キャメル号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
キャメル号(羽田京急バス)
キャメル号(羽田京急バス)
キャメル号(日本交通)
キャメル号(日本交通)
キャメル号(日ノ丸自動車)
キャメル号(日ノ丸自動車)

キャメル号(キャメルごう)は東京都鳥取県を結んでいた夜行高速バスである。愛称は、鳥取砂丘ラクダ: Camel)から。

本項では便宜上、東京 - 鳥取・倉吉線を「鳥取線」、東京 - 米子線を「米子線」と表記する。

2020年7月より両路線とも運行を休止していたが、2021年3月16日をもって両路線とも廃止された[1][2][3]

概説[編集]

740Kmという運行距離は、登場当時は航空機の分野とされており、なおかつ鳥取県の経済圏は大阪とされていたことから、「経済圏の大阪を飛び越えて東京に行くバスが儲かるのだろうか」と、雑誌などでは話題になった路線である。

それまで、鳥取県における日本交通VS日ノ丸自動車[注 1]間の仲の悪さは鳥取県民の間でも有名だった。同じように鳥取県内を拠点としており、鳥取駅でも鳥取砂丘でもバスターミナルが別々で、それぞれが鳥取砂丘への観光客の奪い合いをしている状態であった。もちろん、狭い地域で対立していてもメリットはさほどないことは両社とも理解はしており、相互の路線を交換するなどの再編も行なってはいたものの、「仲が悪い会社」という印象を拭い去るまでには至っていなかった。

しかし、京浜急行から「キャメル号」運行の話があったことで、両社の関係に変化が生じることになった。「キャメル号」運行後、2社の関係は融和ムードをみせ、「仲が悪い会社」というイメージを払拭した。現在では一般路線バスでも日交と日ノ丸との間で共同運行されているバス路線も設定している。

キャメル号は日ノ丸が京浜急行と企画したものであるが、高速バスのノウハウを持つ日本交通を入れたことが功を奏した。

運行事業者[編集]

  • 京浜急行バス新子安営業所)。
  • 日本交通(鳥取線は倉吉営業所・米子線は米子営業所)
  • 日ノ丸自動車(鳥取線は倉吉営業所・米子線は米子支店)
    • 鳥取・倉吉・米子側の電話予約は日本交通のみの担当。日ノ丸自動車での電話予約は行わない。
    • 日ノ丸自動車と日本交通の東京側休憩は、従来通り京浜急行バス羽田営業所で休憩する。
    • ネット予約は京浜急行バスのみ

運行系統および停車停留所[編集]

▼…品川発は乗車のみ、倉吉・米子発は降車のみ扱い
▲…品川発は降車のみ、倉吉・米子発は乗車のみ扱い
♯…休憩停車を行うサービスエリア
∥…非経由
所在地 停車停留所
休憩箇所
キャメル号 備  考
鳥取線 米子線
東京都 港区 品川バスターミナル
港区 浜松町バスターミナル
渋谷区 渋谷マークシティ 91番乗り場に停車
静岡県 沼津市 駿河湾沼津SA
兵庫県 加西市
神崎郡福崎町
加西SA
鳥取県 八頭郡智頭町 智頭福原
鳥取市 鳥取駅 鳥取駅バスターミナル
湖山(湖陵高校前)
倉吉市 倉吉バスセンター 鳥取県中央自動車学校
倉吉駅
日野郡江府町 江府IC   道の駅奥大山[4]
米子市 米子駅  

歴史[編集]

使用車両[編集]

京浜急行バスは最新型日野・セレガスーパーハイデッカーをメインに三菱ふそう・エアロクィーン等、日本交通は日野新型セレガハイデッカー(米子はスーパーハイデッカーSHDも在籍)等、日ノ丸自動車は日野・セレガGD、日野・セレガハイデッカー等が使用される。いずれも独立3列シートWC付である。

運行開始当初は、3種類のカラーリングが用意されたが、これは各社別のカラーリングではなく、3社合わせて8台の車両に3種類のカラーリングを割り当てた。その後、本路線の運行開始当初に採用されたカラーリングのうち、京浜急行・日ノ丸自動車では1種類を標準色とするようになり、日本交通は自社オリジナルカラーを導入している。

  • 風(現在は京浜急行バスグループの夜行高速バスの標準塗装)
  • 鳥(現在は消滅)
  • 鳥取砂丘(現在は日ノ丸自動車の高速バスの標準塗装)

なお、米子線の日本交通の車両の中には、近隣の境港市水木しげるの出身地であることにちなみ、同氏の作品ゲゲゲの鬼太郎のイラストを描いた「鬼太郎バス」(三菱ふそう・エアロクィーンI)が運行されていたが、2006年度に日野新型セレガSHDに置き換え、さらに2013年には日野新型セレガHDを導入、エアロクィーン鬼太郎バスは07年頃京都交通に譲渡された(写真参照)。

車内設備・サービス[編集]

車内Wi-Fi対応表示

京急車の場合

日ノ丸/日交の場合も概ね京急に準じた設備となる。

特記事項[編集]

  • 鳥取・倉吉での京浜急行バスの運行支援業務は、日ノ丸自動車が担当している。
  • 米子での京浜急行バスの運行支援業務は、日本交通が担当している。
  • お盆、年末年始等の最ピーク期には3台以上で運行される。ただし、2号車以降は渋谷マークシティを通過する。米子線よりも鳥取線の方が利用客は多く、以前の鳥取線は観光型車両(4列シート・トイレ無し)を含めて7台程度運行されていた。
  • キャメル号の実質的幹事は日ノ丸自動車で、日ノ丸は鳥取線・米子線とも通年運行。京浜急行バスと日本交通は、隔月交代で鳥取線と米子線を担当している。例えば、京急が鳥取線の月の日交は米子線となる(続行便運行時は除く)。
  • 上記の割り当てに伴い、京急が鳥取線を担当する月の1号車が日ノ丸の場合、2号車は京急といった運用となっていたが、京急が車両を出さない場合は2号車が欠番となり、日本交通担当の3号車が設定されていた。

参考文献[編集]

  • 鈴木文彦「新版 高速バス大百科」中央書院、1991年11月 ISBN 492442062X

脚注[編集]

  1. ^ a b 東京線「キャメル号」路線廃止のお知らせ”. 日本交通(鳥取) (2021年2月15日). 2021年2月15日閲覧。
  2. ^ a b 東京線「キャメル号」路線廃止のお知らせ” (PDF). 日本交通(鳥取) (2021年2月15日). 2021年2月15日閲覧。
  3. ^ a b 高速バス 【東京線:キャメル号】 (倉吉・鳥取~品川、米子~品川) 路線廃止のお知らせ” (PDF). 日ノ丸自動車 (2021年2月15日). 2021年2月15日閲覧。
  4. ^ 江府町案内MAP - 江府町公式サイト内より
  5. ^ a b c “17日に発車オーライ 東京-鳥取・米子間に夜行高速バス”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (1988年8月14日) 
  6. ^ 智頭バス停の場所移動・名称変更
  7. ^ 「キャメル号」鳥取・倉吉ゆきの停留所新設および時刻の変更について”. 京浜急行バス (2018年4月24日). 2018年6月2日閲覧。
  8. ^ 「キャメル号」米子ゆきの停留所新設および時刻の変更について”. 京浜急行バス (2018年4月24日). 2018年6月2日閲覧。
  9. ^ 高速バス:鳥取・倉吉/米子~東京線 6月1日ダイヤ改正 『渋谷マークシティ』バス停新設と運行時刻の変更”. 日本交通 (2018年4月30日). 2018年6月2日閲覧。
  10. ^ キャメル号(倉吉・米子⇔東京線)ダイヤ変更内容” (PDF). 日ノ丸自動車. 2018年6月2日閲覧。
  11. ^ 消費税引き上げに伴う運賃改定について”. 京浜急行バス (2019年9月6日). 2019年10月22日閲覧。
  12. ^ 消費税率引上げに伴う 高速バス運賃改定のお知らせ”. 日本交通. 2019年10月22日閲覧。
  13. ^ 新型コロナウイルスの影響に伴う高速・空港バス運行について(4月16日18時現在)”. 京浜急行バス (2020年4月16日). 2020年4月18日閲覧。
  14. ^ a b 新型コロナウイルスの影響による高速バスの運休・減便等について”. 日本交通 (2020年6月27日). 2020年7月4日閲覧。
  15. ^ 新型コロナウイルスの影響による高速バスの運休のご案内。” (PDF). 日ノ丸自動車 (2020年4月17日). 2020年4月18日閲覧。
  16. ^ 一部運休路線の運行再開について”. 京浜急行バス (2020年7月3日). 2020年7月4日閲覧。
  17. ^ a b 新型コロナウイルスの影響による高速バスの運休・減便等について”. 日本交通 (2020年8月28日). 2020年9月6日閲覧。
  18. ^ 高速バス:鳥取・倉吉/米子~東京線 4月21日ダイヤ改正 『羽田エアポートガーデン』バス停新設”. 日本交通. 2020年4月18日閲覧。

注釈[編集]

  1. ^ いずれも東京の大手タクシー事業者の日本交通日の丸自動車グループとは関わりが無い。

関連項目[編集]

  • サンライズ出雲 東京 - 米子・出雲市間を結ぶ夜行列車。現在は「サンライズ出雲号」のみ運転。

外部リンク[編集]