角舘商会

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角舘商会
種類 有限会社
略称 駅弁かくだて
本社所在地 日本の旗 日本
096-0011
北海道名寄市西1条南7丁目4(廃業時)
設立 1961年(昭和36年)3月[1]
創業 1910年(明治43年)6月[1]
業種 食料品
事業内容 駅弁の製造販売
代表者 角舘征夫(廃業時の社長)
特記事項:2009年(平成21年)6月30日廃業[2]
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角舘商会(かくだてしょうかい)は、北海道名寄市にあった駅弁製造・販売業者で、宗谷本線名寄駅構内の売店や特急列車内で販売し、鉄道ファンの間では「最北の駅弁屋」として知られていた。

北海道旅客鉄道(JR北海道)によると、宗谷本線では稚内駅でも駅弁を販売しているが、通年にわたり製造・販売している駅弁業者としては角舘商会が日本国内最北であった[2]。北海道産の食材を使用した駅弁を多種製造販売し、「ニシンカズノコ弁当」や「蝦夷っこちらし寿し」などの人気商品を生み出した。幻の魚として知られているイトウを食材とした駅弁を商品化するなど、話題を数々提供してきた[3]

しかし、角舘社長と共に駅弁の調整に携わってきた社長の妻が重病を患い、体調が思わしくなく社長自身が看病に専念すること、また後継者もいなかった事から創業100年目の年にあたる2009年(平成21年)6月30日廃業した[1][3][4]

駅弁の種類[編集]

廃業時まであった駅弁[編集]

  • カキ帆立弁当 - 940円。2003年(平成15年)の名寄駅開業100周年記念として企画販売された駅弁で、同年9月30日で販売を終了する予定であったが、人気商品となり販売を継続した[8]
  • みそ豚丼 - 780円。2004年9月20日発売開始。入りの味噌味の豚丼[9]
  • たこ寿し - 780円。1990年(平成2年)5月発売開始。五目鮨のご飯に錦糸卵と薄切りにしたタコをのせた駅弁[10]

廃業以前に販売されたことがある駅弁[編集]

  • 牛タン弁当 - 750円。1993年(平成5年)5月11日発売開始。薫製牛タンを食材とした駅弁。狂牛病問題による材料不足により販売停止となった[13]
  • 幻のいとう燻弁当 - 朱鞠内湖産のイトウの薫製を食材とした駅弁で、2002年(平成14年)9月20日に発売を開始するが、イトウの水揚げ量が極少数であったため、3か月間で1日5個の限定販売[14]
  • スーパー宗谷記念弁当 - 詳細不明[15]
  • いか寿し - 750円。4月10日の「駅弁の日」に再発売された駅弁で、昭和60年代に販売していた「いか寿し弁当」をマイナーチェンジした復活版[16]。ちなみに、昭和60年代当時に販売していたいか寿司は、いか寿司(あぶっていない)・かんぴょう巻き・漬物2種の構成だった。1987年2月当時の売価は600円。再発売版での掛け紙のイカのイラストは、当時のものが流用されている[17]
  • ミニ南瓜弁当(ミニかぼちゃ弁当)- 700円。ミニかぼちゃ豚肉を食材とした駅弁で、木製フォーク付き。2008年2月28日販売終了[19]

歴史[編集]

(本節の参考文献〔特記以外〕- 角舘商会の歴史「創業」および「沿革」, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/rekisi.htm 2009年11月19日閲覧。 

歴代の代表者[編集]

  • 初代 - 角舘祥二郎:1910年(明治43年)6月 - 1945年(昭和20年)
  • 2代目 - 角舘俊郎:1945年(昭和20年)- 1968年(昭和43年)4月
  • 3代目 - 角舘祥子:1968年(昭和43年)4月 - 1977年(昭和52年)7月
  • 4代目 - 角舘征夫:1977年(昭和52年)7月 - 2009年(平成21年)6月30日

沿革[編集]

  • 1910年(明治43年)6月 - 角舘祥二郎が創業し、名寄駅構内で営業を開始。
  • 1945年(昭和20年)- 創業者・祥二郎逝去。俊郎が2代目となる。
  • 1961年(昭和36年)- 法人組織化。
  • 1968年(昭和43年)4月 - 2代目・俊郎逝去。俊郎の妻・祥子が3代目となる。
  • 1977年(昭和52年)7月 - 征夫が4代目となり、能動的な事業展開を図る。
  • 1987年(昭和62年)4月 - 国鉄分割民営化、JR北海道発足による合理化策の推進により駅弁事業が影響を受ける。これを機に新商品(駅弁)の開発を積極的に行い、北海道ならではの駅弁メニューを開発する。
  • 2000年(平成12年)3月 - 特急「スーパー宗谷」での車内販売の弁当が乗客の評判を取る。
  • 2009年(平成21年)3月 - 代表が廃業を決意[20]
  • 2009年(平成21年)6月30日 - 廃業[3]。営業最終日にはNHKSTV日本テレビ系列)が取材し、それぞれ翌7月1日にローカル放送され、さらにNHKでは同年7月9日に『お元気ですか 日本列島』で全国放送される[2]

跡地[編集]

角舘商会の建物は現存しており、2015年現在は社会福祉法人事務所や就労支援事業所が入居している。当社最後の社長も会長を務めていた。[21]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 角舘商会の歴史「沿革」, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/rekisi.htm 2009年11月19日閲覧。 
  2. ^ a b c 最北の駅弁屋「駅弁 かくだて」, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/ 2009年11月18日閲覧。 
  3. ^ a b c “最北の駅弁屋”廃業へ JR名寄駅、創業99年」『MSN産経ニュース』2009年6月27日 08:54、2009年11月18日閲覧 
  4. ^ “最北の駅弁屋”惜しむ声…「角舘商会」廃業 4代目社長、妻の看病に専念”. ZAKZAK (産経新聞社). (2009年7月2日). http://www.zakzak.co.jp/top/200907/t2009070238_all.html 2015年10月29日閲覧。 
  5. ^ ニシンカズノコ弁当, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/nisin.htm 2009年11月19日閲覧。 
  6. ^ 蝦夷っ子ちらし寿し, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/ezotirasi.htm 2009年11月19日閲覧。 
  7. ^ 北の味きのこごはん, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/kinoko.htm 2009年11月19日閲覧。 
  8. ^ カキ帆立弁当, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/kakihotare.htm 2009年11月19日閲覧。 
  9. ^ みそ豚丼, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/nisobuta.htm 2009年11月19日閲覧。 
  10. ^ たこ寿し, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/takosusi.htm 2009年11月19日閲覧。 
  11. ^ a b c 薬膳弁当, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/yakuzen.htm 2009年11月19日閲覧。 
  12. ^ チョウザメ・キャビア弁当, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/tyozame.htm 2009年11月19日閲覧。 
  13. ^ 牛タン弁当, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/gyutan.htm 2009年11月19日閲覧。 
  14. ^ 幻のいとう薫弁当, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/ito.htm 2009年11月19日閲覧。 
  15. ^ この弁当の詳細については、角舘商会の公式サイトには掲載されていなかった。
  16. ^ あぶりいか寿し, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/ikazusi.htm 2009年11月19日閲覧。 
  17. ^ 「最後の国鉄ダイヤでぐるっと日本一周 PART2」『鉄道ファン』1987年6月号、公友社、108頁。
  18. ^ トマト物語エミュー編, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/emu.htm 2009年11月19日閲覧。 
  19. ^ ミニかぼちゃ弁当, 角舘商会, http://city.hokkai.or.jp/~aaa03780/minikabotya.htm 2009年11月19日閲覧。 
  20. ^ 「“最北の駅弁屋”廃業へ」『産経新聞』2009年6月28日 日曜日、社会 22面。 
  21. ^ 緑ヶ丘 (PDF)