税務番号 | 税務 | 1977年 |
エストニア | 国民ID | 住民登録など | 1999年 |
オランダ | 市民サービス番号(BSN) | 住民登録など | 2006年 |
オーストラリア | 税務番号(TFN) | 税務 | 1989年 |
カナダ | 社会保険番号(SIN) | 社会保障 | 1964年 |
韓国 | 住民登録番号 | 住民登録など | 1962年 |
シンガポール | 個人登録番号 | 住民登録など | 1948年 |
スウェーデン | 個人識別番号(PIN) | 住民登録など | 1947年 |
デンマーク | 住民登録番号(CPR) | 住民登録など | 1968年 |
ドイツ | 税務識別番号 | 税務 | 2009年 |
ノルウェー | 個人識別番号 | 住民登録など | 1970年 |
フィンランド | 個人登録番号 | 住民登録など | |
ベルギー | 国民登録番号(RRN) | 住民登録など | 1983年 |
日本
日本では、現在、基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、納税者番号、運転免許証番号、住民基本台帳カードなど各行政機関が個別に番号をつけているため、国民の個人情報管理に関して縦割り行政で重複投資になっている。あらゆる行政サービスを包括する身分証明書は現在のところ存在せず、これは先進国ではかなり珍しい。
かつて、佐藤内閣が1968年に「各省庁統一個人コード連絡研究会議」を設置し、国民総背番号制の導入を目指したが頓挫した。
2011年は社会保障・税一体改革の実現のため、共通番号制度の導入に向けた検討が進んだ。政府・与党は6月30日に「社会保障・税番号大綱」を決定し、今後の方針として2014年6月に国民への番号割り当てを行い、2015年1月には利用を開始する構え[2]。また、事前にICカードも配布される[3]。国民に付与する番号の名称は「マイナンバー」に決まった[2]。
アメリカ
2010年からは「Real ID」が本格的に導入される。
イギリス
1948年に国民保険番号(National Insurance number)が導入された。イギリスのスマートカード構想は頓挫した。
インド
インドは2010年1月、指紋を含めた国民の個人情報に固有番号を割り振り一元管理する複数年がかりの計画を開始した。2009年に設置された「固有識別庁」が管掌する。総人口12億の中の、身分証明がないために社会保障を受ける事が困難な貧困層救済が目的[4]。
イタリア
1977年に納税者番号制度が導入された。
エストニア
1999年に国民ID番号が導入された。
オーストラリア
オーストラリアカード案は反対にあい1987年に廃案になった。1989年に納税者番号として税務番号(Tax File Number, TFN)が導入された。
カナダ
1964年に社会保険番号(Social Insurance Number)が導入された。
韓国
指紋の情報を含む住民登録番号とカードの携帯を義務付けている。これは北朝鮮のスパイ対策を視野に入れた政策といわれている。
電子住民カードの導入も考慮されたが1999年に断念している。
スウェーデン
1947年に背番号コード(PIN)が導入された。
スウェーデンのPIMが保有する個人情報は、PIN(背番号コード)、氏名、住所、管理教区、本籍地、出生地、国籍、婚姻関係、家族関係、所得税賦課額、本人・家族の所得額、本人・家族の課税対象資産、保有する居住用不動産、不動産所在地の県の地域番号、建物の類型、不動産の評価額、ダイレクトメール送付の是非、このファイルの最終変更日付である。
タイ
デンマーク
住民登録番号(CPR)がある。
ドイツ
裁判所の判決で背番号制は憲法違反であるとの判決が出て行なわれていない。
2003年に納税者番号として税務識別番号が導入された。
ハンガリー
1991年に裁判所の判決で背番号制は憲法違反であるとの判決が出て行なわれていない。
フィリピン
背番号制は憲法違反との判決が出た[要出典]。
ベルギー
RRN番号がある。
脚注
- ^ 新村出, ed. (11 November 1998). "国民総背番号制". 広辞苑 (第五 ed.). 岩波書店. p. 943. ISBN 4000801112。
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を指定する場合、|url=
も指定してください。 (説明) - ^ a b 井出一仁、「共通番号の名称が「マイナンバー」に決まった経緯は?」 日経BP ITPro、2011年7月8日付、2011年10月5日閲覧。
- ^ 政府が番号制度の基本方針を決定、15年1月から開始へ(ロイター 2011年01月31日)
- ^ 「12億人に識別番号発行へ=貧困層救済、指紋も登録-インド」時事通信2010年1月17日