シシュマール級潜水艦

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シシュマール級潜水艦
基本情報
種別 通常動力型潜水艦
建造所 ドイツの旗 ドイツ HDW
インドの旗 インドマザゴン造船所
運用者  インド海軍
就役期間 1986年 - 現在
計画数 6隻 (うち2隻中止)
建造数 4隻 (現役)
要目
排水量 1,450 t (水上)
1,850 t (水中)
長さ 64.4 m
6.5 m
吃水 6 m
機関方式 ディーゼル・エレクトリック方式
主機MTU 16V493 TY60 ディーゼルエンジン×4基
シーメンス電動機 (6,600 kW) ×1基
推進器 スクリュープロペラ×1軸
出力 4,600馬力
電源 132セル蓄電池×4セット
速力 11 kt (浮上時)
22 kt (潜航時)
航続距離 8,000海里 (8 kt, 浮上時)
潜航深度 320 m (実用潜航深度 260 m)
乗員 40名
兵装 533mm 魚雷発射管×8(魚雷×14基)
外装機雷 24基
ソナー STN アトラス CSU-83 統合ソナー
※後期建造艦2隻にはDUU-5が装備
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シシュマール級潜水艦(シシュマールきゅうせんすいかん、英語:Shishumar class submarine)はインド海軍が運用する通常動力型潜水艦の艦級の一つ。ドイツホヴァルツヴェルケ=ドイツ造船の輸出用潜水艦である209/1500型潜水艦をもとに、インド海軍の運用要求に応じたカスタマイズを加えて開発された。

就役している209型としてはもっとも大型であり、熱帯で運用されることもあって、蓄電池も他の型より大容量化されている。また、やはり同型のなかで唯一、非常時脱出用の救難球を搭載している。本級は近代化改修済みであるが、更なるAIP推進付加を含む近代化改修の計画もある。

概要[編集]

1970年代末の時点で、インド海軍は、既に8隻のカルヴァリ級潜水艦ソ連フォックストロット型)による潜水艦部隊を有していた。同級は優秀な長距離潜水艦ではあったが、既に旧式化しつつあった上に、元来がロシア沿岸の高緯度地方での運用を想定していたことから、インド海軍が主な作戦海面としている熱帯地方には不適当な面もあった。

一方、ドイツのホヴァルツヴェルケ=ドイツ造船社が輸出向け潜水艦として開発していた209型は、既に中南米諸国などといった熱帯地域の国でも運用されており、また、顧客の要望に応じたカスタマイズにも柔軟に対応していた。このことから、インド海軍は、209型の導入を決定し、1981年にHDW社との技術協定を締結した。この協定によると、HDW社がキールで2隻を建造したのち、HDW社の指導・技術支援のもとでムンバイマザゴン造船所において4隻を追加建造することとなっていた。しかし、1998年のインド核実験により残りの2隻はキャンセルされた。なお、本級は2000年より順次近代化改修を受けている。

本型の技術的特徴は209型とおおむね同じであり、単殻構造の耐圧殻の上に非耐圧・大型の上部構造を乗せた構造となっている。ただし、他型とは異なる点として、セイル直前の上構内に非常時脱出用の救難球を搭載している。これは、事故など損傷によって浮上不能になった場合に、すべての乗員を収容して脱出するためのもので、スタンキー・フードSEIEなどによる個人脱出よりも減圧症低体温症に罹患するリスクが低減されるものの、このように狭い区画内で多人数が一定時間生存し、また様々な海象状況のなかでこれを回収することは決して容易ではないことから、採用例は多くない。

同型艦一覧[編集]

艦番号 艦名 (英名) 建造者 就役 現状
S44 シシュマール
(INS Shishumar)
HDW 1986年
9月22日
改修済み
S45 シャンクシュ
(INS Shankush)
1986年
11月20日
改修済み
S46 シャルキ
(INS Shalki)
マザゴン造船所 1992年
2月7日
改修済み
S47 シャンクル
(INS Shankul)
1994年
5月28日
改修済み

関連項目[編集]

参考文献・外部リンク[編集]

画像外部リンク
上空より俯瞰した写真。
斜め前方より撮影。水面付近に見える赤い塗装の部分が耐圧殻
  • 「世界の潜水艦」『世界の艦船』第637集 (増刊第68集)、海人社、2005年1月、7-160頁。 
  • 池田 知純 [1]『潜水の世界 人はどこまで潜れるか』大修館書店、2002年。ISBN 4-469-26505-5 
  • John Pike [2] (2009年4月4日). “S 44 Shishumar Class” (HTML) (英語). 2009年8月28日閲覧。