モバイルオペレーティングシステム
モバイルオペレーティングシステム(英: mobile operating system)とは、モバイル機器に搭載されるオペレーティングシステム(OS)の総称。モバイルOS(mobile OS)、携帯汎用オペレーティングシステム、モバイルプラットフォームとも言う
概要
[編集]スマートフォン、タブレット、携帯情報端末(PDA)などの携帯機器に搭載される汎用のOSの総称である。
2023年の販売台数ベースでその各タイプの割合を分析すると、スマートフォンが大部分を占めている。特に大きな市場シェアを獲得しているモバイルOSとしてはAndroidとiOSがある。近年の利用状況の一例として、ウェブ利用統計上では2025年11月の世界のモバイルOSの割合はAndroid 71.94%、iOS 27.64%であったとされる[1]。他には、Firefox OSからフォークされインドの巨大市場で広まったKaiOSがある。
一時期は多種類のモバイルOSが生まれ多数のモバイルOSがこの世に存在していたが、競争の結果、2016年第2四半期には世界スマートフォンOSの販売シェアはAndroid 86.2%、iOS 12.9%で、両者の合計は99.1%だった[2]。このように2010年代後半以降、スマートフォン向けOSはAndroidとiOSの比率が非常に高い状態が続いている。
Tizen、Symbian OSなどはすでに他のOSと統合されたり、モバイルOSとしてのシェアが消滅したりしている。
アプリケーションソフトウェア(アプリ)はアプリストア経由などで自由にインストールすることができる。特に2024年以降、欧州連合(EU)のデジタル市場法(DMA)への対応として、AppleはEU域内でアプリ配布(代替アプリマーケットプレイス等)や決済手段などに関する仕組みを追加している。その結果、iOSのアプリ流通やブラウザ実装の自由度は、地域によって差が生じる状況となっている[3]。
モバイルOSはデスクトップOSのようにグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を備えており、また各種のシステム設定をある程度変更・カスタマイズできるユーティリティも組み込まれていることなどから、OSの存在を直接エンドユーザーに意識される機会が多い。だが分類上は"組み込みオペレーティングシステムの一種"とされることが多い。しかし、各モバイルOSのルーツについては、Symbian OSのように携帯機器向けに独自に開発されたもの、iOSのようにデスクトップOSから派生したもの、Androidのように組み込みLinuxから派生したものなどがあり、必ずしも組み込みOSから派生したものではない。
現行の主なモバイルOS
[編集]タブレット・スマートフォン・フィーチャーフォン向け
[編集]- Android(Google)
- GoogleによるモバイルOS。LinuxをベースにしたOS。スマートフォンのOSとして世界シェア第1位。さまざまなベンダー(メーカー)の「Androidスマートフォン」や「Androidタブレット」に搭載されている。
- iOS(Apple)
- AppleによるDarwinベースのモバイルOSであり、Mac OS Xから派生した。iPhone、iPad、iPod touchに搭載される。かつてはiPadシリーズにも搭載されていたが、iPadOSに分化した。
- HarmonyOS(Huawei)
- HuaweiによるモバイルOS。当初はAndroidのコードを使用していたが、その後発表されたHarmonyOS Nextよりそれらのコードを削除し、HarmonyOSのネイティブアプリのみをサポートするようになった。中国市場ではHarmonyOSが一定のシェアを占めており、2025年の調査ではHarmonyOSが14%に達し、同国で第2位のOSとして位置づけている[4]。
- iPadOS(Apple)
- iOSから派生したモバイルOS。iPad、iPad Air、iPad mini、iPad Proに搭載される。タブレット向けに最適化されている。
- KaiOS(KaiOS Technologies Inc.)
- Firefox OSの後継であるB2G OSからフォークされた、フィーチャーフォン向けのOS。省メモリ性能に優れており、HTML5ベースのアプリを専用ストアからダウンロードできる。2018年の報道では、インドにおいてKaiOSがiOSを上回り第2位になったとされている[5]。
- Ubuntu Touch
- Ubuntuのモバイル版。Ubuntuの操作感をモバイル機器で実現するもの。ソースコードの管理は2015年にカノニカルからUBportsに移され、現在はUBportsが開発・保守を行っている。一部のAndroid端末にインストールすることも可能。
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Google Androidの画面
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iOSの画面
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KaiOS上のアプリでウィキペディアを閲覧した動画
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Ubuntu Touchのアプリ・ランチャー画面
スマートウォッチ向け
[編集]- Wear OS(Google)
- GoogleのAndroidをベースとしたスマートウォッチ向けOSで、複数のメーカーの製品に搭載されている。
- 「List of Wear OS devices」(Wear OSを搭した機器の一覧。英語版)も参照可。
- watchOS(Apple)
- AppleのiOSから派生。Apple Watchに搭載。
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GoogleのWear OS
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AppleのwatchOS。アナログ時計表示の際の文字盤。
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AppleのwatchOSのナイトモード
その他
[編集]- BREW(クアルコム)
- 同社が開発した携帯電話向けリアルタイムオペレーティングシステムのREX OSから拡張されたモバイルオペレーティングシステム。日本ではauブランドを展開するKDDI、および沖縄セルラー電話の2002年度以降に発売されたほとんどのau携帯電話(フィーチャーフォン)に搭載されていたが、AUのフィーチャーフォンは2022年3月31日をもってサービスを終了した。
- Bada(サムスン電子)
- スマートフォン向けOS。開発終了。
- BlackBerry OS(ブラックベリー)
- BlackBerryに搭載される独自のモバイルオペレーティングシステム。開発終了。
- Firefox OS(Mozilla Foundation)
- LinuxベースのオープンソースOS。アプリは、HTML5・CSS・JavaScriptなどで作成される。日本ではauブランドを展開するKDDI、および沖縄セルラー電話が2014年12月下旬以降より順次発売された韓国・LGエレクトロニクス製のFx0 LGL25に初めて搭載された。Firefox OS自体は開発終了したが、当OSをフォークしたものがKaiOS(上述)として使われ続けている。
- Symbian OS(Symbian Foundation)
- 携帯電話やスマートフォンに特化した設計をもつオペレーティングシステム。元はノキアが開発した。従来型携帯電話にも多く採用された。初期のスマートフォンで普及したが、iOS・Androidが主流化し衰退。
- Tizen(Linux Foundation、Tizen Project等)
- LinuxベースのオープンソースOS。様々な企業が開発に参加している。2013年に搭載端末が発売予定であったが、見送られ、2021年12月31日にはアプリもダウンロードできなくなり完全閉鎖。
- HP webOS(Palm→ヒューレット・パッカード→LGエレクトロニクス)
- Palmが携帯情報端末向けに開発したが、Palmを買収したHPが事業継続を断念しオープンソース化した。LGがスマートテレビ向けのプラットフォームとして買収[6]。
- Windows Mobile(マイクロソフト)
- Windows CEをベースにしたオペレーティングシステム。開発終了。
- Windows Phone(マイクロソフト)
- Windows Mobileの後継製品。スマートフォン向けに新たに開発された。Windows Phone 8より、Windows NTベースとなった。開発終了。
- Windows 10 Mobile(マイクロソフト)
- Windows Phoneの後継製品。デスクトップ版Windows 10とプラットフォームを完全に統一した。開発終了。
- Windows RT/RT 8.1(マイクロソフト)
- Windows 8、およびWindows 8.1のARMアーキテクチャ版であり、タブレット向けのOS。開発終了。
アプリ開発
[編集]アプリケーションソフトウェア(アプリ)開発者向けには、統合開発環境などのプログラミングツール、各種ライブラリ、GUIフレームワークなどが用意されている。
出典
[編集]- ^ “Mobile Operating System Market Share Worldwide” (英語). StatCounter Global Stats. 2025年12月14日閲覧。
- ^ a b c “Gartner Says Five of Top 10 Worldwide Mobile Phone Vendors Increased Sales in Second Quarter of 2016” (英語). Gartner. 2025年12月14日閲覧。
- ^ “Apple announces changes to iOS, Safari, and the App Store in the European Union” (英語). Apple Newsroom. 2025年12月14日閲覧。
- ^ “Global Smartphone Sales Share by Operating System” (英語). counterpointresearch.com. 2025年12月14日閲覧。
- ^ Shrivastava, Aakriti (2018年5月7日). “JioPhone's KaiOS becomes India's 2nd most used beating Apple iOS” (英語). MEDIANAMA. 2025年12月14日閲覧。
- ^ “LG、HPからwebOSを買収してスマートTVのOSに PalmはHPがサポート継続”. ITmedia. (2013年2月26日) 2013年3月12日閲覧。