ブランディング

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ブランディング: branding)とは、ブランドに対する共感や信頼など顧客にとっての価値を高めていく企業と組織のマーケティング戦略の1つ。ブランドとして認知されていないものをブランドに育て上げる、あるいはブランド構成要素を強化し、活性・維持管理していくこと。また、その手法。ここでいうブランドとは高級消費財に限らず、その対象としては、商品サービス、それらを供給する企業団体のほか、人物建築物史跡地域祭事など、あらゆるものが該当する。

概要[編集]

ブランディングという概念が広まる前の1980年代から1990年代後半までの日本においては、企業はコーポレート・アイデンティティ(CI)、商品はブランド・アイデンティティー(BI)のほか、店などはショップ・アイデンティティー(SI)という名称で規模の大小にこだわらず、多くの企業において計画・実行された。それらと現在のブランディングは、ロゴ・シンボルなどの「ビジュアルデザイン」の実行に留まるのか、顧客による「ブランドの体験全体」に及ぶのか、という点で大きく異なる。

商品に例えると、ブランディングは、常に顧客の期待や信頼に応えるよう行動し、ユーザーをはじめとしたステークホルダーの共感や支持を獲得・拡大していくこと、またそれに関連する一連の活動のことである。その過程においてはブランドネームやロゴ意匠などによる他商品との差別化、PR広告、さまざまなマーケティング手法が用いられるが、それらによりもたらされる知識や良いイメージなども含めた『顧客にとっての価値』を最大限高めていくことが目的である。

ブランディングとユーザー[編集]

時代の流れやトレンドによる顧客ニーズの変化、また競合品・代替品の出現など刻々と変わる状況に対応するためブランドも新陳代謝を繰り返す。しかしそのどの場面においても焦点は『顧客の頭の中に形成されるイメージ』に合わせられており、時を経て蓄積されたそれら無形資産が消失・分散されることのないよう、注意深く計画・管理される。ユーザーはさまざまな機会やメディアなどを通じて商品情報と接触するほか、店頭で目にして手に取り、実際に利用することでその品質を体感する。これら一連の中にユーザーの期待を裏切らない満足価値)がある時、その商品はユーザーエクスペリエンス(新鮮で快適な良い体験)をもたらす商品として記憶され、さらなる注意が向けられるようになり情報収集と利用を繰り返すという循環が生まれる。このように商品とユーザーの間にできた体験を伴う良い関係が、商品に対する共感や信頼を育てユーザーの顧客化が起こり、徐々に顧客の頭の中に『ブランドイメージ』という行動を決定する力を持つ『概念上の価値』が構築されていく。

「ブランディングは精神的な構造を創り出すこと、消費者が意思決定を単純化できるように、製品・サービスについての知識を整理すること[1]」とケビン・レーン・ケラーが言うように、ターゲットの選定やポジショニングなどの重要性と同様、顧客の立場に立った誠実でわかりやすいコミュニケーションがブランドへの共感を育成する上で重要である。

ブランディングがもたらすもの[編集]

競合からの差異化
ブランドネームやロゴ意匠などで、他競合とは区別されて認識されるようになる。
選択意思決定の単純化・固定化
顧客の知識が整理されることで再び同じ物を選ぶようになる。
ユーザーのロイヤル化
親しみや信頼が増大されることでブランド・ロイヤルティが形成される。
価格競争の回避
『顧客にとっての価値』が訴求され、提供品質を無視した価格競争に参加する必要が無くなる。
価格プレミアムの獲得
同じ品質・スペックの商品について、競合よりも高い価格で販売が可能になる。
プロモーションコストの削減
以上のことから販売促進の必要度を低下させることが可能になる。


日本企業のブランディング担当部署[編集]

日本企業では、営業担当者が単体の企画においてはブランディングをする事もあるが、日常の業務では総務部が管轄していることが一部で見られる


脚注[編集]

  1. ^ ケビン・レーン・ケラー『ケラーの戦略的ブランディング』[要ページ番号]

参考文献[編集]