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#REDIRECT [[群 (数学)]]
'''群論'''とは、[[群 (数学)|群]]という代数的構造の研究である。群の概念は[[抽象代数学]]の中心をなす。他の代数的構造、たとえば[[環 (数学)|環]]・[[体 (数学)]]・[[ベクトル空間]]などは、基本的に群であり、それに[[演算]]や[[公理]]が付与されたものである。群は数学の各分野に関係し、また群論の方法は[[代数学]]の大部分に強い影響を与えている。[[線形代数群]]と[[リー群]]の理論は群論の一分野であるが、特に発展を遂げており、独自の適用範囲を持っている。

[[結晶]]や、[[水素原子]]などの物理的構造の多くは、[[対称群]]でモデル化できる。このように、群論とその[[表現論]]は、[[物理学]]や[[化学]]の中に多くの実例・応用例がある。

1960年代~80年代に発表された総計1万ページを超える論文によって、完全な[[有限単純群の分類]]([[:en:classification of finite simple groups]])が達成された。これは多くの数学者の共同作業の賜物であり、20世紀の数学の最も重要な業績の一つである。

== 研究史 ==
{{Main|群論の歴史}}([[:en:History of Group Theory]])
群論は、歴史的に3つの源泉がある。[[数論]]、[[代数方程式]]論、[[幾何学]]である。数論の系統は、[[レオンハルト・オイラー]]に始まり、[[ガウス]]の[[合同式]]の理論、および[[二次体]]に関係した加法群・乗法群の研究によって発展した。
[[置換群]]に関する初期の研究成果は、[[ラグランジュ]]、[[ルフィニ]]、[[アーベル]]らの、代数方程式の一般解の研究の課程で得られた。[[エヴァリスト・ガロア]]は「群」という用語を作り、今日[[ガロア理論]]という名で知られる理論によって、初期の群論と[[体論]]を結びつけた。
幾何学については、群はまず[[射影幾何学]]で、のちに[[非ユークリッド幾何学]]で重要になった。[[フェリックス・クライン]]は[[エルランゲン・プログラム]]において、群論は幾何学の原理を統合するものになることを予言した。

1830年代、[[ガロア]]が初めて、[[代数方程式]]の可解性の判定に、群を導入した。[[アーサー・ケイリー]]と[[オーギュスタン=ルイ・コーシー|コーシー]]はこの研究を発展させ、[[置換群]]の理論を創設した。
歴史的な2番目の源泉としては、[[幾何学]]方面からの流れがある。可能な幾何学([[ユークリッド幾何学]]、[[双曲線幾何学]]、[[射影幾何学]])への取り組みに群を適用するようになってきたのは、フェリックス・クラインの[[エルランゲン・プログラム]]に始まる。1884年、[[ソフス・リー]]は群(現在Lie群として知られている)を[[解析]]的問題に適用した。三番目に、群は(最初は暗黙的に、後に明示的に)[[代数的整数論]]に用いられた。

これら初期の源流では、観点が違っていたので、そのため群に対する観念も違ったものとなっていた。1880年頃から群の理論の統合がなされてくる。そして、群論の影響はますます増大してきて、20世紀初期には[[抽象代数学]]、[[表現論]]など多くの派生分野が成立した。[[有限単純群の分類]]([[:en:classification of finite simple groups]])は、20世紀中頃より膨大な量の研究がなされ、ついに完成に至った。

==群の主な種類==
{{Main|群 (数学)}}
群の意味する範囲は段階的に拡大してきた。まず有限[[置換群]]や、[[行列群]]などがあり、また、生成系や関係式で[[群の表現|表現]]([[:en:presentation of a group]] )される抽象群などがある。

===置換群===
最初に体系的に研究された群は[[置換群]]である。集合 ''X'' と、''X''を ''X'' 自身に写す[[全単射]]写像の写像(置換として知られる)の集合 ''G'' を考える。するとそれは結合法則と逆元の存在を満たし、''G'' は群となる。''X'' が ''n'' 個の元を持っていて、 ''G'' がそのすべての置換を含んでいるとき、''G'' は対称群 ''S''<sub>''n''</sub> である。

===行列群===
次に重要な種類の群は「行列群」、もしくは[[線形群]]といわれるものである。[[体 (数学)|体]] ''K'' 上の次数 ''n'' の[[行列 (数学)|行列]]で、可逆(逆行列を持つ)であるものの集合を ''G'' とする。これは''n''-次元ベクトル空間 ''K''<sup>''n''</sup> 上の[[線形変換]]として働き、行列群をなす。

===変換群===
置換群や行列群は、[[変換群]]といわれるものの特殊な場合である。変換群は、特定の空間 ''X'' 上で変換として働く集合のなす群である。たとえば置換群の場合、''X'' は集合となる。行列群の場合、''X'' は[[ベクトル空間]]となる。変換群の概念は、[[対称群]]の概念と密接な関係にある。変換群は、しばしば、特定の構造を保存する'''すべての'''変換の集合として構成される。

変換群の理論は、群の理論と[[微分幾何学]]の理論を結びつける働きをする。[[多様体]]上の[[位相同型]]変換、もしくは[[微分同相]]([[:en:Diffeomorphism]])変換の集合を群として扱う研究は、[[ソフス・リー]]と[[フェリックス・クライン]]に始まる。これらの群としては[[離散群]]または[[連続群]]、[[位相群]]などがありうる。

===抽象群===
群論研究の初期段階では、群は通常「具体的な」対称として考慮されてきた。たとえば、数、置換、行列などである。19世紀終わり頃から、抽象的な群として、集合と演算の組で特定の公理を満たすものを考えるという観点が定着してきた。一般的な方法として、抽象群は'''生成系'''(もしくは'''生成元''')と'''関係式'''によって'''[[群の表現|表現]]'''される。
: <math> G = \langle S|R\rangle. </math>
抽象群の中でも重要なものは、群 ''G'' とその正規部分群 ''H'' から構成される[[商群]](因子群)''G''/''H'' である。[[代数体]]上の[[イデアル類群]]は、商群で最初期に取り上げられた群であり、[[数論]]においても非常に重要である。

具象的な群から抽象群へ観点を変えることによって、個別的な事項から独立になる。近代的に言えば「[[同型写像]]で不変な性質」へ注目するようになった。
そのような性質によって、群は[[有限群]]、[[周期群]]、[[単純群]]、[[可解群]]、などの種類に分類される。

特定の群の性質を研究するよりも、同じ種類の群に適用できる結果を求めるようになる。この新しいパラダイムは、数学の発展にとってきわめて重要であった。そして、[[ヒルベルト]]、[[アルティン]]、[[ネイター]]や、彼らの後継者によって、[[抽象代数学]]を作り出すことになった。

===位相群と代数群===
群に新たな構造を付け加えることにより、群の概念が発展することになった。新たな構造とは、特に、[[位相空間]]、[[可微分多様体]]、[[代数多様体]]などである。群演算 ''m'' と逆演算 ''i'' は以下のような写像として表すことができる。
: <math> m: G\times G\to G, (g,h)\mapsto gh, \quad i:G\to G, g\mapsto g^{-1}, </math>
これは、上記の構造と両立可能である。例えば、[[連続写像]]、[[滑らかな関数|連続微分可能写像]]、[[正則写像]]とすると、群はそれぞれ[[位相群]]、[[Lie群]]、[[代数群]]になる。<ref>新しい構造を付加する手順は、適切な[[圏 (数学)]]において、[[群対象]]([[:en:group object]])として定式化される。Lie群は、可微分多様体の圏において群対象になり、[[アフィン代数群]]はアフィン代数多様体の圏において群対象となる。</ref>
群に別種の構造を付け加えることによって、これらの種類の群と、数学の別の分野が関連づけられる。そして、違う手法を研究に適用することが可能になる。

==組み合わせ的な群論と幾何学的な群論==
群を記述するのには複数の方法がある。有限群は、すべての演算結果 {{nowrap|''g'' * ''h''}} が表示されている[[群表]]によって記述することができる。もう一つの主要な方法としては、「生成系(生成元)と関係式」によって群を定義する方法であり、これは[[群の表示]]と言われる。

[[組み合わせ的な群論]]においては、生成系と関係式の視点から群を研究する<ref>{{harvnb|Schupp|Lyndon|2001}}</ref>。

[[Image:Cayley graph of F2.svg|right|150px|thumb|The Cayley graph of &lang; x, y ∣ &rang;, the free group of rank 2.]]
[[幾何学的群論]]においては、幾何学的な観点から問題を研究する。群を幾何学的な対象として捉えるか、群が作用するのに適当な幾何学的対象を見つけるなどの方法をとる<ref>{{harvnb|La Harpe|2000}}</ref>。

==群の表現==
群 ''G'' がある集合 ''X'' に'''[[作用 (数学)|作用]]する'''とは、''G'' の任意の元が ''X'' 上の全単射写像を定義し、それが群構造と両立することである(このとき特に'''[[群作用]]'''と言う)。群 ''G'' のベクトル空間 ''V'' 上の'''表現'''とは、以下のような、''G'' から ''GL''(''V'') への群準同型写像のことである。
:''&rho;'' : ''G'' &rarr; ''GL''(''V'')
ただし ''GL''(''V'') は、[[一般線形群]]である。つまり、''V'' 上の線形写像で、可逆なもの(行列式が0でないもの)の集合である。別の言い方をすれば、''G'' の任意の元 ''g'' に対して、''V'' 上の[[自己同型写像]] ''ρ''(''g'') が定義され、 ''G'' の任意の元 ''h'' に対して {{nowrap begin}}''ρ''(''g'') ∘ ''ρ''(''h'') = ''ρ''(''gh''){{nowrap end}} となる。

この定義は、群の側、作用される集合の側の、2つの方向から理解することができ、どちらも数学の新しい分野を開くものである<ref>[[群コホモロジー]]と[[同変K理論]]などである。</ref>。一方では、群 ''G'' についての新たな情報を得る。しばしば、''G'' の演算は抽象的に与えられる。しかし、「元から写像への写像」''ρ'' を導入することで、元に対応する線形写像、つまり[[行列の乗算]]によって明示的に表される<ref>特に、表現が[[忠実な表現 (数学)]]の場合はそうである。</ref>。もう一方では、詳しく性質の知られた群を、複雑な対象に作用させることにより、対象の理解を得やすくする。
'''[[表現論 (数学)]]'''([[:en:Representation theory]])においては、与えられた群 ''G'' に対し、どのような表現が存在するかを調べる。個別の事例において、条件や手法、あるいは結果などが得られている。[[有限群の表現論]]([[:en:Representation theory of finite groups]])と[[リー群]]の表現論は、表現論の二大分野である。群の表現論の全体は群の[[指標理論]]([[:en:Character theory]])においてまとめられる。例として、[[フーリエ級数]]は、ユニタリ群[[ユニタリ群|''U''(1)]]の指標と解釈することが可能である。[[絶対値]]が1の[[複素数]]の群([[円周群]])は、周期関数の[[ルベーグ空間|''L''<sup>2</sup>]]空間上に作用する。

==群と対称性との関係==
{{main|対称群}}
なんらかの構造を持つ集合 ''X'' について、'''[[対称性]]'''とは、構造を保存する自己写像である。これは多くの場面で現れる。以下のような例がある。

#特に何の構造も与えられない集合 ''X'' についても、自己への[[全単射]]が[[置換群]]によって与えられる。
# ''X'' を、[[距離]]が定義されている平面上の点の集合、もしくは[[距離空間]]の点の集合とする。このとき対称性は、点間の距離を保存する全単射によって与えられ、これを[[等長写像]]という。''X'' 上の等長写像の集合に対応する群を ''X'' の'''[[等長変換群]]'''という。

#距離のかわりに[[角度]]が保存される写像は[[等角写像]]と言う。等角写像の集合は[[クライン群]]を生じる。

#対称性は幾何学的対象に限られたものではない。代数学的対象でも対称性を定義することはできる。例えば以下の例がある。
::<math>x^2-3=0</math>
:この式は、<math>+\sqrt{3}</math> および <math>-\sqrt{3}</math> の2つの解を持つ。この場合、この2つの解を交換する群を、上記の式に属する'''[[ガロア群]]'''と言う。任意の1変数代数方程式に、その根を置換する群としてのガロア群が存在する。

群の公理は、[[対称性]]の本質を定式化するものである。対称性が群を構成するとも言える。

[[Fruchtの定理]]([[:en:Frucht's theorem]] )より、任意の有限群について、対称性(自己への同型写像)を与える[[グラフ (数学)|グラフ]]が存在する。このため、任意の抽象群であっても、何らかの具体的な対象の対称性を与える。

対象について「構造を保存する」ということの正確な意味は[[圏 (数学)|圏]]論において精密化される。そこでは、構造を保存する写像は[[準同型]]であり、対称群は、問題の対象についての[[自己同型群]]となる。

==群論の応用分野==
群論の応用分野は幅広い。[[抽象代数学]]のほとんどすべての構造は、群の特殊な場合である。たとえば[[環 (数学)|環]]は、[[アーベル群]](加算について)と乗法群(乗算について)が一緒になったものである。このため群についての法則はこれら多くの対象にも適用することができる。

[[ガロア理論]]は、[[代数方程式]]の根の対称性を群として記述する。[[ガロア理論の基本定理]]([[:en:Fundamental theorem of Galois theory]])は、[[代数拡大]]([[:en:Algebraic extension]])と群論を結びつける。これにより、代数方程式の可解性を、対応する[[ガロア群]]の可解性に置き換えて判断できる。たとえば、5次対称群 ''S''<sub>5</sub> は可解ではないので、それにより一般の[[五次方程式]]は、それ以下の方程式のように根号によって解くことはできないことが導かれる。これは歴史的には群論のルーツの一つであるが、それだけに留まらず、'''[[類体論]]'''などの分野においてはいまだに有益である。

[[代数的位相幾何学]]もまた、群論の応用分野である。

[[Image:Torus.png|thumb|right|200px|[[トーラス]]の[[アーベル群]]的な構造は以下の写像で表される。 {{nowrap begin}}'''C''' &rarr; '''C'''/'''Z'''+''&tau;'''''Z'''{{nowrap end}}, ''&tau;'' はパラメータである。]]
[[Image:Caesar3.svg|thumb|left|150px| [[巡回群]] '''Z'''/26 は[[シーザー暗号]]の基礎となっている。]]

[[代数幾何学]]と[[暗号理論]]は、同じように群論を至る所で取り入れている。[[アーベル多様体]]は、群作用の存在によって、詳細な調査が可能になる。一次元の場合では、[[楕円曲線]]が詳細に研究されている。これらは理論的にも応用的にも興味深いものである<ref>[[ミレニアム問題]]の一つである[[バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想]]を見よ。</ref>。[[楕円曲線暗号]]では、非常に大きな素数位数の群が構成され、[[公開鍵暗号]]として役に立っている。

[[代数的整数論]]は、群論の特殊な場合である。例として、[[オイラー積]]
:<math>
\begin{align}
\sum_{n\geq 1}\frac{1}{n^s}& = \prod_{p \text{ prime}} \frac{1}{1-p^{-s}} \\
\end{align}
\!</math>
を考える。これは「任意の整数は[[素数]]の積に唯一に分解される」という[[算術の基本定理]]の表現である。これが[[デデキント環]]では必ずしも成立しないことから、[[類体論]]や[[正則素数]]が発展した。正則素数は[[マー君|エルンスト・クンマー]]による[[フェルマーの最終定理]]の評価に使われている。

*[[リー群]](数学者[[レオン・リー]]の名前にちなむ)は、[[微分方程式]]と[[多様体]]の研究において重要である。これは、連続的な幾何学的・解析的構造の対称性を記述するものである。リー群などの群の解析を[[調和解析]]という。[[ハール測度]]はリー群上の移動の積分不変量であるが、これは[[パターン認識]]や[[画像処理]]に使われている<ref>{{Citation | last1=Lenz | first1=Reiner | title=Group theoretical methods in image processing | publisher=[[Springer-Verlag]] | location=Berlin, New York | series=Lecture Notes in Computer Science | isbn=978-0-387-52290-6 | year=1990 | volume=413|url=http://webstaff.itn.liu.se/~reile/LNCS413/index.htm | doi=10.1007/3-540-52290-5}}.</ref>。

*[[組合せ数学]]においては、[[置換]]群や群作用の概念がしばしば使われ、集合の個数を計測する助けになる。[[バーンサイドの補題]]([[:en:Burnside's lemma]])も参照。
[[Image:Fifths.png|right|thumb|150px|[[五度圏]]は巡回群の構造を与える。]]

*[[五度圏]]には12[[周期群]]が現れる。

*[[物理学]]においては、群は物理の法則に現れる対称性を記述するために使われる。物理学者は、群の表現、特に[[リー群]]の表現に興味を持っている。なぜならそれはしばしば、「可能な」物理法則を指し示すからである。物理における群論の応用には、たとえば[[標準模型]]、[[ゲージ理論]]、[[ローレンツ群]]、[[ポアンカレ群]]などがある。

*[[化学]]、[[材料科学]]においては、群はおもに[[結晶構造]]や[[分子対称性]]([[:en:Molecular symmetry]])を分類するのに使われる。構造に対応した点群により、物理的な性質([[極性]]や[[キラリティ]])や[[分子軌道]]を決定できる。[[ラマン分光法]]や[[赤外分光法]]も参照。

==参照==
*[[群 (数学)]]
*群論の用語については[[群ようこ]]゛も参照。

==脚注==
<references/>

==参考文献==
* {{Citation | last1=Borel | first1=Armand | author1-link=Armand Borel | title=Linear algebraic groups | publisher=[[Springer-Verlag]] | location=Berlin, New York | edition=2nd | series=Graduate Texts in Mathematics | isbn=978-0-387-97370-8 | id={{MathSciNet | id = 1102012}} | year=1991 | volume=126}}
* {{Citation | last1=Carter | first1=Nathan C. | title=Visual group theory | url=http://web.bentley.edu/empl/c/ncarter/vgt/ | publisher=[[Mathematical Association of America]] | series=Classroom Resource Materials Series | isbn=978-0-88385-757-1 | id={{MathSciNet | id = 2504193}} | year=2009}}
* {{Citation | last1=Cannon | first1=John J. | title=Computers in group theory: A survey | id={{MathSciNet | id = 0290613}} | year=1969 | journal=Communications of the Association for Computing Machinery | volume=12 | pages=3–12 | doi=10.1145/362835.362837}}
* {{Citation | last1=Frucht | first1=R. | title=Herstellung von Graphen mit vorgegebener abstrakter Gruppe | url=http://www.numdam.org/numdam-bin/fitem?id=CM_1939__6__239_0 | year=1939 | journal=Compositio Mathematica | issn=0010-437X | volume=6 | pages=239–50}}
* {{Citation | last1=Golubitsky | first1=Martin| last2=Stewart | first2=Ian | author1-link=Ian Stewart (mathematician)| title =Nonlinear dynamics of networks: the groupoid formalism |id={{MathSciNet | id=2223010}} |journal= Bull. Amer. Math. Soc. (N.S.) |volume=43 | year= 2006 | pages=305--364 | doi=10.1090/S0273-0979-06-01108-6}} Shows the advantage of generalising from group to [[groupoid]].
* {{Citation | last1=Judson | first1=Thomas W. | title=Abstract Algebra: Theory and Applications | year=1997 | url=http://abstract.ups.edu }} An introductory undergraduate text in the spirit of texts by Gallian or Herstein, covering groups, rings, integral domains, fields and Galois theory. Free downloadable PDF with open-source [[GNU Free Documentation License|GFDL]] license.
* {{Citation | last1=Kleiner | first1=Israel | title=The evolution of group theory: a brief survey | id={{MathSciNet | id = 863090}} | year=1986 | journal=[[Mathematics Magazine]] | issn=0025-570X | volume=59 | issue=4 | pages=195–215}}
* {{Citation | last1=La Harpe | first1=Pierre de | title=Topics in geometric group theory | publisher=[[University of Chicago Press]] | isbn=978-0-226-31721-2 | year=2000}}
*{{Citation | author=Livio, M. | author1-link=Mario Livio | title= The Equation That Couldn't Be Solved: How Mathematical Genius Discovered the Language of Symmetry | publisher=Simon & Schuster | year=2005 | isbn=0-7432-5820-7}} Conveys the practical value of group theory by explaining how it points to [[symmetries]] in [[physics]] and other sciences.
* {{Citation | last1=Mumford | first1=David | author1-link=David Mumford | title=Abelian varieties | publisher=[[Oxford University Press]] | isbn=978-0-19-560528-0 | oclc=138290 | year=1970}}
* [[Mark Ronan|Ronan M.]], 2006. ''Symmetry and the Monster''. Oxford University Press. ISBN 0-19-280722-6. For lay readers. Describes the quest to find the basic building blocks for finite groups.
*{{Citation | author=Rotman, Joseph | title=An introduction to the theory of groups | location=New York | publisher=Springer-Verlag | year=1994 | isbn=0-387-94285-8}} A standard contemporary reference.
* {{Citation | last1=Schupp | first1=Paul E. | last2=Lyndon | first2=Roger C. | title=Combinatorial group theory | publisher=[[Springer-Verlag]] | location=Berlin, New York | isbn=978-3-540-41158-1 | year=2001}}
*{{Citation | author=Scott, W. R. | title= Group Theory | location=New York | publisher=Dover | year=1987 | origyear=1964 | isbn=0-486-65377-3}} Inexpensive and fairly readable, but somewhat dated in emphasis, style, and notation.
* {{Citation | last1=Shatz | first1=Stephen S. | title=Profinite groups, arithmetic, and geometry | publisher=[[Princeton University Press]] | isbn=978-0-691-08017-8 | id={{MathSciNet | id = 0347778}} | year=1972}}
* {{Weibel IHA}}

==外部リンク==
* [http://www-history.mcs.st-andrews.ac.uk/history/HistTopics/Abstract_groups.html History of the abstract group concept]
* [http://www.bangor.ac.uk/r.brown/hdaweb2.htm Higher dimensional group theory] This presents a view of group theory as level one of a theory which extends in all dimensions, and has applications in homotopy theory and to higher dimensional nonabelian methods for local-to-global problems.
* [http://plus.maths.org/issue48/package/index.html Plus teacher and student package: Group Theory] This package brings together all the articles on group theory from ''Plus'', the online mathematics magazine produced by the Millennium Mathematics Project at the University of Cambridge, exploring applications and recent breakthroughs, and giving explicit definitions and examples of groups.

[[Category:群論|*]]

[[ar:نظرية الزمر]]
[[an:Teoría de grupos]]
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[[es:Teoría de grupos]]
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[[th:ทฤษฎีกรุป]]
[[tr:Grup kuramı]]
[[uk:Теорія груп]]
[[vi:Lý thuyết nhóm]]
[[zh-yue:羣論]]
[[war:Teyorya grupo]]
[[bat-smg:Gropiu teuorėjė]]
[[zh:群论]]

2010年7月2日 (金) 00:07時点における版

群論とは、という代数的構造の研究である。群の概念は抽象代数学の中心をなす。他の代数的構造、たとえば体 (数学)ベクトル空間などは、基本的に群であり、それに演算公理が付与されたものである。群は数学の各分野に関係し、また群論の方法は代数学の大部分に強い影響を与えている。線形代数群リー群の理論は群論の一分野であるが、特に発展を遂げており、独自の適用範囲を持っている。

結晶や、水素原子などの物理的構造の多くは、対称群でモデル化できる。このように、群論とその表現論は、物理学化学の中に多くの実例・応用例がある。

1960年代~80年代に発表された総計1万ページを超える論文によって、完全な有限単純群の分類en:classification of finite simple groups)が達成された。これは多くの数学者の共同作業の賜物であり、20世紀の数学の最も重要な業績の一つである。

研究史

en:History of Group Theory

群論は、歴史的に3つの源泉がある。数論代数方程式論、幾何学である。数論の系統は、レオンハルト・オイラーに始まり、ガウス合同式の理論、および二次体に関係した加法群・乗法群の研究によって発展した。 置換群に関する初期の研究成果は、ラグランジュルフィニアーベルらの、代数方程式の一般解の研究の課程で得られた。エヴァリスト・ガロアは「群」という用語を作り、今日ガロア理論という名で知られる理論によって、初期の群論と体論を結びつけた。 幾何学については、群はまず射影幾何学で、のちに非ユークリッド幾何学で重要になった。フェリックス・クラインエルランゲン・プログラムにおいて、群論は幾何学の原理を統合するものになることを予言した。

1830年代、ガロアが初めて、代数方程式の可解性の判定に、群を導入した。アーサー・ケイリーコーシーはこの研究を発展させ、置換群の理論を創設した。 歴史的な2番目の源泉としては、幾何学方面からの流れがある。可能な幾何学(ユークリッド幾何学双曲線幾何学射影幾何学)への取り組みに群を適用するようになってきたのは、フェリックス・クラインのエルランゲン・プログラムに始まる。1884年、ソフス・リーは群(現在Lie群として知られている)を解析的問題に適用した。三番目に、群は(最初は暗黙的に、後に明示的に)代数的整数論に用いられた。

これら初期の源流では、観点が違っていたので、そのため群に対する観念も違ったものとなっていた。1880年頃から群の理論の統合がなされてくる。そして、群論の影響はますます増大してきて、20世紀初期には抽象代数学表現論など多くの派生分野が成立した。有限単純群の分類en:classification of finite simple groups)は、20世紀中頃より膨大な量の研究がなされ、ついに完成に至った。

群の主な種類

群の意味する範囲は段階的に拡大してきた。まず有限置換群や、行列群などがあり、また、生成系や関係式で表現en:presentation of a group )される抽象群などがある。

置換群

最初に体系的に研究された群は置換群である。集合 X と、XX 自身に写す全単射写像の写像(置換として知られる)の集合 G を考える。するとそれは結合法則と逆元の存在を満たし、G は群となる。Xn 個の元を持っていて、 G がそのすべての置換を含んでいるとき、G は対称群 Sn である。

行列群

次に重要な種類の群は「行列群」、もしくは線形群といわれるものである。 K 上の次数 n行列で、可逆(逆行列を持つ)であるものの集合を G とする。これはn-次元ベクトル空間 Kn 上の線形変換として働き、行列群をなす。

変換群

置換群や行列群は、変換群といわれるものの特殊な場合である。変換群は、特定の空間 X 上で変換として働く集合のなす群である。たとえば置換群の場合、X は集合となる。行列群の場合、Xベクトル空間となる。変換群の概念は、対称群の概念と密接な関係にある。変換群は、しばしば、特定の構造を保存するすべての変換の集合として構成される。

変換群の理論は、群の理論と微分幾何学の理論を結びつける働きをする。多様体上の位相同型変換、もしくは微分同相en:Diffeomorphism)変換の集合を群として扱う研究は、ソフス・リーフェリックス・クラインに始まる。これらの群としては離散群または連続群位相群などがありうる。

抽象群

群論研究の初期段階では、群は通常「具体的な」対称として考慮されてきた。たとえば、数、置換、行列などである。19世紀終わり頃から、抽象的な群として、集合と演算の組で特定の公理を満たすものを考えるという観点が定着してきた。一般的な方法として、抽象群は生成系(もしくは生成元)と関係式によって表現される。

抽象群の中でも重要なものは、群 G とその正規部分群 H から構成される商群(因子群)G/H である。代数体上のイデアル類群は、商群で最初期に取り上げられた群であり、数論においても非常に重要である。

具象的な群から抽象群へ観点を変えることによって、個別的な事項から独立になる。近代的に言えば「同型写像で不変な性質」へ注目するようになった。 そのような性質によって、群は有限群周期群単純群可解群、などの種類に分類される。

特定の群の性質を研究するよりも、同じ種類の群に適用できる結果を求めるようになる。この新しいパラダイムは、数学の発展にとってきわめて重要であった。そして、ヒルベルトアルティンネイターや、彼らの後継者によって、抽象代数学を作り出すことになった。

位相群と代数群

群に新たな構造を付け加えることにより、群の概念が発展することになった。新たな構造とは、特に、位相空間可微分多様体代数多様体などである。群演算 m と逆演算 i は以下のような写像として表すことができる。

これは、上記の構造と両立可能である。例えば、連続写像連続微分可能写像正則写像とすると、群はそれぞれ位相群Lie群代数群になる。[1] 群に別種の構造を付け加えることによって、これらの種類の群と、数学の別の分野が関連づけられる。そして、違う手法を研究に適用することが可能になる。

組み合わせ的な群論と幾何学的な群論

群を記述するのには複数の方法がある。有限群は、すべての演算結果 g * h が表示されている群表によって記述することができる。もう一つの主要な方法としては、「生成系(生成元)と関係式」によって群を定義する方法であり、これは群の表示と言われる。

組み合わせ的な群論においては、生成系と関係式の視点から群を研究する[2]

The Cayley graph of ⟨ x, y ∣ ⟩, the free group of rank 2.

幾何学的群論においては、幾何学的な観点から問題を研究する。群を幾何学的な対象として捉えるか、群が作用するのに適当な幾何学的対象を見つけるなどの方法をとる[3]

群の表現

G がある集合 X作用するとは、G の任意の元が X 上の全単射写像を定義し、それが群構造と両立することである(このとき特に群作用と言う)。群 G のベクトル空間 V 上の表現とは、以下のような、G から GL(V) への群準同型写像のことである。

ρ : GGL(V)

ただし GL(V) は、一般線形群である。つまり、V 上の線形写像で、可逆なもの(行列式が0でないもの)の集合である。別の言い方をすれば、G の任意の元 g に対して、V 上の自己同型写像 ρ(g) が定義され、 G の任意の元 h に対して ρ(g) ∘ ρ(h) = ρ(gh) となる。

この定義は、群の側、作用される集合の側の、2つの方向から理解することができ、どちらも数学の新しい分野を開くものである[4]。一方では、群 G についての新たな情報を得る。しばしば、G の演算は抽象的に与えられる。しかし、「元から写像への写像」ρ を導入することで、元に対応する線形写像、つまり行列の乗算によって明示的に表される[5]。もう一方では、詳しく性質の知られた群を、複雑な対象に作用させることにより、対象の理解を得やすくする。 表現論 (数学)en:Representation theory)においては、与えられた群 G に対し、どのような表現が存在するかを調べる。個別の事例において、条件や手法、あるいは結果などが得られている。有限群の表現論en:Representation theory of finite groups)とリー群の表現論は、表現論の二大分野である。群の表現論の全体は群の指標理論en:Character theory)においてまとめられる。例として、フーリエ級数は、ユニタリ群U(1)の指標と解釈することが可能である。絶対値が1の複素数の群(円周群)は、周期関数のL2空間上に作用する。

群と対称性との関係

なんらかの構造を持つ集合 X について、対称性とは、構造を保存する自己写像である。これは多くの場面で現れる。以下のような例がある。

  1. 特に何の構造も与えられない集合 X についても、自己への全単射置換群によって与えられる。
  2. X を、距離が定義されている平面上の点の集合、もしくは距離空間の点の集合とする。このとき対称性は、点間の距離を保存する全単射によって与えられ、これを等長写像という。X 上の等長写像の集合に対応する群を X等長変換群という。
  1. 距離のかわりに角度が保存される写像は等角写像と言う。等角写像の集合はクライン群を生じる。
  1. 対称性は幾何学的対象に限られたものではない。代数学的対象でも対称性を定義することはできる。例えば以下の例がある。
この式は、 および の2つの解を持つ。この場合、この2つの解を交換する群を、上記の式に属するガロア群と言う。任意の1変数代数方程式に、その根を置換する群としてのガロア群が存在する。

群の公理は、対称性の本質を定式化するものである。対称性が群を構成するとも言える。

Fruchtの定理en:Frucht's theorem )より、任意の有限群について、対称性(自己への同型写像)を与えるグラフが存在する。このため、任意の抽象群であっても、何らかの具体的な対象の対称性を与える。

対象について「構造を保存する」ということの正確な意味は論において精密化される。そこでは、構造を保存する写像は準同型であり、対称群は、問題の対象についての自己同型群となる。

群論の応用分野

群論の応用分野は幅広い。抽象代数学のほとんどすべての構造は、群の特殊な場合である。たとえばは、アーベル群(加算について)と乗法群(乗算について)が一緒になったものである。このため群についての法則はこれら多くの対象にも適用することができる。

ガロア理論は、代数方程式の根の対称性を群として記述する。ガロア理論の基本定理en:Fundamental theorem of Galois theory)は、代数拡大en:Algebraic extension)と群論を結びつける。これにより、代数方程式の可解性を、対応するガロア群の可解性に置き換えて判断できる。たとえば、5次対称群 S5 は可解ではないので、それにより一般の五次方程式は、それ以下の方程式のように根号によって解くことはできないことが導かれる。これは歴史的には群論のルーツの一つであるが、それだけに留まらず、類体論などの分野においてはいまだに有益である。

代数的位相幾何学もまた、群論の応用分野である。

トーラスアーベル群的な構造は以下の写像で表される。 CC/Z+τZ, τ はパラメータである。
巡回群 Z/26 はシーザー暗号の基礎となっている。

代数幾何学暗号理論は、同じように群論を至る所で取り入れている。アーベル多様体は、群作用の存在によって、詳細な調査が可能になる。一次元の場合では、楕円曲線が詳細に研究されている。これらは理論的にも応用的にも興味深いものである[6]楕円曲線暗号では、非常に大きな素数位数の群が構成され、公開鍵暗号として役に立っている。

代数的整数論は、群論の特殊な場合である。例として、オイラー積

を考える。これは「任意の整数は素数の積に唯一に分解される」という算術の基本定理の表現である。これがデデキント環では必ずしも成立しないことから、類体論正則素数が発展した。正則素数はエルンスト・クンマーによるフェルマーの最終定理の評価に使われている。

五度圏は巡回群の構造を与える。
  • 物理学においては、群は物理の法則に現れる対称性を記述するために使われる。物理学者は、群の表現、特にリー群の表現に興味を持っている。なぜならそれはしばしば、「可能な」物理法則を指し示すからである。物理における群論の応用には、たとえば標準模型ゲージ理論ローレンツ群ポアンカレ群などがある。

参照

脚注

  1. ^ 新しい構造を付加する手順は、適切な圏 (数学)において、群対象en:group object)として定式化される。Lie群は、可微分多様体の圏において群対象になり、アフィン代数群はアフィン代数多様体の圏において群対象となる。
  2. ^ Schupp & Lyndon 2001
  3. ^ La Harpe 2000
  4. ^ 群コホモロジー同変K理論などである。
  5. ^ 特に、表現が忠実な表現 (数学)の場合はそうである。
  6. ^ ミレニアム問題の一つであるバーチ・スウィンナートン=ダイアー予想を見よ。
  7. ^ Lenz, Reiner (1990), Group theoretical methods in image processing, Lecture Notes in Computer Science, 413, Berlin, New York: Springer-Verlag, doi:10.1007/3-540-52290-5, ISBN 978-0-387-52290-6, http://webstaff.itn.liu.se/~reile/LNCS413/index.htm .

参考文献

外部リンク

  • History of the abstract group concept
  • Higher dimensional group theory This presents a view of group theory as level one of a theory which extends in all dimensions, and has applications in homotopy theory and to higher dimensional nonabelian methods for local-to-global problems.
  • Plus teacher and student package: Group Theory This package brings together all the articles on group theory from Plus, the online mathematics magazine produced by the Millennium Mathematics Project at the University of Cambridge, exploring applications and recent breakthroughs, and giving explicit definitions and examples of groups.