フランス国鉄TGV レゾ

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フランス国鉄TGV Réseau
(2電源対応 28000形)
(3電源対応 38000形)
TGV Réseau 2電源対応第506編成(2007年8月、パリ東駅)
TGV Réseau 2電源対応第506編成(2007年8月、パリ東駅)
編成 10両編成
M(動力車)+ 8T(客車) + M(動力車)
営業最高速度 320 km/h
編成定員 新造時 377人(一等車120人、二等車257人)
編成長 200,190mm
全長 客車18,700 mm
全幅 2,904 mm
全高 客車3,420 mm
編成質量 2電源対応 383t
3電源対応 388t
軌間 1,435 mm
電気方式 交流25,000V 50Hz
直流1,500V
直流3,000V(3電源対応のみ)
架空電車線方式
編成出力 交流25,000V区間 8,800kW
直流1,500V (3,000V) 区間 3,680kW
主電動機 交流同期電動機
主電動機出力 交流25,000V区間 1,100kW
駆動装置 トリポード可撓継手
制御装置 VVVFインバータ制御
GTOサイリスタ素子
制動方式 電磁自動空気ブレーキ発電ブレーキ
保安装置 LGV区間 TVM
SNCF在来線区間 KVB
製造メーカー アルストム

フランス国鉄TGV レゾ (SNCF TGV Réseau,TGV-R) は、フランス国鉄 (SNCF) の動力集中方式高速鉄道車両TGV Atlantique編成をベースに設計され、1992年から1996年にかけてアルストムで製造され、1993年に営業運転を開始した。

Réseauフランス語で「ネットワーク」を意味する。

編成概要[編集]

LGV北線の開業に際し、LGV全線区での運用のほか、ベルギーイタリア方面への直通列車運用も考慮して開発された。SNCFの電化方式である交流25,000V直流1,500Vの2電源に対応する編成(28000形)と、この2電源に加えてベルギー国鉄 (SNCB) ・イタリアFSの標準電化方式である直流3,000Vにも対応する編成(38000形)が存在する。2電源対応編成は1992年から1996年にかけて編成番号501 - 550の50本が、3電源対応編成は1994年から1996年にかけて編成番号4501 - 4530の30本と、Thalys PBA編成(PBAはパリブリュッセルアムステルダムの頭文字)として編成番号4531 - 4540の10本がそれぞれ製造された。

Atlantique編成は両端2両の動力車と中間10両の客車で組成されていたが、このRéseau編成はSud-Est編成と同様に両端2両の動力車と中間8両の客車で組成されている。編成長は200.190m、車体幅は2,904mm、編成重量は2電源対応編成383t、3電源対応編成388tである。LGV区間の最高速度は320km/hLGV東ヨーロッパ線全区間、LGVローヌ・アルプ線LGV地中海線の一部区間のみ。その他は300km/h)である。

電装品や台車、ブレーキシステムはAtlantique編成と共通で、交流25,000V区間での定格編成出力は8,800kWである。

客車は一等車 (Première classe) 3両、二等車 (Seconde classe) 4両、二等座席とバーの合造車1両で構成される。Atlantique編成ではLGV大西洋線での高速走行でのトンネル通過時における車内の気圧変動(「耳ツン」現象)が問題となったため、Réseau編成からは気密構造とされた。

客車の改修・他編成への転用・改造[編集]

ラクロワデザイン改修編成の外観(2006年11月、ナント駅)
ラクロワデザインに改修された一等車車内(2006年11月)
ラクロワデザインに改修された二等車車内(2006年11月)

Réseau編成の運行開始から10年以上が経過し、客車の内装も陳腐化していた。また2007年のLGV東ヨーロッパ線開業に際して2電源対応Réseau編成を同線系統の列車でも運用することも考慮し、客車を改修する必要があった。

改修する客車内装の候補は、2002年2003年にTGVの現行ロゴをデザインしたレカロ社、客車をダブルデッカーとしたTGV Duplex編成をデザインしたMDBとクリスチャン・ラクロワ (Christian Lacroix) 、ケンゾーによる三種類が公表された。最終的にパリで開催されたTrain Capitale expositionでMBDデザインとクリスチャン・ラクロワのデザインが選ばれることになった。

2電源対応編成は2004年からリール近郊に立地するSNCFエレーム (Hellemmes) 工場で改修工事を開始し、2006年に全編成の改修を完了した。3電源対応編成についても2008年から2009年にかけて改修工事が施工されているが、2電源対応編成とは異なるデザインが採用されている。

2電源対応編成のうち、編成番号515 - 533の客車はLGV東ヨーロッパ線からスイス連邦鉄道ドイツ鉄道 (DB) 区間への直通運転に対応したTGV POS編成に転用された。

捻出された動力車は編成番号515 - 526・529・530・532・533がDuplex編成の編成番号601 - 612・616 - 619に転用され、編成番号527・528・531は3電源対応編成の編成番号4507 - 4509の客車を組み込み編成番号551 - 553の3本が組成された。さらに編成番号4507 - 4509の動力車はDuplex編成の編成番号613 - 615に転用された。この結果、Réseau編成の19本の動力車が新製されたDuplex編成の客車と組成されている。これらの編成は「TGV Réseau Duplex」とも称される。

第4530編成は電気・軌道総合試験車である「TGV IRIS 320」に改造され、2006年から運用されている。LGV区間のほか、在来線区間の検測も行っている。

Thalys PBA編成として落成した第4531編成はRéseau編成に転用され、第4551編成となった。

第502編成は事故により損傷を受け、一部の車両はAGVの試験編成に改造転用された。

2009年時点の状況[編集]

2電源対応編成[編集]

2009年7月時点では編成番号501・503 - 514・534 - 553の33本が在籍する。全編成がパリ東郊のパンタンに立地する東ヨーロッパ車両基地 (Technicentre Est Européen) に配置され、東ヨーロッパ線系統の列車を中心に運用されている。

3電源対応編成[編集]

3電源対応第4510編成(マルセイユ・サン・シャルル駅

2009年7月時点では編成番号4501 - 4506・4510 - 4529・4551の27本と、Thalys PBA編成の編成番号4532 - 4540の9本、計36本が在籍する。編成番号4501 - 4506はパリ・リヨン駅 - ミラノ中央駅間のイタリア直通国際列車アルテシアに運用され、パリ・リヨン駅近くに立地する南東ヨーロッパ車両基地 (Technicentre Sud Est Européen) に配置されている。その他の編成はパリ北駅近くに立地するランディ車両基地 (Technicentre Le Landy) に配置されている。

参考文献[編集]

  • 佐藤芳彦『図解TGV VS. 新幹線』 講談社、2008年
  • 佐藤芳彦「世界の高速鉄道 フランスTGV その2」『鉄道ファン』2007年9月号(通巻557号)、交友社、pp132 - 135
  • Olivier Constant 「世界最速営業路線 東ヨーロッパ線開業」『鉄道ファン』2007年9月号(通巻557号)、交友社、pp127 - 130

関連項目[編集]

  • 韓国高速鉄道 (KTX) - 2004年の開業時に導入されたKTX-IはRéseau編成をベースとして設計・製造された。