マリオカートアドバンス

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マリオカートアドバンス
Mario Kart Advance
Mario Kart: Super Circuit
ジャンル レースゲーム
対応機種 ゲームボーイアドバンス[GBA]
Wii Uバーチャルコンソール[VC]
ニンテンドー3DS[3DS](アンバサダー・プログラム)
開発元 インテリジェントシステムズ
運営元 任天堂
販売元 任天堂
ディレクター
  • 安藤武
  • 森本幸雄
プログラマー 松本賢治
シリーズ マリオカートシリーズ
人数 1 - 4人
メディア [GBA]ロムカセット
稼働時期 ゲームボーイアドバンス
日本の旗 2001年7月21日
アメリカ合衆国の旗 2001年8月27日
欧州連合の旗 2001年9月14日
大韓民国の旗 2002年1月3日
Wii Uバーチャルコンソール
アメリカ合衆国の旗 2014年11月13日
日本の旗 2015年7月22日
利用料金 有料
対象年齢 CEROA(全年齢対象)
ダウンロード
コンテンツ
なし
デバイス モバイルアダプタGB対応
売上本数 日本の旗 約94万本[要出典]
世界 591万本[1]
その他 マルチカートリッジプレイ対応
1カートリッジプレイ対応
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海外版のタイトル(ロゴ)

マリオカートアドバンス』(Mario Kart Advance、Mario Kart: Super Circuit)は、2001年7月21日任天堂より発売されたゲームボーイアドバンスゲームソフト携帯型ゲーム機初のマリオカートシリーズで、シリーズ3作目。

後に他機種版も発売された(#他機種版)。

ゲームモード[編集]

1人用の「シングルプレイ」と、2 - 4人用の「マルチプレイ」があり、後者はさらに「マルチカートリッジプレイ」と「1カートリッジプレイ」に分かれている。「シングルプレイ」では「マリオGP」「タイムトライアル」「フリーラン」、「マルチカートリッジプレイ」では「VS」と「バトル」に加え、2人プレイ時のみ「マリオGP」も遊べる。「1カートリッジプレイ」ではこれらのモードでは遊べず、専用のモードでプレイすることになる。

マリオGP[編集]

プレイヤーとCOMを合わせた8台で4コースを順番に走り、優勝を目指す。各コースで4位以内に入るとドライバーズポイントがもらえ、次のコースに進める。5位以下の場合は先に進めず、リトライをしてコースをやり直す必要があるが、本作ではカップ終了前のゲームオーバーが復活しており、3回しかリトライできない[注 1]。また、『スーパーマリオカート』とは違いリトライ回数は増えない。

本作からCOMキャラクターがこうら系アイテムを使用してくるようになり、キノコの効果も正常に受けるようになった。直接プレイヤーのカートを狙うという高い攻撃性が加わったことにより、従来作以上にアイテム対策が必要となっている。

この作品で初めて「ランク」が採用された。高い方から★★★、★★、★、A、B、C、D、Eの8段階で評価されるが、『DS』以降の作品と比べると評価が非常に厳しく、★★★に到達するのは困難を極める。

VS[編集]

コースを自由に選び、プレイヤーのみで対戦する。プレイ前に周回数(3周・5周)、アイテムやコインの有無、レース開始時にキノコ(トリプル)を所持するかどうかを設定できる[注 2]

バトル[編集]

専用のステージで、アイテムを使って互いの風船を割りあう。風船はアイテム攻撃を受けた場合やコースアウトだけでなく、スピン中に相手に体当たりされて再度スピンした時にも失われる。自分のカートについている3個の風船がなくなったら脱落。脱落したプレイヤーはボムへいに変化し、残っているプレイヤーに体当たりすることで妨害できる。『64』の「爆弾ミニカー」とは違い、ボムへいは何度でも復活する。

タイムトライアル[編集]

プレイヤー1台のカートで走り、キノコ(トリプル)を使いつつタイムを競う。本作からエンジン排気量が150ccに変更されている[注 3]

走った記録は保存でき、さらに新作コースのみ10個までゴーストをセーブすることもできる。ただし、何かしらの障害物を消すか、「ヨッシー さばく」のありじごくに吸い込まれると、ゴーストのセーブが出来なくなる。

フリーラン[編集]

好きなコースを自由に選ぶことができる、1人用の練習向けモード。マリオGPと同様、プレイヤーとCOMを合わせた8台で走る。「VS」と同様、プレイ前に周回数と、アイテムやコインの有無を設定できる。

1カートリッジプレイ[編集]

「1カートリッジプレイ」では必ずこの専用モードで遊ぶことになる。キャラクターは色違いのヨッシーで固定となり、コースもおまけコースのキノコカップの4コース(「マリオ サーキット1」「ドーナツ へいや1」「おばけ ぬま1」「クッパ じょう1」)しか選べない。また、エンジン排気量などの細かい設定の変更もできない。

通信対戦[編集]

モバイルシステムGBで日本全国のプレイヤーと競うことが出来る一種の全国対戦や、タイムアタックでの記録送信による全国記録の閲覧が行なえた[2]2002年12月18日にサービス終了)。海外版では、通信ケーブルでゴーストを交換できるモードに差し替えられている。

キャラクター[編集]

登場するキャラクターは『64』と同じ8体で、本作では個々の性能が異なっている。ただし、ゲーム中では加速と重さの性能しか明記されていない。

軽量級 - ピーチキノピオヨッシー
加速に優れており、草地などに入ってもそれほど減速しない。反面、最高速は今ひとつ。
中量級 - マリオルイージ
軽量級と重量級の中間の性能を持つ。何故かルイージはマリオよりも非常に曲がりやすくなっている。
重量級 - ドンキーコング[注 4]ワリオクッパ
最高速に優れるが、草地などに入ると大きく減速してしまう。加速やハンドル操作も鈍く、一度でも失速するとなかなか立て直しが効かない。例外的に、ドンキーはドリフトの性能が高めになっている。

なお、ヨッシーとワリオは「スノー ランド」や「バニラ レイク(1・2)」に限り、雪道に入ってもあまり減速しないという変わった特徴を持つ。

アイテム[編集]

本作ではアイテムや障害物からのスピン中に相手に体当たりされると、重さや大きさに関係なく再度スピンさせられてしまう。

スター
一定時間無敵状態になり、アイテムからのダメージを無効化し、障害物を一方的に消すことができる。効果中はスピードが上がり、ダートの影響を無視するようになるほか、相手に触れるとその相手をスピンさせる。
キノコ
使用すると一瞬だけ急加速する。
サンダー
自分を除くすべてのカートを一定時間小さくし、スピードを落とさせる。本作では小さくなったカートが通常サイズのカートに触れても、潰されずにスピンするだけだが、元の大きさには戻らない。
テレサ
一定時間カートが消え、アイテムや障害物をすり抜けるようになる。また、使用時に他のプレイヤーが持っているアイテムをランダムで奪える。さらに本作では2位以下の時に使用すると、1位のカートにテレサが取りつく。テレサに取りつかれている間はスピードが低下し、コインを落とす。
バナナ
触れるとスピンするバナナの皮を設置する。カートの後ろに置くだけでなく、前に投げることもできる。直進中に触れた場合はスリップし、ブレーキをかけることでスピンを防げる。
アカこうら(シングル)
1つ前のカートを追尾し、触れたカートをスピンさせる。本作からコースに沿って進み、相手に近づいてから追尾するようになった。また、本作のみ後方に「設置」することも可能で、相手のカートが近くに来ると、そのカートを追尾する。
アカこうら(トリプル)
カートの周囲に3つのアカこうらを装備し、再度ボタンを押すたびに1つずつ前方に発射する。本作からこうらのトリプルは、タイミングに関係なくプレイヤーの真正面から発射するようになった。
ミドリこうら(シングル)
壁で跳ね返りながら直進し、触れたカートをスピンさせる。前だけでなく、後ろに発射することもできる。
ミドリこうら(トリプル)
カートの周囲に3つのミドリこうらを装備し、ボタンを押すたびに1つずつ前方に発射する。
トゲゾーこうら
コースの中央に沿って走り、1位のカートに近づくと追尾してスピンさせる。他のカートやアイテムを貫通しながら進んでいくが、壁に当たると消滅する。本作のみ後方に「設置」することも可能で、1位のカートが近くに来ると、そのカートを追尾する。
キノコ(トリプル)
「VS」(設定で有効にした場合のみ)と「タイムトライアル」で、レース開始時に保有するアイテムとして登場。アイテムボックスからは手に入らない。

コース[編集]

『スーパーマリオカート』と同様に20コースが用意されているが、カップ当たりのコース数は『64』と同じく4コースで、代わりに「フラワーカップ」と「スターカップ」の間に「サンダーカップ」がある。これらに加え、スペシャルカップで優勝したクラスで特定の条件を満たすと、「おまけ」としてそのカップに応じた『スーパーマリオカート』のコースが現れる(本項では省略)。ただし、「おばけ ぬま」系コースの壁を除いてすべてのギミックが削除されている。コースの道幅は前作までよりも拡張された[2]。コースにはコインが落ちており、コインを集めると最高速度を上げることができる[2]

「グランプリ」「タイムトライアル」「1カートリッジプレイ」では、新規コースは3周、おまけコースは5周となっている。

キノコカップ[編集]

ピーチ サーキット
ピーチ城が背景にあるサーキットコース。スタート直後に急カーブが現れ、その後は緩めのコーナーが続く。
ヘイホー ビーチ
浜辺を走るコース。ダートで区切られた場所が多く、敵キャラクターのカニさんも多数点在している。奥にヘイホーの海賊船があり、特定の位置に弾を撃ってくる。
リバーサイド パーク
ジャングルの川沿いに作られたコース。キノコカップの中では全長が長く、カーブも多めで、路面は滑りやすい傾向にある。
クッパ キャッスル1
クッパ城内に作られたコース。直線と直角コーナーで構成されている。コース終盤にマグマ上を飛ぶジャンプバンがあり、飛びそこねるとマグマに落ちてしまう。「クッパ キャッスル」系コースではドッスンが点在しており、潰されるとコインを8枚失う。

フラワーカップ[編集]

マリオ サーキット
コース前半のヘアピンカーブが特徴のサーキットコース。ゴール手前にピットがあり、そこにはダッシュバンが配置されている。
テレサレイク
テレサが佇む板張りのコース。コース序盤ではダッシュバンとジャンプバンを使った大ジャンプが連続する。コースの端にある壁に激突するとタイルが消えてしまう。
チーズ ランド
チーズのような道を走るコース。道幅は広いが、路面が滑りやすい。コース中盤には立体交差、終盤にはチューさんが点在している。
クッパ キャッスル2
「1」と同じくクッパ城内に作られたコース。路面に穴が開いていたり、ジャンプバンが多くあったりと、「1」よりも難易度が上がっている。

サンダーカップ[編集]

ルイージ サーキット
常に雨が降っているサーキットコース。所々にある水溜まりにはまるとスピンしてしまう。
スカイガーデン
空に浮かぶコース。特に障害物はないが、フェンスが無いためコースアウトしやすい。
プクプクアイランド
夕焼けの砂浜を走るコース。「ヘイホー ビーチ」と同様にカニさんが点在しているほか、道が分かれる場所が多数ある。
サンセット こうや
荒野の道を走るコース。スタートするときは背景が夕方だが、1周するごとに空が暗くなっていき、ゴールする頃には夜になる。障害物としてインディアン風のヘイホー[注 5]の住むテントがコース上に配置されており、触れるとヘイホーに張り付かれてスピードが低下し、コインを落とされてしまう。

スターカップ[編集]

スノー ランド
雪が降り積もるコース。路面が凍結していて非常に滑りやすく、氷の上に乗るとスピンしてしまう。また、ペンギンや雪だるまなどの障害物もある。
リボン ロード
赤い道路がリボンのようになっているコース。背景はプレゼントの箱で埋め尽くされている。コースに散在するダッシュバンや、立体交差が特徴的。
ヨッシー さばく
ヨッシーを模したスフィンクスのような像がある砂漠のコース。路面状態はあまり良くなく、道幅も狭い。ありじごくに入ると強制的に吸い込まれ、パックンフラワーに食べられてしまう。
クッパ キャッスル3
クッパ城の外側に位置するコース。道幅は狭く、中盤にジャンプバンが多くある。

スペシャルカップ[編集]

レイクサイドパーク
ジャングルの火山付近を走るコース。コース中盤では火山弾が降っており、終盤には立体交差がある。
オンボロ さんばし
「テレサレイク」と同様の板張りのコース。所々木が腐食して床が抜けている場所がある。コース中にテレサが点在しており、触れるとアイテムのテレサと同様に取りつかれてしまう。
クッパ キャッスル4
「クッパ キャッスル」系コースの集大成で、本作の最長コース。道幅がかなり狭く、複雑な構造をしている。ドッスン、バブルに加えて、メカクッパも障害物として登場する。
レインボー ロード
虹色の道を走るコース。コース上の至る所にダッシュバンがあり、ぶつかるとスピンするスターや、カートを小さくする雷雲などの障害物も点在している。コースの端はスタート地点を除いてフェンスがなく、ジャンプバンになっていることから、キノコを利用した大規模なショートカットが可能。

バトルコース[編集]

()内のコース名は、デザインの流用元を示す。

バトルコース1(マリオサーキット)
『スーパーマリオカート』の「バトルコース1」と似ているが、他のバトルコースと同様に上下左右対称になっている。
バトルコース2(クッパキャッスル[注 6]
「田」の字型になっているコース。フェンスで防がれた箇所があり、ジャンプバンも配置されている。また、バトルコースで唯一ダートが存在しない。
バトルコース3(ピーチサーキット)
「バトルコース1」と似ているが、フェンスやダートの形状が異なる。
バトルコース4(ヨッシーさばく)
フェンスが一切なく、所々に湖がある。

他機種版[編集]

価格改正(2011年8月11日実施)前のニンテンドー3DS購入者対象である「アンバサダー・プログラム」において、同年12月16日より、3DSのバーチャルコンソール版の無料限定配信がニンテンドーeショップにて開始された。

2014年11月13日Wii U(北米版)バーチャルコンソール版が、ニンテンドーeショップにて販売開始された。2015年7月22日には、日本のニンテンドーeショップでもWii Uバーチャルコンソールとして配信された[3]

2023年2月9日には、『ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online』の初期配信ソフトの一つとして配信された[4][5][6]

開発[編集]

ゲームボーイアドバンスが開発中のときに、「マリオカートはゲームボーイアドバンスに向いているのではないか」と企画の俎上に載ったことから始まった[7]。まず実験段階として、スーパーファミコン版を移植して、次に64版のデータを拝借して、開発を進めていった[7]

開発段階では海のコースも存在したが、宮本茂から「海の中でカートは走らないだろう」と却下された[7]。また前作までとは異なり、コースのカーブは緩めに、道幅も広めにされ、距離も長めになったことで直進が増えたが、これはコースを熟知している人が有利にならないように配慮し、同時に駆け引きを楽しんでもらうための措置である[7]

カートの性能は個々に異なるが、どのキャラを使ってもスタートからゴールまでの時間はほとんど変わらないように設計されている[8]

アイテムは遊びの幅を広げるために、アカこうらとトゲゾーこうらにも後方に攻撃ができる機能が追加された[8]。コインが復活したのは宮本の強い希望によるものであるが、コインを取れば取るほどカートの速度が上昇するため、アカこうらを投げられても届かない現象が生じることになった[8]

前作までは分割画面であり、相手が持っているアイテムが見えている状態でプレッシャーを与えるなどの駆け引きがあったが、本作では携帯型ゲームゆえに画面が別になったことで、それができなくなった[9]。当初は全員の画面が見えるようにする案もあったが、最終的にはアイテムの出現率を変えたり、持っているアイテムは見えないようにされた[9]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2人プレイ時はリトライ回数が共有となり、片方が4位以内に入れば、もう片方は5位以下になってもリトライ回数を消費しない。
  2. ^ 特に周回数の設定ができるのは本作と次回作『マリオカート ダブルダッシュ!!』、レース開始時にアイテムを所持する設定ができるのは本作しかない。
  3. ^ スペシャルカップとおまけコースは150ccで解放する必要がある。
  4. ^ 本作では従来の「D.コング」では無く、『マリオパーティ』シリーズと同様に「ドンキー」と表記される。
  5. ^ 海外版では普通のヘイホー。
  6. ^ コースデザインは「3」、背景は「2」のもの。

出典[編集]

  1. ^ O'Malley, James (2015年9月11日). “30 Best-Selling Super Mario Games of All Time on the Plumber's 30th Birthday”. Gizmodo. Univision Communications. 2015年9月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月9日閲覧。
  2. ^ a b c 1.マリオカートアドバンス/プレイレポート - ウェイバックマシン(2002年12月18日アーカイブ分)
  3. ^ 津久井箇人 a.k.a. そそそ (2015年7月15日). “Wii Uバーチャルコンソール7月22日配信タイトル ― 『マリオカートアドバンス』『ダンジョンエクスプローラー』など4本”. iNSIDE. IID. 2023年2月12日閲覧。
  4. ^ 「ゲームボーイ Nintendo Switch Online」「ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online」が配信開始。今すぐ遊べるタイトルを一挙ご紹介。”. 任天堂 (2023年2月9日). 2023年2月12日閲覧。
  5. ^ Nintendo Switch Onlineにゲームボーイ&ゲームボーイアドバンスソフトが追加。『スーパーマリオランド2』『星のカービィ』などが登場【Nintendo Direct】”. ファミ通.com. KADOKAWA (2023年2月9日). 2023年2月12日閲覧。
  6. ^ Junpoco (2023年2月9日). “Switchでゲームボーイとゲームボーイアドバンスが遊べる! Nintendo Switch Onlineと追加パックの新サービスが本日スタート”. 4Gamer.net. Aetas. 2023年2月12日閲覧。
  7. ^ a b c d 1.マリオカートアドバンス/インタビュー1 - ウェイバックマシン(2002年12月18日アーカイブ分)
  8. ^ a b c 1.マリオカートアドバンス/インタビュー2 - ウェイバックマシン(2003年2月6日アーカイブ分)
  9. ^ a b 1.マリオカートアドバンス/インタビュー3 - ウェイバックマシン(2002年12月18日アーカイブ分)

外部リンク[編集]