カモルタ級コルベット

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カモルタ級コルベット
1番艦「カモルタ」(P28)
1番艦「カモルタ」(P28)
基本情報
種別 コルベット
建造所 ガーデン・リーチ造船所(GRSE)
運用者  インド海軍
建造費 280-700 億ルピー[1]
建造期間 2005年 -
就役期間 2014年 -
計画数 12
建造数 4
前級 25A型 (コーラ級)
次級 最新
要目
満載排水量 3,150トン[2]
長さ 109.2 m[2]
12.8 m
吃水 3.7 m
機関方式 CODAD
主機 SEMT ピルスティク12 PA6 STCディーゼルエンジン×4基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 22,030馬力
速力 25ノット(kt)
航続距離 3,450海里 (18kt巡航時)
乗員 120名
兵装76mm単装速射砲×1基
AK-630M 30mmCIWS×2基
バラク1短SAMVLS×16セル
RBU-6000対潜ロケット砲×2基
・533mm連装魚雷発射管×2基
搭載機 Ka-28哨戒ヘリコプター×1機
レーダー ・レバティ 対空対水上捜索用
・ガルプンB 対水上捜索用
・EL/M-2221 短SAM射撃指揮用
・リンクス 砲射撃指揮用
ソナー HUMSA 船底装備型
電子戦
対抗手段
・電波探知妨害装置
・DESEAVERデコイ発射機
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カモルタ級コルベット英語: Kamorta-class corvette)は、インド海軍コルベットの艦級。インド海軍での計画番号は28型[3][4]

来歴[編集]

インド海軍では、1983年から1985年にかけて25型コルベット(ククリ級)4隻を、また1990年から1994年にかけて小改正型の25A型(コーラ級)4隻を発注しており、1989年から2004年にかけて順次に就役した。しかしこれらは、いずれも艦対艦ミサイルを主兵装とするミサイル艦であり、ソナー対潜兵器ももたないなど、対潜戦能力はほぼ完全に欠如していた[4]

このことから、2003年に発注された新しいコルベットは設計を一新し、外洋域での対潜戦および洋上警備・救難を主眼とするよう計画された。これによって建造されたのが本級である[4]

「カドマット」は2023年12月、日本海上自衛隊横須賀基地を訪問して、12月3日のインド海軍記念日を艦上で祝った[5]。同7日には九州南方海上で日本の補給艦「とわだ」と合同訓練を実施した[6]

設計[編集]

設計は、海軍の設計総局(DGND)に設けられた水上艦グループ(SSG)とガーデン・リーチ造船所の設計チームの協同により行われた[3]。船型は中央船楼型とされており、ステルス艦としての艦容もあって、イスラエル海軍サール5型コルベットに似た印象となっている。またステルス性への配慮はレーダー反射断面積の削減だけにとどまらず、上記の経緯から対潜戦が重視されているため、磁気的シグネチャーや水中放射雑音の低減も進められている[2]。また本級では、NBC(核·生物·化学)兵器に対する防御措置も講じられた[4]

主機関としてはCODAD方式が採用されており、SEMT ピルスティク12 PA6 STCディーゼルエンジン4基で可変ピッチ・プロペラ2軸を駆動する[4]

装備[編集]

インド海軍のコルベットとしては初の艦対空ミサイル装備として、バラク1個艦防空ミサイルを採用しており、8セルのVLSが2基搭載された。なおPDMSの搭載は、25A型の計画段階で検討されたものの断念されたものであった[4]。また上記の経緯から対潜兵器も装備されており、タルワー級フリゲートシヴァリク級フリゲートと同様にRBU-6000対潜ロケット砲と長魚雷発射管が装備された。艦砲は25A型(コーラ級)の後期建造艦と同じくオート・メラーラ社製のスーパー・ラピッド砲であるが、ステルス艦化にあわせて、ステルス化されたシールドを備えている[2]

本級では航空運用能力も強化されており、25型および25A型がヘリコプター甲板しか持たないのに対して、艦載ヘリコプター1機を収納するハンガーが設けられた[3][4][2]

なお、従来のインド艦と同様に本級でも国産化が図られており、国産化率は約90%に達するとされる[7]

同型艦[編集]

# 艦名 建造所 起工 進水 就役 母港
P28 カモルタ
INS Kamorta
ガーデン・リーチ造船所 2006年
11月20日
2010年
4月19日
2014年
8月23日
ヴィシャーカパトナム
P29 カドマット
INS Kadmatt
2007年
9月27日
2011年
10月24日
2016年
1月7日
P30 キルタン
INS Kiltan
2010年
8月10日
2013年
3月26日
2017年
10月16日
P31 カバラティ
INS Kavaratti
2012年
1月20日
2015年
5月19日
2020年
10月22日

脚注[編集]

  1. ^ http://www.business-standard.com/india/news/warship-project-delayed-to-buildprivate-sector/365553/
  2. ^ a b c d e 「写真特集 世界の新鋭水上戦闘艦」『世界の艦船』第832号、海人社、2016年3月、21-46頁、NAID 40020720284 
  3. ^ a b c Stephen Saunders, ed (2009). Jane's Fighting Ships 2009-2010. Janes Information Group. pp. 330-340. ISBN 978-0710628886 
  4. ^ a b c d e f g Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. pp. 275-281. ISBN 978-1591149545 
  5. ^ [乱気流世界]日印共通の最大脅威は中国産経新聞』朝刊2024年1月8日オピニオン面(2024年2月23日閲覧)
  6. ^ 日印共同訓練について 海上幕僚監部(2023年12月8日)2024年2月23日閲覧
  7. ^ “インド、対中軍備増強急ぐ 艦船就役・ミサイル配備 フランスから技術移転も”. 産経新聞 (Sankei Biz). (2014年8月29日). https://web.archive.org/web/20140903072935/http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/140829/cpd1408290500001-n1.htm 

外部リンク[編集]