ヤーコン

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ヤーコン
ヤーコンの貯蔵根
ヤーコンの貯蔵根
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : 真正キク類II euasterids II
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : キク亜科 Asteroideae
: メナモミ連 Millerieae
: スマランサス属 Smallanthus
: ヤーコン S. sonchifolius
学名
Smallanthus sonchifolius
(Poepp. & Endl.) H. Rob.
シノニム
英名
Yacón

ヤーコン: Yacón学名: Smallanthus sonchifolius)はキク科スマランサス属英語版[1]多年草フラクトオリゴ糖英語版が多く、ナシのような食感と甘みがあり、食用にされる。ヤーコンを「アンデス・ポテト」と呼ぶ例もあるが、同じくアンデス産のジャガイモと紛らわしく、不適当である。

形態・生態[編集]


植物体

ヤーコンは多年生の草本で,高さは1~2.5メートルになる。種子や挿し芽苗から育てると最初は1本の茎からなり分枝が生じる。塊茎から育てた場合には数本の茎立ちが生じる。茎は円筒状で毛があり、骨ばっていて緑色ないしは黄色を呈する。

塊根

塊根はサツマイモの塊根とよく似た大きさと形状を示す。品種、栽培条件により変動するが、1個の塊根は50~1,000gの範囲にあり、大部分は300~600gの範囲に入る。1株に着く塊根の重さは2~5㎏、多いときは6㎏である。

葉は節ごとに対生し、交互に直角を成している。葉身は三角形、矢尻形、ないしはハート形で、長さは40㎝から50㎝に達するものもある。開花までにそれぞれの茎は20~23対の葉を分化し、開花後は小さな葉だけが分化する。

花序

花枝は最後の分枝であり、頭状花と呼ばれる花序が着く。原産地のペルーではそれぞれの花枝には20~40の頭状花が着生し1個体では20~800の頭状花が着くが、日本では開花が晩秋となるため、花数は少ない。個々の頭状花は雌花と雄花によって構成されている。雌花は外側に輪生し黄色の舌状花である。雄花は筒状でより小さく、花托の内側に輪生している。総苞は釣鐘型の半球形で総苞の苞葉(5~6)は花托を1層で取り囲んでいる。それぞれの頭状花には14~16の雌花と80~90の雄花が着き、雌花は雄花より早く開き早くしぼむ。

雌花

雌花の花冠は5枚の花弁からなる合弁花冠で、このうち3枚の花弁が舌状花を形成し、他の2枚の花弁は退化している。雌しべ(花柱)を取り囲んで、その基部の子房の上に冠毛が付着している。舌状花は11~14mmで、その形はヤーコンの生殖質を判別する形質として用いられる。花柱の上部は2つに分かれて柱頭となっている。子房は紡錘形ないしは円錐形で紫色を呈する。

雄花

雄花は周辺から始まって内側へと開花する。花冠は融合した5枚の花弁からなる合弁花で5角形の筒を形成し外面には密な毛がある。5本の雄しべがあり、開葯に際しては花冠から黄色の花糸が抽出する。花粉粒は球形でとげがあり、つやのある黄色で粘着力があり、直径は20~30ミクロンである。

果実(種子)

果実は痩果で複数の心皮を持つ子房から発生する。痩果は丸みがかったピラミッド型で、平均すると長さは3.7ミリ、幅は2ミリ程度、100粒重は0.6~1.2gである。種子は無胚乳で、すべての貯蔵物質は子葉に存在する。日本の自然条件では果実(種子)はほとんど得られない。

ヤーコンの特徴[編集]

1. 作物として

ヤーコンは南米アンデス地帯の原産で、先住民によって紀元前から利用されてきた。適応性が広く、粗放な栽培にも耐えて作りやすい作物である。1株から3~6㎏の塊根(いも)が収穫できるので、家庭菜園で数株植えつければ自家消費をまかなうことができる。収穫物としては、塊根(いも)と葉が利用される。1984年に日本に導入され、健康野菜としてのさまざまな機能をもつことがが解明された。

2. 利用部位とその特徴

(1) 塊根(いも)      

  1. 糖質の大部分はフラクトオリゴ糖で、デンプンはほとんど含まれていない。このフラクトオリゴ糖含量はこれまで知られている作物の中で最も高い。
  2. 可溶性の食物繊維が多く含まれている。
  3. フラクトオリゴ糖は、難消化性で腸内菌叢や脂質改善の効果を持つことで知られている。したがって食物としてはダイエット効果があり、食物繊維とあいまって便秘を改善し、さらに血液や血行を正常に保つことが期待される。
  4. ポリフェノール含量が高く、抗酸化作用があることが証明されていて発ガン予防の効果も期待されている。
  5. 他のいも類と同様に、カリウム含量が高く、高血圧対策としての役割が期待される。

(2)葉

  1. 強い抗酸化作用を示す物質が含まれている。
  2. 熱湯抽出液は食後血中糖度の上昇を抑える作用があり、インシュリン様の効果を示す。
  3. 熱湯抽出液にはウーロン茶と併用することで、体脂肪と体重の増加を抑える効果があることが動物実験で示されている。
  4. ヤーコン茶は、体重・体脂肪の減少、糖尿病やガンの予防の効果が期待されている。ヤーコン茶の服用で便秘を解消したという人もいる。

分布[編集]

南米アンデス山脈地方原産。

日本に最初に導入されたのは、1970年代に南米から朝鮮民主主義人民共和国を経由したものであったが、定着しなかった。その後、1985年ニュージーランドで栽培されていたものが1万株輸入され、現在日本で栽培されているものはこれから増殖されたものである。最近、この苗の原種ペルーから無断で持ち出されたものであるとして、各所にペルー政府から警告書が届いている。日本での栽培普及は、茨城大学農学部の月橋輝男らの研究グループの、機能性食品としての研究活動と深く結びついており茨城県阿見町で日本で初めて栽培に成功した。その後、日本各地でも栽培と、食品としての利用が広がりつつある。

人間との関わり[編集]

モチェ文化のヤーコン型器具

アンデス山脈一帯では、伝統的に先住民によって、よく知られたナス科のジャガイモのほか、カタバミ科など様々なにまたがった状の根菜類が栽培化されてきたが、ヤーコンもそのひとつである[2]

塊根は貯蔵栄養素としてデンプンではなくフラクトオリゴ糖を大量に蓄積しており、収穫後1-2か月の保存によって分解してオリゴ糖となり、甘みが生じる。生で食べると、かすかにポリフェノールに起因する渋みを感じるものの、甘くしゃきしゃきした、ナシ果実に近い食感を持つ[3]。そのため生食もされ、中華人民共和国では「雪蓮果」の商品名で主に果実店で売られている。また、炒める煮る揚げるなどの加熱調理もされる。加熱すると、加熱したヤマイモに似た食感となる。

食用としての伝統は日本では浅いため、食材そのものとしてよりも、豊富に含まれるフラクトオリゴ糖が乳酸菌の増殖に寄与する、プロバイオティクスの整腸作用や、作用メカニズム不明の血糖値抑制効果などの健康に対する効果が注目され、一種の機能性食品と扱われる傾向が強い。

農村の地域おこしのための特産品として、ヤーコン自体やそれを使用した食品の商品化が進められている地域もある。茨城大学農学部がある茨城県阿見町では、1999年より「あみだいち(ヤーコンマドレーヌ)」、「あみそだち(ヤーコンブッセ)」、「ヤーコン健康まんじゅう」「ヤーコンリーフサブレ」、「ヤーコンパウンドケーキ」、「ヤーコンかき揚げそば」「ヤーコンかき揚げ丼」などが販売されている。また、つくば市では、乾燥ヤーコンや水出しヤーコン茶などの製品化に成功した。北海道置戸町では発泡酒「ヤーコンドラフト」を開発し、販売している。福島県天栄村でも三大特産品としてPRしておりヤーコン茶やヤーコンうどん、ヤーコンカレーなどを販売している。大阪府豊能町でもヤーコンの特産品化計画が進められている。

プロトカテク酸クロロゲン酸コーヒー酸フェルリン酸などを含み、プロバイオティクスに役立つと考えられ、煎じて一種のハーブティーとして利用される。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 種苗法施行規則”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2013年5月10日). 2013年11月16日閲覧。
  2. ^ 地域食材大百科』 389頁。
  3. ^ 地域食材大百科』 393頁。

参考文献[編集]

  • 『地域食材大百科 第1巻(穀類・いも・豆類・種実)』農山漁村文化協会編、農山漁村文化協会、2010年。ISBN 978-4-540-09261-9

関連項目[編集]

外部リンク[編集]