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マルチング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マルチングされた作付前のさつまいも

マルチング (Mulching) とは、畑の表面をやプラスチックフィルム等で覆うこと。被覆資材の種類や被覆方法によりさまざまな効果が得られる[1]。土をシートなどで覆うことで作物の株のまわりの雑草の発生を抑えたり、土の乾燥防止や保温の効果が得られる[2]

マルチングの効果と短所

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マルチングは、畑をシートなどで覆うことによって雑草が出ることを抑えることが第一の効果で、特に苗が小さいうちに雑草に負けることを防止するには最適である[2]。次に、土の乾燥を抑えて土壌を保湿する効果が得られる。また、雨が降ったときに作物に土が跳ね返ることがないので、泥はねによって土中のカビ菌やウイルスに感染する病害を防ぐ効果がある[2]

マルチングの効果

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  • 炭素率の大きな有機物を土に施すと、窒素飢餓を招くため、雑草の繁茂を抑える効果がある
  • 土壌の団粒構造を維持する
  • 地温の調節
  • 肥料の流亡を防ぐ
  • 土壌の跳ね返りを防ぐことで、収穫物の汚損防止や病害抑制になる
  • 土壌からの水分蒸発を抑える

マルチングの短所

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  • 追肥を行うことが難しい
  • 使用後はごみになる
  • よく押さえておかなければ、風で飛ばされる。これは植物体が小さいときに起こりやすい。
  • 炭素率の大きな有機物を土に施すと、作物の利用できる窒素が少なくなって、作物の窒素飢餓に陥りやすい。

被覆資材

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マルチングは被覆資材の種類により、マルチ、ビニールマルチ、紙マルチなどがある[2]

バークチップ

生分解性で使用後は土壌に鋤き込むことができる。ポリエチレンを使用したマルチングよりも耐久性が劣る。植物原料のため環境汚染の心配がない。虫が湧きやすい。

  • (わら) - つる性のウリ科植物(かぼちゃスイカなど)を地這いで栽培するときなどに使う[2]。株元や畝間に麦わらや稲わら、あるいは刈草を敷き、雑草や土の乾燥、泥はねを防ぐ[2]。作物のつるを絡みつかせやすい。
  • - 紙製のマルチングシートは利用後に分解して土にもどるため、有機栽培にも適している[2]。地温を上げる効果はあまりない[2]
  • 落ち葉 - 手軽に使用できる。腐食し土壌改良の効果もある。
  • ウッドチップ/バークチップ - 木材樹皮(バーク)から製造される。雑草の発育抑制には効果があり、降雨による土壌流出や泥跳ねを抑え、装飾としてグラウンドカバーに使用され、保湿効果も得られる。

さまざまな有機物の炭素率

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わら 60
もみ殻 75
小麦わら 90
広葉樹落葉 50~120
針葉樹落葉 20~60
樹皮 100~1300
おがくず 134~1064
剪定枝 70
280

生きた資材

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被覆植物(グランドカバープランツ)とも呼ばれ、や、グランドカバーなどがある。

プラスチック

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ビニールマルチとよばれる被覆資材で、ホームセンターなどでも入手しやすく[2]ポリエチレンを使用している。色は黒や透明などがあり、黒いビニールシートは、地温を上げる効果もある[2]。耐久性が高いが、有機物材料と違い使用後にゴミになってしまう。生分解性プラスチックを使用したマルチングは、この点で有利である。

  • 白色マルチ
  • 黒色マルチ - 地温上昇に効果があるが、マルチ自身の温度が高くなるため、葉焼けが発生しやすくなる。
  • 透明マルチ - 地温上昇に最も効果がある一方、雑草が繁茂しやすい。
  • 銀(色)マルチ(シルバーマルチ) - 地温抑制効果がある。また、アブラムシは銀色の物体を嫌う性質があるため、アブラムシを防除する効果もある。

施工方法

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小規模なマルチングは人力で施工するが、大規模なマルチングではトラクターにマルチング用のアタッチメントを装着して機械力で施工する。ロール状に丸まったマルチシートは、畝に沿うようにかけて少しずつのばし、シートの両端に土をかけて抑え、最後は周囲すべてに土をかけてしっかりと抑える[2]

シート状のマルチ資材には、はじめから穴が開いているタイプと、穴が開いていないタイプがあり、穴が開いているタイプは作物の株間に合うものを選んで使用する[2]。穴が開いていないマルチシートは、畝に敷いてから株間を測り、場所を決めたところにマルチを切って穴を開け、種まきの定植をする[2]

脚注

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  1. ^ 日本国語大辞典,世界大百科事典内言及, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,百科事典マイペディア,大辞林 第三版,日本大百科全書(ニッポニカ),精選版. “マルチングとは”. コトバンク. 2019年5月6日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 金子美登『有機・無農薬でできる野菜づくり大事典』成美堂出版、2012年4月1日、256頁。ISBN 978-4-415-30998-9 

関連項目

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