圏論

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圏論(けんろん、英語:category theory)とは、代数的構造の変換の自然さを形式化するために導入された理論である。射のクラスである圏とその間の対応である関手、構造の自然さを表す自然変換が主な道具立てである。

目次

[編集] 概要

圏論の言葉を使えば、数学の多くの分野の研究からしかるべき圏を作り出し、異なった理論の間に平行して存在する手続きを統一的に理解することができる。例えば集合、群、位相空間の圏などである。これらの圏は、例えば空集合や 2 つの位相空間の直積など、何かしら特別な性質を持った「空間」が存在する。しかし、圏の定義においては対象は根源的なものとみなされ、それぞれの対象が具体的にどんな集合として実現されるのかは指定されていない。そこで、これらの特別な空間についての概念を、その「要素」を参照せずに定めることはできるだろうか、という問いが生まれる。

圏論的な解析においては、何かしら与えられた構造を持つ個々の対象(例えば群)とその「内部構造」だけを考えるよりも、対象間の — 構造を保つ対応関係 — に力点が置かれる。群の圏の例で言えば、射は群の準同型写像にあたる。それぞれの圏における特別な対象は、他の対象とのあいだの射がどうなっているか、によって特徴づけることができる。たとえば集合の圏における空集合 ∅ は任意の集合 S について ∅ から S への射(つまり写像)がただ 1 つだけ存在するようなもの、として特徴づけられる。このような特徴づけは、極限やその双対概念である余極限を用いた普遍性という考え方にまとめられる。実際、数多くの重要な構成がこのようにして純粋に圏論的な方法で記述できることがわかっている。

[編集] 歴史

1930年代後半から始まるニコラ・ブルバキの数学原論シリーズにおける集合論に基づいた数学の再構成の試みの中では、構造、構造種と普遍性の概念が指導原理として取り上げられている。

1945年サミュエル・アイレンベルグソーンダース・マックレーンによる、代数的位相幾何学において直感的/組み合わせ的に定義されていたホモロジーコホモロジー公理化する研究の中で圏、関手および自然変換が実際に定義された。スタニスワフ・ウラムらの主張するところによれば、同様のアイデアは 1930 年代後半にポーランドの大学に起こっていたという。アイレンベルグとマックレーンは、「構造」と「その構造を保つ対応関係」の間に成り立つ関係を公理的に形式化する手法を与えた。アイレンベルグとマックレーンは、そのゴールが異なる数学的体系の間の自然変換を理解することにあると述べていた。そしてそのためには関手を定義することが必要だった。そして関手を定義するために圏が必要だったのである。

その後 1950年代から 1960年代にかけてこの理論は、ホモロジー代数における様々な計算の抽象的な定式化を取り込むことによって、続いて、集合論に基づく定式化では不十分だった代数幾何学の公理化を与える言葉として進展した。さらに一般的な圏論、つまり、意味論的な柔軟性をもち高階論理との親和性があるようなより現代的な普遍的代数が発展し、現在では数学全体を通して応用されている。

[編集] 他の分野への影響

カテゴリカル・ロジックは現在、型理論に基づいて、直観主義的論理のためにうまく定義された分野である。そして、これの応用として関数型プログラミングの理論および領域理論がある。これらは全て、ラムダ計算の非構文的な記述として適用されたデカルト閉圏を背景としている。圏論的言語を用いることで、関連する分野が厳密に、(抽象的な意味で)何を共有しているのかを明らかにすることができる。

代数的位相幾何学では空間の連続写像そのものよりも、そのホモトピー類を考えたほうがよいことがある。これは対応する圏を「変形」してホモトピー類を射として採用することにより圏論的に定式化できる。そこで、複体の射や位相線形環の準同型についてもこのような圏の変形を見いだし理解することが 20 世紀後半におけるほかの種類の「幾何学」の大きな問題意識となった。

20 世紀の半ば以降アレクサンドル・グロタンディークらによって代数幾何学の圏論的な定式化が追求された。

正標数体上の数論幾何や、非可換環が「図形」を表していると考える非可換幾何などの非標準的な「幾何学」は、幾何学的な関手の構成可能性をもってそう名乗っている、という側面もある。

[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

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