ゴーダーヴァリ級フリゲート

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ゴーダーヴァリ級フリゲート

「ゴーダーヴァリ」
艦級概観
艦種 フリゲート
就役期間 1983年 - 2022年
前級 ニルギリ級
次級 16A型 (ブラマプトラ級)
性能諸元
排水量 基準:3,500[1]→3,700トン[2]
満載:4,100[1]→4,300トン[2]
全長 126.4 m[2]
全幅 14.5 m[2]
吃水 4.5 m[2]
機関 ボイラー (38.7 kgf/cm2, 450℃) 2缶
蒸気タービン (15,000 shp) 2基
スクリュープロペラ 2軸
速力 最大28ノット
航続距離 4,500海里 (12kt巡航時)
乗員 313名(士官40名、航空要員13名含む)
兵装 75口径57mm連装速射砲[1]
62口径76mm単装速射砲
1基
AK-230[1]AK-630 30mmCIWS[2] 4基
テルミートM SSM単装発射機 4基
オサーM短SAM 連装発射機[1]
(バラク VLS×24セルに後日換装[2])
1基
ILAS-3 3連装短魚雷発射管
(A.244/S ないし NST-58 魚雷)
2基
艦載機 シーキングヘリコプター 2機
C4I IPN-10戦術情報処理装置[3][2]
レーダー RAWL-02 対空捜索用[2] 1基
アンガラーM 3次元[1]
(EL/M-2238に後日換装[2])
1基
ZW-06 航海用 2基
EL/M-2221 短SAM射撃指揮用 1基
ソナー 184型[1] 船底装備式
(APSOHに後日換装[2])
1基

ゴーダーヴァリ級フリゲート(ゴーダーヴァリきゅうフリゲート、英語: Godavari-class frigates)は、インド海軍フリゲートの艦級[1]。インド海軍での計画番号は16型[2][3]

設計[編集]

インドでは、1966年より、イギリスリアンダー級の設計に基づくニルギリ級フリゲートの建造に着手し、1972年から1981年にかけて6隻が就役した。本級は、これを元に船体を拡張するとともに、装備を強化した発展型となっている[1]。船型は中央船楼型に変更されるなど、インド国内で再設計された部分は全体の72パーセントに達した。なおネームシップでは、重大な溶接ミスが指摘された[3]

主機関はニルギリ級と同構成で、ボイラーはバブコック・アンド・ウィルコックス社製の三胴式、蒸気性状は圧力550 lbf/in2 (39 kgf/cm2)、温度450℃である[3]蒸気タービンはリアンダー級幅広型以来のY-160型が踏襲されており、ボーパール・エンジニアリングによって生産されて搭載された。なお安定化装置として、ヴォスパー社製のフィンスタビライザーを装備している[2]

装備[編集]

C4ISR[編集]

本級は、インド軍艦として初めて、戦闘システムのデジタル化を図ったシステム艦となっている[3]。その中核となる戦術情報処理装置としては、イタリア製のIPN-10が搭載された[2]

センサーは、多くがニルギリ級のものや、その国産化版が搭載された。対空捜索用としては、バーラト社製RAWL-02(LW-02または08のインド版)、対水上捜索および航海用としてはZW-06が搭載された。ただし本級では、同時期に整備されていたラージプート級駆逐艦と同型のMR-310U「アンガラーM」3次元レーダーが搭載された。これは就役後、個艦防空ミサイルの換装に併せて、イスラエルEL/M-2238 STARレーダーに換装されている。またソナーも、当初はニルギリ級と同じく、イギリス製の184型が搭載されていたが[1]、のちに、同級の「ヒムギリ」で試験されていた国産のAPSOH(Advanced Panoramic Soner)に換装された[2]

武器システム[編集]

防空対艦兵器に関しては、1970年代にソビエト連邦から購入したドゥルグ級コルベット1234型小型ミサイル艦)のシステムが導入された。P-15M「テルミートM」艦対艦ミサイルの単装発射機4基が船首甲板に搭載されたが、同ミサイルが大きかったため、両舷に張り出しが設けられた[4]

船楼甲板前端部の甲板室には、4K33「オサーM」個艦防空ミサイルの昇降式連装発射機が設置された。また艦砲として75口径57mm連装速射砲(AK-725ロシア語版)、CIWSとしてAK-230 30mm連装機関砲が搭載された。その後、個艦防空ミサイルはバラクVLS(8セル×3基)、艦砲は62口径76mm単装速射砲(76mmスーパーラピッド砲)、CIWSもAK-630 30mmガトリング砲へ換装されている[2][3]

対潜兵器は、ニルギリ級と同じILAS-3 324mm3連装短魚雷発射管を装備したが、同級で装備されていた対潜迫撃砲は省かれた[2][3]

最大の変更点が航空艤装の強化で、船楼後半部は、船幅全体を使って、シーキングヘリコプター2機を収容できるハンガーとされている。ただし大型の同機を2機搭載すると、トップヘビーから復原性の低下をきたすことから、通常は、1機分はより小型のフランスアルエットIII、あるいはそのライセンス生産版であるチェタクとされている。ヘリコプター甲板にはベアトラップ着艦拘束装置[1][2]およびSAMAHE機体移送装置を備えている[3]

同型艦[編集]

# 艦名 起工 進水 就役 退役
F20 ゴーダーヴァリ
INS Godavari
1978年
6月2日
1980年
5月15日
1983年
12月10日
2015年
12月23日
F22 ガンガ
INS Ganga
1980年 1981年
11月15日
1985年
12月30日
2018年
3月22日
F21 ゴマティ
INS Gomati
1981年 1984年
3月20日
1988年
4月16日
2022年
5月28日

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k Bernard Prezelin (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. pp. 237-238. ISBN 978-0870212505 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. pp. 279-280. ISBN 978-1591149545 
  3. ^ a b c d e f g h Stephen Saunders, ed (2009). Jane's Fighting Ships 2009-2010. Janes Information Group. p. 335. ISBN 978-0710628886 
  4. ^ 「世界の大型水上戦闘艦」『世界の艦船』第589号、海人社、2001年11月、128頁。 

外部リンク[編集]