「交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい」の版間の差分
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また本作では、テレビシリーズでシリーズ構成や脚本などを担当した[[佐藤大]]は参加しておらず、[[京田知己]]が監督兼ストーリー構成、脚本を手掛けたことで、京田知己個人の特色がより色濃く反映されている<ref>『公式ガイドブック』吉田健一インタビュー</ref>。またテレビシリーズの特色の一つである[[サブカルチャー]]色は控えめになっており、特徴であった[[電子音楽]]も流れない。 |
また本作では、テレビシリーズでシリーズ構成や脚本などを担当した[[佐藤大]]は参加しておらず、[[京田知己]]が監督兼ストーリー構成、脚本を手掛けたことで、京田知己個人の特色がより色濃く反映されている<ref>『公式ガイドブック』吉田健一インタビュー</ref>。またテレビシリーズの特色の一つである[[サブカルチャー]]色は控えめになっており、特徴であった[[電子音楽]]も流れない。 |
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企画当初は尻切れトンボに終わった |
企画当初はテレビシリーズ1から48話の総集編と、尻切れトンボに終わった49、50話を再編集と |
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新作カットで補完した二本立ての劇場版にする案だったが、二本では劇場の回転数が減ると理由で却下されている<ref>[https://twitter.com/kyoda_contact/status/ |
新作カットで補完した二本立ての劇場版にする案だったが、二本では劇場の回転数が減るという理由で却下されている<ref>[https://twitter.com/kyoda_contact/status/223007330642575360 2012年7月11日 - 19:54]</ref>。その後映画は一本という方向で進み、制作現場の関係者との交流をもとに京田が作った新たなストーリー案も出たがそれも却下され、実際に採用されたのは京田自身「これは無いな」と思ったアイデアで<ref>[https://twitter.com/kyoda_contact/status/223008962025488384 2012年7月11日 - 20:00]</ref>、それが本作の基となった。当時のインタビューでも度々語ったというが全く伝わらず、結果「テレビシリーズを再編集しながらも、総集編ではない劇場用アニメの制作に挑戦したい」<ref>『コンティニュー』Vol.45 京田知己70,000字独占ロングインタビュー</ref>というような内容で掲載された<ref>このためAOの制作中にはインタビューは基本断っている</ref>。カット単位で分解したテレビシリーズの映像と、劇場版新作映像とで再構成し、キャラクターなどは流用しつつも、別世界の物語として制作されている。ゆえにテレビシリーズと世界観、人物設定などが異なり、テレビシリーズで協力関係であった人物が敵対関係、また血縁関係だった人物が他人となっていたりと、異なった設定で登場する(一種の[[スター・システム (小説・アニメ・漫画)|スターシステム]]的な用法)。 |
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本作品の舞台は、テレビシリーズの最終話にて描かれた、スカブ・コーラルの半分が人類との共生の別の可能性を模索するために旅立った「別宇宙」(=[[多元宇宙論|多元宇宙]]、[[パラレルワールド]])である<ref>『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』Blu-ray Discブックレット完全版 『コンティニュー』Vol.46 京田知己25,000字独占ロングインタビュー 2009年5月31日新宿テアトルタイムズスクエア・満員御礼!緊急トークショー(京田知己、藤原啓二)</ref>。本編中にテレビシリーズとの関係の詳しい説明はないが、テレビシリーズの舞台であった惑星が登場する。京田知己によるとイマージュ(=スカブ・コーラル)が再び戦争を起こすことを避けるため、自分達が元来いた世界(=テレビシリーズの世界)を共生のひとつの成功例として見せたとのこと<ref>2009年5月31日新宿テアトルタイムズスクエア・満員御礼!緊急トークショー(京田知己、藤原啓二)</ref>。 |
本作品の舞台は、テレビシリーズの最終話にて描かれた、スカブ・コーラルの半分が人類との共生の別の可能性を模索するために旅立った「別宇宙」(=[[多元宇宙論|多元宇宙]]、[[パラレルワールド]])である<ref>『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』Blu-ray Discブックレット完全版 『コンティニュー』Vol.46 京田知己25,000字独占ロングインタビュー 2009年5月31日新宿テアトルタイムズスクエア・満員御礼!緊急トークショー(京田知己、藤原啓二)</ref>。本編中にテレビシリーズとの関係の詳しい説明はないが、テレビシリーズの舞台であった惑星が登場する。京田知己によるとイマージュ(=スカブ・コーラル)が再び戦争を起こすことを避けるため、自分達が元来いた世界(=テレビシリーズの世界)を共生のひとつの成功例として見せたとのこと<ref>2009年5月31日新宿テアトルタイムズスクエア・満員御礼!緊急トークショー(京田知己、藤原啓二)</ref>。 |
2012年7月18日 (水) 14:03時点における版
交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい | |
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監督 | 京田知己 |
脚本 |
原作:ボンズ 脚本:京田知己 脚本協力:大塚ギチ |
製作 | 劇場版「交響詩篇エウレカセブン」製作委員会 |
出演者 |
三瓶由布子 名塚佳織 藤原啓治 根谷美智子 山崎樹範 小清水亜美 |
音楽 | 佐藤直紀 |
主題歌 | 「Space Rock」iLL |
編集 | 奥田浩史 |
配給 | 東京テアトル |
公開 | 2009年4月25日 |
上映時間 | 115分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』(こうきょうしへんエウレカセブン ポケットがにじでいっぱい、Psalms of Planets Eureka seveN good night, sleep tight, young lovers)は、2009年4月25日に公開されたアニメーション映画。YMOの同名楽曲とは無関係、『ポケットに虹がいっぱい』は誤記。
概要
本作は2005年4月から2006年4月にかけて約1年間、毎日放送をキー局にTBS系列でテレビ放送されていたテレビアニメシリーズ『交響詩篇エウレカセブン』(以下、テレビシリーズと表記)の劇場用アニメーション作品である。 制作ボンズ。アニメーション制作をキネマシトラスが担当している。
2008年4月に劇場版アニメ化が決定し、2009年4月25日に全国テアトル系の映画館にて公開。 2009年6月26日にはBlu-ray Disc、DVD、UMDにて映像ソフトとして発売された。また日本のアニメーション作品では初のBD-LIVEでの特典映像の配信を行っている。2010年3月2日に米国BANDAI entertainmentより日本語音声トラックに英語音声トラック、および英語字幕の追加されたBlu-ray Disc、DVD、がリリース[1][2][3]。
全国6館と小規模で封切られたものの、公開後2日間の観客動員数は6484人、興行収入は1049万9200円を記録した[4]。2009年5月31日時点で動員5万人を突破。その後、当初の予定より上映館が増え、2009年6月の時点で16館での拡大上映が発表された。最終的には動員7万人を超え、短い上映期間かつ少ない上映館数の小規模公開の作品としては成功を収めた。
本作の企画が『アニメ化企画進行中・劇場版 交響詩篇エウレカセブン(仮)』として、最初期の誌上リリースがあった際、ボンズで制作総指揮をとる代表取締役社長の南雅彦は「神話」というキーワードを挙げている[5]。この「神話」にあたる映像に関して、テレビシリーズでは、本作内でも同じ表紙を持つ書物にジェームズ・フレイザーの著作名があてられていたが、本作では具体的な著作名は挙げられていない。しかし、「神話」の存在が物語の展開上、重要な役割を担っており、クレジットでは神話協力として専門家の小関章ラファエルの起用も観られる。
また本作では、テレビシリーズでシリーズ構成や脚本などを担当した佐藤大は参加しておらず、京田知己が監督兼ストーリー構成、脚本を手掛けたことで、京田知己個人の特色がより色濃く反映されている[6]。またテレビシリーズの特色の一つであるサブカルチャー色は控えめになっており、特徴であった電子音楽も流れない。
企画当初はテレビシリーズ1から48話の総集編と、尻切れトンボに終わった49、50話を再編集と 新作カットで補完した二本立ての劇場版にする案だったが、二本では劇場の回転数が減るという理由で却下されている[7]。その後映画は一本という方向で進み、制作現場の関係者との交流をもとに京田が作った新たなストーリー案も出たがそれも却下され、実際に採用されたのは京田自身「これは無いな」と思ったアイデアで[8]、それが本作の基となった。当時のインタビューでも度々語ったというが全く伝わらず、結果「テレビシリーズを再編集しながらも、総集編ではない劇場用アニメの制作に挑戦したい」[9]というような内容で掲載された[10]。カット単位で分解したテレビシリーズの映像と、劇場版新作映像とで再構成し、キャラクターなどは流用しつつも、別世界の物語として制作されている。ゆえにテレビシリーズと世界観、人物設定などが異なり、テレビシリーズで協力関係であった人物が敵対関係、また血縁関係だった人物が他人となっていたりと、異なった設定で登場する(一種のスターシステム的な用法)。
本作品の舞台は、テレビシリーズの最終話にて描かれた、スカブ・コーラルの半分が人類との共生の別の可能性を模索するために旅立った「別宇宙」(=多元宇宙、パラレルワールド)である[11]。本編中にテレビシリーズとの関係の詳しい説明はないが、テレビシリーズの舞台であった惑星が登場する。京田知己によるとイマージュ(=スカブ・コーラル)が再び戦争を起こすことを避けるため、自分達が元来いた世界(=テレビシリーズの世界)を共生のひとつの成功例として見せたとのこと[12]。
キャッチコピー
- これはレントンとエウレカの、もうひとつの物語―。
- もうひとつの、恋の物語―。
- どうしようもないこの世界で、それでも僕らは夢を見る―。
ストーリー
これはもうひとつの宇宙、もうひとりのレントンとエウレカの物語。
突如、南太平洋に出現した、謎の生命体イマージュと、人類との間に戦争が始まって、約半世紀もの月日が流れていた。
西暦2054年、人民解放軍第303独立愚連隊の戦闘母艦・月光号に配属された少年兵、レントンの夢はただひとつ、人民解放軍によって8年前に連れ去られた幼馴染の少女、エウレカを助け出し、ドミニク先生との約束の場所である故郷ワルサワに帰ること。その夢のために、幼い頃より共に育ったKLF、ニルヴァーシュに搭乗し戦場に赴く。
軍の“最重要機密”回収作戦の最中、サウスダコタの軍基地にて、思わぬ形で再会を果たすレントンとエウレカ。 だが再会を喜ぶ間もなく、事態はあらぬ方向へ向かい、彼らの前に様々な困難が立ちはだかる。
やがてイマージュとの最終決戦の時が近づく中、レントンとエウレカ、二人は“神話”の真実に迫る。
登場人物
本作品は、テレビシリーズとは「別宇宙」での物語であるため、外見や名前こそ同一でもテレビシリーズの彼らとは別人である。それゆえ、性格や血縁関係なども異なる。
- レントン・サーストン
- 声:三瓶由布子
- 人民解放軍、第303独立愚連隊の14歳の少年兵。人民解放軍東京杉並幼年学校にて、KLFとの交感能力の高さからKLF操縦技術において高成績を残し、特例として新たに配属された。ワルサワ研究所のイマージュ研究者、チャールズ・サーストンとレイ・サーストンを両親に持つが、8年前に謎の大災害「ドーハの悲劇」を起こし、その時に死亡。幼い頃から希少なKLFの幼生であるニルヴァーシュと暮らしており、軍所属後もニルヴァーシュの専属KLFライダーとしてコンビを組んでいる。8年前、人民解放軍に連れ去られてしまい離れ離れとなった幼馴染み、エウレカを探していたが、軍の作戦行動中に思わぬ形で再会を果たす。
- テレビシリーズのレントンに比べると、幼少期に過酷な経験が多かったためか肝が据わっている。また、正式な軍事訓練を受けている上、夢の実現のためにトップクラスの成績で卒業しており、素手での格闘、KLFの操縦技術共に高い戦闘能力を誇る。特にKLFの操縦に至っては単機で一個部隊を壊滅させるなど、新兵とは思えぬほどの強さを誇る。
- エウレカ・ズィータ
- 声:名塚佳織
- レントンの幼馴染。幼少時、レントンとニルヴァーシュと共にワルサワ研究所で暮らしていたが、人民解放軍に突如連れ去られてしまい、想いを寄せていたレントンとは離れ離れとなってしまう。その8年後、少年兵となったレントンと思わぬ再会を果たす。だが、それは単なる幼馴染の再会には留まらない軋轢と混乱を周囲に生んでいくこととなる。直射日光を浴びることができない特殊な体質を持つ。
- テレビシリーズでは無かったラストネームが設定されている。
- ホランド・ノヴァク
- 声:藤原啓治
- 人民解放軍、第303独立愚連隊隊長。デューイ・ソレンスタム少将が独自に設立した独立部隊だが、傭兵として人民解放軍の作戦に参加している。だがそれはあくまで真の目的を達成するための手段に過ぎなかった。天才的な操縦技術を持つKLFライダーで、超高性能KLFであるデビルフィッシュを操縦すれば正に無敵。タルホのパートナーでもある。
- 一見テレビシリーズのホランドと同年齢(29歳)ほどに見えるが、その正体は17歳の青年(ホランドだけでなく、レントンを除く第303独立愚連隊メンバー全員の実年齢が17歳)。8年前のデューイ・ソレンスタム少将主導の下行われた実験により起きた大災害「ドーハの悲劇」発生時、他の愚連隊隊員らと共に、ハートの中に文字が刻印された月が浮かぶ異世界(=テレビシリーズの世界)を垣間見る。その際、全員テレビシリーズの同一人物達と同じ年齢まで急速成長してしまう。
- 元の世界に帰還し、成長した姿のまま気絶していた所をデューイ少将に救助されるも、その体は約3倍の速度で急速成長しようとしていた。その急速成長を成長抑制剤「ダチュラ」で抑えており、それ以来外見こそ成長を抑えている様に見えるが、その肉体は限界が近づいている。
- 彼らは「ドーハの悲劇」の際に垣間見た世界を「ネバーランド」と称し、再びそこに辿り着けば肉体の症状が完治するのでは?という希望だけを生きがいに、肉体の限界が来る前にその目的を達成しようとしている。
- タルホ・ユーキ
- 声:根谷美智子
- 第303独立愚連隊強襲戦闘母艦「月光号」の艦長。公私共にホランドのパートナーとして彼を支えながら、レントン以外の隊員皆の共通の目的・「ネバーランド」への再到達のために行動している。艦長として的確な指揮を執り、優れた戦艦運用を行い気丈に振舞うが、ホランドにも言えないある秘密を抱えている。
- ハップ / ストナー / マシュー / ヒルダ / ムーンドギー / ギジェット / ミーシャ / ケンゴウ / ウォズ / ジョブス
- 声:山口太郎 / 松本保典 / 中村彰男 / 浅野まゆみ / 宮野真守 / 水沢史絵 / 沢海陽子 / 大木民夫 / チョー / 志村知幸
- 人民解放軍、第303独立愚連隊隊員。軍の高官にして「ドーハの悲劇」で多くの難民を救った英雄、デューイ・ソレンスタム少将が独自に設立した独立部隊だが、傭兵として人民解放軍の作戦に参加している。テレビシリーズの世界のビームス夫妻の様に、軍に所属してはいるがあくまで傭兵のため、隊員は皆軍服などは身に着けていない。デューイ少将の下、独立部隊として特殊な訓練を受けており、KLFライダー、操舵士、通信士、砲術士、レーダー士、機関士などといったそれぞれの担当分野においての専門技術は非常に高い。レントン以外の隊員皆の総意である目的・「ネバーランド」への再到達のために一丸となって協力、行動してきたが、“最重要機密”を確保し目的の実現を目の前にして「神話再生計画」の解釈の相違から、一部の隊員が疑念を抱き、不協和音が生まれ出す。
- テレビシリーズとは異なり明確な上下関係がないため、基本的にお互いのことは呼び捨てである。
- ドミニク・ソレル
- 声:山崎樹範
- ワルサワ研究所のレントンの両親の下で働いていたイマージュ研究の教授。レントンとエウレカを使った“夢の共有”の研究を行っていた。レントン達に先生として様々な事を教え慕われていたが、100年に1度だけ“星の粉”が降る時、虹色に輝き、どんな願いも叶えるという「雪月花(ゆきつきのはな)」が咲く、ワルサワの丘を守ってほしいという言葉をレントン達に託して姿を消し、後に「ドーハの悲劇」の犠牲者となる。
- テレビシリーズにおけるレントンの父親であるアドロック・サーストンの役回りも担っており、アドロックが遺した「ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん」という言葉もドミニクの台詞となっている。
- アネモネ
- 声:小清水亜美(老:榊原良子)
- 8年前、人民解放軍によって実験体「6号」として拘束されていた桃色の髪の少女。ワルサワ研究所にてドミニクと出会い、恋に落ちる。後にドミニクと共に「ドーハの悲劇」に巻き込まれた。現在はヴォダラ宮の地下シェルターに黒いKLFの幼生、ジ・エンドと共に幽閉されている。ドミニクとのある約束を果たすため、子供用の衣服と「新世界神話」という本を準備して、ある人物たちの来訪を心待ちにしている。
- テレビシリーズのアネモネとは異なり、KLFに乗ることはない。
- ニルヴァーシュ
- 声:玉川紗己子
- レントンが幼い頃から共に育った希少なKLFの幼生。人の感情を理解できレントンとエウレカに懐いている。東京杉並KLF養成所にて急速成長し、8年後にはレントンとの交感能力の高さから彼専用のKLFとして共に戦場に赴く。
- クゼミ・スワイガード
- 声:大木民夫
- 人民中央政府、厚生労働大臣。最終決戦兵器「神の鉄槌」によってもたらされる灰の冬から逃れるため、宇宙移民船「メガロード」により選ばれし2万の民と共に地球からの脱出を試みる。
- ブラヤ・マッティングリー
- 声:麦人
- 人民中央政府首相。「神の鉄槌計画」実行責任者であった人物が殺害されたため、計画の最高責任者として、宇宙移民船「メガロード」には乗船せず地球に残る。“消費”の快楽を知った人類の原罪を背負うべく、実行責任者に代わり自ら計画の完遂を試みる。コーダ・ラベルの元夫。
- コーダ・ラベル
- 声:赤司まり子
- 人民中央政府、総務省主席政務次官。公安部出身であった経緯から「神の鉄槌計画」実行責任者であった人物の暗殺事件の調査員として行動する。だがその調査はやがて思わぬ方向に進み、「ドーハの悲劇」「ネバーランドの子供たち」「ウェンディとピーター」「神話再生計画」といった世界の存続に関わる幾つかのキーワードに辿り着き、彼女はイマージュの真意に近づく。ブラヤ・マッティングリーの元妻。
- マリア
- 声:小島幸子
- コーダ・ラベルの私設秘書官。コーダと共に「神の鉄槌計画」実行責任者暗殺事件の調査に尽力する。
- テレビシリーズにおけるマリア・シュナイダー。テレビシリーズの世界とは違いユルゲンスと結婚している。帽子を取った姿は本作で初めて見せた。
- ユルゲンス
- 声:小村哲生
- 人民中央政府、公安局長。「神の鉄槌計画」実行責任者暗殺事件の調査に協力する。
- 杉並幼年軍学校 校長
- 声:青野武
- 人民解放軍東京杉並幼年学校の校長。軍の取調べにより、レントンが特例で第303独立愚連隊に配属された後、大きな事件に巻き込まれたことを知りその身を案じる。関係は不明だが3人の子供(テレビシリーズのモーリス、メーテル、リンクに相当)を保護し共に暮らしている。
- テレビシリーズの世界ではレントンの祖父だったが、本作では校長と生徒の間柄であり、全くの他人。
KLF
“KLF”とはクラフト・ライト・ファイター(Kraft Light Fighter)の略で、本作品の世界における全高十数メートルの巨大な人型機動マシンの総称。化石の様な天然パーツ“アーキタイプ”を本体として各所に武装、制御機器を取り付け、電気信号で制御される。テレビシリーズの世界での呼称は“LFO”であり、軍用LFOのみを指してKLFと呼んでいた。本作の世界ではあくまで兵器としてのみ運用されており、作中の呼称はKLFで統一されている。
本作でもテレビシリーズと同じく、人が操縦する全ての機械は、人と機械を結ぶ小型制御装置“コンパク・ドライヴ”が無ければ稼働しないため、KLFのコックピットにも同装置を装着するためのソケットが設けられている。大気中に漂う空間粒子“ステラー波”(テレビシリーズの世界でのトラパー波)をとらえて揚力を得るボード型の飛行ユニット“リフボード”に乗ることで、空中での高機動運動が可能。
端的に述べると、本作の世界でもテレビシリーズと同じく、以下のような大型ロボットがサーフィンの様に空中飛行しながら高速戦闘を繰り広げる。
- ニルヴァーシュ type ZERO(通称 ニルヴァーシュ)
- 人民解放軍、第303独立愚連隊所属KLF。レントン搭乗機。左右に座席が並んだ複座機で、その外観は白地にグレーのラインが入ったカラーリング。レントンが幼少時代から共に育ったKLFの幼生が成長した姿。ニルヴァーシュとの交感能力が高いレントンが操縦することで軍学校時代に高い戦闘成績を残し、レントンが第303独立愚連隊に配属されてからもレントン専用機として共に行動する。武装は三又に展開するブーメランナイフ×2。
- ニルヴァーシュ type ZERO spec2
- レントンがエウレカと8年ぶりの再会を果たした際、ニルヴァーシュが進化した姿。外観は白地に赤いラインのカラーリングに変化しており、高速飛行形態への変形が可能になった。武装はブーメランナイフ×2、肩アーマーに左右各10門、合計20門のホーミングレーザーを装備。それらの武装でイマージュやKLFのアーキタイプを活動停止にすると、白い雲状に浄化させる特殊な能力がspec2から付加されている。
- ニルヴァーシュ type ZERO spec-V(ブイ)
- 幼生に退化していたニルヴァーシュが、エウレカを想うレントンの叫びに呼応してKLFの幼生、ジ・エンドと融合し顕現した新たな姿。外観は白地に赤と黒のラインが入ったカラーリング。テレビシリーズにおけるニルヴァーシュ type ZERO spec3に相当し、シルエットこそ異なるが、有機的なフォルムという点では共通している。spec2までの操縦桿などは消失し、全方位モニターで囲まれたコックピットには、コンパク・ドライヴの様に緑色に発光した、操縦者をリング状に取り囲む特殊なコンソールが配されており、それに手をかざすことで操縦する。自らステラー波を放出し、リフボード無しでの超高速飛行が可能。最高速度はマッハ22まで及ぶ。武装は刺突武器の槍。またそれを7つの星型ビットとそれらを操るステッキに分離することで、ビットとステッキから発するレーザーでのオールレンジ攻撃が可能なほか、ビットからバリアを発生させることも可能(劇中ではデビルフィッシュが放ったレーザーを防ぐ際に使用)。
- デザインモチーフは『ピーター・パン』のティンカー・ベル。
- ターミナス type B303 デビルフィッシュ(通称 デビルフィッシュ)
- 人民解放軍、第303独立愚連隊所属KLF。ホランド搭乗機。3つの短い角がついた禍々しい悪魔の様な顔つきの頭部パーツが特徴。機体色はシルバー。カメラアイは通常時は赤だが、CFS発動時は緑色に発光する。極めて危険性が高い「CFS(コンパク・フィードバック・システム)」が搭載されており、発動時は一定区域に存在する生物の“魂”を掌握することができ、また操縦者の脳内操縦イメージをダイレクトに機体操縦に同期、反映できる。そのため、自分の頭に描いたイメージそのままに機体を操縦できる。だが超絶的な運動性能を実現するのと引き替えに操縦者の肉体と精神を蝕んでゆく。武装は背部ユニットにロングレンジレーザー砲2門とホーミングレーザー8門、両腕部にブレードを装備。追加装備として機体以上に巨大な、大型ブースターユニット「スーパーパック」を装着することで、武装は機体後方に巨大フック、前面に大口径ロングレンジレーザー砲2門、左右側面に合計42基(7×3×2)のミサイル発射管が追加装備され単機で戦艦級の火力を実現。また大型ブースター×2による推進力増加により、ただでさえ超高速戦闘を行う当機のスピードをさらなる極限の域にまで底上げすることが可能。見た目の巨大さからは想像出来ない程の超速マニューバを繰り広げ、正に鬼神の如き強さを誇る。
- 「スーパーパック」装着時のデザインモチーフは『ピーター・パン』のフック船長。
- ターミナス type R606(通称 ロク・マル・ロク)
- 人民解放軍、第303独立愚連隊所属KLF。マシュー搭乗機。機体色は橙。頭部パーツがなく、代わりにコックピットがそのまま頭部の位置に配されている。他のターミナスシリーズに比べ装甲がやや薄いが、軽量な機体ゆえに稼働時間と機動力に優れ、主に前衛戦闘を担当する。武装はブーメランナイフ×2、腕部装着式レーザーライフル。
- ターミナス type R808(通称 ハチ・マル・ハチ)
- 人民解放軍、第303独立愚連隊所属KLF。ヒルダ搭乗機。機体色は水色。火力に優れるがその分エネルギー消費も激しく、他のターミナスシリーズに比べ稼働時間がやや短い。主に後衛としての支援戦闘を担当する。武装はフリスビーカッター×2、背部ユニット左に備えた2連装ロングレンジレーザー砲1門。
- ターミナス type R909(通称 キュウ・マル・キュウ)
- 人民解放軍、第303独立愚連隊所属KLF。マシュー搭乗機。機体色は赤紫。テレビシリーズの世界ではホランド搭乗機だったが、本作ではマシューが戦況に応じて適した機体を選んで搭乗している。高い性能を持つがピーキーな機体になっており、乗りこなすには優れた操縦技術が必要。武装はブーメランナイフ×2、背部ユニット左に備えたロングレンジレーザー砲1門。
- スピアヘッド SH101
- 人民解放軍所属KLF。機体色は青や赤、「ドーハの悲劇」時には黒も確認できる。腰部のスカートに飛行モジュール「サーカス・マニューバ」が組み込まれており、展開してステラー波をとらえ、リフボード無しでの飛行が可能。武装は両腕部に内蔵のブレード、近接戦用の刺突武器である頭部スピアのほか、本体装甲上をフレキシブルにスライド移動する小口径レーザー砲4門を備える。高性能機ではあるが特殊な機体のため、高度な操縦技術を有する優秀なKLFライダーの操縦が必要。
- トップドッグ type MS10 / MS20
- 人民解放軍所属の主力KLF。テレビシリーズの世界での名称は“モンスーノ”であったが、本作世界では別の名称“トップドッグ”となっている。機体色はネービーブルー。武装はブーメランナイフ×2、サドル・マウント(鞍型)弾倉式マシンガン、左右ショルダーアーマーに小型レーザー砲各1門、背部ユニットにミサイルポッドを左右各4基、計8基装備のtype MS10、ミサイルポッド(左)をロングレンジレーザー砲に換装した重装備型のtype MS20がある。
スタッフ
- 原作:BONES
- 脚本:京田知己
- 脚本協力:大塚ギチ
- 神話協力:小関章ラファエル
- キャラクターデザイン:吉田健一
- メインメカニックデザイン:河森正治
- メカニックデザイン:柳瀬敬之
- コンセプトデザイン:宮武一貴
- メインデザインワークス:コヤマシゲト
- 美術デザイン:永井一男
- デザインワークス:武半慎吾、出渕裕、高倉武史、城前龍治、矢崎優子、吉成鋼、斎藤恒徳
- モニターワークス:海老川兼武
- 武山篤、瓶子修一、三田邦彦
- グラフィックデザイン:草野剛
- 草野剛デザイン事務所、岡裕希、濱祐斗、野中愛
- 雪月花のペンダントデザイン:増井元紀([JAM HOME MADE|http://jamhomemade.com/])
- 神話イラスト:灯夢(デジタルノイズ)
- 絵コンテ:京田知己、村木靖、原口浩
- 演出:安川勝、青柳宏宣
- エンディングムービー:武山篤
- アニメーションディレクター:斎藤恒徳
- 作画監督:斎藤恒徳、肥塚正史、佐々木洋平、矢崎優子
- メカ作画監督:村木靖、森賢
- 美術監督:永井一男
- 色彩設計:水田信子
- 撮影監督:木村俊也
- 音響監督:若林和弘
- 音楽:佐藤直紀
- 主題歌:iLL「Space Rock」(Ki/oon Records)
- アニメーション制作:キネマシトラス
- 制作:ボンズ
- 製作:川城和実、鵜之澤伸、南雅彦、峯岸卓生、竹田靑滋
- 特技監督:村木靖
- 監督:原口浩
- 総監督:京田知己
- プロデューサー:南雅彦、長谷部大樹、板垣浩文、小岐須泰世、丸山博雄
- 配給=東京テアトル
- 製作:劇場版「交響詩篇エウレカセブン」製作委員会
脚注
- ^ Amazon.com(Blu-ray),Amazon.com(DVD) 2010年4月5日閲覧
- ^ "Eureka Seven Movie on DVD and Bluray!" Bandai Entertainment,21 January 2010, 2010年4月5日閲覧
- ^ DVD盤面コード BANDAI entertainment(R)26315 2010年3月3日視聴確認
- ^ 東京テアトル「エウレカセブン」、大ヒットスタート 文化通信社] 2009年4月30日閲覧
- ^ 『月刊ニュータイプ』角川書店、2008年5月1日発行、p.34
- ^ 『公式ガイドブック』吉田健一インタビュー
- ^ 2012年7月11日 - 19:54
- ^ 2012年7月11日 - 20:00
- ^ 『コンティニュー』Vol.45 京田知己70,000字独占ロングインタビュー
- ^ このためAOの制作中にはインタビューは基本断っている
- ^ 『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』Blu-ray Discブックレット完全版 『コンティニュー』Vol.46 京田知己25,000字独占ロングインタビュー 2009年5月31日新宿テアトルタイムズスクエア・満員御礼!緊急トークショー(京田知己、藤原啓二)
- ^ 2009年5月31日新宿テアトルタイムズスクエア・満員御礼!緊急トークショー(京田知己、藤原啓二)
ゲーム
本作の直接的なゲーム化ではないが、プレイステーション・ポータブル用ソフト『第2次スーパーロボット大戦 破界篇/再世篇』(前編『破界篇』2011年4月14日発売、後編『再世篇』2012年4月5日発売)では、本作に登場するキャラクター・ロボットおよびいくつかのストーリーエッセンスが使用される。前作『スーパーロボット大戦Z』にはテレビシリーズが登場していたが、テレビシリーズとは並行世界の出来事として、本作設定を再現している。
『Another Century's Episode Portable』にも登場するが、ストーリーは再現されていない。
小説版
原作BONES。杉原智則著。角川スニーカー文庫より全1巻。角川書店刊。
参考文献
- ニュータイプ・編『公式ガイドブック 交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』2009年4月 角川書店 ISBN ISBN 978-404854344-6