ジャパンディスプレイ

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株式会社ジャパンディスプレイ
Japan Display Inc.
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種類 株式会社
機関設計 監査役会設置会社
市場情報
東証1部 6740
2014年平成26年)3月19日[1]上場
略称 JDI
本社所在地 日本の旗 日本
105-0003
東京都港区西新橋三丁目7番1号
ランディック第2新橋ビル
設立 2002年(平成14年)10月1日
(株式会社日立ディスプレイズ)
業種 電気機器
法人番号 6040001059563
事業内容 中小型ディスプレイデバイス及び関連製品の開発、設計、製造、販売[1]
代表者 東入來信博代表取締役会長CEO
有賀修二代表取締役社長COO
資本金 968億63百万円(2016年(平成28年)3月31日現在)
発行済株式総数 6億141万1,900株(2016年(平成28年)3月31日現在)
売上高 連結:7,175億22百万円
(2016年(平成28年)3月期)
営業利益 連結:▲617億49百万円
(2018年3月期)
経常利益 連結:▲936億58百万円
(2018年3月期)
純利益 連結:▲2,472億31百万円
(2018年3月期)
純資産 連結:3,652億49百万円
(2016年3月31日現在)
総資産 連結:8,138億61百万円
(2016年3月31日現在)
従業員数 連結:9,841人
単独:4,491人
(2018年3月31日現在)
決算期 3月31日
会計監査人 有限責任あずさ監査法人
主要株主 株式会社産業革新機構 35.58%
UBS AG LONDON A/C IPB SEGREGATED CLIENT ACCOUNT 6.81%
MSCO CUSTOMER SECURITIES 1.94%
ソニー株式会社 1.78%
株式会社東芝 1.78%
BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG(FE-AC) 1.45%
CHASE MANHATTAN BANK GTS CLIENTS ACCOUNT ESCROW 1.19%
(2016年(平成28年)3月31日現在)
主要子会社 JDI Display America,Inc. 100.0%
JDI Europe GmbH 100.0%
JDI Taiwan Inc. 100.0%
JDI Korea Inc. 100.0%
JDI China Inc. 100.0%
JDI Hong Kong Limited. 100.0%
Suzhou JDI Devices Inc. 100.0%
Suzhou JDI Electronics Inc. 100.0%
Shenzhen JDI Inc. 78.2%
Kaohsiung Opto-Electronics Inc. 100.0%
KOE Europe Ltd. 100.0%
KOE Asia Pte. Ltd. 100.0%
KOE Americas, Inc. 100.0%
Nanox Philippines Inc. 81.0%
Taiwan Display Inc. 100.0%
(2016年(平成28年)3月31日現在)
外部リンク http://www.j-display.com/
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株式会社ジャパンディスプレイ(英称:Japan Display Inc. 略称はJDI)は、ソニー東芝日立製作所の中小型液晶ディスプレイ事業を統合した会社[1]

概説[編集]

ジャパンディスプレイ社の経営を握る官営ファンド・産業革新機構が入居する丸の内永楽ビルディング

産業革新機構の主導で、ソニー・東芝・日立のディスプレイ部門が統合されて誕生し、2012年4月1日に事業活動を開始した[2]。2009年に東芝に統合されたパナソニックの液晶部門(東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社)、同じく2011年にソニーに統合されたセイコーエプソンと三洋電機の液晶部門(三洋エプソンイメージングデバイス株式会社)など、それ以前に各社に統合されていたメーカーを含めると、ホンハイ傘下となったシャープや、パナソニック傘下のパナソニック液晶ディスプレイ京セラ傘下の京セラディスプレイ、三菱電機傘下のMDTIなどを除く日本の大半のディスプレイメーカー(ソニー・東芝・日立・トヨタ・三洋・エプソン・パナソニックの一部・キヤノン)の液晶部門が統合され、さらに政府系ファンドが経営に関与する、文字通りの「日の丸液晶」である。

事実上の「国策企業」であるため、経営方針がCEO・董事長からのトップダウン式に決定される競合他社とは違って全ての経営計画において経済産業省と産業革新機構の承認が必要という意思決定の遅さがあり、また、リストラがそのままアベノミクスの失敗を想起させるため、シャープ以外の日本のディスプレイメーカーのうち、大半の人員と工場を丸抱えしているにもかかわらずリストラができないという特徴が設立当初よりあると思われている。[3]

スマホ向けの小型液晶で高いシェアを持つ。スマホ向け中小型液晶パネルの市場シェアは26%で世界1位(2017年度)であり、他の年度でもシャープやLGなどとトップを争う(ただし、中小型パネルに有機ELを含めた場合、ジャパンディスプレイは有機ELパネルを生産していないため、中小型パネル市場全体におけるシェアは13%で世界2位(2017年度)となり、市場シェア33%で世界1位のサムスンディスプレイに水をあけられている[4])。車載向けの小型液晶でも18.1%で世界1位(2017年度)[5]であり、2016年度には2017年3月発売予定のゲーム機Nintendo Switchにディスプレイを供給したため、ゲーム機向け液晶でもシャープに次ぐ世界2位のシェアがあった(なおローンチ版Nintendo Switchの液晶を生産したJDI茂原工場の4.5世代ラインは2016年に閉鎖されたため、2016年度のみ。任天堂の携帯機は1980年以来シャープが独占的に供給しており、2017年以降はSwitchの方もシャープと群創光電のフォックスコングループがほとんどを供給している)。一方で、大型パネルに関しては全くシェアが無い。また、データの上では「中小型向け液晶でトップ」となっているが、実際はパソコンやタブレットを中心とする中型パネルのシェアも全くない。例えば2016年(平成28年)度において、スマホを中心とするモバイル向けが8割、とりわけiPhoneへの依存率は5割を超えるなど、スマホ向け小型液晶事業に、さらに言うとiPhoneと言う1つのスマホに極度に依存している[6]。なお、アップルの次に依存率が大きいのがファーウェイで、アップルとファーウェイの2社だけでジャパンディスプレイの売り上げの7割を占めている(2017年(平成29年)3月期)。

2016年(平成28年)に、主にパソコン向けの中型ディスプレイに参入した。

ジャパンディスプレイは日本のかつての各ディスプレイメーカーの液晶ディスプレイ部門のみを切り離して統合した、あくまで液晶ディスプレイの専業メーカーであるため、シャープなどの他の大手ディスプレイメーカーと違い、2010年代後半から普及しているディスプレイの方式である有機ELディスプレイの量産ラインは全く持っていない。アップル社との取引がジャパンディスプレイの売上高の5割を占めるという一本足経営に加えて、アップル社が2017年度のiPhoneから有機ELモデルをフラッグシップとして販売しているにもかかわらず、ジャパンディスプレイには有機ELディスプレイを生産する予定が無い点が不安視されている。「蒸着方式」の有機ELの研究自体はしており、資金さえあれば有機ELの製造工場を建設して量産化まで到達できる見込みが有ることをアピールしているが、将来の投資資金よりも当座の運転資金を調達すべき状態のジャパンディスプレイには有機ELの量産工場を建設できるような資金が無く、2018年時点で既にジャパンディスプレイに4000億円以上の投資をしている革新機構としてもこれ以上の投資はしづらい。また仮に量産の「見込みがある」としても、2018年時点では有機ELディスプレイを既に量産しているメーカーは世界中に数多くあり、ジャパンディスプレイは他社より数年遅れの後発組となるため、あえて資金を投じる外部のスポンサーもいない点が問題となっている[7]。なお、ジャパンディスプレイが持つ有機ELの技術に関しては、2013年度中には量産が可能なレベルに達しているとのアナウンスを2011年に出しており[8]、それから8年後の2019年にも量産技術を「ほぼ確立」したとのアナウンスを出すなど[9]、すぐにでも量産が可能な高い技術力を持っていることを長年にわたってアピールしている。

一方ジャパンディスプレイとは別に、日本のかつての各ディスプレイメーカーの有機EL部門を切り離して政府系ファンドの主導で統合した「日の丸有機EL」であるJOLED社があり、ジャパンディスプレイはJOLEDと戦略的提携を行っている。JOLEDの方は有機ELディスプレイの量産計画が順調に進んでおり、またJOLEDの「印刷方式」はジャパンディスプレイの「蒸着方式」と違って世界初の技術であり、コスト的にも有利であるため、JOLEDをジャパンディスプレイの子会社とすることで有機ELディスプレイ事業に進出する計画があった。しかし資金不足のため、2018年3月に断念したことを発表した[10]。ジャパンディスプレイによると、JOLEDとは「すでに強固な協力関係を構築しており事実上のシナジーの実を確保している」ため子会社化する必要はないとのことで、また車載やVRなどで液晶事業の今後の成長が期待されるので「液晶の需要は底堅い」とのこと[11]

2014年(平成26年)の上場以来、2017年(平成29年)度まで一度も黒字化できた年度が無い。産業革新機構からは、2014年(平成26年)の設立時に2000億円、2016年(平成28年)から2017年(平成29年)にかけても750億円の投資が追加でなされており、赤字の民間企業に数千億円もの国の金を投入し続けることに対して、「国がやるべきことなのか」との批判もある[12]。2017年には1070億円の融資がなされ、2018年にも200億円の支援がなされた。

2017年(平成29年)には有機ELパネルと同様に曲げることができる液晶パネル「フレキシブル液晶パネル『フレックス』」や、2017年時点の有機ELパネルを超える透過率80パーセントの液晶パネルを開発するなど、有機ELに関してはともかくとして液晶の技術に関しては世界最先端のメーカーの一つである。2017年までのジャパンディスプレイは、これらの「次世代液晶パネル」で有機ELパネルに対抗できると主張していた。しかし、スマホ業界は2010年代後半より液晶から有機ELに移行しつつあり、ジャパンディスプレイの主要な取引先であるアップル社のiPhoneも、2017年度より他社の有機ELパネルを採用。液晶ディスプレイは廉価版モデルのみでの採用となる。またサムスンやLGなど韓国の大手ディスプレイメーカーは有機EL事業の拡大により、液晶事業は縮小または追加投資を行わない方針となっているのに対して、天馬微電子や京東方と言った中国の新興メーカーが液晶ディスプレイの生産を急拡大しているため、ジャパンディスプレイは中小型液晶パネル市場1位を守りながらも、2016年から2017年にかけて市場シェアを10%も落とし、元々悪い経営がさらに悪化した。これらの中国の新興ディスプレイメーカーも2017年以降には有機ELの量産に成功しており、アップル社も2020年より液晶モデルを廃止する憶測が出るなど、2018年には業界の有機ELシフトが鮮明となった。そのため2018年より、ジャパンディスプレイは「脱スマホ依存」を進め、液晶パネルにバス停を組み合わせた「スマートバス停」や、ヘルメットに液晶パネルを取り付けたヘッドアップディスプレイなど、自社の液晶パネルを用いたBtoCの新分野の開拓を盛んに進めている[13]。またセンサーデバイス事業に取り組む予定を発表するなど、ディスプレイ専業から脱却の動きもすすめている[14]

2018年9月25日、産業革新機構を改編して産業革新投資機構が発足したが、ジャパンディスプレイ以外にもルネサスなどの経営不振の会社への投資を強いられる産業革新投資機構の取締役陣と、経済産業省の対立が表面化し、2018年12月10日、産業革新投資機構の民間出身の取締役全員が辞職。辞職した元産業革新投資機構・社外取締役の星岳雄が「ゾンビ企業の救済機関」[15]と批判した革新機構はついに機能を停止した。同日、2014年の上場時の公募価格が900円で始まったジャパンディスプレイの株価がついに50円台となった[16]。そのような混乱の中で、ジャパンディスプレイは財務の立て直しが急務となっており、中国企業も含めた国内外からの出資者を探している。

沿革[編集]

  • 2011年(平成23年)
  • 2012年(平成24年)
    • 3月 - 株式会社ジャパンディスプレイに商号変更。産業革新機構(INCJ)が2000億円出資。ソニーモバイルディスプレイ株式会社、東芝モバイルディスプレイ株式会社、株式会社日立ディスプレイズの3社の株式が株式会社ジャパンディスプレイに譲渡され、完全子会社化。
    • 4月1日 - 事業開始。
  • 2013年(平成25年)
    • 4月1日 - 株式会社ジャパンディスプレイイースト(旧 株式会社日立ディスプレイズ)を存続会社として、株式会社ジャパンディスプレイウエスト(旧 ソニーモバイルディスプレイ株式会社)、株式会社ジャパンディスプレイセントラル(旧 東芝モバイルディスプレイ株式会社)、(旧)株式会社ジャパンディスプレイ(統合親会社)を合併。3社の事業会社と統合準備会社を統合し、(新)株式会社ジャパンディスプレイに商号変更。
  • 2014年(平成26年)
    • 3月19日 - 東京証券取引所市場第一部に上場[1]。同時に行われた募集株式発行と保有株式売却により、産業革新機構の議決権所有割合が約87%から約36%へ低下した[1]
    • 8月31日 - 有機EL事業について、産業革新機構主導でソニーとパナソニックの事業と統合しJOLEDを設立することで合意した。同社の15%の株式を保有する。
  • 2018年(平成30年)
    • 3月30日 - JOLEDの子会社化を断念したことを発表。
    • 9月25日 - ジャパンディスプレイの株主である産業革新機構が改編され、産業革新投資機構が発足。
    • 12月10日、産業革新投資機構の民間出身の取締役全員が辞職[17]

国内拠点[編集]

  • 本社 - 東京都港区西新橋3-7-1
  • 西日本オフィス - 大阪府大阪市淀川区西中島5-14-5
  • 海老名オフィス - 神奈川県海老名市中央2-9-50
  • 鳥取工場 - 鳥取県鳥取市南吉方3-117-2(鳥取三洋電機工場を発祥とする旧ソニーモバイルディスプレイ工場)[18]
  • 東浦工場 - 愛知県知多郡東浦町大字緒川字上舟木50(エスティ・エルシーディ工場を発祥とする旧ソニーモバイルディスプレイ工場)
  • 石川工場 - 石川県能美郡川北町字山田先出26-2(松下電器工場を発祥とする旧東芝モバイルディスプレイ工場)
  • 能美工場 - 石川県能美市岩内町1番地47(東芝工場を発祥とする旧東芝モバイルディスプレイ工場)
  • 深谷工場 - 埼玉県深谷市幡羅町1-9-2(東芝工場を発祥とする旧東芝モバイルディスプレイ工場。2016年4月閉鎖)
  • 茂原工場 - 千葉県茂原市早野3300(日立製作所工場を発祥とする旧日立ディスプレイズ工場)JDI最大の工場。
  • 白山工場 - 石川県白山市竹松町2480(キリンビール北陸工場の跡地に立地。JDI発足後初となる工場。2016年12月稼働開始[19]

前身企業[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 横山三加子(2014年3月20日). “ジャパンディスプレイ:上場 中小型液晶の世界戦過熱”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
  2. ^ “「エルピーダとは違う」。ジャパンディスプレイ事業開始 -中小型液晶をリード。上半期に有機ELサンプルも”. (2012年4月2日). http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20120402_523360.html 2012年4月2日閲覧。 
  3. ^ JDI・東入来CEO、再建へ大ナタ:日本経済新聞
  4. ^ Samsung Display increases share of small-medium display market in 2017 - IHS Technology
  5. ^ 中小型FPD市場でスマホ以外の有望市場は車載 - IHSディスプレイ産業フォーラム2018(3) マイナビニュース
  6. ^ アップル依存率5割超に ジャパンディスプレイ - 日本経済新聞
  7. ^ 【ジャパンディスプレイ】連続赤字と資金繰りの二重苦 有機EL工場の巨額投資には疑問 | 財務で会社を読む ダイヤモンド・オンライン
  8. ^ 技術責任者に聞く、ジャパンディスプレイの強み(4ページ目) - 日経 xTECH(クロステック)
  9. ^ ジャパンディスプレイ、有機ELの量産技術をほぼ確立 - Engadget 日本版
  10. ^ JDI、JOLEDの子会社化を撤回 経営再建を優先 - 日本経済新聞
  11. ^ JDI、JOLEDの子会社化を撤回。「液晶の需要は底堅い」 - AV Watch
  12. ^ JDIが革新機構から750億円調達、有機EL強化へ - ロイター、2016年12月21日
  13. ^ JDI、液晶「脱スマホ依存」 東京都内で戦略発表会、新機軸を商品化 - ITmedia エグゼクティブ
  14. ^ JDI、ディスプレイ専業からの脱却--センサー開発に本腰、着脱可能のヘルメット用HUDも - CNET Japan
  15. ^ 革新機構はゾンビ救済機関に=社外取締役5人が経産省批判:時事ドットコム
  16. ^ JDI、ルネサスの株価下落=官民ファンドめぐる混乱で:時事ドットコム
  17. ^ JDI、ルネサスの株価下落=官民ファンドめぐる混乱で:時事ドットコム
  18. ^ 障害者雇用事例リファレンスサービス (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構
  19. ^ 白山工場新ラインにおいて量産を開始 ニュースリリース
  20. ^ 東芝による東芝松下ディスプレイテクノロジーの株式取得について プレスリリース

関連項目[編集]

外部リンク[編集]