ヤマアカガエル

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ヤマアカガエル
Rana ornativentris.JPG
ヤマアカガエル Rana ornativentris
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
: 無尾目 Anura
亜目 : カエル亜目 Neobatrachia
: アカガエル科 Ranidae
亜科 : アカガエル亜科 Raninae
: アカガエル属 Rana
亜属 : アカガエル亜属 Rana
: ヤマアカガエル
R. ornativentris
学名
Rana ornativentris
Werner, 1903
和名
ヤマアカガエル
英名
Montane brown frog

ヤマアカガエル(山赤蛙、学名Rana ornativentris Werner, 1903 )は、アカガエル科アカガエル属に分類されるカエルの1

分布[編集]

日本固有種で、本州四国九州佐渡島に分布する[1]

形態[編集]

体長4.2-7.8cm。体色はオレンジ色から褐色と個体により変異がある。背面には筋状の隆起があり、鼓膜の上部で一度外側へ曲がり鼓膜の後部でまた内側に曲がる。ニホンアカガエルによく似ているが、ニホンアカガエルはこの背側線がまっすぐである[2]。咽頭部には明瞭な黒い斑点が入る個体が多い。種小名ornativentrisは「飾り立てた腹」の意で、腹面の斑紋に由来すると思われる。後肢は長く静止した状態でも指が鼓膜に届き、水掻きは発達している。

卵は黒い球形。幼生の体色は黒や褐色で、背面に黒い斑点は見られない。

生態[編集]

丘陵地と山間森林内および、その外縁部にある池、小川、湿地、水田に生息する[3]

平野部ではニホンアカガエルと混生することもあるが、山地にも生息することが和名の由来。天敵としては食肉類、ニホンイノシシ、動物食の鳥類、ヤマカガシアメリカザリガニ等が挙げられる。冬に産卵した個体は再び春になるまで冬眠する。

食性は動物食で昆虫類節足動物貝類ミミズ等を食べる。幼生は雑食で落ち葉や水草水生昆虫、動物の死骸等を食べる。

繁殖形態は卵生で、1-6月に池沼、湿地、水田、水溜りに1,000個以上の粘着性がある寒天質に包まれた卵を年1回のみ産む。一晩のうちに複数個体が1つの水場に集団産卵することもある。

生活環[編集]

卵は14日程で孵化する。幼生は5-8月には変態し、幼体になる。成体になるには生後2-3年程かかる。

土にもぐって冬眠するカエルも多いが、ヤマアカガエル、ニホンアカガエルは水底で冬眠する[4]

種の保全状況評価[編集]

国際自然保護連合(IUCN)により、2004年からレッドリスト軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]

日本の以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている[5]。以前は食用とされることもあった。以前は冬にも水を張った水田が多く本種にとって適した産卵場所になっていたが、近年は水田の減少や乾田化により産卵場所が減少している。アクア・トトぎふ2010年に、本種で日本動物園水族館協会による繁殖賞を受賞した。

人間との関係[編集]

他の両生類に先駆けて産卵を行いさらに産卵場所が水田等と比較的目に付きやすい場所であることから、卵を採集し飼育されることも多い。

幼生の飼育はさほど難しいものではないが1個の卵塊に1,000以上になる(集団産卵することもあるので場合によってはそれ以上)ため野生個体の保全や飼育の手間を考えると採集する際は飼育できる数のみ分けて持ちかえることが望ましい。孵化した幼生は植物食傾向の強い飼育初期には水草や茹でたホウレンソウ、動物食傾向の強い後期には甲殻類や水棲昆虫(乾燥や冷凍された飼料として販売されている商品もあり)を水を汚さない程度与える。あまり共食いはしないが、無性卵や死亡した個体は他の個体に捕食される。

後肢が生えてきたら水位を低くして木片や流木、水草等で上陸場所の用意をする。

幼体、成体の飼育は生きた小型昆虫の確保が必要になり飼育難易度が大幅に上がる。そのため以前であれば飼育しきれない個体は採集場所へ戻すことが望ましかった[要検証 ]のだが、現在はカエルツボカビ症の問題もあるため一度飼育した個体を野生へ戻してはいけない。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 東京都西多摩は準絶滅危惧。
  2. ^ 千葉県の要保護生物(C)は、環境省の絶滅危惧II類相当。
  3. ^ 滋賀県の希少種は、環境省の準絶滅危惧相当。
  4. ^ 兵庫県のCランクは、環境省の準絶滅危惧相当。

出典[編集]

  1. ^ a b c IUCN Red List of Threatened Species. 2013.1 (Rana ornativentris)” (英語). IUCN. 2013年7月26日閲覧。
  2. ^ a b 千葉県レッドデータブック動物編(2011年改訂版) (PDF)”. 千葉県. pp. 143 (2011年). 2013年7月26日閲覧。
  3. ^ 鹿児島の自然を記録する会編 『川の生きもの図鑑—鹿児島の水辺から』 南方新社、2002年6月30日、258頁。ISBN 9784931376694 
  4. ^ 月刊アクアライフ編 『水辺の生きもの 川と池—写真で見る飼い方ガイド』 エムピージェー マリン企画、2004年6月10日、87頁。ISBN 9784895125307 
  5. ^ 日本のレッドデータ検索システム「ヤマアカガエル」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2013年7月26日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典元の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  6. ^ 佐賀県レッドリスト2003 (PDF)”. 佐賀県. pp. 44 (2003年4月). 2013年7月26日閲覧。
  7. ^ レッドデータブックながさき2001 (PDF)”. 長崎県. pp. 365 (2001年). 2013年7月26日閲覧。
  8. ^ 埼玉県レッドデータブック2011動物編 (PDF)”. 埼玉県. pp. 115 (2011年). 2013年7月26日閲覧。
  9. ^ 改訂・熊本県の保護上重要な野生動植物-レッドデータブックくまもと2009- (PDF)”. 熊本県. pp. 296 (2009年). 2013年7月26日閲覧。
  10. ^ レッドデータブックあいち2009 (PDF)”. 愛知県. pp. 199 (2009年). 2013年7月26日閲覧。
  11. ^ 京都府レッドデータブック・ヤマアカガエル”. 京都府 (2002年). 2012年11月15日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]