Wikipedia:空が青いということに出典は要る

空の色は、時間帯、局所的な状態、観測者の視点 等々によって変化します。

ウィキペディアに加筆していると、いちいち文献を調べて出典を示すのがおっくうに感じられることがあるものです。例えば、「い」ことが「当たり前」と思えている時など「そういう記述を書き加えるのに出典は必要ないサ」などと、ついつい感じられてしまうこともあります。また、自分の「常識」を書いた投稿に対して他のウィキペディアンから出典を要求されると、つい感情的になったり、あれこれ言い訳したくなったりするものです。しかし、「空は青い」というような「当たり前」と思えてしまうことがあるようなことを述べるにあたっても、ウィキペディアでは出典が必要である理由がいくつかあります。

往々にして、自分にとって「当たり前」「常識」だと思えることが、別の人にとっては「ありえないこと」であったり「一般的ではない特殊な例の強調」にすぎません。また、生い立ちなどの背景や知識、文化、経験といったものは、ひとりひとりの利用者ごとに異なります。全員の経験や知識が同等であると仮定することは、不適切でしょう。

例えば、前述の、空の色を例にとっても、実は、学者などによる百科事典の記事の説明では「空は(いつでも)青い」などとは説明していないのです。実は、「空は青い」ではなく、「空は様々な色に変化する」が百科事典らしい記述です。それと同様に、何かがあなたに「常識」だと思えても、その「常識」をそのままウィキペディアに投稿しないほうがよいのです。

また、最も明らかで最も単純な主張でさえも、それについての説明が必要な場合があります。仮に「空は明け方は赤い」に加えて「日中、空が青いことがある」という記述をするにしても、それがレイリー散乱によるものだという説明があったほうが有益な情報が増えます。なぜ空が青いのか、を説明する文献を引用すれば、さらに調べたい利用者などにとって、どの文献を調べればよいのかわかり、一層有益なことも多いでしょう。

ある記述を書くまえに、それがどんなにささいで「当たり前」であっても、まずは自分にとっての「当たり前」や「常識」を疑ってみて、ウィキペディアでは加筆する前に、あらためて様々な文献ではどう説明しているのか調べ直してみることも必要です。自分にとっての「常識」を書いてしまうことが、自分の個人的な固定観念や偏見を他人に押し付けたり伝染させてしまっているのではないか? と慎重に検討する必要もあるでしょう。また、自分の見解が仮に結果として正しい場合でも、それが他人に誤解を生じさせたり、疑義を呈される可能性がないかもよく検討したほうがよいのです。

理由[編集]

  • 例えば「空は青い」という「常識」を例にとると、ある時の自分に「青」が「常識」と思えても、空は本当は様々な性質を見せる存在で、その一面だけをとらえて、ついてっきり、空の絶対的で普遍的な性質だと自分が個人的に思いこんでいるにすぎない、というわけです。「空」に限らず、既存の百科事典の記事では、ものごとを広範囲に調べる訓練を受けた学者が書いていることが多く、そうした記事では、個人的な思い込みを離れて、広い視点からまったく別の説明のしかたがされている可能性があり、そうした記述のほうが、百科事典としては妥当なことは多いでしょう。「当たり前」と思えることであっても、投稿前にあらためて調べることで、自分個人の経験の偏り、印象の偏り、思い込みなどに気付くことができ、そうした偏りがウィキペディアの記述に入り込んでしまうことを防止するのに役立つでしょう。
  • 一見して単純で「当たり前」の「事実」に異論を唱える編集者がいるかもしれません。「空は青い」という記述は、空は頻繁に別の色を帯びるために、疑義を差し挟まれるかもしれません --- そして、疑義を挟みうる記述には、出典が必要なのです (cf. en:WP:MINREF)。
  • 当たり前のように思われる記述であっても、信頼できる文献を出典とすることで、利用者はさらなる保証を得ることが可能になります。
  • 特定の文脈においては、例えばの記事自体やレイリー散乱の記事では、空が青いことにはその原因について説明するほうが有益なことも多く、ものごとの原因や物理的機構について説明する場合は特に、投稿者が自分の個人的な推測や分析を書くよりも、その道の専門家による専門的文献に書かれている説明を出典として用いて、専門用語なども正確に記述したほうがよいでしょう。
  • 空が青く見えることがある理由は専門的なもので、もしその専門的な議論が手元の話題と関連性があるならば、その理由についての説明が求められ、そのためには出典が必要です。
  • 利用者はみな、ひとりひとり異なった経験や性質を持っていることに注意しましょう。
  • Wikipedia:日本中心にならないように に注意し、他の国の人々は同じ視点や常識を持っているとは限らないことを考慮しましょう。
  • こういう状況を考えてみましょう。あなたはスウェーデン、アメリカ、シンガポール、その他の先進国で育った男性です。あなたはウィキペディアに、「男性生殖器を女性や子供の前で露出することは一般的に児童虐待、猥褻行為、あるいは恥ずべき行いとされる」と書き込みます。こんな基本的な礼儀作法は学問的な文献には載ることさえないだろう、一般常識なのだから、と、あなたは考えるわけです。ところが、異なる文化においては、男性がこのような振る舞いをしても恥にも不名誉にも当たらないことがあるのです[1][2]。結論はこういうことです:基本的な礼儀作法のようなものについても、出典を用意しましょう。

専門的議論[編集]

問題は利用者がある事実についての知識を持っていると予期してよいかどうかではなく、問題になっている事実が、記事の主題についての専門的文献で関連する議題となっているかどうかです。

もしその主張に関する疑念で信頼できる情報源で扱われているものがあるなら、それを引用すべきです (en:WP:MINREF. Wikipedia:出典を明記する ?) 。もし関連する専門文献がわざわざその点に答えようとしていないなら(たとえば en:WP:FRINGE (主流でない少数意見) に該当し、たとえただその虚偽を暴くだけのためであったとしても、それに言及することだけで中立的な観点に適合するために)、おそらく対応するウィキペディアの記事もそれを扱うべきではないでしょう。

出典が必要でない理由について議論するより、出典を見つけるほうが楽[編集]

もしそれが本当に常識なら、出典をつけることは本当にそれほど難しくありません。例えば、この引用は空が青いということ、及び空が青いことは常識であることの両方を示しています。

A field guide notes that "the blue sky is so commonplace that it is taken for granted"[3] (「青い空はとてもありふれていて、当然のものと思われている。」)

さらにロバート・サーヴィス英語版が "while the blue sky bends above/You've got nearly all that matters"[4] といい、作詞家アーヴィング・バーリンは自分に微笑みかける青空 (Blue Skies) について書き、アメリカ空軍は青空の彼方へ行くことに言及することもできるでしょう。そして、もちろん、レイリーの論文、"On the scattering of light by small particles," Philosophical Magazine 41, 275: pp. 447–451 を引用することもできます。

「当たり前」のことがいつでも当たり前というわけではありません[編集]

あなたにとって当たり前と思われる記述に疑問が呈されたときには、その人にとってはその記述が当たり前ではないかもしれないような人(例えば外国にいる人)や、その記述が正しくない可能性のある状況を考えてみてください。

空が実際に青く見える時間は全体の半分未満です。空が青く見えないことがありうる条件には、次のようなものを挙げることができます。

  • 夜間、空は黒く見えます。レイリー散乱を引き起こす太陽の光がないと、月がのぼっているというような特定の条件下を除いては[5]、空は青くは見えません[6]
  • 雲があると空の色はぼやけます。曇りがちな天気のときは、空は白っぽかったり、灰色だったり、黒に見えることさえあります。
  • 人は色覚異常クオリアなどにより知覚する色の感じ方が異なる。
  • 明るいと暗いしか色の表現がない部族もある[7]
  • 12世紀以前の日本、13世紀以前のイギリスでは、緑も青という語で集約されていた[8]グルーのパラドックス、グルーは、緑のGreen、青のBlueから作られた造語。)。
  • 山火事のような自然災害によって空がかすみがかったようになり、橙や赤色に見えることがあります[9]
  • 聖書において、イエスはファリサイ派の人々に、"When it is evening, ye say, It will be fair weather: for the sky is red"[10] (「あなた達は、夕方には『空が赤いから、晴れるだろう』と言い」)、 と言っています。
  • 天文学者のマルセル・ミンナルトは、"At twilight, salmon reds, oranges, purples, white-yellows, and many shades of blue can be seen."[11] (黄昏時には、いろいろな色合いのサーモンレッド、橙、紫、白がかった黄色、そして濃淡様々な青をみることができる)と書いてます。
  • 作詞家のオスカー・ハマースタインは、"when the sky is a bright canary yellow."[12] (空が明るいカナリア色のとき)について書いています。
  • 地球以外の惑星では、空が青いことはまずありません (cf. Extraterrestrial skies火星の空の色は赤く、夕焼けは青い[13]。)。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ https://www.chinasmack.com/wp-content/uploads/chinasmack/2013/04/naked-man-during-the-2013-yaan-earthquake.jpg
  2. ^ https://web.archive.org/web/20130509011220/http://www.chinasmack.com/2013/more/jokes-humor/the-encyclopedia-of-embarrassment-earthquakes.html
  3. ^ Schaefer, Vincent J.; John A. Day (1998). A Field Guide to the Atmosphere. Houghton Mifflin Field Guides. ISBN 0395976316  p. 155
  4. ^ Service, Robert (1940). Collected Poems of Robert Service. G. P. Putnam's Sons. ISBN 0-399-15015-3 , "Comfort," p. 67
  5. ^ What color is the night sky?, Joseph A. Shaw, optics4kids.com
  6. ^ Franklin Evans Roach, Janet L. Gordon. The light of the night sky. Springer Science & Business, 1973 [last update]. https://books.google.co.jp/books?id=hzIEWM6NzLAC&pg=PA1&dq=is+the+sky+blue+at+night&hl=en&ei=_cOZTe-7MYuq8APLpPXWDA&sa=X&oi=book_result&ct=result&redir_esc=y#v=onepage&q=is%20the%20sky%20blue%20at%20night&f=false 2013年6月4日閲覧。 
  7. ^ パプアニューギニアのダニ族の言語には色の名前が2つしかないというが、何色と何色なのか?『ことばと思考(岩波新書新赤版1278)』今井むつみ著(岩波書店 2010.10)のp.21に、世界中の言語の調査で色の名前の数がもっとも少ない言語だと書かれている。 国会図書館レファレンス協同データベース
  8. ^ https://doi.org/10.24636/vision.31.4_114
  9. ^ NYの空はなぜオレンジに?健康への影響は?カナダの山火事をQ&Aで解説”. フォーブス。forbesjapan.com (2023年6月8日). 2023年11月6日閲覧。
  10. ^ マタイによる福音書 16:2 (King James version)
  11. ^ Minnaert, M. G. J. (1993) [1974]. Light and Colour in the Outdoors. Springer-Verlag. ISBN 0-387-97935-2  p. 295
  12. ^ Bauch, Marc. American Musical. Tectum Verlag. ISBN 382888458X  p. 42
  13. ^ 火星の青い夕焼け、キュリオシティーが撮影”. www.afpbb.com (2015年5月14日). 2023年7月29日閲覧。