インド空軍

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インド空軍
空軍紋章
創設 1932年10月8日
本部 ニューデリー国防省
指揮官
最高司令官 プラナブ・ムカルジー大統領
国防大臣 アルン・ジャイトリー
参謀総長 アラップ・ラハ 空軍大将
総人員
徴兵制度 なし
現総人員 127,200人
予備役 140,000人(予備役)
関連項目
歴史 第一次印パ戦争
ハイデラバード侵攻英語版
ゴア解放
中印国境紛争
第二次印パ戦争
第三次印パ戦争
カシミール紛争
スリランカ内戦
カルギル戦争英語版
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Su-30MKI

インド空軍(インドくうぐん、Indian Air Force、略称IAF)は、インド共和国空軍である。

1932年10月8日設立され、現役 127,200人と、予備役140,000人合わせて 267,200人の人員と1500機以上の航空機(うち作戦用航空機は約1300機以上)を有し、機数ではアメリカ空軍ロシア空軍中国空軍に次ぐ世界4位の規模の空軍である。

インド軍陸軍海軍と同じく、近年は装備の近代化に力を入れている。ロシア製Su-30MKI約254機、国産のテジャス約294機、MMRCAプログラムで選定されたフランス製ラファール126~200機という非常に多くの戦闘機の取得を計画している。主力攻撃機ジャギュアは約半世紀前に初飛行を実施した旧型の機体であるが、強力な新型エンジンへの換装や各種電子装備の導入など、積極的な近代化が行われている。また、PAK FAをベース機としたロシアとの共同開発のFGFA(250機の購入を予定)や、インド独自開発のMCAなど、高いステルス性を追求した第5世代ジェット戦闘機の研究開発も進めている。

インドの歴史的経緯や政治的背景などにより、初期には旧宗主国イギリスをはじめとする欧州機、近年ではロシア機やフランス単独開発機、さらにはアメリカ合衆国の技術をベースとした準国産機を多く導入しており、多種多様な機体を擁している。[1]

識別

航空機

IAFミラージュ2000
ファイル:LCA Tejas.jpg
テジャス戦闘機

主な戦闘機は、ロシア製のMiG-21MiG-29BSu-30MKIフランス製のミラージュ2000があり、攻撃機としては、MiG-27MLジャギュアを運用している。国産では過去にマルートを開発運用し、現在もLCA計画による軽戦闘機のテジャスの開発を進めている。

このうち、MiG-21は1964年以来946機が調達され、うち476機が事故で失われている。2011年現在約200機が運用されており、そのうち121機はMiG-21bisonへと改修されている。MiG-21bisonは2017年までの、それ以外のMiG-21はより早い退役が予定されている[2]。FL/M/MF/bisなどが存在したが、初期に導入されたFL型が2013年には退役した[3]

MiG-21にかわって現在主力になりつつあるのがSu-30MKIである。Su-30は1996年11月30日にインドが50機(MK8機、K10機、MKI32機)の購入契約を交わし、1997年3月からSu-30MK及びKがSu-30MKI完成までの繋ぎとして引き渡しが開始された。のちにこの18機はロシアに返却され、ベラルーシにおいてKN仕様へと改修されており[4]、最終的にアンゴラが取得した。2002年からはSu-30MKIの引き渡しが開始され、さらに222機がインドでライセンス生産されつつある。2011年1月までに、Su-30MKIは142機が納入された[5]

近年経済成長や中国軍拡への対抗などからインドは国防費を急増させている。その一環として、2007年には126機の中型多目的戦闘機を新規調達することを決定した(MMRCA、Medium Multi-Role Combat Aircraft計画)。この調達機数もさらに増える可能性がある。F-16F/A-18E/F、露Su-30MKI、MiG-35、欧ユーロファイタースウェーデングリペン、仏ラファールなどが検討された。インドは、ロシアのPAK FA開発に資金協力しており、ロシア機の導入が有力視されていたが、最終候補にはユーロファイターとラファールの二種類が残った。2012年2月1日、ラファールが独占交渉入りした。

A-50早期警戒管制機

2009年5月25日、インド空軍にA-50早期警戒管制機が引き渡された。同機には、IL-76輸送機をベースにイスラエル製のEL/W-2090(en)早期警戒管制システムが搭載されている。インド空軍は既に3機のAWACSを購入済みで、引き渡しを待っているが、さらに3機の追加購入交渉に入っているという。

C-17 グローブマスターIII
IL-76輸送機

輸送機はIl-76やAn-32を主力としていたが、近年C-17やC-130Jなどアメリカの機体を導入している。2011年12月20日、C-130J輸送機の6機の引き渡しが行われ、さらに6機が導入予定である。

インド空軍の練習体系は、HPT-32初等練習機、HJT-16中高等練習機と国産機によっていたが、高等練習機HJT-16Mk.2を更新する形で英ホークMk132高等練習機66機の導入を決めており、2008年2月から順次配備を始めている。2011年までに納入は終了する予定である。2010年にはさらに40機が空軍に、17機が海軍に調達される契約がなされた。新中等練習機は国産のHJT-36が開発中である。

またヘリコプターHAL ChetakMi-8Mi-17Mi-35等を運用してきた。2008年に入ってインド国防省はChetakなどのヘリについて、老朽化・旧式化・陳腐化対策や、今後、周辺国との水源争いによる高地作戦の重要性が高まることなどから、運用しやすい軽ヘリコプター384機(空軍には125機、残り259機は陸軍向け)の新規調達を決定し、米ベル、欧ユーロコプターアグスタウェストランド、印HAL、露カモフ等に打診した。その後空軍はMi-17V5を計59機[6]、HAL Dhruvを65機以上の調達を決定している。

さらに、2008年5月末には、ニューデリーに配備されているMi-35部隊の更新用として、攻撃ヘリ22機の新規調達を計画した。この計画では最終的に最新型の米AH-64Eが選定された。

インディラ・ガンジー国際空港に隣接したインド空軍博物館に過去使用したさまざまな機体を保管・展示している。

特殊部隊

ファイル:Garud2.jpg
ガルダ・コマンド部隊

ガルダ・コマンド部隊は、インド空軍の特殊部隊。1,500人から2,000人の隊員が所属しており、特殊偵察、エアボーンヘリボーン、対テロ作戦を実行する。

他のインド軍特殊部隊同様IMI タボールAR21AKMを使用するほかM4カービンの使用も見られる。

脚注

  1. ^ 一般に多種多様な機体を運用すると、予備部品や整備プラットフォームなどの汎用性低下、作業者の習熟など保守管理の手間や経費が増す傾向があり、稼働率も落ちると見積もられる。
  2. ^ 軍事研究2012年2月号ミリタリーニュース(JDW誌11/8引用)なお原文はbisonではなくbisへと改修されたであるが、インドがライセンス生産したbis型と、インドにおけるMiG-21-93改修にあたえられた名称bisonの誤認と考えられる
  3. ^ http://indiatoday.intoday.in/story/mig-21-fl-phase-out-plan-iaf-supersonic-era-kailaikunda-nak-browne/1/328374.html
  4. ^ http://en.rian.ru/mlitary_news/20110916/166882507.html
  5. ^ http://www.onlinenews.com.pk/details.php?id=180002
  6. ^ http://in.rbth.com/economics/2014/02/13/first_batch_of_mi-17_v-5_helicopters_delivered_to_india_33057.html

外部リンク