白痴 (1951年の映画)

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白痴
Hakuchi poster.jpg
監督 黒澤明
脚本 久板栄二郎
黒澤明
原作 フョードル・ドストエフスキー
製作 小出孝
出演者 森雅之
原節子
三船敏郎
久我美子
音楽 早坂文雄
撮影 生方敏夫
編集 杉原よ志
配給 松竹
公開 日本の旗 1951年5月23日 (182分版プレミア上映)[1]
日本の旗 1951年6月1日 (166分版一般公開)[1]
上映時間 166分(現存版)
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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白痴』(はくち)は、1951年に公開された日本映画である。監督は黒澤明。原作は19世紀のロシアを舞台としたドストエフスキーの小説 『白痴』で、本作では昭和20年代の札幌に舞台を置き換えている。当初の上映時間は265分だったが、製作した松竹の興行上の都合で166分にまで短縮された。

ストーリー[編集]

亀田と赤間は北海道へ帰る青函連絡船の中で出会った。亀田は沖縄戦犯として処刑される直前に人違いと判明して釈放されたが、そのときの後遺症でてんかん性の白痴にかかってしまっていた。札幌へ帰ってきた亀田は、狸小路の写真館のショーウィンドーに飾られていた那須妙子の写真に心奪われる。しかし、妙子は政治家に愛人として囲われていた。裕福な大野の娘の綾子と知り合った亀田は、白痴の症状こそあるものの性格の純真さや善人さから綾子と妙子に愛され、彼女たちの間で激しく揺れ動く。3人の異質な恋愛は、周囲の人々を次々に巻き込んでゆくこととなる。

キャスト[編集]

カッコ内は原作に相当する登場人物。

スタッフ[編集]

製作[編集]

脚本は黒澤明久板栄二郎の共同執筆で、熱海の旅館で1ヶ月近くかけて執筆作業を行った[2]。製作は松竹大船撮影所で行われ、助監督に中平康野村芳太郎などが付いた。野村は最終的に黒澤からシーンの可否の判断まで求められるようになり、黒澤は「大船に過ぎたるものふたつ。(編集の)杉原よ志に野村芳太郎」と語ったという[3]1950年12月初旬に撮影準備を開始し、翌1951年2月12日に北海道ロケーションで撮影開始した[4]。3月10日過ぎまで札幌市でロケを行い、3月20日頃から松竹大船撮影所でセット撮影を行ったあと、5月中旬に撮影終了した[4]

公開[編集]

黒澤が完成させた当初は、上映時間が4時間25分もあり、前後編2部作になる予定だった[5]。しかし、松竹副社長の城戸四郎は試写を見たあとに撮影所長を叱りつけ、興行的に不利だとして短縮を命じた[5]。プロデューサーの小出孝は、これを黒澤に伝えることができず、自分の責任でカットすることも検討したというが、結局野村が黒澤に伝えた[3]。黒澤は渋々3時間2分に再編集したが、さらに短縮するよう要求された。激怒した黒澤は、山本嘉次郎宛ての手紙に「こんな切り方をする位だったら、フィルムを縦に切ってくれたらいい」と訴えたという[6]。この3時間2分版は、1951年5月23日から東京劇場で3日間だけ上映された[5][1]。しかし、同年6月1日に一般公開されたのは、松竹が再々編集した2時間46分版で、オリジナル版は現存していないとされている[5][1]

その他[編集]

  • 中島公園の氷上カーニバルをはじめ、現在は失われた昭和20年代の札幌市の文化・風俗が記録されている貴重な映像資料でもある。
  • 黒澤はある時期に、本作が「おれの中でいちばん好きだよ」と淀川長治に告げている[7]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 浜野保樹「黒澤明 関連年表」『大系黒澤明』第4巻、講談社、2009年4月、 811-812頁、 ISBN 9784062155786
  2. ^ 久板栄二郎「新劇ぎらい…思想を鼻にかけるのも大きらい」『キネマ旬報セレクション 黒澤明』、キネマ旬報社、2010年4月、 103-107頁、 ISBN 9784873763293
  3. ^ a b 阿部嘉典『「映画を愛した二人」黒澤明 三船敏郎』報知新聞社、1996年1月、72-75頁。ISBN 9784831901125
  4. ^ a b 「製作メモランダ」『全集黒澤明』第3巻、岩波書店、1988年1月、 369頁、 ISBN 9784000913232
  5. ^ a b c d 浜野保樹「解説・黒澤明の形成―『白痴』」『大系黒澤明』第1巻、講談社、2009年10月、 711-712頁、 ISBN 9784062155755
  6. ^ 黒澤明研究会編 『黒澤明を語る人々』 朝日ソノラマ、2004年9月、26頁。ISBN 9784257037033 
  7. ^ 『淀川長治映画塾』講談社〈講談社文庫〉、1995年2月、592頁。ISBN 9784061858954

外部リンク[編集]