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麺類から転送)
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生麺(ラーメン)
麺の成形法の一つである麺切り(ソバ)

(めん)とは、食品の一種。小麦粉(あるいは、蕎麦粉米粉など各種の穀類の粉やデンプンなど)になどを加えた生地を細く長くしたものである。

概要[編集]

日本では、小麦蕎麦などを製粉し、水などを加えて混練してから主に細長い形に加工した食品を麺または麺類と呼ぶ。また後述されるように、コンニャク海藻など材料が何であっても、形状により「麺」として扱われる[1]。 麺は当用漢字になかったため、法令では平仮名で「めん」と書かれる(「カップめん」など)。

世界各地には、様々な食材を原料とした多種多様な麺が存在している。また調理法においても、茹でる炒める揚げるなどバリエーションが豊かな食材である。 麺は、そのまま加熱して食べられるようにする場合以外に、乾麺、冷凍麺などにして保存する場合もある。

穀物を主原料とする麺は主食とされる場合が多い。様々な調味料や具材、副菜とともに食されるが、麺の生地にビタミンミネラル食物繊維などを練り込んで栄養バランスを確保する製品も開発されている[2]

中国および中華圏では、「麺(繁体字:麵、簡体字)」(拼音: miàn、カタカナ表記:ミェン)は小麦粉の生地を細く長くしたものを指す。後者は「麵条(面条)」とも呼ばれる。

発祥[編集]

麺の誕生には諸説あり定かではない。

中国に小麦が伝わったのは前漢紀元前1世紀前後)時代に西方との交易路が開けてからであると言われているが、他の穀物を使った麺が地中海地域で小麦粉のものに変えられた可能性も考えられる。現在までに発見された最も古い麺類の遺物は、中国青海省民和回族トゥ族自治県喇家遺跡で発見された。これはおよそ4000年前のものであり、麺は小麦粉ではなくで作られていた。

他に、栽培小麦発祥の古代メソポタミアから遊牧民によって餃子の形(アフガニスタンのオシャク、新疆ウイグル自治区のジュワワ)で伝わり、華北で皮が別れて麺條(生地を細長く伸ばしたもの)が生まれたとするものもある[3]

中華圏における麺[編集]

後漢の『説文解字』には「麺」の本字である「麪(ミェン)」は麦の粉とある[4]の『広韻』も西晋束晳の『麪賦』を引いて重羅の麺は埃のように細かく雪のように白い[5]と記し、「」は同上としている。「麵」は「麪」の音を表す部品「丏」を同音の「面」に置き換えた異体字である。も日本の餅とは違い、小麦粉の生地をいう。『説文解字』に「餅(ビン)」は小麦をこねた食べ物とある[6]。加熱法で蒸餅、焼餅、油餅、湯餅に分類された。北魏の『斉民要術』には水引という、水中で餅を延ばして麺を作る方法の記述がある。時代に2年三毛作などにより小麦が大量に収穫できるようになり、宋 (王朝)時代には南北の食文化の複合がおきて現代の麺料理の原型が誕生した。宋・元時代の『居家必用事類全集』には14種類の麺料理の記述がある[7]

現代の中華人民共和国および中華圏でも、「麺(簡体字)」(ミェン)は小麦粉を指し、「麺食」と言えば、粉食全般を指す。これには、餃子(ぎょうざ)や中華まんなど饅頭点心も含んでいる。例えば、パンは「麺包」(ミェンパオ)であるが、ラーメンやうどんのような日本語で麺と呼ぶ長細い形状の食品は、「麺条」(繁体字:(麵條、簡体字:面条。ミェンティアオ)と呼称する。一方で中国語では、蕎麦ビーフンなど小麦粉以外を使った物は本来「麺」として扱われず、米粉をこねて細長く加工したライスヌードルや、澱粉を使う春雨などは「粉」(フェン)と呼ばれ、区別される。

日本における麺[編集]

遣唐使唐菓子と果餅を持ち帰ったことが、日本での麺と菓子の始まりとされる。平安時代天皇勅使に「はくたく」という麺類が振舞われたという記録がある[8][9]

鎌倉時代から室町時代にかけては、留学僧によって宋の麺料理が伝来し、現代のソバうどんそうめん冷麦のもととなった。 江戸時代までにこれらの麺料理は大衆料理として親しまれるようになっていたが、明治時代に入り内外の往来が活発化するにつれ、中国の麺料理から派生したラーメン、ヨーロッパのパスタ類も一般化し、現在では様々な麺食品が愛好されている。

現代の日本では、多様な麺類が食されている。うどんそば素麺ひやむぎといった伝統的な麺類のほか、海外から様々な麺料理が流入し、定着している。現代日本における麺文化の独自性は殊にラーメンに現れており、名店紹介本などの関連書籍が多数出版され、ラーメン評論家を生むほどの隆興が見られる。他の麺料理に関しても、にしんそば讃岐うどん、あるいはたらこスパゲッティをはじめとする独特の文化が形成されており、気軽な軽食でありながらマニアックな気風も併せ持っている。また、揚げて保存性、加工性を持たせたインスタントラーメンが開発されて以来、うどんそば焼きそばについてもインスタント食品としての商品開発が進み、国内のみならず世界各国で一大市場を築いている。

成形法[編集]

原料となる粉をこねて生地とし、麺にする方法にはいくつか種類がある。通常は、加熱する前に目的の形に成形するが、中国浙江省の烙麺や北京の炒餅の餅のように、薄くのばして焼いてから細く切るという特殊なものもある。

材料の種類[編集]

加熱方法の種類[編集]

  • ゆでる - ゆで麺
  • 蒸す - 蒸し麺
  • 揚げる - 揚げ麺(フライ麺)
  • 焼く - 烙麺、(炒餅の)餅

形態の種類[編集]

穀物以外を添加したもの[編集]

脚注・出典[編集]

  1. ^ 菓子の鶏卵素麺練り製品魚そうめん、コンニャクの一種である「しらたき」なども形状から広義の麺類とされるが、一般的に含める事は少ない。
  2. ^ 「日清食品、栄養と簡単調理両立のパスタ」日本経済新聞ニュースサイト(2019年3月26日)2019年4月5日閲覧。
  3. ^ 奥山忠政 『文化麺類学・ラーメン篇』,2003年,明石書店
  4. ^ 麥部:麪:麥末也。从麥丏聲。
  5. ^ 麪:束晳麪賦云重羅之麪塵飛雪白
  6. ^ 食部:餅:麪餈也。从食并聲。
  7. ^ 岡田哲『ラーメンの誕生』,2002年,ちくま新書(筑摩書房)
  8. ^ 平安時代の麺料理を再現 奈良
  9. ^ 麺のルーツを味わう - 奈良公園で索餅まつり
  10. ^ 世界の伝統的な製麵技術 5つの系列 - 石毛直道食文化アーカイブス
  11. ^ メーカーは春雨と区別している。また、(春雨の主要原料である)リョクトウ(緑豆)が用いられていない。
  12. ^ 一般的にはかん水の一種とされる。

参考文献[編集]

  • 坂本一敏、『中国麺食い紀行 ― 全省で食べ歩いた男の記録』、2001年、一星企画

関連項目[編集]

外部リンク[編集]