トーラス

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トーラス
アニュラス

トーラスtorus、複数形:tori)とは、種数 (genus) が 1 の閉曲面

あるいは、その面に内部を加えたもの。正確には、こちらはトーラス体 (solid torus) と呼ぶ。希に、面のほうをトーラス面 (torus surface) と呼ぶこともある。

輪環(面/体)円環(面/体)などともいう。ただし円環という言葉はアニュラスannulus、環帯)という別の図形に用いることもあり注意が必要である。

目次

[編集] トーラスの例

ドーナツ

トポロジー的な意味でのトーラスは、ユークリッド幾何学的にはきわめて多様な図形であるが、その中でもよく知られたものがいくつかある。

[編集] ドーナツ型

R = 大半径、r = 小半径

最もありふれたトーラスは、(周)の外側に回転軸を置き得られる回転体、いわゆる「ドーナツ型」である。

トーラスの形と大きさを示すには大円の半径である大半径 R と、小円の半径である小半径 r (R > r) の2つの値が必要である(図)。小円とは回転体の断面の円、大円は小円の中心がなす円のことである。このトーラスは、円

x^2 + (y - R)^2 = r^2 \quad (R>r>0)

をx軸の周りで回転することによって得られる。

このトーラスの表面積 S と体積 V は、

S = 4 \pi^2 rR = (2 \pi r) (2 \pi R) \,
V = 2 \pi^2 r^2 R = (\pi r^2) (2 \pi R) \,

である。それぞれ、小円の円周と面積に大円の円周を掛けた値になっている。

[編集] 平坦トーラス

平坦トーラス (flat torus) は、円柱面を平坦なまま曲げて、両側の端を合わせ貼り付けることで得られる。「平坦」とは「曲率0」ということで、円柱面のように1方向にしか曲がっていない面は曲率0なので平坦である。平坦な面は可展、つまり、伸縮なしで平面(や他の平坦な面)に変形可能である。3次元空間内で円柱面を曲げるにはどうやっても伸縮が必要で、曲率のあるドーナツ型しか作れない。平坦トーラスを作るには、4次元空間が必要である。

平坦トーラスは長方形から作ることもできる。丸めて左右の辺を張り合わせて円柱面にし、あとは同じようにすればいい。円柱面の端とは元の長方形の上下の辺なので、上と下、右と左を貼り付けたことになる。ここで順序を変えて、まず右と左、次に上と下を貼り付けても平坦トーラスができ、このトーラスは元のトーラスと合同である。3次元空間内で考えれば、順序を変えると縦横が入れ替わり戻せないように思えるかもしれないが、4次元空間内では回転により重ね合わすことができる。つまり、上下・左右どちらを先に貼り付けても結果は同じである。

平坦トーラスを作る作業は4次元空間内であるため図示も想像も難しいが、実際に曲げずに、単に上と下、右と左が繋がっていると考えれば、平面幾何に関する限り同じことである。あるいは、同じ長方形が上下左右に無限に繰り返していると考えてもいい。家庭用ゲーム・ドラゴンクエストなどの、世界地図の右端と左端だけでなく上端と下端が繋がっているような世界は、地球のような球面ではなく平坦トーラスであるというのは時折話のネタにされることがある。

ここまで長方形を例に挙げたが、実は平行四辺形なら平坦トーラスを作るのに必要十分である。たとえば、二重周期を持つ楕円関数は、二つの基本周期が描く平行四辺形から構成される平坦トーラスの上で、自然に定義される関数であると解釈される。

[編集] トポロジー的なトーラス

トポロジー的には、トーラスはどれだけ伸縮してもいい。有名な例は、ドーナツとコーヒーカップ同相である、というものである。つまり、コーヒーカップ(の表面)もトーラスである。

興味深い極端な例として、結び目ができてもいい。これは、結び目は高次元では自明にほどけ、円周と同相だからである。

トーラスは、球面にハンドル体を加えることでもできる。トーラスにハンドル体を加えてできる図形を、二つ穴トーラス (double torus) と呼ぶことがある。さらにいくつもハンドル体を加えてできる図形も同様に呼ぶことがある。

[編集] 性質

  • トーラスの基本群は <x, y | xyx-1y-1> である。

[編集] n次元トーラス

円の直積としてみたトーラス

円周あるいは単純閉曲線 S1 を 1 次元トーラスという。冒頭で述べた意味でのトーラスは S1 × S1 とあらわすことが出来る。一般に、n 次元トーラスあるいは簡単に n-トーラス Tn とは S1n 個の直積

T^n = S^1 \times S^1 \times \cdots \times S^1

のことである。この語法に従えば、冒頭で述べた意味でのトーラスは 2-トーラスということになる。

代数学においては、絶対値が 1 に等しい複素数複素数平面上で描く軌跡はしばしば S1 = T1 とみなされる。また、T1 は線分 [0, 1] の両端を同一視したもの、あるいは同じことだが実数体 R を有理整数環 Z で割った剰余環 R / Z とも同一視される。このとき、1-トーラス T1 は積に関してコンパクト位相群となる。

これをさらに一般化して、位相体のコンパクトな乗法群の直積に同型となるコンパクト群をトーラスと呼ぶことがある。たとえば、位相体上の n一般線型群 GLn に属する対角行列全体の作る群は n 次元トーラス(分裂トーラス)である。

フーリエ級数とは、コンパクト群としての 1-トーラス T1 上で定義される、ハール測度に関して自乗可積分な関数の、T1 の指標(1 次元表現)による展開であると解釈することができる。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク