コーシーの定理 (群論)

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群論において、コーシーの定理(コーシーのていり、Cauchy's theorem)とは次のような定理である。

有限群 G の位数が素数 p の倍数であれば、G は位数 p の元を含む

概論[編集]

ラグランジュの定理によれば、部分群の位数は必ず元の群の位数を割り切る。すると、素数位数の群は自明な部分群 {1} 以外の部分群を持たないことになるが、群の基本的性質から、これは素数位数の群が必ず単独元で生成される巡回群であることを意味する。

このことから、群の位数の素因数分解と、部分群に素数位数の巡回群が出現することの関連が容易に予想されるが、これを示したのがコーシーの定理である。

コーシーの定理から50年ほど後に、これを素数のべき乗に拡張したシローの定理が証明された。

証明[編集]

群Gの位数は素数pで割り切れるとする。集合Sを次で定める。

S:=\{(x_1,...,x_p) \in G^p \mid x_1 ... x_p = e \}

このとき、(x_1,...,x_p)がSに属すならば、(x_2,x_3,...,x_p,x_1),(x_p,x_1,x_2,...,x_(p-1))もSに属す。 写像f:S→Sを、f(x_1,…,x_p)=(x_2,x_3,...,x_p,x_1)で定める。fは全単射となる。よって、fは対称群Sym(S)の元であり、互いに素な巡回置換の積で表すことができる。 p個のfを合成してできる写像f^pは恒等写像であり、Sym(S)の単位元であるので、fの表現における各巡回置換の長さは1またはpである。さらに、fの表現における長さ1の巡回置換の個数をs、長さpの巡回置換の個数をtとすると、

|S|=s+pt

である。なお、sはfの不動点の個数でもある。|S|=|G|^(p-1)であるから、|S|はpで割り切れる。ゆえに、sもpで割り切れる。そして、(e,…,e)はSに属し、f(e,…,e)=(e,…,e)なので、s>0であり、p|sよりs>=pである。ゆえにfは(e,…,e)以外にも不動点を持つ。fの定義よりfの不動点は(a,...,a)(a∈G)という形で表せる。fの(e,...,e)以外の不動点の1つ(x,...,x)をとる。x≠eであり、Sの定義よりx^p=eとなる。

関連項目[編集]