エレクトリック・レディランド

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エレクトリック・レディランド
ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンススタジオ・アルバム
リリース
録音 1967年7月 - 1968年8月
オリンピック・スタジオロンドン
レコード・プラント・スタジオニューヨーク
ジャンル サイケデリック・ロック
ブルースロック
ハードロック
時間
レーベル オリジナル盤
アメリカ合衆国の旗 リプリーズ
イギリスの旗 トラック
リイシュー盤
エクスペリエンス・ヘンドリックス
MCA(初盤)
レガシー/コロムビア(再発)
プロデュース ジミ・ヘンドリックス
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 1位(米国)
  • 6位(英国)
  • ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス アルバム 年表
    スマッシュ・ヒッツ
    (1968年)
    エレクトリック・レディランド
    (1968年)
    バンド・オブ・ジプシーズ
    (1970年)
    テンプレートを表示

    エレクトリック・レディランド』(Electric Ladyland)は、ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス1968年に発表したアルバム。エクスペリエンス名義としては3作目にして最後のアルバム。ジミ・ヘンドリックス存命時としては最後のスタジオ・アルバムでもある(エクスペリエンス解散後、ライブ・アルバムを1枚発表している)。2003年ローリング・ストーン誌が大規模なアンケートで選んだオールタイム・グレイテスト・アルバムで54位[1]

    解説[編集]

    LPレコード2枚組で発表され、CD化されてからも当初は2枚組だったが、CDの収録時間が長くなったことにより、現行のリマスターCDでは1枚にまとめられた。 発売当初、アメリカ盤とイギリス盤ではジャケットデザインが異なっていた。

    本作には多数のゲスト・ミュージシャンが参加。トラフィックのギタリスト、デイヴ・メイソンが「クロスタウン・トラフィック」(バック・ボーカル)と「ウォッチタワー(見張塔からずっと)」(12弦ギター)に参加。前者では、自分のバンド名でもある「Traffic」というフレーズを歌っている[2]。同じくトラフィックのメンバーであるスティーヴ・ウィンウッドは「ヴードゥー・チャイル」に、クリス・ウッドは「1983」に参加。他にもローリング・ストーンズブライアン・ジョーンズジェファーソン・エアプレインジャック・キャサディ等が参加。

    「ウォッチタワー(見張塔からずっと)」は、ボブ・ディランジョン・ウェズリー・ハーディング』収録曲のカヴァー。ディラン自身も本作でのアレンジに感銘を受けたと言われ、ライブでジミのヴァージョンに近い演奏をしたこともある。ディランは「この曲は俺が書いたが、権利の半分くらいはヘンドリックスのもの」と語った。イギリスの新聞「デイリー・テレグラフ」の音楽評論家が2004年に選出した「ベスト・カヴァー・ソングTOP50」では、ジミによる同曲が1位となった[3]

    ワウを多用した「ヴードゥー・チャイルド (スライト・リターン)」はジミの代表曲のひとつであり、死の直前に至るまでライブで頻繁に演奏された。

    1997年、本作制作過程のドキュメンタリー番組が、アメリカやイギリスでテレビ放映された。同番組は、1998年に『メイキング・オブ・エレクトリック・レディランド』というタイトルでDVD化された。2000年代にDVDと彼の歩みやアルバムリスト、内容紹介の本をセットにした単行本が発刊された。

    ジャケット[編集]

    先行発売されたアメリカ盤のジャケットは、ジミの顔写真を加工したもの。イギリス盤では大勢の女性ヌードモデルの写真を使っており、ジミはこの「ヌード・ジャケット」を嫌っていた。日本盤は、初回盤はイギリス盤のゲートフォルドカバー内部にあったポートレートを表ジャケットに使用し、1977年再発盤はアメリカ盤の裏ジャケットを表ジャケットに使用、1979年再発盤でイギリス盤ジャケットを使用した。1997年以降は、ジミの遺族が運営する財団「エクスペリエンス・ヘンドリックス」の意向により、アメリカ盤ジャケットのデザインで世界的に流通している。

    ジャケット・デザインに関しては、ジミ自身もアイディアを持っていたが没になった。1997年に本作がリマスター再発された際、ジミのアイディアのラフ・スケッチが書かれたメモが、ブックレット中に印刷されている。写真撮影はリンダ・イーストマン(後のポール・マッカートニー夫人)を指名していた[4]

    50周年記念盤[編集]

    (出典[5]

    発売50周年を迎えた2018年11月には3CD+Blu-rayの計4枚組仕様の『エレクトリック・レディランド 50周年記念盤』が発売された。

    Disc1はバーニー・グランドマンによるアルバム本編の最新リマスター盤を収録。オリジナルのアナログ・テープからのマスタリングとなっている。

    Disc2は『At Last...The Beginning: The Making of Electric Ladyland: The Early Takes』として未発表デモ音源やスタジオでのアウトテイクを収録。バディ・マイルスやスティーヴン・スティルスがゲスト参加した音源も含まれている。

    Disc3『Jimi Hendrix Experience: Live At The Hollywood Bowl Sept. 14, 1968』はアルバム発売の約1か月前に行われた1968年9月14日のハリウッド・ボウルでの未発表ライヴ音源を収録している。エクスペリエンス・ヘンドリックス傘下、ダガー・レコーズの公式ブートレッグ・シリーズの一環であり、発見された2トラックのサウンドボードからの録音音源となっている。

    Blu-rayにはドキュメンタリー番組『メイキング・オブ・エレクトリック・レディランド』とアルバム本編のハイレゾ音源と5.1chサラウンドを収録。サラウンド・ミックスはジミが生前制作した全作品のエンジニアを務め、死後の作品にもほぼ全て携わっているエディ・クレイマーが手がけている。

    ジャケット・デザインはリニューアルされ、ジミ自身のアイデアの下リンダ・イーストマンが撮影した写真がカラーで使用されている。

    収録曲[編集]

    特記なき楽曲はジミ・ヘンドリックス作。

    Side 1
    1. 恋の神々 - And the Gods Made Love
    2. エレクトリック・レディランド - Have You Ever Been (to Electric Ladyland)
    3. クロスタウン・トラフィック - Crosstown Traffic
    4. ヴードゥー・チャイル - Voodoo Chile
    Side 2
    1. リトル・ミス・ストレンジ - Little Miss Strange (by Noel Redding)
    2. 長く暑い夏の夜 - Long Hot Summer Night
    3. カム・オン (レット・ザ・グッド・タイムス・ロール) - Come On (Let the Good Times Roll) (by Earl King)
    4. ジプシー・アイズ - Gypsy Eyes
    5. 真夜中のランプ - Burning of the Midnight Lamp
    Side 3
    1. 雨の日に夢去りぬ - Rainy Day, Dream Away
    2. 1983 - 1983... (A Merman I Should Turn to Be)
    3. 月夜の潮路 - Moon, Turn the Tides...Gently Gently Away
    Side 4
    1. 静かな雨、静かな夢 - Still Raining, Still Dreaming
    2. 焼け落ちた家 - House Burning Down
    3. ウォッチタワー - All Along the Watchtower (by Bob Dylan)
    4. ヴードゥー・チャイルド (スライト・リターン) - Voodoo Child (Slight Return)

    1984年にポリドール・レコードから初CD化された際、曲順に誤りがあり、1.-4.(オリジナルLPのA面)→13.-16.(D面)→5.-9.(B面)→10.-12.(C面)の順となっていた。1991年の再発で修正される[2]。(日本盤LPは当初より初版CD同様の順に収録されていた。)

    DVDボーナストラック[編集]

    1. クロスタウン・トラフィック
    2. ジプシー・アイズ
    3. 1983
    4. ヴードゥー・チャイル

    参加ミュージシャン[編集]

    ゲスト・プレイヤー

    カヴァー[編集]

    注釈[編集]

    1. ^ 500 Greatest Albums of All Time: Electric Ladyland - The Jimi Hendrix Experience | Rolling Stone Music | Lists
    2. ^ a b 『全曲解説シリーズ ジミ・ヘンドリックス』(ピーター・ドゲット・著、島田聖子・訳、シンコーミュージック・エンタテイメント、ISBN 4-401-63039-4)p.35-39
    3. ^ CDjournal.com-ニュース(2004年11月30日)
    4. ^ 『KAWADE夢ムック 文藝別冊 総特集 ジミ・ヘンドリックス』(河出書房新社、2004年 ISBN 4-309-97686-7)p.143
    5. ^ 圧倒的なエクスペリエンスを再び―。ジミ・ヘンドリックス、『エレクトリック・レディランド』 50周年記念盤を11月に発売!!
    先代
    ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー
    『チープ・スリル』
    Billboard 200 ナンバーワンアルバム
    1968年11月16日 - 11月23日(2週)
    次代
    ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー
    『チープ・スリル』