漫画村

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漫画村(まんがむら)は、海賊版漫画ビューアサイト。違法性が指摘されており、2018年4月17日から接続ができなくなっている。

概要[編集]

2016年に「登録不要で完全無料な」漫画サイトとして開設された。違法コピーされた書籍をインターネットブラウザ上で誰でも無料で読むことができた。漫画の他に、雑誌、小説、写真集の海賊版を掲載していた[1]

2017年から口コミで利用者が急激に伸び、2018年1月にはWebサイト分析ツール「SimilarWeb」の調べで月間利用者数が約9892万人、日本国内のサイトランキングではlivedoorなどの大手サイトを超え31位となり[2]、その影響規模の大きさから社会問題として話題になり始めた。

違法性[編集]

2018年2月9日、衆院予算委員会で丸山穂高議員が漫画村の名前を挙げて、著作権に関する違法性について質問した。また、2月13日には日本漫画家協会が漫画村を念頭に海賊版サイトについての見解を発表[3]、2月16日には、漫画家の交流団体・マンガジャパンが漫画村を名指しして利用者にアクセスしないよう求める声明を発表した[4]

このような動きに対して2018年3月、漫画村運営者は「漫画家さんが無料で広告してくれた」とコメントを出し、有料プランを発表した[5]

日本政府は漫画村を念頭に海賊版サイトへの接続を遮断する措置を検討し[6]、2018年4月13日に「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策(案)[7]」を発表。漫画村による出版社の被害額が約3000億円に上ると推計されることから、緊急的な措置として、漫画村を含む悪質性の高い3サイトに対してブロッキングを行うよう、インターネット接続業者に要請した[8]。2018年4月17日、株式会社ジーニーは同社が開発した広告配信システムから悪質性の高い3サイトへの広告配信を停止したことを発表した[9]

ブロッキングの発表に前後して2018年4月11日、漫画村は接続が不安定になりアクセスできない状態が続いていており[10]、4月17日午後3時32分からは接続不能となった[11]。海賊版漫画の画像データが保管されていた、運営側のみが操作できる別のサーバーへの接続もできなくなっていたため、運営側が自ら閉鎖したと推測されている[11]

2018年5月14日、福岡県警察著作権法違反容疑で捜査を開始したことを複数のメディアが報じた[12][13]。講談社などの複数の出版社が2017年に、著作権を侵害されたとして海賊版サイトを同法違反容疑で刑事告訴した[12]

運用とその問題[編集]

漫画村は国交のない、著作権が保護されない国で運営されているため、閲覧者・アップロード者問わず違法性はないと主張している[1]

大量のアクセスに対処するために大手CDNサービスCloudflareを利用しているが、海賊版サイトの運営を手助けしている形のCloudflareに対して批判が高まっている[14]

収入源として、広告の配置や、仮想通貨マイニングのスクリプトの設置をしているが、利用者がセキュリティーのリスクにさらされる危険性が専門家に指摘されている[15]

漫画村が起こしたブロッキング議論[編集]

悪質サイトに対するブロッキング要請を日本政府が検討していたことに対し、日本インターネットプロバイダー協会は、「通信の秘密の侵害」に当たるとして反対の声明を発表。要請があっても原則応じることはできないとした[16]

また、情報法制研究所は、政府が特定のサイト名を挙げてブロッキングを要請することは、憲法が禁止する検閲にあたるおそれがある、と緊急提言した[17]

インターネットコンテンツセーフティ協会は、児童ポルノに対するブロッキング対応と比べて、慎重なプロセスを飛ばした拙速な点を憂慮するとし、ブロッキングには立法に向けて十分な議論がなされるべきだと声明を発表した[18][19]

一方で、日本政府は「あくまで法制度整備が行われるまでの臨時的かつ、緊急的な措置」であると説明[20]

漫画村から大きな被害を受けていた講談社集英社は政府の対策措置を歓迎し、「ISPの協力が不可欠」「海賊版対策において大きな前進」と評価した[21]

NTTのブロッキングによる議論[編集]

2018年4月23日、NTTグループはコンテンツ事業者団体からの要請、および政府の閣僚会議で決定された「インターネット上の海賊版対策に関する進め方について[22]」に基づき、海賊版3サイトに対するブロッキングを準備が整い次第実施すると発表した[23]。具体的にはNTTコミュニケーションズNTTドコモNTTぷららのISP提供3社が、漫画村とAnitubeMiomioの海賊版とされる3社に対し実施する[24]

この判断について、NTT社長の鵜浦博夫は5月11日の記者会見で、「ネットの自由を守るため、無法地帯にしない取り組みが必要」と述べ、さらに「政府の検閲とかそういうのは私も大嫌い」とした上で「ネット社会の自由やオープン性を守るために、無法状態で放置しておきたくない。なんらかの取り組みをしたいという思いがあった」とブロッキングに踏み切った理由について述べている[25]

ブロッキングについては前述した日本インターネットプロバイダー協会が反対の姿勢を示しているが[24]、このNTTのブロッキング発表を受け、団体や個人による抗議、訴訟が行われた。

2018年4月25日、全国地域婦人団体連絡協議会主婦連合会が「強く抗議するとともに、ブロッキングを行わないことを求める」との意見書を発表した[26][27]。両会はNTTと前述のISP提供3社を含めた4社について、「具体的な事実および法的根拠を示さず」海賊版3サイトを対象としたブロッキングを行うことは「電気通信サービスの利用者の『通信の秘密』(憲法第21条第2項、電気通信事業法第4条第1項)を侵害するものです」としている。

2018年4月26日、NTTコミュニケーションズと個人でプロバイダ契約を結んでいる埼玉県の男性弁護士が、同社に対しブロッキングの差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こした[28]。同弁護士はブロッキングは電気通信事業法に違反し「通信の秘密」を侵害するものだと主張した[28]

出典[編集]

  1. ^ a b 漫画村とは - 2018年4月17日時点でのアーカイブ
  2. ^ 海賊サイト「漫画村」10〜20代の意識調査 「存在を知っていても購入する」が7割”. KAI-YOU (2018年1月20日). 2018年4月15日閲覧。
  3. ^ 海賊版サイトについての見解”. 公益社団法人日本漫画家協会 (2018年2月13日). 2018年4月15日閲覧。
  4. ^ 「漫画村」についての見解”. 一般社団法人マンガジャパン (2018年2月16日). 2018年4月15日閲覧。
  5. ^ 定額で漫画読み放題!?漫画村の機能アップ版-漫画村プロ- - 2018年4月17日時点でのアーカイブ
  6. ^ “漫画の海賊版サイトも遮断検討 アクセス増で半年6億人”. 朝日新聞. (2018年4月11日). https://www.asahi.com/articles/ASL4B5KFGL4BUTIL032.html 2018年4月15日閲覧。 
  7. ^ インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策(案)”. 首相官邸 (2018年4月13日). 2018年4月15日閲覧。
  8. ^ 海賊サイトブロッキング、対象は「漫画村」「Anitube」「Miomio」の3サイト 法整備に伴い“静止画ダウンロード違法化”も視野に”. ねとらぼ (2018年4月13日). 2018年4月15日閲覧。
  9. ^ 政府が発表した海賊版サイトへの対応に関するお知らせ” (日本語). 株式会社ジーニー Geniee,Inc.. 2018年4月22日閲覧。
  10. ^ 海賊版サイト「漫画村」がアクセス不能に--「閉鎖した」との声も”. CNET Japan (2018年4月11日). 2018年4月15日閲覧。
  11. ^ a b 海賊版サイト「漫画村」に接続できず 運営側自ら閉鎖か”. 朝日新聞デジタル (2018年4月17日). 2018年4月19日閲覧。
  12. ^ a b 海賊版サイト捜査開始=著作権法違反容疑-福岡県警など - 時事通信(2018年5月14日配信、2018年5月14日閲覧)
  13. ^ 「漫画村」著作権法違反の疑いで捜査 福岡県警など - 日本経済新聞(2018年5月14日配信、2018年5月14日閲覧)
  14. ^ “日本国内の設備から海賊版サイトを配信する米Cloudflareブロッキングを無効化する新サービス開始”. Yahoo!ニュース 個人. (2018年4月8日). https://news.yahoo.co.jp/byline/kusunokimasanori/20180408-00083736/ 2018年4月15日閲覧。 
  15. ^ 漫画の危機!? 海賊版サイトの実態”. NHK生活情報ブログ (2018年3月1日). 2018年4月15日閲覧。
  16. ^ 海賊版サイトへの対策として政府がブロッキング(接続遮断)を要請することについて (PDF)”. 一般社団法人 日本インターネットプロバイダー協会 (2018年4月12日). 2018年4月16日閲覧。
  17. ^ インターネット上の漫画海賊版サイトのブロッキング要請に対するEMAの意見 (PDF)”. 一般社団法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構 (2018年4月11日). 2018年4月16日閲覧。
  18. ^ 著作権侵害サイトへのブロッキングに関する声明 | お知らせ”. インターネットコンテンツセーフティ協会 (2018年4月11日). 2018年4月15日閲覧。
  19. ^ “海賊版サイトのブロッキング、業界団体から懸念続々 「通信の秘密を侵害」「検閲に当たる恐れ」”. ITmedia NEWS. (2018年4月11日). http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1804/11/news113.html 2018年4月20日閲覧。 
  20. ^ “「あくまで臨時的かつ、緊急的な措置」 海賊版サイトへのアクセス遮断許可について菅官房長官が説明”. ハフポスト日本版. (2018年4月13日). https://www.huffingtonpost.jp/2018/04/12/press-conference-suga_a_23410110/ 2018年4月15日閲覧。 
  21. ^ “出版業界、政府の海賊版サイト対策を歓迎 講談社など緊急声明「ISPの協力が不可欠」”. ITmedia NEWS. (2018年4月13日). http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1804/13/news124.html 2018年4月15日閲覧。 
  22. ^ インターネット上の海賊版サイトに対するブロッキングの実施について (案) - 知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議(2018年4月13日配信、2018年5月14日閲覧)
  23. ^ インターネット上の海賊版サイトに対するブロッキングの実施について - NTT公式サイト(2018年4月23日配信、2018年5月14日閲覧)
  24. ^ a b NTTグループ3社、「漫画村」など海賊版サイトをブロッキングへ - ITmedia(2018年4月23日配信、2018年5月14日閲覧)
  25. ^ NTT社長、海賊版サイト遮断「犯罪行為放置しない - 日本経済新聞(2018年5月11日配信、2018年5月14日閲覧)
  26. ^ 全地婦連、ブロッキング実施のNTTらに対し「刑事告発も辞さない」 - ITmedia(2018年4月25日配信、2018年5月14日閲覧)
  27. ^ NTTグループ「インターネット上の海賊版サイトに対するブロッキングの実施について」に対する意見書 - 全国地域婦人団体連絡協議会(2018年4月25日配信、2018年5月14日閲覧)
  28. ^ a b 「ブロッキングは違法」中澤佑一弁護士がNTTコムを提訴 - 弁護士ドットコム - (2018年4月26日配信、2018年5月14日閲覧)

関連項目[編集]