マスト
マスト(mast)とは、帆船の甲板に帆を張るために立てられた垂直棒のことである。日本語ではそのままマスト、あるいは帆柱と訳す。 「檣」の漢字で表記することもある。軍艦で、マストが発展した檣楼や、上構(セイル)と区別するため"信号檣"という呼称が使われる場合もある。
帆船のマスト [編集]
マストの構成は船のサイズなどに従い、大きな船ほど多くのマストを持つのが一般的である。20世紀より前のマストはそれぞれ1本の木材であったが、船が大きくなるにつれて3本程度の木材をつないで、より高い1本のマストを構成した。
シップのマストは前から順に、
- フォアマスト
- 最前部の、またはメインマストの前のマスト。
- 下からフォアマストローワー、フォアトップマスト、フォアトップゲルンマスト
- メインマスト
- 最も高いマスト。通常は船体中央に位置する。
- 下からメインマストローワー、メイントップマスト、メイントップゲルンマスト、ロイヤルマスト(存在しない場合もある)
- ミズンマスト
- 3番目、もしくは最後尾のマスト。フォアマストより低いのが一般的。
- 下からミズンマストローワー、ミズントップマスト、ミズントップゲルンマスト
- ジガーマスト
- 最後尾のマスト。4本以上のマストを持つシップは稀であったが、5本以上においても最後尾を指す。また、4本未満でも最後尾のマストを指すときがある。
- 下からジガーマストローワー、ジガートップマスト、ジガートップゲルンマスト
であり、その他の船のマストの命名はこれに従う。
多くの船は、この他に船首から前方に伸びるバウスプリットを持つ。
2本のマストを持つ大部分の船はメインマストとミズンマストを持つが、ブリッグ、スクーナーはメインマストとフォアマストを持つ。ケッチやヨールのように、船首にメインマストを持ち、極めて小さな第2のマストを持つ船の場合、ミズンマストとジガーマストは同義である。
2本マストのスクーナーでは、2本とも同じ高さのマストのものがわずかに存在する。この場合は後部のものがメインマストと呼ばれ、大きなコースセイルを持つ。スクーナーは多くは6本であったが、最高で7本のものが建造された。
横帆装の船では、それぞれのマストに帆を張るためのヤードが何本も設置された。
近代のマスト [編集]
19世紀になると、安定した推進力を得ることが出来る蒸気機関、ディーゼル機関などに動力源としての地位を奪われていったが、娯楽用の帆船やヨットでは使用され続けている。1930年代にはJクラスヨットでアルミニウム製のマストが登場した。アルミニウムは木よりも軽く、丈夫で、腐敗しないという利点があるため、より高いマストを作ることができた。第二次世界大戦後、アルミニウム製マストは全ての小型帆船とヨットで一般的となった。またヨット用のマストはセイル効率を良くするため作為的に、曲げてあったり帆走中に曲がるような構造になっている。
1990年代中頃のレース用ヨットには、より軽さを重視して炭素繊維強化プラスチック(カーボン)を用いるようになった。カーボン製マストはアルミニウムと比較して空気力学的に優れた形状へと加工しやすかった。
最新の軍艦では全てが帆を廃止しエンジン動力に切り替わってもマストは存在しているが、それまでの利用法とは異なっており、信号旗や航海灯、レーダー、通信アンテナなどを集中して取り付ける場所になっている。
関連項目 [編集]
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