ISO 9660

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ISO 9660
導入 1988年 ()
構造
ディレクトリ テーブル
領域管理 エクステント
限度
最大ファイル サイズ 4GiB(シングルエクステント)
8TiB(マルチエクステント)
最大ファイル名長 8.3形式(Level 1)
31文字(Level 2/3)
207文字(9660:1999)
ファイル名の文字 d1文字([A-Z]、[0-9]、_)
特徴
タイムスタンプ 作成、更新、失効、発効
日付範囲 1900年1月1日 - 2155年12月31日
日付分解能 1秒
フォーク 可能
属性 可視、読み取り、実行、保護
パーミッション POSIX
透過的圧縮 なし
透過的暗号化 なし
重複排除 可能
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ISO 9660:1988は、1988年ISO で標準化された CD-ROMファイルシステムである。ハイシエラフォーマット英語版(High Sierra Format, HSF) が元になっている。Ecma InternationalECMA-119 に対応する。JIS では JIS X 0606 に対応する。ISO 9660 に準拠することで、様々なオペレーティングシステムで同じ CD-ROM を読み込むことができる。

ファイル名に制限が多かったため、後に様々な拡張フォーマットが登場した。

もともとは CD-ROM 用であるが、DVDBD でも用いられることがある。

水準

ファイル名やディレクトリ名に使える文字は数字、英大文字、“_”(アンダースコア)の37種類(規格ではこの文字群を d文字 または d1文字 と呼ぶ)

ファイル名は以下の規則を持つ。

  1. 「0文字以上 + “.” + 0文字以上 + “;” + 1から32767までのバージョン番号」で表される
  2. 「0文字以上 + “.” + 0文字以上」は合わせて31文字まで
  3. “.”の前後どちらかは1文字以上なければならない

ディレクトリ名は31文字まで

ディレクトリは8階層まで

「ファイル名の文字数 + そのファイルに関連するルートディレクトリまでの各親ディレクトリ名の文字数の総和 + 同親ディレクトリの数(ディレクトリ区切り)」は255まで

制限の厳しいシステムとのやり取りの為3つのレベルが規定され、上記に加えて制限がかかる。

  • ISO 9660 Level 1:
    • ファイル名は「8文字以下 + “.” + 3文字以下 + “;” + 1から32767までのバージョン番号」まで
    • ディレクトリ名は8文字まで
    • ファイルデータは単一のエクステントしか持てない
  • ISO 9660 Level 2:
    • ファイルデータは単一のエクステントしか持てない
  • ISO 9660 Level 3:
    • 追加の制約は課さない

ISO/IEC 9660:1999

ISO/IEC 9660:1999 は、ISO 9660の最新規格である。JIS では、ISOより先に JIS X 0606:1998 として取り入れられている。

次のような特徴がある。

  • ファイル名、ディレクトリ名は207文字まで
  • 拡張子の必要性が無い(ファイル名に “.” を含める必要が無い)
  • バージョン番号の必要性が無い
  • 8階層までというディレクトリの階層の制限を取り払って無制限になった

拡張規格

El Torito

El Torito は、1995年IBMフェニックス・テクノロジーズ英語版が提唱した規格である。CD-ROM 上からのブートがサポートされている。

El Toritoの名は、日本でもつくば市東京都などで展開しているココス系列のメキシカンレストランエルトリートから取られている。

Rock Ridge

Rock Ridge (ロックリッジ)は、IEEE によって IEEE P1282 として制定された ISO 9660 の拡張規格である。おもに UNIX 系 オペレーティングシステム で利用される。

次の機能をサポートしている。

  • UNIX 式のアクセス権の設定(ISO 9660でも拡張属性レコードにPOSIXパーミッションがあるが、レコードは列挙に対し非効率的に配置される)
  • シンボリックリンク
  • デバイスファイル
  • 大文字・小文字の区別
  • 最大255文字のファイル名
  • 8階層以上(ISO 9660 の仕様)のディレクトリの作成(ISO 9660上ではルート直下にRR_MOVEDまたは.rr_movedディレクトリとして配置される)

ISO 9660 と上位互換であり、Rock Ridge を利用できないシステムでも ISO 9660 Level 1 として読み込めるようになっている。

Joliet

Joliet (ジョリエット)は、マイクロソフトが設計した ISO 9660 の拡張規格である。

次の機能をサポートしている。

  • UCS-2 の利用
  • 最大64文字までのファイル名
  • 8階層以上(ISO 9660 の仕様)のディレクトリの作成

ISO 9660 と上位互換であり、Joliet を利用できないシステムでも ISO 9660 Level 1 として読み込めるようになっている。Windows 95 から現在に至るまでの Microsoft Windows やその他のオペレーティングシステムでもサポートされている。UCS-2 の利用により、仮名漢字アラビア文字なども使用することができる。

Apple ISO9660 Extensions

Apple ISO9660 Extensions は、アップルが ISO 9660 を拡張するために設計されたいくつかの規格である。CD-ROM 上でのHFS (HFS+) を利用出来るように設計されてあるものもあり、HFS のメリットを利用することができる。

ほぼ Mac OS および Mac OS X 専用の拡張規格であり、利用できないシステムでは ISO 9660 Level 2 として読み込めるようになっている。

Romeo

Romeo は、Adaptecが設計した ISO 9660 の拡張規格である。

次の機能をサポートしている。

  • 最大128文字までのファイル名

ISO 9660 のディスクフォーマットを拡張しており、ISO 9660 との互換性は無い。

規格の逸脱

他の拡張規格のように規格化されたものではないが、多くのOSの実装において多少の規格違反は許容されており、それを逆手に取った意図的な規格違反をすることでISO 9660の厳しい制限を回避することができる。しかし互換性は下がることになる。

以下のようなものが存在する。

  • ファイル名にd1文字以外の使用
  • ファイル名に複数の“.”の使用
  • ファイル名に“.”の非使用
9660:1999では規格合致。
  • 8階層を超えるディレクトリ
9660:1999では規格合致。
  • “;”およびバージョン番号の省略
9660:1999では規格合致。多くのOSでは“;”とバージョン番号はユーザーから見えないようになっているが、それらを隠してくれない環境では有用となる。
  • ファイル名に37文字までの使用
“;”とバージョン番号用の領域をファイル名に使用する。必然的にバージョン番号は省略される。
  • (Joliet拡張)110文字までのファイル名の使用。
ディスクフォーマット上はファイル名に使用できる領域は64文字分より大きく確保可能である。[1]

OS の ISO 9660 サポート

ISO 9660 Level 1 ISO 9660 Level 2 ISO 9660 Level 3 ISO/IEC 9660:1999 Joliet Rock Ridge Apple ISO9660 Extensions Romeo 備考
MS-DOS Yes No No No No No No No MSCDEX.EXE (Microsoft CD-ROM Extension) というプログラムを組み込むことで、ISO 9660 フォーマットの CD-ROM を認識することができる。
Microsoft Windows 95, 98, Me Yes Yes Yes No Yes No No Yes
Microsoft Windows NT 3.51 Yes Yes Yes No No No No Yes
Microsoft Windows NT4.0, 2000 Yes Yes Yes No Yes No No Yes
Microsoft Windows XP およびそれ以降 Yes Yes Yes Yes Yes No No Yes
Linux および BSD 系 OS Yes Yes Yes Yes Yes Yes No No
Mac OS 7〜9 Yes Yes No No No No Yes No
Mac OS X Yes Yes No No Yes Yes Yes No

関連項目

脚注

  1. ^ 5 Appendix A: Product Behavior”. 2014年4月13日閲覧。 “110 if Joliet Format”

外部リンク