「アイソレーション・タンク」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
フロートカンファレンス 節の移動
医療研究を反映
22行目: 22行目:
1967年ごろには、NIMHへの最終報告書である「ヒューマン・バイオコンピューターにおけるプログラミングとメタプログラミング」が執筆され、後に一般にも販売されている{{sfn|John C. Lilly|Programming and Metaprogramming in the human Biocomputer|1968|pp=7-8}}<!--邦訳のページ数-->。またこの頃の研究はリリーの著書『意識の中心』{{sfn|ジョン・C.リリー|1991}}にも描かれている<ref name="大いなる海へ"/>。
1967年ごろには、NIMHへの最終報告書である「ヒューマン・バイオコンピューターにおけるプログラミングとメタプログラミング」が執筆され、後に一般にも販売されている{{sfn|John C. Lilly|Programming and Metaprogramming in the human Biocomputer|1968|pp=7-8}}<!--邦訳のページ数-->。またこの頃の研究はリリーの著書『意識の中心』{{sfn|ジョン・C.リリー|1991}}にも描かれている<ref name="大いなる海へ"/>。


それまでタンクの情報は一般に広く知られるものではなかった<ref name="nyt1981">{{cite news |title=Relaxation Tanks: A Market Develops |url=http://www.nytimes.com/1981/11/21/business/relaxation-tanks-a-market-develops.html |date=November 21, 1981 |newspaper=New York Times |accessdate=2015-08-20}}</ref>。リリーの開いたタンクのワークショップに参加したグレン・ペリーは、1972年に数個の木製の初期のタンクを開発し<ref name="Union2015"/>、翌年それが売れることになる<ref name="nyt1981"/>。リリーが最初に作ったタンクは、呼吸管のあるマスクつけて水中にあおむけになり、顔を沈めて浮かぶというものであった{{sfn|ジョン・C.リリー、フランシス・ジェフリー|2003|p=156}}。ペリーはタンクに改良を施し、海水の代わりに大量の[[エプソムソルト]](硫酸マグネシウム)を使い、わずか30センチの水の深さがあれば裸で浮かぶことができるという画期的なものであった{{sfn|ジョン・C.リリー、フランシス・ジェフリー|2003|p=356}}。このタイプのタンクを、リリーも自宅に3基設置した{{sfn|ジョン・C.リリー、フランシス・ジェフリー|2003|p=156}}。リリーはその事業に[[三昧|サマディ]]の名前を提案し、そのサマディ・タンク社は、1979年にビバリーヒルズに5つのタンクのセンターを構え、世界ではじめてタンクの事業を始めることとなっていった<ref name="Union2015">{{cite news |author=Keri Brenner |title=Float tank founders in Nevada County enjoy 'overnight' success after 40 years |url=http://www.theunion.com/news/16931376-113/float-tank-founders-in-nevada-county-enjoy-overnight |date=June 24, 2015 |newspaper=The Union |accessdate=2015-08-20}}</ref>。サマディ・タンク社のよく知られたタンクは箱型のプラスチックでできた型である<ref name="wsj2015may"/>。サマディ・タンク社は、農村部の生活を楽しむために[[グラスバレー (カリフォルニア州)|カリフォルニア州グラスバレー]]に移った<ref name="Union2015"/>。
それまでタンクの情報は一般に広く知られるものではなかった<ref name="nyt1981">{{cite news |title=Relaxation Tanks: A Market Develops |url=http://www.nytimes.com/1981/11/21/business/relaxation-tanks-a-market-develops.html |date=November 21, 1981 |newspaper=New York Times |accessdate=2015-08-20}}</ref>。リリーの開いたタンク体験のワークショップに参加したグレン・ペリーは、1972年に数個の木製の初期のタンクを開発し<ref name="Union2015"/>、翌年それが売れることになる<ref name="nyt1981"/>。リリーが最初に作ったタンクは、呼吸管のあるマスクつけて水中にあおむけになり、顔を沈めて浮かぶというものであった{{sfn|ジョン・C.リリー、フランシス・ジェフリー|2003|p=156}}。ペリーはタンクに改良を施し、海水の代わりに大量の[[エプソムソルト]](硫酸マグネシウム)を使い、わずか30センチの水の深さがあれば裸で浮かぶことができるという画期的なものであった{{sfn|ジョン・C.リリー、フランシス・ジェフリー|2003|p=356}}。このタイプのタンクを、リリーも自宅に3基設置した{{sfn|ジョン・C.リリー、フランシス・ジェフリー|2003|p=156}}。リリーはその事業に[[三昧|サマディ]]の名前を提案し、そのサマディ・タンク社は、1979年にビバリーヒルズに5つのタンクのセンターを構え、世界ではじめてタンクの事業を始めることとなっていった<ref name="Union2015">{{cite news |author=Keri Brenner |title=Float tank founders in Nevada County enjoy 'overnight' success after 40 years |url=http://www.theunion.com/news/16931376-113/float-tank-founders-in-nevada-county-enjoy-overnight |date=June 24, 2015 |newspaper=The Union |accessdate=2015-08-20}}</ref>。サマディ・タンク社のよく知られたタンクは箱型のプラスチックでできた型である<ref name="wsj2015may"/>。サマディ・タンク社は、農村部の生活を楽しむために[[グラスバレー (カリフォルニア州)|カリフォルニア州グラスバレー]]に移った<ref name="Union2015"/>。


1970年代後半に[[ブリティッシュコロンビア大学]]の{{仮リンク|ピーター・スードフェルド|en|Peter Suedfeld}}(Peter Suedfeld)とロデリック・ボーリー(Roderick Borrie)は、アイソレーション・タンクの治療的な応用についての研究を始めた。そして否定的な意味合いのある感覚遮断の語の替わりに、この技術に環境刺激制限技法(REST:Restricted Environmental Stimulation Technique/Therapy)と名付けた
1970年代後半に[[ブリティッシュコロンビア大学]]の{{仮リンク|ピーター・スードフェルド|en|Peter Suedfeld}}(Peter Suedfeld)とロデリック・ボーリー(Roderick Borrie)は、アイソレーション・タンクの治療的な応用についての研究を始めた。そして否定的な意味合いのある感覚遮断の語の替わりに、この技術に環境刺激制限技法(REST:Restricted Environmental Stimulation Technique/Therapy)と名付けた
<ref name="刺激のない世界1章">{{Cite book|和書|author=(編集)北村晴朗、大久保幸郎|chapter=1章 環境刺激制限の心理学―研究小史|title=刺激のない世界-人間の意識と行動はどう変わるか|publisher=新曜社|date=1986|pages=1-23, 285-287}}</ref>。また、ピーターは、IRIS (国際REST調査協会、International REST Investigators Society)の会長を務める。
<ref name="刺激のない世界1章">{{Cite book|和書|author=(編集)北村晴朗、大久保幸郎|chapter=1章 環境刺激制限の心理学―研究小史|title=刺激のない世界-人間の意識と行動はどう変わるか|publisher=新曜社|date=1986|pages=1-23, 285-287}}</ref>。また、ピーターは、IRIS (国際REST調査協会、International REST Investigators Society)の初代会長を務める{{sfn|Suedfeld, P, Turner, J.W.Jr., Fine, T.H. (Eds)|1990|loc=&sect;Introduction}}


1977年にはリリーの著書『深淵の自己』{{sfn|John C. Lilly|1977}}(邦訳なし)が発売され、翌年にはタンクの体験と考察の『サイエンティスト』{{sfn|ジョン・C.リリー|1986}}が発売される。同1978年、[[パディ・チャイエフスキー]]が映画の下となる小説『アルタード・ステーツ』を出版{{sfn|Michael Hutchison|1984|p=34}}。翌1979年には、リリー博士をモデルとした映画『[[アルタード・ステーツ/未知への挑戦]]』が公開され、タンクの中で[[幻覚剤|幻覚性植物]]を摂取した世界が描かれた。1980年代は[[セレブリティ|セレブ]]が所有し、センターも劇的に増加した{{sfn|Michael Hutchison|1984|p=35}}。
1977年にはリリーの著書『深淵の自己』{{sfn|John C. Lilly|1977}}(邦訳なし)が発売され、翌年にはタンクの体験と考察の『サイエンティスト』{{sfn|ジョン・C.リリー|1986}}が発売される。同1978年、[[パディ・チャイエフスキー]]が映画の下となる小説『アルタード・ステーツ』を出版{{sfn|Michael Hutchison|1984|p=34}}。翌1979年には、リリー博士をモデルとした映画『[[アルタード・ステーツ/未知への挑戦]]』が公開され、タンクの中で[[幻覚剤|幻覚性植物]]を摂取した世界が描かれた。1980年代は[[セレブリティ|セレブ]]が所有し、センターも劇的に増加した{{sfn|Michael Hutchison|1984|p=35}}。
61行目: 61行目:
こうして瞑想が何らかの技法を用いて到達しようとしている感覚を、容易に達成することができる{{sfn|マイケル・ハッチンソン|2000|pp=454-465}}。[[瞑想]]では様々な要素も変化しやすく、真に瞑想状態にあるのかを見極めるのも困難であるが、タンクでは再現可能な客観的な研究を行いやすくデータが蓄積されてきた{{sfn|マイケル・ハッチンソン|2000|pp=454-465}}。
こうして瞑想が何らかの技法を用いて到達しようとしている感覚を、容易に達成することができる{{sfn|マイケル・ハッチンソン|2000|pp=454-465}}。[[瞑想]]では様々な要素も変化しやすく、真に瞑想状態にあるのかを見極めるのも困難であるが、タンクでは再現可能な客観的な研究を行いやすくデータが蓄積されてきた{{sfn|マイケル・ハッチンソン|2000|pp=454-465}}。


==用途==
== リラクゼーション ==
通常、1時間の使用がほとんどである。最後の20分に[[アルファ波]]や[[ベータ波]]から[[シータ波]]に[[脳波]]が移行することがある。シータ波は就寝前や起床前に見られる脳波であるが、このタンクの中では意識が飛ぶことなくシータ波が数分間観測される。この状態を[[瞑想]]に利用する人もいる。瞑想的な状態では遅いアルファ波から時にはシータ波が観測され、これは自他の境界の消失、融合などの絶対的一者の体験とされ、アイソレーション・タンクの感覚遮断状態は、この体験を引き起こしやすい環境であると考えられる。
無重力で浮かぶフローティングは、他のいかなる方法でも体験できないほどの深いリラクゼーションを提供する。この深いリラックス体験は体内の[[免疫力]]や[[恒常性]]を賦活し、[[交感神経系|交感神経]]と[[副交感神経系|副交感神経]]のバランスを改善する。心と身体のアンバランスによって生じる様々な[[自律神経失調症|自律神経症状]]([[頭痛]]、[[めまい]]、[[肩こり]]、[[腰痛]]、ほてり、倦怠感、イライラ感など)を緩和する。また[[不眠症]]の改善作用がある。


== スポツへの効用 ==
=== リラクゼション ===
タンクでのフローテーションは、深いリラクゼーションをもたらし、日常のリラックス同様に助けになる。2014年に報告された[[ランダム化比較試験]]では、64人の被験者で研究され、ストレス、最も痛い痛み、不安、抑うつを減少させ、睡眠の質と楽観性が向上していることが見いだされた。通常の痛みでは、筋肉の緊張以外が原因であり、変化はなかった。{{sfn|Kjellgren|Westman|2014}}。
アイソレーション・タンクの感覚遮断状態では、通常の感覚刺激の90%が解放されているとされる。この筋肉が重力から解放された全く負荷のない状態では、身体の慢性的な疼痛は最も急速に改善される。またストレスや心配事などの混乱で低下したパフォーマンスを、瞑想的な気づきの体験によって克服したり、[[イメージ・トレーニング|イメージトレーニング]]の効果を最大限に拡張することが可能であるとされる。


=== スポーツ選手の利用 ===
アイソレーション・タンクを[[カール・ルイス]]も使用したと言われている<!--確認--><ref name="gizmode2014">{{cite news |author=Kate Knibbs |title=My Dive Into Sensory Deprivation's Naked, Wet Quest For Enlightenment |url=http://www.gizmodo.com.au/2014/09/my-dive-into-sensory-deprivations-naked-wet-quest-for-enlightenment/ |date=2014-09-20 |newspaper=Gizmode |accessdate=2015-08-08}}</ref>。彼は、参加した4種目全てで金メダルを受賞した。
スポーツ選手、特にスキーなどオフシーズンのあるスポーツにとっても、心でイメージを描く[[イメージ・トレーニング]]は近年重要視されている。タンクはイメージを描くため、また身体のリラックスのためにも用いられている。


アイソレーション・タンクでは、外的刺激に費やされている脳のエネルギーを心の中の視覚イメージに用いることで、効果的なリハーサルを可能とするとされる{{sfn|マイケル・ハッチンソン|2000|pp=454-455}}。1980年代から用いられており、近年でも、リラックス、肉体の回復、また痛みの緩和のために人気が復活している<ref>{{cite news |author=Dr. Christopher Winter |title=Sleeping Around: How to Sleep in a Sensory Deprivation Tank |url=http://www.huffingtonpost.com/dr-christopher-winter/sleeping-around-how-to-sleep-in-a-sensory-deprivation-tank_b_7293436.html |date=2015-5-23 |newspaper=huffingtonpost |accessdate=2015-08-20}}</ref>。[[アーチェリー]]の選手に関する研究がある<ref name="NorlanderBergman1999">{{cite journal|last1=Norlander|first1=Torsten|last2=Bergman|first2=Henrik|last3=Archer|first3=Trevor|title=Primary process in competitive archery performance: Effects of flotation REST|journal=Journal of Applied Sport Psychology|volume=11|issue=2|year=1999|pages=194–209|issn=1041-3200|doi=10.1080/10413209908404200}}</ref>。
== 創造性・瞑想 ==

アイソレーション・タンクを[[カール・ルイス]]も使用したと言われ<ref name="gizmode2014">{{cite news |author=Kate Knibbs |title=My Dive Into Sensory Deprivation's Naked, Wet Quest For Enlightenment |url=http://www.gizmodo.com.au/2014/09/my-dive-into-sensory-deprivations-naked-wet-quest-for-enlightenment/ |date=2014-09-20 |newspaper=Gizmode |accessdate=2015-08-08}}</ref>、参加した4種目全てで金メダルを受賞した。

また喫煙や食べ過ぎのための[[認知療法]]に、タンクによるイメージトレーニングを利用しているという報告もある{{sfn|マイケル・ハッチンソン|2000|pp=455-456}}。

=== 創造性・瞑想 ===
タンクによるフローティングは[[睡眠]]と覚醒をコントロールする技術であり、覚醒した意識の中での[[夢]]見を可能にする。前述のシータ波に近い徐波状態では、鮮やかな映像が脳内に描写され、瞑想の熟達者が体験しうる意識状態に近いといわれる。
タンクによるフローティングは[[睡眠]]と覚醒をコントロールする技術であり、覚醒した意識の中での[[夢]]見を可能にする。前述のシータ波に近い徐波状態では、鮮やかな映像が脳内に描写され、瞑想の熟達者が体験しうる意識状態に近いといわれる。


研究者のスードフェルドが、毎日瞑想を行っているという禅の師範にアイソレーションタンクでの体験を聞いたところ、瞑想によって年に1度達することができる水準であったと述べた<ref name="slate2013">{{Cite journal |author=Seth Stevenson|date=2013-05|title=Embracing the Void|url=http://www.slate.com/articles/life/anything_once/2013/05/sensory_deprivation_flotation_tanks_i_floated_naked_in_a_pitch_black_tank.single.htm|journal=Slate Magazine|}}</ref>。
== 治療としての使用 ==

[[心理療法]]では通常、1時間の使用がほとんどである。最初の40分では身体のあちこちがムズムズするが、最後の20分に[[アルファ波]]や[[ベータ波]]から[[シータ波]]に[[脳波]]が移行することがある。シータ波は就寝前や起床前に見られる脳波であるが、このタンクの中では意識が飛ぶことなくシータ波が数分間観測される。この状態を[[瞑想]]に利用する人もいる。瞑想的な状態では遅いアルファ波から時にはシータ波が観測され、これは自他の境界の消失、融合などの絶対的一者の体験とされ、アイソレーション・タンクの感覚遮断状態は、この体験を引き起こしやすい環境であると考えられる。
== 治療研究 ==
{{仮リンク|ピーター・スードフェルド|en|Peter Suedfeld}}(Peter Suedfeld)により、感覚遮断の語の替わりに、環境刺激制限技法(REST:Restricted Environmental Stimulation Technique/Therapy)と名付けられた{{sfn|van Dierendonck|Te Nijenhuis|2005}}。そしてタンクを用いたものはフローテーション・REST(Flotation REST)と呼ばれている{{sfn|van Dierendonck|Te Nijenhuis|2005}}。

スードフェルドによれば、自律神経系が関与するような、不眠、ストレス症状、筋骨格系の機能不全、慢性頭痛などといった問題に有望であったとしている<ref>{{Cite journal |author=Phyllis Fong|date=2013-11-08|title=The Modern-Day Float Tank|url=http://www.mensjournal.com/health-fitness/health/the-modern-day-float-tank-20131108|journal=Mens Journal}}</ref>。彼はその研究成果をまとめ1980年に著作{{sfn|Peter Suedfeld|1980}}を出版する<ref name="刺激のない世界1章"/>。1990年にも、同じくスードフェルドによって出版されている{{sfn|Suedfeld, P, Turner, J.W.Jr., Fine, T.H. (Eds)|1990}}。1993年にはRESTの国際会議からまとめられた書籍が出版されている{{sfn|Arreed F. Barabasz, Marianne Barabasz|1993|loc=&sect;Introduction}}。


=== ストレスの軽減 ===
=== ストレスの軽減 ===
多くの研究が、フローティングには大きなストレス軽減効果があると示している。オハイオ医科大学、[[ローレンス大学]]、ウィスコンシン州[[アップルトン (ウィスコンシン州)|アップルトン]]、セント・エリザベス病院、そして[[ブリティッシュコロンビア大学]]で行われた一連の研究では、定期的にフローティングすると、[[心拍数]]、[[酸素]]消費量、[[ストレス (生体)|ストレス]]に関連した血液中の生化学物質([[コルチゾール|コルチゾル]]、[[副腎皮質刺激ホルモン]]、[[乳酸塩]]、[[アドレナリン]])レベルの低下がみられた。
多くの研究が、フローティングには大きなストレス軽減効果があると示している。オハイオ医科大学、[[ローレンス大学]]、ウィスコンシン州[[アップルトン (ウィスコンシン州)|アップルトン]]、セント・エリザベス病院、そして[[ブリティッシュコロンビア大学]]で行われた一連の研究では、定期的にフローティングすると、[[心拍数]]、[[酸素]]消費量、[[ストレス (生体)|ストレス]]に関連した血液中の生化学物質([[コルチゾール]]、[[副腎皮質刺激ホルモン]]、[[乳酸塩]]、[[アドレナリン]])レベルの低下がみられた{{sfn|マイケル・ハッチンソン|2000|pp=442-443}}。コルチゾール、副腎皮質刺激ホルモンが変化したという研究がある<ref name="pmid6309253">{{cite journal|last1=Turner|first1=John W.|last2=Fine|first2=Thomas H.|title=Effects of relaxation associated with brief restricted environmental stimulation therapy (REST) on plasma cortisol, ACTH, and LH|journal=Biofeedback and Self-Regulation|volume=8|issue=1|pages=115–126|year=1983|pmid=6309253|doi=10.1007/BF01000542}}</ref>


2005年の[[メタアナリシス]]では、低い[[コルチゾール]]濃度や[[アドレナリン]]、[[血圧]]が下がるといった生理学的に、また幸福感に対して肯定的な影響があることが結論され、有益なストレス管理法になることが示唆された{{sfn|van Dierendonck|Te Nijenhuis|2005}}。
研究では、それら生化学物質はセッションのあと数日間、場合によっては何週間も、低レベルに抑えられていることが示された。フローティングには明らかな血管拡張作用があるため、[[高血圧]]が緩和されるだけでなく、酸素や、そ他の栄養素を脳全体に運ぶ血流が向上し、この脳に入る血流量の増加が、心的機能を増大させ、新たな脳組織の形成、[[神経細胞|ニューロン]]の育成、[[樹状突起]]の伸長・接合量の増加、新皮質の厚さ・重量の増加を助けていると推測されている<ref name="pmid6309253">{{cite journal|last1=Turner|first1=John W.|last2=Fine|first2=Thomas H.|title=Effects of relaxation associated with brief restricted environmental stimulation therapy (REST) on plasma cortisol, ACTH, and LH|journal=Biofeedback and Self-Regulation|volume=8|issue=1|pages=115–126|year=1983|pmid=6309253|doi=10.1007/BF01000542}}</ref>

研究では、それら生化学物質はセッションのあと数日間、場合によっては何週間も、低レベルに抑えられていることが示された。血管拡張作用があるため、[[高血圧]]が緩和されるだけでなく、脳への血流も増加し、このことが、心的機能を増大させ、新たな脳組織の形成、[[神経細胞|ニューロン]]の育成、[[樹状突起]]の伸長・接合量の増加、新皮質の厚さ・重量の増加を助けている推測されている{{sfn|マイケル・ハッチンソン|2000|pp=442-443}}


=== ストレスの軽減 /フローティング効果の持続 ===
=== ストレスの軽減 /フローティング効果の持続 ===
我々は一定レベルのストレスに耐えられるようになっている。その抵抗力の差は脳の[[視床下部]]プログラムに依存していると考えられている。視床下部は外からのストレスに対して、体がその均衡を維持するのを助けるように働く、ホメオスタティック・メカニズムの中枢があると考えられている。
我々は一定レベルのストレスに耐えられるようになっている。その抵抗力の差は脳の[[視床下部]]プログラムに依存していると考えられている。視床下部は外からのストレスに対して、体がその均衡を維持するのを助けるように働く、ホメオスタティック・メカニズムの中枢があると考えられている。{{sfn|マイケル・ハッチンソン|2000|pp=444-445}}


オハイオ医科大学の神経内分泌学者ジョン・ターナーおよび心理学者トム・ファインの研究によると、フローティングの効果は、ストレス性のコルチゾル等の生化学物質レベルを大きく下げるだけでなく、体験者が最後のフローティング後、何日もストレス性化学物質の低下が続く効果がある。これについて上記ターナーとファインは、フローティングには、内分泌に関わるホメオスタティック・プログラムのセットポイントを変える力があり、視床下部からの影響が、結果的に副腎のストレス反応の低下を経験することになり、リラクゼーションの高まりに繋がる、と結論づけた。フローティングによる効果は、単なる一時的なものではなく、[[代謝]]、[[恒常性|ホメオスタシス]]のセットポイントを変化させ、逃走逃避反応を本質的に弱め、ストレスに対する抵抗力を増す方法となる。
オハイオ医科大学の神経内分泌学者ジョン・ターナーおよび心理学者トム・ファインの研究によると、フローティングの効果は、ストレス性のコルチゾル等の生化学物質レベルを大きく下げるだけでなく、体験者が最後のフローティング後、何日もストレス性化学物質の低下が続く効果がある。これについて上記ターナーとファインは、フローティングには、内分泌に関わるホメオスタティック・プログラムのセットポイントを変える力があり、視床下部からの影響が、結果的に副腎のストレス反応の低下を経験することになり、リラクゼーションの高まりに繋がる、と結論づけた。フローティングによる効果は、単なる一時的なものではなく、[[代謝]]、[[恒常性|ホメオスタシス]]のセットポイントを変化させ、逃走逃避反応を本質的に弱め、ストレスに対する抵抗力を増す方法となる。{{sfn|マイケル・ハッチンソン|2000|pp=444-445}}


=== 線維筋痛症 ===
=== 線維筋痛症 ===
アイソレーション・タンクの全身の筋肉の弛緩作用と、精神の緊張緩和によるリラクゼーション作用が[[線維筋痛症]]の[[疼痛]]緩和作用があると言われている。
アイソレーション・タンクの全身の筋肉の弛緩作用と、精神の緊張緩和によるリラクゼーション作用が[[線維筋痛症]]の[[疼痛]]緩和作用があると言われている。

=== ストレス性、燃え尽き症候群によるうつ病による筋痛症に対する効果 ===
32名のストレス関連性の筋痛症、そのうち16名は[[燃え尽き症候群]]によるうつ病と診断された。アイソレーション・タンクによる6週間〜12週間のプログラムで、参加者は[[血圧]]の低下、痛み、不安、鬱病、ストレスと陰性感情を低下させて、ならびに、[[楽天主義|楽観主義]]、エネルギーと陽性感情を増加させた。フローティングはストレス関連の痛みを伴う治療に際して、有効な非侵襲性治療であることが結論された<ref name="pmid16341307">{{cite journal||title=Effects of flotation-restricted environmental stimulation technique on stress-related muscle pain: what makes the difference in therapy--attention-placebo or the relaxation response?|journal=Pain Research & Management : the Journal of the Canadian Pain Society|issue=4|pages=201–9|year=2005|pmid=16341307}}</ref>。


=== 慢性筋緊張性頭痛 ===
=== 慢性筋緊張性頭痛 ===
98行目: 107行目:
# リラクゼーション、筋弛緩運動
# リラクゼーション、筋弛緩運動
# アイソレーション・タンクに筋弛緩運動を加えた群
# アイソレーション・タンクに筋弛緩運動を加えた群
全体が優位に頭痛が改善した。6か月のフォローアップで4の群57%が継続改善した。2の群と3の群は25%が平均25%の継続改善であった。対照群1は治療の終了から34%悪化した<ref name="pmid1778683">{{cite journal||title=Progressive muscle relaxation and restricted environmental stimulation therapy for chronic tension headache: a pilot study|journal=International Journal of Psychosomatics : Official Publication of the International Psychosomatics Institute|issue=1-4|pages=33–9|year=1991|pmid=1778683|url=http://www.floating-verband.de/pdf/Wallbaum-1991-muscle-relaxation.pdf|format=pdf}}</ref>。
全体が優位に頭痛が改善した。6か月のフォローアップで4の群57%が継続改善した。2の群と3の群は25%が平均25%の継続改善であった。対照群1は治療の終了から34%悪化した<ref name="pmid1778683">{{cite journal|authors=Wallbaum AB, Rzewnicki R, Steele H, Suedfeld P |title=Progressive muscle relaxation and restricted environmental stimulation therapy for chronic tension headache: a pilot study|journal=International Journal of Psychosomatics : Official Publication of the International Psychosomatics Institute|issue=1-4|pages=33–9|year=1991|pmid=1778683|url=http://www.floating-verband.de/pdf/Wallbaum-1991-muscle-relaxation.pdf|format=pdf}}</ref>。

=== ストレス性、燃え尽き症候群によるうつ病による筋痛症に対する効果 ===
32名のストレス関連性の筋痛症、そのうち16名は[[燃え尽き症候群]]によるうつ病と診断された。アイソレーション・タンクによる6週間〜12週間のプログラムで、参加者は[[血圧]]の低下、痛み、不安、抑うつ、ストレスと否定的な感情を低下させて、ならびに、楽観、エネルギーと肯定的な感情を増加させた。フローティングはストレス関連の痛みを伴う治療に際して、有効な非侵襲性治療であることが結論された<ref name="pmid16341307">{{cite journal|authors=Bood SA, Sundequist U, Kjellgren A, Nordstrom G, Norlander T |title=Effects of flotation-restricted environmental stimulation technique on stress-related muscle pain: what makes the difference in therapy - attention-placebo or the relaxation response?|journal=Pain Research & Management : the Journal of the Canadian Pain Society|issue=4|pages=201–9|year=2005|pmid=16341307}}</ref>。


=== うつ病 ===
=== うつ病 ===
121行目: 133行目:
*{{cite book |author=Michael Hutchison |title=The Book of Floating: Exploring the Private Sea |series=Consciousness Classics |date=1984 |publisher=Gateways Books & Tapes |isbn=0-688-04826-9|ref=harv}}
*{{cite book |author=Michael Hutchison |title=The Book of Floating: Exploring the Private Sea |series=Consciousness Classics |date=1984 |publisher=Gateways Books & Tapes |isbn=0-688-04826-9|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=マイケル・ハッチンソン|coauthors=(監訳)佐田弘幸、佐田いくよ、(訳)福留園子|chaptor=第16章 大きな未知の湖を漂って|title=メガ・ブレイン - 脳の科学的鍛え方|publisher=総合法令出版|date=2000|isbn=978-4893466815|pages=437-472|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=マイケル・ハッチンソン|coauthors=(監訳)佐田弘幸、佐田いくよ、(訳)福留園子|chaptor=第16章 大きな未知の湖を漂って|title=メガ・ブレイン - 脳の科学的鍛え方|publisher=総合法令出版|date=2000|isbn=978-4893466815|pages=437-472|ref=harv}}

*{{cite journal|last1=van Dierendonck|first1=Dirk|last2=Te Nijenhuis|first2=Jan|title=Flotation restricted environmental stimulation therapy (REST) as a stress-management tool: A meta-analysis|journal=Psychology & Health|volume=20|issue=3|year=2005|pages=405–412|doi=10.1080/08870440412331337093|ref=harv}}
;医学書
* {{cite journal|last1=Kjellgren|first1=Anette|last2=Westman|first2=Jessica|title=Beneficial effects of treatment with sensory isolation in flotation-tank as a preventive health-care intervention – a randomized controlled pilot trial|journal=BMC Complementary and Alternative Medicine|volume=14|issue=1|pages=417|year=2014|pmid=25344737|pmc=4219027|doi=10.1186/1472-6882-14-417|url=http://www.biomedcentral.com/content/pdf/1472-6882-14-417.pdf|format=pdf}}
*{{Cite book|author=Peter Suedfeld|title=Restricted environmental stimulation : research and clinical applications|series=personality processes|publisher=Wiley|date=1980|isbn=0471835366|location=New York|ref=harv}}
*{{Cite book|author=Suedfeld, P, Turner, J.W.Jr., Fine, T.H. (Eds)|title=Restricted Environmental Stimulation: Theoretical and Empirical Developments in Flotation REST|publisher=Springer|date=1990|isbn=0-387-97348-6|ref=harv}} [https://books.google.co.jp/books?id=RjOgBQAAQBAJ 一部公開]
*{{Cite book|author=Arreed F. Barabasz, Marianne Barabasz|title=Clinical and Experimental Restricted Environmental Stimulation: New Developments and Perspectives|publisher=Springer-Verlag|date=1993|isbn=978-1-4684-8585-1|doi=10.1007/978-1-4684-8583-7|ref=harv}}

;論文
*{{cite journal|last1=van Dierendonck|first1=Dirk|last2=Te Nijenhuis|first2=Jan|title=Flotation restricted environmental stimulation therapy (REST) as a stress-management tool: A meta-analysis|url=http://www.researchgate.net/publication/263598654_Flotation_restricted_environmental_stimulation_therapy_(REST)_as_a_stress-management_tool_A_meta-analysis|journal=Psychology & Health|volume=20|issue=3|year=2005|pages=405–412|doi=10.1080/08870440412331337093|ref=harv}}
* {{cite journal|last1=Kjellgren|first1=Anette|last2=Westman|first2=Jessica|title=Beneficial effects of treatment with sensory isolation in flotation-tank as a preventive health-care intervention – a randomized controlled pilot trial|journal=BMC Complementary and Alternative Medicine|volume=14|issue=1|pages=417|year=2014|pmid=25344737|pmc=4219027|doi=10.1186/1472-6882-14-417|url=http://www.biomedcentral.com/1472-6882/14/417|ref=harv}}


;ジョン・C・リリーによる著書<!--年代順とした、サイエンティスト、イルカと話す日の2点は不明-->
;ジョン・C・リリーによる著書<!--年代順とした、サイエンティスト、イルカと話す日の2点は不明-->

2015年9月12日 (土) 22:22時点における版

ポッド(Pod)と呼ばれる新型のタンクで、車のドアのように開閉し、光や音楽を流すことも出来る[1]

アイソレーション・タンクIsolation tank)は、感覚を遮断するための装置であり、光や音が遮られた空間で、皮膚の温度に保たれた高濃度のエプソムソルトの塩水に浮かぶことで、皮膚感覚や重力の感覚を大きく制限することができる[2]。リラックスを目的として、また心理療法代替医療として使われている[1]。1990年代以降はヨーロッパを中心にフローティング・タンクfloating tank)と呼ばれることが多い。遮断タンク瞑想タンクサマディ・タンクとも呼ばれる。

アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)にて研究していたジョン・C・リリー(John C.Lilly)が、1954年に感覚遮断の研究のためにタンクを考案した[3]。1950年代には感覚遮断の研究から注目され、体験は次第に神秘体験と比較されるようになった[4]。1980年代には、リリー博士をモデルとした映画『アルタード・ステーツ』を機に一般にも流行した[5]。また、スポーツ選手のイメージトレーニングや単に学習のためにも用いられている[2]。近年再び注目が集まり、タンクを所有する施設が増加している[1]。研究はタンクの体験によって、ストレスや不安を軽減し、線維筋痛症の痛みや睡眠を改善することを示しているが、その研究規模が小さいとも指摘されている[1]

呼称

感覚遮断(Sensory Deprivation)を行うために開発されたタンクであり、またアイソレーション(Isolation)の語は遮断、隔離を意味する[3]。感覚遮断タンク、遮断タンク、隔離タンクとも呼ばれる。

アイソレーション・タンク、フローティング・タンク、サマディ・タンク[3]、瞑想タンク[5]とも呼ばれる。サマディ・タンク(Samadhi Tank)は、1972年にリリー博士の指導によって設立された会社名でもある[6]

海外でも、フローテーションタンク(Floatation Tank)[7]、フローティングバス(Floating Bath)、無重力タンク(Zero Gravity Tank)など様々に呼ばれる。

歴史

1950年代には様々な感覚遮断の研究が行われた。その研究では防音の部屋で半透明のゴーグルをかけるといった方法がとられていたが、アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)の研究者であったジョン・C・リリー(John C.Lilly、1915 - 2001年)が、より完全な感覚遮断を実現するためにタンクを開発した[4]。リリーは、カリフォルニア工科大学にて生物学と物理学、ペンシルベニア大学にて医学を学び、大脳を電極で刺激する研究を行っていた[3]

当時神経生理学の一般的な学説では、が覚醒しているのは外的な刺激があるためであると考えられていた[3]。もし脳への刺激が無くなったら脳は寝てしまうと主張された。リリーはこれに対して、外的な刺激がなくても覚醒し続けるという仮説を持って、それを実証しようとタンクを開発し、研究に応用した[3]

タンクの研究から10年ほど経ち、リリーは政府機関の研究者として合法的に、LSDまたケタミンという幻覚剤を、タンク内で使用する研究を試みるようになる[8]。リリーが「ガイド」と呼ぶ高次の生命体に、宇宙の進化を見せられるなど研究は一変した[8]。またその後には、大きな脳を持ち水に浮いている生物としてのイルカとのコミュニケーションを試みる研究へと移った[8][9]

1967年ごろには、NIMHへの最終報告書である「ヒューマン・バイオコンピューターにおけるプログラミングとメタプログラミング」が執筆され、後に一般にも販売されている[10]。またこの頃の研究はリリーの著書『意識の中心』[11]にも描かれている[8]

それまでタンクの情報は一般に広く知られるものではなかった[12]。リリーの開いたタンク体験のワークショップに参加したグレン・ペリーは、1972年に数個の木製の初期のタンクを開発し[13]、翌年それが売れることになる[12]。リリーが最初に作ったタンクは、呼吸管のあるマスクつけて水中にあおむけになり、顔を沈めて浮かぶというものであった[14]。ペリーはタンクに改良を施し、海水の代わりに大量のエプソムソルト(硫酸マグネシウム)を使い、わずか30センチの水の深さがあれば裸で浮かぶことができるという画期的なものであった[15]。このタイプのタンクを、リリーも自宅に3基設置した[14]。リリーはその事業にサマディの名前を提案し、そのサマディ・タンク社は、1979年にビバリーヒルズに5つのタンクのセンターを構え、世界ではじめてタンクの事業を始めることとなっていった[13]。サマディ・タンク社のよく知られたタンクは箱型のプラスチックでできた型である[1]。サマディ・タンク社は、農村部の生活を楽しむためにカリフォルニア州グラスバレーに移った[13]

1970年代後半にブリティッシュコロンビア大学ピーター・スードフェルド英語版(Peter Suedfeld)とロデリック・ボーリー(Roderick Borrie)は、アイソレーション・タンクの治療的な応用についての研究を始めた。そして否定的な意味合いのある感覚遮断の語の替わりに、この技術に環境刺激制限技法(REST:Restricted Environmental Stimulation Technique/Therapy)と名付けた [16]。また、ピーターは、IRIS (国際REST調査協会、International REST Investigators Society)の初代会長を務める[17]

1977年にはリリーの著書『深淵の自己』[18](邦訳なし)が発売され、翌年にはタンクの体験と考察の『サイエンティスト』[19]が発売される。同1978年、パディ・チャイエフスキーが映画の下となる小説『アルタード・ステーツ』を出版[20]。翌1979年には、リリー博士をモデルとした映画『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』が公開され、タンクの中で幻覚性植物を摂取した世界が描かれた。1980年代はセレブが所有し、センターも劇的に増加した[21]

ジョン・レノンの未亡人オノ・ヨーコや、俳優のロビン・ウィリアムズ、また個人ではなくダラス・カウボーイズフィラデルフィア・イーグルスといった有名なフットボールチームが所有していることが伝えられた[12]。ノーベル物理学者のリチャード・ファインマンの1985年の著書『ご冗談でしょう、ファインマンさん』でも、リリーとの親交とタンクでの幻覚体験が取り上げられている[22][23]。しかし、流行を始めたエイズの(パニック的な)懸念から、プールなど水の共用が恐れられアメリカでは多くのセンターが閉鎖した[24]

1990年代に入り、ヨーロッパを中心にフローティング・タンクと名称を変え隆盛を再び迎えるようになった。

晩年のリリー博士は、マウイ島で暮らしてそこにタンクを設置していた[6]。リリーは2001年に死去する。

2010年代には、ヨーロッパでのほうが普及しているが、アメリカでも人気が復活している[24]。アメリカでは2011年には85のセンターがあったが、2015年には267センターへと再び流行の兆しを見せている[1]。オレゴン州ポートランドでは、毎年、フロート・カンファレンス[25]が開かれるようになり、研究者が講演を行っている[26]。ヨーロッパでは100を超えるフロートセンターがあり、特にスウェーデンでは国策として120カ所のフロートセンターが設置されている。

日本

1981年4月、タンクがはじめて日本に輸入された時、立花隆は『週刊文春』のグラビアページにて体験を取材する企画を経て、ニュースキャスターの田丸美寿々との体験談が掲載されたということである[27]。そのように、ジャーナリストの立花隆は1994年のその著書、『臨死体験』にて触れている[27]

日本では80年代後半、トランスパーソナル心理学を日本に紹介していた、C+Fコミュニケーションズの関連施設として、日本で初めてのアイソレーション・タンク施設が東京の原宿にオープンする。

四谷のスダック・スポーツクラブに設置されたこともあった[28]。吉祥寺の[27]トータル・リコール研究所にタンクが設置されていたが[3]、それは1991年から火災により焼失する1995年までである。立花隆[29]吉本ばなな[5]、大衆誌でも体験を掲載してとりあげている。

2002年東京の白金に会員制のサロンがオープンし大衆紙で取り上げられるが[6]、2011年閉鎖に到る。このサロンの代表は、1992年にリリー博士との親交を深め[30]、マウイ島のリリーの自宅でタンクを初体験するなど[6]、リリー直伝とされていた[30]

2007年には、前野隆司がその著書『錯覚する脳』において、白金のサロンでの自分と研究室の学生3人の体験記を載せている[31]。『ご冗談でしょう、ファインマンさん』[22]や『臨死体験』[27]を読み興味を持ったことを記している[31]

一般に利用できるアイソレーション・タンクはその他に神戸や八王子にも一時存在した。現在一般に利用できるアイソレーション・タンクは東京の自由が丘・池袋・白金、神奈川、岡山、沖縄、愛媛に存在する。個人所有のアイソレーション・タンクも存在する。

タンクのデザイン

アイソレーション・タンクは、密閉できる容器である。タンクには約25cmの深さで浅く温水がはられ、この温水は高純度のエプソムソルト(硫酸マグネシウム)が溶かされている。その濃さは死海、あるいはグレートソルトレイクを遥かに上回り、ヒトが横たわれば浮かんでしまう。[32]

視覚的には、タンクの扉を閉めると完全な闇になり、目を開けているさえも分からない状態となる。聴覚的にも、タンクは防音であり、耳栓もすれば音は全く聞こえなくなる。皮膚感覚においても、タンクの水温は肌の表面温度に保たれているため、温かくも冷たくもなく肌と水の境目も分からなくなる。[2]

さらには深部感覚もであり、体が浮くことで重力による圧力を感じなくなる[33]。ジョン・C・リリーはこう述べている[34]

「一日中顔を突き合わせている重力から解放されます。神経活動の約90%は、どこに重力があるのか、どちらの方向に働いているのか見きわめること、そして、どう動けば倒れずにすむのかを考えることで占められています。タンクで浮き始めると、それまでずっとしてきた、あらゆる重力計算から即座に解放されるため、今まで分散されてきた意識の集中(無意識も含む)が解放され、それらのすべてが一つのことに向かい集中されることに気づくはずです。(中略)それはまるで、月と地球のどこか中間に浮かんでいて、自分にかかる引力が何もないような状態です。もちろん、動けば、すぐに自分がどこにいるのかはわかります。けれども、動かなければ、周りの世界はすべて消え、事実上、自分の体をまったく感じなくなるのです」

こうして瞑想が何らかの技法を用いて到達しようとしている感覚を、容易に達成することができる[2]瞑想では様々な要素も変化しやすく、真に瞑想状態にあるのかを見極めるのも困難であるが、タンクでは再現可能な客観的な研究を行いやすくデータが蓄積されてきた[2]

用途

通常、1時間の使用がほとんどである。最後の20分にアルファ波ベータ波からシータ波脳波が移行することがある。シータ波は就寝前や起床前に見られる脳波であるが、このタンクの中では意識が飛ぶことなくシータ波が数分間観測される。この状態を瞑想に利用する人もいる。瞑想的な状態では遅いアルファ波から時にはシータ波が観測され、これは自他の境界の消失、融合などの絶対的一者の体験とされ、アイソレーション・タンクの感覚遮断状態は、この体験を引き起こしやすい環境であると考えられる。

リラクゼーション

タンクでのフローテーションは、深いリラクゼーションをもたらし、日常のリラックス同様に助けになる。2014年に報告されたランダム化比較試験では、64人の被験者で研究され、ストレス、最も痛い痛み、不安、抑うつを減少させ、睡眠の質と楽観性が向上していることが見いだされた。通常の痛みでは、筋肉の緊張以外が原因であり、変化はなかった。[35]

スポーツ選手の利用

スポーツ選手、特にスキーなどオフシーズンのあるスポーツにとっても、心でイメージを描くイメージ・トレーニングは近年重要視されている。タンクはイメージを描くため、また身体のリラックスのためにも用いられている。

アイソレーション・タンクでは、外的刺激に費やされている脳のエネルギーを心の中の視覚イメージに用いることで、効果的なリハーサルを可能とするとされる[36]。1980年代から用いられており、近年でも、リラックス、肉体の回復、また痛みの緩和のために人気が復活している[37]アーチェリーの選手に関する研究がある[38]

アイソレーション・タンクをカール・ルイスも使用したと言われ[39]、参加した4種目全てで金メダルを受賞した。

また喫煙や食べ過ぎのための認知療法に、タンクによるイメージトレーニングを利用しているという報告もある[40]

創造性・瞑想

タンクによるフローティングは睡眠と覚醒をコントロールする技術であり、覚醒した意識の中での見を可能にする。前述のシータ波に近い徐波状態では、鮮やかな映像が脳内に描写され、瞑想の熟達者が体験しうる意識状態に近いといわれる。

研究者のスードフェルドが、毎日瞑想を行っているという禅の師範にアイソレーションタンクでの体験を聞いたところ、瞑想によって年に1度達することができる水準であったと述べた[41]

治療研究

ピーター・スードフェルド英語版(Peter Suedfeld)により、感覚遮断の語の替わりに、環境刺激制限技法(REST:Restricted Environmental Stimulation Technique/Therapy)と名付けられた[42]。そしてタンクを用いたものはフローテーション・REST(Flotation REST)と呼ばれている[42]

スードフェルドによれば、自律神経系が関与するような、不眠、ストレス症状、筋骨格系の機能不全、慢性頭痛などといった問題に有望であったとしている[43]。彼はその研究成果をまとめ1980年に著作[44]を出版する[16]。1990年にも、同じくスードフェルドによって出版されている[45]。1993年にはRESTの国際会議からまとめられた書籍が出版されている[46]

ストレスの軽減

多くの研究が、フローティングには大きなストレス軽減効果があると示している。オハイオ医科大学、ローレンス大学、ウィスコンシン州アップルトン、セント・エリザベス病院、そしてブリティッシュコロンビア大学で行われた一連の研究では、定期的にフローティングすると、心拍数酸素消費量、ストレスに関連した血液中の生化学物質(コルチゾール副腎皮質刺激ホルモン乳酸塩アドレナリン)レベルの低下がみられた[47]。コルチゾール、副腎皮質刺激ホルモンが変化したという研究がある[48]

2005年のメタアナリシスでは、低いコルチゾール濃度やアドレナリン血圧が下がるといった生理学的に、また幸福感に対して肯定的な影響があることが結論され、有益なストレス管理法になることが示唆された[42]

研究では、それら生化学物質はセッションのあと数日間、場合によっては何週間も、低レベルに抑えられていることが示された。血管拡張作用があるため、高血圧が緩和されるだけでなく、脳への血流も増加し、このことが、心的機能を増大させ、新たな脳組織の形成、ニューロンの育成、樹状突起の伸長・接合量の増加、新皮質の厚さ・重量の増加を助けていることが推測されている。[47]

ストレスの軽減 /フローティング効果の持続

我々は一定レベルのストレスに耐えられるようになっている。その抵抗力の差は脳の視床下部プログラムに依存していると考えられている。視床下部は外からのストレスに対して、体がその均衡を維持するのを助けるように働く、ホメオスタティック・メカニズムの中枢があると考えられている。[49]

オハイオ医科大学の神経内分泌学者ジョン・ターナーおよび心理学者トム・ファインの研究によると、フローティングの効果は、ストレス性のコルチゾル等の生化学物質レベルを大きく下げるだけでなく、体験者が最後のフローティング後、何日もストレス性化学物質の低下が続く効果がある。これについて上記ターナーとファインは、フローティングには、内分泌に関わるホメオスタティック・プログラムのセットポイントを変える力があり、視床下部からの影響が、結果的に副腎のストレス反応の低下を経験することになり、リラクゼーションの高まりに繋がる、と結論づけた。フローティングによる効果は、単なる一時的なものではなく、代謝ホメオスタシスのセットポイントを変化させ、逃走逃避反応を本質的に弱め、ストレスに対する抵抗力を増す方法となる。[49]

線維筋痛症

アイソレーション・タンクの全身の筋肉の弛緩作用と、精神の緊張緩和によるリラクゼーション作用が線維筋痛症疼痛緩和作用があると言われている。

慢性筋緊張性頭痛

31症例が4つの処置のうち1つに参加した。それぞれ4週間、1時間半〜2時間のセッションを行った。

  1. 対照群/暗い部屋のベッドで積極的に3種類の治療処置群
  2. アイソレーション・タンクで浮いている群
  3. リラクゼーション、筋弛緩運動
  4. アイソレーション・タンクに筋弛緩運動を加えた群

全体が優位に頭痛が改善した。6か月のフォローアップで4の群57%が継続改善した。2の群と3の群は25%が平均25%の継続改善であった。対照群1は治療の終了から34%悪化した[50]

ストレス性、燃え尽き症候群によるうつ病による筋痛症に対する効果

32名のストレス関連性の筋痛症、そのうち16名は燃え尽き症候群によるうつ病と診断された。アイソレーション・タンクによる6週間〜12週間のプログラムで、参加者は血圧の低下、痛み、不安、抑うつ、ストレスと否定的な感情を低下させて、ならびに、楽観性、エネルギーと肯定的な感情を増加させた。フローティングはストレス関連の痛みを伴う治療に際して、有効な非侵襲性治療であることが結論された[51]

うつ病

日本における文献はないが、1960年代からの研究により、慢性的な精神的なストレスと肉体的ストレスの間には高い関連があり、慢性的な高いストレスはうつ病の原因となることが知られている。アイソレーション・タンクの精神的、肉体的なリラクゼーション作用はストレス緩和に有効であり、感情のバランスを整え、うつ病を予防する作用があると考えられる。

登場作品

映画
  • アルタード・ステーツ/未知への挑戦』(英: Altered states) - アメリカのSF映画(1979年)。
  • 『ナイトメアは欲情する』(英: Vanishing Waves) - リトアニアのサスペンス/ミステリーSF映画(2012年)。
小説
その他
  • ウルトラQ dark fantasy - 第14話劇中にてリリーが発生した原因として、アイソレーション・タンクが登場した。
  • FRINGE (テレビドラマ) - 第1話および第2話で、主人公が死亡した恋人の意識に潜入するために使用する。
  • serial experiments lain - 第9話にて、アイソレーション・タンクの感覚遮断実験によりジョン・C・リリー博士が宇宙的存在者(地球暗号統制局)に遭遇した旨が解説されている。

脚注

  1. ^ a b c d e f Laura Johannes (2015年5月22日). “Can Floating in a Tank of Water Help Your Mind and Body?”. Wall Street Journal. http://www.wsj.com/articles/can-floating-in-a-tank-of-water-help-your-mind-and-body-1432323095 2015年8月20日閲覧。 
  2. ^ a b c d e マイケル・ハッチンソン 2000, pp. 454–465.
  3. ^ a b c d e f g 高橋実「アイソレーション・タンクと意識の深化」『Imago』第4巻第7号、1993年7月、162-171頁。 
  4. ^ a b 小田晋「感覚遮断と心的世界」『現代思想』第4巻第8号、1976年8月、196-205頁。 
  5. ^ a b c 吉本ばなな、構成・川上美栄子「瞑想タンクで泳いでみた」『CREA』第6巻第3号、1994年3月、68-71頁。 
  6. ^ a b c d 取材・石飛伽能「環境力調査隊No85 アイソレーションタンク」『ターザン』第22巻第20号、2007年11月14日、126-7頁。 
  7. ^ マイケル・ハッチンソン 2000, p. 437.
  8. ^ a b c d インタヴュー:上野俊哉+椹木野衣「アイソレーション・タンクから大いなる海へ―ジョン・C・リリーに聞く」『InterCommunication』第4号、1993年、16-18頁。 
  9. ^ ジョン・C.リリー 1994.
  10. ^ John C. Lilly & Programming and Metaprogramming in the human Biocomputer 1968, pp. 7–8.
  11. ^ ジョン・C.リリー 1991.
  12. ^ a b c “Relaxation Tanks: A Market Develops”. New York Times. (1981年11月21日). http://www.nytimes.com/1981/11/21/business/relaxation-tanks-a-market-develops.html 2015年8月20日閲覧。 
  13. ^ a b c Keri Brenner (2015年6月24日). “Float tank founders in Nevada County enjoy 'overnight' success after 40 years”. The Union. http://www.theunion.com/news/16931376-113/float-tank-founders-in-nevada-county-enjoy-overnight 2015年8月20日閲覧。 
  14. ^ a b ジョン・C.リリー、フランシス・ジェフリー 2003, p. 156.
  15. ^ ジョン・C.リリー、フランシス・ジェフリー 2003, p. 356.
  16. ^ a b (編集)北村晴朗、大久保幸郎「1章 環境刺激制限の心理学―研究小史」『刺激のない世界-人間の意識と行動はどう変わるか』新曜社、1986年、1-23, 285-287頁。 
  17. ^ Suedfeld, P, Turner, J.W.Jr., Fine, T.H. (Eds) 1990, §Introduction.
  18. ^ John C. Lilly 1977.
  19. ^ ジョン・C.リリー 1986.
  20. ^ Michael Hutchison 1984, p. 34.
  21. ^ Michael Hutchison 1984, p. 35.
  22. ^ a b リチャード・P.ファインマン、大貫昌子訳『ご冗談でしょう、ファインマンさん-ノーベル賞物理学者の自伝』岩波書店、1986年。ISBN 4-00-005363-9 ISBN 4-00-005364-7。2000年に岩波現代文庫版が刊行。Surely you’re joking,Mr.Feynman!, 1985。
  23. ^ ジョン・C.リリー、フランシス・ジェフリー 2003.
  24. ^ a b Amir Efrati (2013年2月27日). “Float Centers Gaining Steam”. Wall Street Journal. http://www.wsj.com/articles/SB10001424127887324338604578326143828290394 2015年8月20日閲覧。 
  25. ^ Float Conference (英語)
  26. ^ Seth Stevenson (2013-05). “Embracing the Void”. Slate Magazine. http://www.slate.com/articles/life/anything_once/2013/05/sensory_deprivation_flotation_tanks_i_floated_naked_in_a_pitch_black_tank.single.htm. 
  27. ^ a b c d 立花隆『臨死体験-下』文芸春秋、1994年、305頁。ISBN ISBN 4-16-349270-4{{ISBN2}}のパラメータエラー: 無効なISBNです。 2000年、文春文庫からも刊行。
  28. ^ 「寝るだけ簡単リラックス・マシン 疲れがとれてトリップもできる」『VIEWS』第1巻第1号、1991年11月1日、107頁。 
  29. ^ 立花隆「臨死体験-23-感覚遮断の世界」『文芸春秋』第71巻第9号、1993年9月、262-278頁、NAID 40003423468 
  30. ^ a b Harumi Yasuda「癒しから悟りへ……。未知なる自分への扉を開くタンク。」『GQ JAPAN』第4巻第9号、2006年9月、77頁。 
  31. ^ a b 前野隆司『錯覚する脳』筑摩書房、2007年。ISBN 978-4480842756 
  32. ^ マイケル・ハッチンソン 2000, pp. 438–439.
  33. ^ マイケル・ハッチンソン 2000, p. 440.
  34. ^ マイケル・ハッチンソン 2000, p. 440より引用.
  35. ^ Kjellgren & Westman 2014.
  36. ^ マイケル・ハッチンソン 2000, pp. 454–455.
  37. ^ Dr. Christopher Winter (2015年5月23日). “Sleeping Around: How to Sleep in a Sensory Deprivation Tank”. huffingtonpost. http://www.huffingtonpost.com/dr-christopher-winter/sleeping-around-how-to-sleep-in-a-sensory-deprivation-tank_b_7293436.html 2015年8月20日閲覧。 
  38. ^ Norlander, Torsten; Bergman, Henrik; Archer, Trevor (1999). “Primary process in competitive archery performance: Effects of flotation REST”. Journal of Applied Sport Psychology 11 (2): 194–209. doi:10.1080/10413209908404200. ISSN 1041-3200. 
  39. ^ Kate Knibbs (2014年9月20日). “My Dive Into Sensory Deprivation's Naked, Wet Quest For Enlightenment”. Gizmode. http://www.gizmodo.com.au/2014/09/my-dive-into-sensory-deprivations-naked-wet-quest-for-enlightenment/ 2015年8月8日閲覧。 
  40. ^ マイケル・ハッチンソン 2000, pp. 455–456.
  41. ^ Seth Stevenson (2013-05). “Embracing the Void”. Slate Magazine. http://www.slate.com/articles/life/anything_once/2013/05/sensory_deprivation_flotation_tanks_i_floated_naked_in_a_pitch_black_tank.single.htm. 
  42. ^ a b c van Dierendonck & Te Nijenhuis 2005.
  43. ^ Phyllis Fong (2013-11-08). “The Modern-Day Float Tank”. Mens Journal. http://www.mensjournal.com/health-fitness/health/the-modern-day-float-tank-20131108. 
  44. ^ Peter Suedfeld 1980.
  45. ^ Suedfeld, P, Turner, J.W.Jr., Fine, T.H. (Eds) 1990.
  46. ^ Arreed F. Barabasz, Marianne Barabasz 1993, §Introduction.
  47. ^ a b マイケル・ハッチンソン 2000, pp. 442–443.
  48. ^ Turner, John W.; Fine, Thomas H. (1983). “Effects of relaxation associated with brief restricted environmental stimulation therapy (REST) on plasma cortisol, ACTH, and LH”. Biofeedback and Self-Regulation 8 (1): 115–126. doi:10.1007/BF01000542. PMID 6309253. 
  49. ^ a b マイケル・ハッチンソン 2000, pp. 444–445.
  50. ^ Wallbaum AB, Rzewnicki R, Steele H, Suedfeld P (1991). “Progressive muscle relaxation and restricted environmental stimulation therapy for chronic tension headache: a pilot study” (pdf). International Journal of Psychosomatics : Official Publication of the International Psychosomatics Institute (1-4): 33–9. PMID 1778683. http://www.floating-verband.de/pdf/Wallbaum-1991-muscle-relaxation.pdf. 
  51. ^ Bood SA, Sundequist U, Kjellgren A, Nordstrom G, Norlander T (2005). “Effects of flotation-restricted environmental stimulation technique on stress-related muscle pain: what makes the difference in therapy - attention-placebo or the relaxation response?”. Pain Research & Management : the Journal of the Canadian Pain Society (4): 201–9. PMID 16341307. 

参考文献

  • Michael Hutchison (1984). The Book of Floating: Exploring the Private Sea. Consciousness Classics. Gateways Books & Tapes. ISBN 0-688-04826-9 
  • マイケル・ハッチンソン、(監訳)佐田弘幸、佐田いくよ、(訳)福留園子『メガ・ブレイン - 脳の科学的鍛え方』総合法令出版、2000年、437-472頁。ISBN 978-4893466815 
医学書
  • Peter Suedfeld (1980). Restricted environmental stimulation : research and clinical applications. personality processes. New York: Wiley. ISBN 0471835366 
  • Suedfeld, P, Turner, J.W.Jr., Fine, T.H. (Eds) (1990). Restricted Environmental Stimulation: Theoretical and Empirical Developments in Flotation REST. Springer. ISBN 0-387-97348-6  一部公開
  • Arreed F. Barabasz, Marianne Barabasz (1993). Clinical and Experimental Restricted Environmental Stimulation: New Developments and Perspectives. Springer-Verlag. doi:10.1007/978-1-4684-8583-7. ISBN 978-1-4684-8585-1 
論文
ジョン・C・リリーによる著書
  • ジョン・C.リリー、菅靖彦訳『バイオコンピュータとLSD』リブロポート、1993年。ISBN 4-8457-0770-5 Programming and Metaprogramming in the human Biocomputer, 1968
  • ジョン・C.リリー、菅靖彦訳『意識の中心 - 内的空間の自叙伝』1991年。ISBN 4-89203-189-5 The Center of the Cyclone: An Autobiography of Inner Space, 1972
  • John C. Lilly (1977). The Deep Self: Profound Relaxation and the Tank Isolation Technique (1st ed.). Simon and Schuster. ISBN 0-671-22552-9 
    • The Deep Self: Profound Relaxation and the Tank Isolation Technique (reprint ed.). Gateways Books & Tapes. (2006). ISBN 0-89556-116-6 
  • ジョン・C.リリー、菅靖彦訳『サイエンティスト - 脳科学者の冒険』平河出版社、1986年。ISBN 4-89203-118-6 The scientist
  • ジョン・C.リリー、神谷敏郎・尾沢和幸訳『イルカと話す日』NTT出版、1994年。ISBN 4-87188-319-1 Communication between man and dolphin.
  • ジョン・C.リリー、フランシス・ジェフリー、中田周作訳『ジョン・C・リリィ 生涯を語る』筑摩書房、2003年。ISBN 4-480-08773-7 John Lilly,so far....

関連項目

  • 感覚遮断
  • ケタミン - ジョン・C・リリー博士はケタミンをしばしばビタミンKと称してアイソレーション・タンクのセッション中に用いた。この作用により地球暗号統制局 (ECCO) と呼ばれる存在に遭遇したと主張している。

外部リンク