色部

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康熙字典 214 部首
艮部 色部 艸部
1 丿 2
3
广
4
5
6
7
8
9
10 11 鹿
12 13 14 15
16 17

色部しょくぶは、漢字部首により分類したグループの一つ。 康熙字典214部首では139番目に置かれる(6画の22番目、未集の最後、22番目)。

概要[編集]

怒りの表情

色部には「色」を筆画の一部として持つ漢字を分類している。

単独の「色」字は顔の表情を意味する。また女性の美貌、、景色、女性への欲情などを意味する。後起義として仏教用語に使われ、「心」に対して人に感覚をもたらす存在を意味する。

字源としては、「色」字は「爪」と「卩」からなる会意文字である。その本義は明らかではないが[1][2]、近年では、同じく「爪」と「卩」からなる会意文字である「印」字から分化したものと考えられている[3][4][5]。なお『説文解字』では「人」+「卩」と分析されており、それにもとづいて跪いた人が立っている人の顔色を窺う姿であるとか、男女が抱き合う姿であるとか、後背位で性交する姿であるといった説があるが、金文の形を見ればわかるようにこれは誤った分析である。

「色」は意符としては顔の表情に関する文字に含まれることがある。「色」は右側の旁の位置に置かれることが多い。

なお日本の新字体・中国の新字形で「」字に「色」が使われているが、元々は「刀」+「巴」の「」で別字である。

部首の通称[編集]

  • 日本:いろ
  • 韓国:빛색부(bit saek bu、いろの色部)
  • 英米:Radical color

部首字[編集]

例字[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 黄徳寛 (2007), 古文字譜系疏証, 北京: 商務印書館, p. 276, ISBN 978-7-100-05471-3 
  2. ^ 林志強等 (2017), 《文源》評注, 北京: 中国社会科学出版社, pp. 184–5, ISBN 978-7-5203-0419-1 
  3. ^ 禤健聡 (2014). "釈"□"併論"印""卬""色"諸字". 中山大学学報(社会科学版). 2014 (1): 74–9.
  4. ^ 季旭昇 (2014), 説文新証, 台北: 芸文印書館, pp. 711–2, ISBN 978-957-520-168-5 
  5. ^ 金俊秀 (2016). "色字上古声母考". 中国言語研究. 65: 1–31.