サヘラントロプス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
サヘラントロプス
Sahelanthropus tchadensis - TM 266-01-060-1.jpg
サヘラントロプスの化石
TM 266-01-060-1「トゥーマイ」
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: サル目 Primates
: ヒト科 Hominidae
亜科 : ヒト亜科 Homininae
: ヒト族 Hominini (?)
亜族 : ヒト亜族 Hominina (?)
: サヘラントロプス Sahelanthropus
学名
Sahelanthropus Brunet et al., 2002
  • Sahelanthropus tchadensis
化石の産地 TM 266
化石の産地 TM 266

サヘラントロプス (Sahelanthropus) は、600万年 - 700万年前[1]アフリカ中部に生息していた霊長類の1属である。サヘラントロプス・チャデンシス (Sahelanthropus tchadensis) 1種のみが属す。発見された化石 TM 266-01-060-1 には、チャドの現地語で「生命の希望」という意味のトゥーマイ (Toumaï) の愛称がある[2]

最古の人類チンパンジーと分岐したのちのヒト系統、分類学的にはヒト亜族)とする説がある。

系統・分類的位置[編集]

時代的には、ヒトチンパンジーと分岐したころ、あるいはその直前に当たる。そのため、この分岐の前か後かが論争されている[3][4]

サヘラントロプスは、頭骨大後頭孔が下方にある。この孔は脊髄が通る孔で、これが下方にあるということは、脊髄が下に伸びていた、つまり、直立していた可能性が高い。だとすると、直立はヒトの派生形質であるため、チンパンジーと分岐したのちのヒトの祖先(もしくはその近縁)であるということになる。また、ヒトを他の霊長類から特徴づける数多くの特徴のうち、直立は最も初期に進化した形質の1つということになる。

しかし、サヘラントロプスの脚の化石や足跡化石は見つかっておらず、直立というのは仮説にとどまる。もし直立が否定されるなら、サヘラントロプスの系統的位置を確実にする証拠はなくなり、ヒトとチンパンジーの共通祖先(ヒト族の祖)、あるいは、ゴリラも含めた共通祖先(ヒト亜科の祖)の可能性もある。

サヘラントロプスに続く時代の化石人類(あるいは化石類人猿)であるオロリンアルディピテクス(ラミダスとカダバ)との関係は、化石記録が断片的なためにはっきりしない。サヘラントロプスは頭骨しか見つかっておらず、オロリンやアルディピテクスは頭骨がないか不完全だからである。もし完全な化石が見つかったとしたら、別属とするほどの差はないかもしれない[5]

生息年代[編集]

生息地域[編集]

特徴[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ Sahelanthropus tchadensis”. Smithsonian Institution. 2015年12月22日閲覧。
  2. ^ ブリュネ, p. 170.
  3. ^ Brunet, Michel, et al. (2002). “A new hominid from the Upper Miocene of Chad, Central Africa”. Nature 418 (6894): 145-151. doi:10.1038/nature00879. 
  4. ^ ブリュネ, pp. 172-173.
  5. ^ 東京大学総合研究博物館「アフリカの骨、縄文の骨――遥かラミダスを望む」Q&A「ラミダスと、カダバ、オロリン、サヘラントロプスとの関係は?」
  6. ^ ブリュネ, p. 182.
  7. ^ ブリュネ, p. 183.
  8. ^ ブリュネ, p. 186.

参考文献[編集]

  • ミシェル ブリュネ (著), 諏訪 元 (監修), 山田 美明 (翻訳) 『人類の原点を求めて―アベルからトゥーマイへ』 原書房、2012年7月ISBN 978-4562047505