ビフィズス菌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ビフィドバクテリウム属
Bifidobacterium adolescentis Gram.jpg
Bifidobacterium adolescentis
分類
ドメ
イン
: 細菌 Bacteria
: 放線菌門
Actinobacteria
: 放線菌綱
Actinobacteria
亜綱 : 放線菌亜綱
Actinobacteridae
: ビフィドバクテリウム目
Bifidobacteriales
: ビフィドバクテリウム科
Bifidobacteriaceae
: ビフィドバクテリウム属
Bifidobacterium
学名
Bifidobacterium
Orla-Jensen 1924
下位分類(種)
  • B. bifidum(基準種)
他に約42種9亜種(2013年12月現在)

ビフィズス菌とはグラム陽性偏性嫌気性桿菌の一種で、放線菌Bifidobacteriales目Bifidobacterium属に属する細菌の総称。また、本菌属の基準種でもあるビフィドバクテリウム・ビフィドゥム Bifidobacterium bifidumのみを指すこともある。

概要[編集]

全ての動物の腸内に生息し、人間の腸管にはB. bifidumB. breveB. infantis (B. longum subsp. infantis に再分類)、B. longumB. adolescentisの5種が棲息する。

特に母乳栄養便に多く存在する。正常な母乳栄養児の腸内細菌叢はビフィズス菌が極めて優勢である。腸内のビフィズス菌を旺盛にするために、母乳に含まれる乳糖オリゴ糖などが有効である[1]

1899年、フランスパスツール研究所のティシエによって乳児の糞便中より発見された。V字やY字に分岐した特徴的な形より、ラテン語で「二又の」を表すビフィドゥスbifidusという語が採用され、当初はバキルス・ビフィドゥスBacillus bifidusと呼ばれた。「ビフィズス」という名称はこのときの種形容語に由来する。1924年にはビフィドバクテリウム属Bifidobacterium(bifidusと「細菌」を意味するバクテーリウムbacteriumの合成語)が新設されBifidobacterium bifidum Orla-Jensen 1924 として再分類された。その後、本菌以外のビフィドバクテリウム属の細菌も同様にヒトの腸内細菌として、同様の役割を担っていることが明らかになり、ビフィドバクテリウム属に属する細菌の総称(= Bifidobacterium spp. あるいは bifidobacteia)としても、ビフィズス菌が用いられている。

ビフィズス菌は、糖を分解して乳酸酢酸を作るヘテロ乳酸菌の仲間でもある。

菌種[編集]

  • B. actinocoloniiforme
  • B. adolescentis - ヒトにも分布。
  • B. aerophilum
  • B. aesculapii
  • B. angulatum - ヒトにも分布。
  • B. animalis
    • subsp. animalis
    • subsp. lactis
  • B. aquikefiri
  • B. asteroides - ミツバチの腸管から単離。高いO2耐性を持つ。
  • B. avesanii
  • B. biavatii
  • B. bifidum - 1899年フランスのH.ティシエが発見した基準種。ヒトにも分布。
  • B. bohemicum
  • B. bombi
  • B. boum - ウシのルーメンから単離。微好気性。
  • B. breve - 1963年ドイツのG.ロイターが発見。ヒトにも分布。
  • B. callitrichos
  • B. catenulatum - ヒトにも分布。
  • B. choerinum
  • B. commune
  • B. coryneforme
  • B. crudilactis
  • B. cuniculi
  • B. denticolens
  • B. dentium - ヒトにも分布。
  • B. eulemuris
  • B. faecale
  • B. gallicum - ヒトにも分布。
  • B. gallinarum
  • B. hapali
  • B. indicum
  • B. inopinatum
  • B. kashiwanohense
  • B. lemurum
  • B. longum
    • subsp. longum - ヒトにも分布。
    • subsp. infantis - ヒトにも分布。
    • subsp. suis
  • B. magnum
  • B. merycicum
  • B. minimum
  • B. mongoliense - 2009年ヤクルト中央研究所がモンゴルの馬乳酒アイラグから発見したと発表。
  • B. moukalabense
  • B. myosotis
  • B. parvulorum
  • B. pseudocatenulatum - ヒトにも分布。
  • B. pseudolongum
    • subsp. pseudolongum
    • subsp. globosum
  • B. psychraerophilum
  • B. pullorum
  • B. ramosum
  • B. reuteri
  • B. ruminale
  • B. ruminantium
  • B. saeculare
  • B. saguini
  • B. scardovii - ヒトの血液から単離。
  • B. simiae
  • B. stellenboschense
  • B. subtile
  • B. thermacidophilum
    • subsp. thermacidophilum
    • subsp. porcinum
  • B. thermophilum - ウシのルーメンから単離。
  • B. tissieri
  • B. tsurumiense

効果[編集]

ビフィズス菌は、乳糖やオリゴ糖などを分解して乳酸や酢酸を産生して腸内のpHを顕著に低下させ[2]善玉菌として腸内の環境を整えるほか、花粉症などアレルギー症状の緩和にも貢献していることが分かってきた[3]。乳幼児に多いロタウイルスによる感染性腸炎の抑制をする可能性が報告されている[4]

ビフィズス菌は、ビタミンB1ビタミンB2ビタミンK、その他ビタミンB群を生成する[1]

ビフィズス菌の食品利用[編集]

伝統的な発酵食品の中にはビフィズス菌も混入している物もあるが、明示的な利用は1948年ドイツのマイヤーが製造した発酵乳が世界初である。

発酵乳食品には主にビフィダム種、ブレーベ種、ロンガム種、インファンティス種など、ヒトに分布していないものでは酸に強いラクティス種が多く用いられる。

出典[編集]

  1. ^ a b 相川清「ビフィズス菌の応用研究」『腸内細菌学雑誌』Vol. 12 (1999) No. 2。doi:10.11209/jim1997.12.73
  2. ^ 森下芳行「腸内細菌を健康に活かすプロバイオティクスとプレバイオティクス」『日本食物繊維研究会誌』Vol. 4 (2000) No. 2. doi:10.11217/jjdf1997.4.47
  3. ^ 辨野義己『ビフィズス菌パワーで改善する花粉症』講談社、2007年1月。
  4. ^ 荒木和子、篠崎立彦、入江嘉子、宮澤幸久「ビフィズス菌のロタウイルス感染に対する予防効果の検討」『感染症学雑誌』Vol.73 (1999) No.4 P305-310, doi:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.73.305

関連項目[編集]

外部リンク[編集]