レスティゴーシュ級駆逐艦

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レスティゴーシュ級駆逐艦
HMCS Kootenay (DDE 258) at Pearl Harbor 1986.JPEG
基本情報
艦種 護衛駆逐艦 (DDE)
命名基準 カナダの河川名
運用者  カナダ海軍
就役期間 1958年 - 1997年
前級 サン・ローラン級
次級 マッケンジー級
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レスティゴーシュ級駆逐艦英語: Restigouche-class destroyer)は、カナダ海軍駆逐艦護衛駆逐艦)の艦級。先行するサン・ローラン級の小改正型として、1959年に7隻が就役した[注 1][1][2][3]

来歴[編集]

1940年代末より、カナダとして初めて独自に設計した大型水上戦闘艦であるサン・ローラン級の計画が進められており、当初計画では14隻の建造が予定されていた[4]。その後、1952年発注分の後期建造分7隻については、艦砲など設計の一部を変更した小改正型として建造することとなった。これによって建造されたのが本級である[3]

設計[編集]

上記の経緯より、基本的な設計はサン・ローラン級のものが踏襲されており、当初は船体寸法も同一であった。その後、1968年から1973年にかけて、船体を1.6メートル延長する大規模な改修工事が行われた。吃水が増したのとあわせて、満載排水量にして20トン増大した[1]

機関もサン・ローラン級と同様、出力30,000馬力イングリッシュ・エレクトリックギアード・タービンが搭載された。ボイラーバブコック・アンド・ウィルコックス(B&W)社製の水管ボイラー2缶で、蒸気性状は圧力43.3 kgf/cm² (616 psi)、温度454 °C (849 °F)であった。電源の合計出力は、当初はサン・ローラン級と同じく1,400キロワットであったが、1980年代のDELEX改修の際に出力400キロワットの発電機1基を追加搭載した[2]

装備[編集]

IRE/DELEX改修後の艦影(1983年)
湾岸派遣艦の艦影(1992年)

C4ISR[編集]

レーダーはサン・ローラン級と同様で、対空捜索用としてAN/SPS-12、対水上捜索用としてAN/SPS-10を搭載していた。その後、1980年代のDELEX改修の際に、対空捜索レーダーをSPS-503に更新するとともに一般航海用レーダーが追加搭載された[2]。このSPS-503は、プレッシー社のAWS-4レーダーのアンテナを利用して国内開発したものであった[5]

ソナーもサン・ローラン級と同様で、探信儀としてSQS-503、海底捜索用としてSQS-501(英海軍162型)、対潜迫撃砲の目標捕捉用としてSQS-502(英海軍170B型)を搭載した[3][6]。その後、船体延長工事の際にSQS-505可変深度ソナーが追加装備された[2]

1980年代のDELEX改修では、レーダーの更新とともに、ADLIPS(Automatic Data Link Plotting System戦術情報処理装置を搭載し、リンク 11の運用に対応した[7]。またAN/WSC-3衛星通信装置も搭載された[2]

武器システム[編集]

サン・ローラン級からの最大の変更点が艦砲で、31番砲を50口径76mm連装速射砲(Mk.33 3インチ砲)から70口径76mm連装速射砲ヴィッカースMk.6)に変更した。一方、艦尾側の32番砲は、サン・ローラン級と同じく50口径76mm連装速射砲(Mk.33 3インチ砲)のままとされていた[3]砲射撃指揮装置(GFCS)としては、当初はMk.69が搭載されており[7]、後にデジタル化されたMk.60に更新された。追尾レーダーはサン・ローラン級と同じくAN/SPG-48が用いられた[2]

対潜兵器は、当初はサン・ローラン級と同様、艦尾甲板に3連装のリンボーMk.10対潜迫撃砲2基を設置していた。その後、船体延長工事の際に、リンボー1基および32番砲を撤去するかわりに、上記のVDSとともにアスロック8連装発射機を搭載した。また1990年・1991年には、湾岸戦争を受けたペルシア湾岸への派遣任務に伴い、「テラ・ノヴァ」「レスティゴーシュ」ではリンボーとアスロックを撤去し、ハープーン艦対艦ミサイルの4連装発射筒2基や60口径40mm単装機銃2基、ファランクス20mmCIWSを搭載して、対空・対水上戦能力を強化した[3]。またブローパイプ英語版ないしジャベリン携帯型艦対空ミサイルブローニングM2重機関銃も搭載された[6]

諸元表[編集]

新規建造時 DELEX改修後 湾岸派遣艦
満載排水量 2,880トン 2,900トン
全長 111.5 m 113.1 m
全幅 12.8 m
吃水 4.1 m 4.3 m
機関 バブコック・アンド・ウィルコックス水管ボイラー×2基
イングリッシュ・エレクトリック蒸気タービン×2基 (計30,000 shp)
スクリュープロペラ×2軸
速力 28ノット
乗員 248名 250名 290名
兵装 70口径76mm連装速射砲×1基
50口径76mm連装速射砲×1基 アスロック8連装発射機×1基 60口径40mm単装機銃×2基
ファランクス 20mmCIWS×1基
リンボーMk.10対潜迫撃砲×2基 リンボーMk.10対潜迫撃砲×1基 ハープーンSSM 4連装発射筒×2基
324mm3連装短魚雷発射管×2基
C4I CIC設置 ADLIPS 戦術情報処理装置
レーダー AN/SPS-12 対空捜索用 SPS-503 対空捜索用
AN/SPS-10 対水上捜索用
ソナー SQS-501 海底捜索用 (英162型)
SQS-503 捜索用
SQS-505可変深度式
電子戦 DAU HF/DF装置 CANEWS電波探知妨害装置
AN/ULQ-6電波妨害装置
Mk.137 6連装デコイ発射機×4基

同型艦[編集]

一覧表[編集]

艦番号 艦名 建造所 起工 進水 就役 退役
DDE 235 ショーディエール
HMCS Chaudiere
ビッカース
モントリオール
1953年
7月30日
1957年
11月13日
1959年
11月14日
1974年
5月23日
DDE 236 ガティノー
HMCS Gatineau
ハリファックス造船
ハリファックス
1953年
7月30日
1957年
11月13日
1959年
11月14日
1996年
5月24日
DDE 256 セント・クロイス
HMCS St. Croix
デイビー造船所
レヴィ
1953年
4月30日
1957年
6月3日
1959年
2月17日
1974年
11月15日
DDE 257 レスティゴーシュ
HMCS Restigouche
ビッカース
モントリオール
1953年
7月17日
1954年
11月22日
1958年
6月7日
1994年
8月31日
DDE 258 クートニー
HMCS Kootenay
バラード造船所
ノースバンクーバー
1952年
8月21日
1954年
6月15日
1959年
3月7日
1995年
11月18日
DDE 259 テラ・ノヴァ
HMCS Terra Nova
ビクトリア機械廠
ビクトリア
1953年
6月11日
1955年
6月21日
1959年
6月6日
1997年
7月11日
DDE 260 コロンビア
HMCS Columbia
バラード造船所
ノースバンクーバー
1952年
6月11日
1956年
11月1日
1959年
11月7日
1974年
2月18日

運用史[編集]

本級の1隻である「クートニー」(258)は、1969年に右舷のギア・ボックスが爆発するという事故を起こし、9名の死者を出した。これは、カナダ海軍が平時に経験した事故としては最悪のものである。

本級のうちの3隻は1974年に予備役に編入された。のこる4隻は運用を継続したが、後継となるハリファックス級フリゲートの就役開始に伴い、1994年から1997年までに全艦が退役した。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ジェーン海軍年鑑やアメリカ海軍協会(USNI)ではフリゲートとして類別している。

出典[編集]

  1. ^ a b Moore 1975, pp. 59-60.
  2. ^ a b c d e f Prezelin 1990, pp. 55-56.
  3. ^ a b c d e Gardiner 1996, p. 45.
  4. ^ Blackman 1954, p. 97.
  5. ^ Prezelin 1990, p. 52.
  6. ^ a b McClearn 2008.
  7. ^ a b Sharpe 1989, p. 78.

参考文献[編集]

関連項目[編集]