バンクシー

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無政府主義のネズミ(Anarchist rat)

バンクシーBanksy, 生年月日未公表)は、イギリスのロンドンを中心に活動する覆面芸術家社会風刺グラフィティアート、ストリートアートを世界各地にゲリラ的に描くという手法を取る。バンクシー本人は自分のプロフィールを隠そうとしており、本名をはじめとして不明な点が多い。2005年、自作を世界各国の有名美術館の人気のない部屋に無断で展示し、しばらくの間誰にも気づかれないまま展示され続けたことが話題となった。

活動と作品の特徴[編集]

街中の壁にステンシル(型紙)を使って反資本主義・反権力など政治色の強いグラフィティを残したり、メトロポリタン美術館大英博物館などの館内に、自らの作品を無許可で展示するなどのパフォーマンスにより、一部の人々からは「芸術テロリスト」と呼ばれている。

街頭などへのディスプレイにこだわって芸術活動を行っており、企業の商品とのコラボレートやミュージシャンのアルバムジャケットの依頼等はほとんど全て断っている。2002年に日本のファッションブランドモンタージュのティーシャツを2種類、 2003年にはブラーのアルバム『シンク・タンク』のジャケットを描いたが、それ以後は、たとえば、世界のトップ企業であるソニーナイキマイクロソフトや、トップミュージシャンのデヴィッド・ボウイオービタルマッシヴ・アタックなどのオファーを断っている。

彼の作品の多くは街頭(壁面)などに描かれており、ただの落書きだと考える市当局による清掃などの際に消えてしまう例[1]が頻発している。この様に彼の作品は「落書き」だと思う者は多いが、2007年2月に行われたサザビーズ主催のオークションではバンクシーの作品計6点が落札予想価格を大幅に上回る総額37万2千ポンド(日本円で約8500万円以上)で落札されている[2]

2009年、6月13日から8月31日の期間で地元ブリストルの美術館(市営)において大規模展「Banksy versus Bristol Museum」を開催。

2010年、バンクシーを追いかける男の映像をもとに、いつの間にかその男がバンクシーらによってグラフィティーアーティストにしたてあげられていく一風変わったドキュメンタリー映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』を監督。同年度のアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。

これまでの作品の一部[編集]

  • ロンドン動物園ペンギンの囲いに上り、'We're bored of fish' (我々は魚にはもう飽き飽きだ)とペイント。
  • ブリストル動物園ゾウの囲いに 'I want out. This place is too cold. Keeper smells. Boring, boring, boring.'(外に出たい。ここは寒すぎる。飼育係は臭う。退屈・退屈・退屈)とペイント。
  • 2001年1月、メキシコチアパス州サパティスタ民族解放軍が占領している地域で壁画を描いた。また、サン・クリストバル・デ・カス・カサスにおいてもステンシル画を残した。
  • 2005年3月、自分の作品をMoMA、メトロポリタン美術館、ブルックリン美術館アメリカ自然史博物館に勝手に展示。テート・ブリテンにも自分の作品を勝手に展示。いずれも人のあまり入らない部屋の片隅であり、他の作品同様に作品解説のキャプションまで用意する手の込みようだった。
  • 2005年5月、大英博物館に『街外れに狩りにいく古代人』という題名の遺跡のかけら(壁画の一部)を勝手に展示。遺跡にはショッピングカートを押す古代人と、カートに槍が刺さった獣が入っている絵が描かれていた。バンクシーは市内のギャラリーで開催されていた個展のためにこの作品を大英博物館から一旦引き取り、作品横のキャプションに「大英博物館より貸与」の一文をつけた。後に、博物館はバンクシーの作品を正式なコレクションに追加した。
  • 2005年8月、ヨルダン川西岸地区パレスチナ側の分離壁に、子供が壁に穴を開けている絵や穴の開いた壁から見えるビーチなど9つの絵を残した。バンクシーのスポークスマンによると、「イスラエルの治安部隊は空に向けて発砲で威嚇をし、かなりの銃が彼を狙っていた」とのこと。
  • バスルームの窓からぶら下がる裸の男
    2006年6月、ブリストルに裸の男がバスルームの窓からぶら下がっている壁画を制作。この作品は取り除かれるべきか、そのままにしておくべきかで論争を巻き起こした。インターネット上でのディスカッションでは97%の人々が取り除くべきでないという立場を支持したため、そのままになっている。
  • 2006年の8月から9月にかけて、パリス・ヒルトンのデビューアルバムのフェイクを500枚制作、イギリスの48のレコードショップに勝手に設置。内容はデンジャー・マウスによる40分のリミックスで、曲名は"Why am I Famous?"(私は何で有名なの?) "What Have I Done?"(私が一体何をしたの?)など。ブックレットはコラージュされており、パリスの顔の部分に犬の頭を貼り付けたり、ヌードのマネキンにパリスの顔を貼り付けた写真が載せられていた。表からはその違いが分からなかったため、いくつかのCDは店側が気がつく前に購入され、オークションでは750ポンドの値段がついた。
  • 2006年9月、カリフォルニア州アナハイムにあるディズニーランドに設置されている遊具「ビッグサンダー・マウンテン」の近くに、グァンタナモ米軍基地囚人の格好(オレンジのジャンプスーツ、黒い帽子手錠)をした人形を設置。
  • 2007年12月、ヨルダン川西岸地区ベツレヘムにおいて、分離壁などにステンシル画6点を残した。
  • 2009年の「Banksy versus Bristol Museum」において、グラフィティアートや絵画の他に、生き物のように蠢く加工食品や、化粧をするウサギ、老衰したトゥイーティーのロボットなどを展示した。
  • 2010年10月10日、ザ・シンプソンズのオープニング・アニメーションをディレクション。シンプソンズのアニメーションやグッズの大半が作られているアジア地域の劣悪な労働環境を痛烈に風刺した内容であった。

プロフィールに関する報道など[編集]

英国のガーディアン紙によると、本名はロバート・バンクス(Robert Banks)、1974年にブリストルで生まれた人物だとしている。一方、BBCは彼の本名をロビン・バンクス(Robin Banks)としている。

"Guardian Unlimited"のサイモン・ハッテンストーン(Simon Hattenstone)は、バンクシーと顔を合わせてインタビューした唯一の人物である。彼によるとバンクシーは28歳、ジーンズにTシャツ姿で、片耳に銀のイヤリングをしていたという。

2008年3月6日にオンエアされた『奇跡体験!アンビリバボー』で、バンクシーの友人と思われる人物が、うっかり「ロビン」という名を口にしている。

バンクシーの公式サイトの登録者は、写真家のスティーブ(Steve Lazarides)という人物で、彼はバンクシーのエージェントであり、おそらくバンクシー本人ではない。ちなみに、スティーブはロンドンのソーホーにLaz Inc.というギャラリーを所有しており、そこではバンクシーの作品が購入できる。

2008年7月には、ついにバンクシーの身元が判明したと報道がなされた。報道によると、バンクシーの本名はロバート・カニンガム、ブリストル出身で1973年生まれだという[3]

ロンドンナショナル・ポートレート・ギャラリーには、写真家のジェームス・パフ(James Pfaff)によるバンクシーのポートレート(覆面状態であはあるが)が収蔵されている。http://www.npg.org.uk/collections/search/person.php?LinkID=mp90771&role=art

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 落書きと間違えた市当局が、巨匠バンクシーの作品を塗りつぶす - 英国 AFP BB News - BETA -
  2. ^ もっとも、公共の場に描かれた作品は動かすことも買い取ることもできないので、この「価格」がどれだけの意味を持つのかは不明。
  3. ^ Banksy uncovered: The nice middle-class boy who 'became the graffiti guerrilla'

外部リンク[編集]