虎の尾を踏む男達

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
虎の尾を踏む男達
The Men Who Tread on the Tiger's Tail
監督 黒澤明
脚本 黒澤明
製作 伊藤基彦
出演者 大河内傳次郎
藤田進
榎本健一
音楽 服部正
撮影 伊藤武夫
編集 後藤敏男
製作会社 東宝
配給 東宝
公開 日本の旗 1952年4月24日
上映時間 59分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
テンプレートを表示

虎の尾を踏む男達』(とらのおをふむおとこたち、英題:The Men Who Tread on the Tiger's Tail)は、1945年(昭和20年)製作、1952年(昭和27年)4月24日公開の日本映画である。東宝製作・配給。監督は黒澤明モノクロスタンダード、59分。

の『安宅』を下敷きにした歌舞伎勧進帳』を題材に、義経弁慶一行の安宅の関所越えを描いた。本作オリジナルの登場人物・強力役に榎本健一をキャスティングしたことで、大河内傳次郎の重々しい演技が象徴する義経一行の悲壮感の中に滑稽味が加味されている。また、能の地謡にあたる部分を洋楽のコーラス風にアレンジしており、コメディとしてもパロディーとしても十分鑑賞に耐えうる作品となっている。黒澤初の時代劇映画となるが、終戦の前後に製作されたため、検閲によって公開は7年後の1952年(昭和27年)となった。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

製作・公開[編集]

企画時は太平洋戦争末期にあたり、軍部の検閲フィルムなどの消耗品の統制も厳しくなっていた。はじめ桶狭間の戦いをモチーフにした『どっこいこの槍』に取り掛かっていたが、多くの馬を用いるため立ち消えとなり、それでは、「映像・内容ともに簡単な(シーンが3つしか無い)この作品から撮ろう」という理由から本作の撮影が開始された。撮影所の裏山で撮影された。

撮影中に終戦を迎えたため、クランクアップの頃は進駐軍軍人が撮影現場を見物に訪れる事があり、記念撮影をしたがる彼らのために撮影が滞る事も度々であった。その中には当時進駐軍の将官だった映画監督のジョン・フォードもおり[1]、後年フォードと会った際に本人からその事を教えられた黒澤は大いに驚いたと言う。

一方、終戦直後に日本の検閲官がこの作品に対し、「日本の古典的芸能である歌舞伎の『勧進帳』の改悪であり、それを愚弄するものだ」「とにかくこの作品はくだらんよ」と言いがかりをつけ、黒澤は激怒し、「くだらん奴が、くだらんという事は、くだらんものではない証拠で、つまらん奴がつまらんという事は、大変面白いという事でしょう」と反論した。そのため検閲官は撮影中の日本映画の報告書からこの作品を削除し、「未報告の非合法作品」として封じられたが、それより3年後、GHQの映画部門の担当官が、その映画を面白がり、上映禁止を解除した[2]。上映がGHQ指令により遅れたという説があるが、本作の初上映はサンフランシスコ講和条約締結効力発生の1952年(昭和27年)4月28日より4日早い4月24日である。

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 都築政昭『黒澤明 全作品と全生涯』、東京書籍、2010年、p.126
  2. ^ 黒澤明著『蝦蟇の油』、岩波書店、1984年、p.300-304

関連項目[編集]

外部リンク[編集]