エルマーのぼうけん

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エルマーのぼうけん』(原題:My Father's Dragon)は、1948年アメリカで出版された児童文学作品である。著者はルース・スタイルス・ガネット (Ruth Stiles Gannettで、挿絵はガネットの義理の母親ルース・クリスマン・ガネットによって描かれた。日本語版は渡辺茂男によって訳された。1963年7月15日初版発行[1]

NHKの幼児向けテレビ番組『にんぎょうげき』で人形劇として放映され、この人形劇は同局の『おとぎのへや』NHK教育テレビの『こどもにんぎょう劇場』などでも再放送された。1997年には、『エルマーの冒険』として日本アニメーション映画化された。

関連商品として、どうぶつ島を巡って原作の動物に出会うマスでカードを引きながら進み、りゅうを助けてあがりとなる「エルマーのぼうけんすごろく」もある。

概要[編集]

エルマーのぼうけん』は、1946年ルース・スタイルス・ガネット (Ruth Stiles Gannettが 22歳の時にスキー場のロッジでアルバイトをしながら書いた児童文学作品である。

主人公のエルマー・エレベーターが、助けた野良猫の話に従ってどうぶつ島に渡り、捕らえられていた竜の子供を助けるまでを書いた作品である。

原題は 「お父さんの竜」(My Father's Dragon)で、語り手の父親(my father)が 9歳の少年だった時の話として書かれている。会話などで直接的に名前を使う時を除いて、ほとんどすべてが、主人公を「エルマー」ではなく 「my father」 と表現して語られていくが、日本語訳では「my father」 のほとんどは「エルマー」に置き換えられた。 2巻目である『エルマーとりゅう』からは原著でも「エルマー」を主語に用いている。

両親の勧めで出版社に持ち込むことになった。子供たちの反応を気にしたランダムハウスの編集者が、ある小学校の生徒たちに『エルマーのぼうけん』を読ませてみると大好評だったが、担任の教員の報告書には「著者は少し頭がいかれてるのでは?」と書かれていた。

挿絵画家選びは難航したが、ガネットの義理の母親であるルース・クリスマン・ガネットに頼むことになった。 ルース・クリスマン・ガネットは1946年に出版され、1947年ニューベリー賞最優秀賞(Newbery Winner)受賞作であるキャロライン・シャーウィン ベイリー (Carolyn Sherwin Baileyの児童文学作品『ミス・ヒッコリーと森のなかまたち』(Miss Hickory)の挿絵も描いていた。

そして『エルマーのぼうけん』は1948年に出版されるとすぐに、ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン (New York Herald Tribune春の児童図書祭賞(Children's Spring Book Festival Award)を受賞し、1949年にはニューベリー賞優秀賞(Newbery Honor)の 1つに選ばれている。

エルマーが竜を助けて家に帰ろうとするところで終わっているため、その続きとして1950年に『エルマーとりゅう』(原題:Elmer and the Dragon)、1951年に『エルマーと16ぴきのりゅう』(原題:The Dragons of Blueland)が出版された。


ストーリー[編集]

エルマーのぼうけん[編集]

かれき町に住む9歳の少年エルマーは、助けた野良猫からどうぶつ島に囚われている可哀想な竜の子供の話を聞いた。 竜は首を綱で繋がれて川を渡るのに使われているという。 エルマーは竜を助けにみかん島に渡り、隣のどうぶつ島に入ったが、侵入者として追われた。 しかし、エルマーは持ってきた様々な道具とアイデアを用いて猛獣達をごまかしながら竜の元へと辿り着き、ついには綱を切って竜の背中に乗り、逃げる事に成功した。

エルマーとりゅう[編集]

どうぶつ島を脱出した竜とエルマーは、みかん島からかれき町へ向かった。 嵐に遭遇して浅瀬の砂地に不時着する事になったが、幸いなことに近くにカナリヤばかりが住むカナリヤ島があった。 エルマーは、昔、家で飼っていたカナリヤのフルートと再会し、カナリヤの王、カン十一世を紹介された。 先祖のカン一世は人間に連れて来られたが、その人間達は、将来、島に戻ってきた時のためにと、木を植えたり畑を作ったり、宝箱を埋めたりして去った。宝箱については、王様だけが代々語り継いでいた。代々の王様は中身が気になり、知りたがり病に侵されていた。 王様が何を知りたがっているのか気になって、島中のカナリヤが知りたがり病になっていた。 カン十一世は決着をつけようと、エルマー達に宝箱の秘密を教え、掘り出してもらうことにした。 カン十一世から渡された鍵で開けると中から食器セットや金の時計、純銀のハーモニカ、金貨6袋等が出てきた。 カナリヤには使いようの無いものだらけだったが、カン十一世は金貨を見て溜め込めば金持ちになれると喜んだ。 エルマーと竜は金貨や金の時計をお土産に受け取り、かれき町へと向かった。 竜が人間達に見つかって騒ぎにならないように注意しながら、エルマーは家の近くに下ろしてもらい帰って行った。

エルマーと16ぴきのりゅう[編集]

エルマーと別れた竜は、家族のいるそらいろ高原に向かった。 人間に見つからないように夜に移動し、昼間は橋の下に隠れようとしたが、体を隠せる橋が中々見つからず、大きな土管を見つけて眠った。 途中で走っている所を百姓のワゴンに見られてしまい、追われることとなったが、ワゴンの牛達が助けてくれた。 とんがり山脈を越えてごびごび砂漠に入ると、いつも人間達を阻んでいた砂嵐が無く、そらいろ高原が丸裸になっていた。 竜は、そらいろ高原の岩山の上に人間達を見つけて近寄り、その会話を盗み聞きした。 そこで竜は、人間達が15匹の竜の寝込みを襲って洞穴に追い込んだ事を知った。 入り口では人間達が大きな網を張って竜達が飛び出してくるのを待ち構えていた。 入り口と反対側の小さな穴から潜り込んだ竜は、途中でつかえて進めなくなるが、両親と姉妹6匹、兄弟7匹全てに、助けを呼んでくるまでじっと待つように伝えた。家族は竜の事をボリスと呼んだ。 エルマーに助けを求めに引き返したボリスは、また人間達に見つかりながらも、エルマーの家の近くのみどり公園まで飛んで行った所、猫に発見され、エルマーに報せが届いた。 ボリスと猫とエルマーで作戦会議をした後、エルマーは道具を買い集め、ボリスに乗ってそらいろ高原を目指した。 洞穴の小さな穴に着くと、エルマーはボリスと家族の間を往復して準備を進めた。 ボリスが聞いた人間達の会話に出てきた名前を叫びながら、エルマーは運動会用のピストルを撃ち、洞穴の内側から人間達に助けを求めた。 洞穴の外の人間達は、助けに応じて網を抑えていた大石を動かし、網をどけ始めた。 3発目の銃声を合図に、ボリスは笛とラッパを鳴らして外を走り回り、さらに15匹の竜も呼応して笛とラッパを吹きはじめ、こだまする大音響で人間達を驚かし、開いた網の隙間から逃げることに成功した。 ボリスがエルマーを連れ帰る途中、砂漠に砂嵐が戻って来そうな気配がした。 ボリスはわかめ町記念塔の上にエルマーを下ろし、共に別れを惜しんだ。 エルマーは安全のために竜について猫以外には誰にも話さない事を約束した。 エルマーが汽車でかれき町まで帰った翌日、新聞に竜の目撃談が沢山掲載された。 竜に子供が乗っていたという話もあったため、父親はエルマーが関係してないか聞いたが、エルマーは一笑に付した。


登場人物[編集]

エルマー・エレベーター
物語の主人公。勇気あふれる賢い少年。9歳。ポップシコールニャ海岸沿いにある「かれき町」に住む。空を飛ぶことが夢であり、ねこからりゅうの話を聞き、どうぶつ島まで助けに行く決心をする。物語の始めに「ぼくのおとうさんのエルマー・エレベーターが小さかったときのこと」とあり、書き手はエルマーの息子ということになっている。
りゅう
「そらいろこうげん」に住むりゅうのこどもで、本名はボリス。こどもゆえうまく空を飛べず、どうぶつ島に墜落してしまう。そこで動物達に捕らえられ、非常に太い綱で川岸に縛りつけられて、客や荷物を載せて川を飛んで渡るために奴隷のように使役されている。体は水色と黄色の縞模様で(足の裏のみ赤色)、赤色の爪と角、金色の翼を持つ。草食で果物や野菜、エルマーの持ってきたお菓子などを食べる。どうぶつ島周辺ではダチョウシダやスカンクキャベツミカンの皮などを食べている。竜は人間を襲ったりはせず温厚で、騎士物語に出てくるような竜は騎士を勇敢に見せるための作り話として憤慨している。
ねこ
非常に年をとった野良猫。若いころはかなりの旅行家で、最後の旅行にみかん島へ出かけた際、立ち寄ったどうぶつ島でりゅうと知り合い、何日か会話する内にすっかり仲良くなる。どうぶつ島を出る時にりゅうに「いつか助ける」と約束をしたもののどう助ければよいかわからず途方にくれていたある日、かれき町の町角でエルマーに拾われる。

エルマーのぼうけん[編集]

ねずみ
どうぶつ島でエルマーが最初に出会った動物。非常にあわて者で、言葉を言う順番をすぐ間違える。
2匹のカメ
姿からゾウガメだと思える。リックサックを背負ったエルマーを、病気のお婆さん猿を背負った猿だと見間違えた。
2匹のイノシシ
どうぶつ島での警備員のような役割をしている。エルマーがどうぶつ島に忍び込んだ証拠をいくつも見つけている。
7匹のトラ
腹を空かして、エルマーを食べようとするが、チューインガムが大好物であり、エルマーに「このチューインガムを緑色になるまで噛んで、地面に蒔くとチューインガムが実るよ」と騙されて、エルマーを逃がしてしまう。
サイ
若い頃には角が真珠色をしていたが、今では黄色く汚れてしまったのを『なきべそプール』の池で恥じながら悔やんでいた。エルマーがその池に勝手に入ったのを怒り、エルマーを水に沈めてしまおうとするが、エルマーから歯ブラシと歯磨き粉で角を磨くと前のように真珠色になったので、夢中で磨いていて、エルマーを逃がしてしまう。
ライオン
クロイチゴの小枝がたてがみに絡み付いて取れなくなっていたのにイラついていた。腹が立つと空腹になる立ちらしく、エルマーを食べようとするが、エルマーから櫛とブラシとリボンをもらって、小枝を取ることやたてがみを整えたり、たてがみを三つ編みにしてリボンで飾ることを覚える。
メスライオン
ライオンの母親。エルマーが道路標識がある場所で隠れながら見ていたので、他の動物たちと違って、特にトラブルにはならなかった。
ゴリラ
エルマーがりゅうの渡し場付近で出会った。ものすごく短気で気が短く、エルマーの腕を捩じってしまおうとするが、体についてる蚤が我慢できなくなって、ロージー、ローダ、レイチェル、ルーシー、ルビー、ロベルタという小猿に蚤を取らせようとする。猿たちは蚤がうまく取れなかったが、エルマーが虫眼鏡をあげたので、それに他の猿たちも夢中になって集まったので、ゴリラはエルマーに逃げられてしまう。
ワニ
どうぶつ島の真ん中に流れている川の中に17匹いる。元々はこのワニたちが川の渡し守をしてたらしいが、酷い気まぐれ者だったため、役には立たなかった。棒つきキャンディーが好物らしく、エルマーから棒つきキャンディーを貰うことを前提に、数珠つながりでエルマーがわたる橋にされる。ねこ曰く、他の動物達よりまだりゅうには冷たくなく、偶に挨拶をしていたらしい。

エルマーとりゅう[編集]

フルート
3年ほど前にエルマーの家で飼われていたカナリヤ。逃げた後、カナリヤばかりが多く住んでるカナリヤ島で暮らしている。他のカナリヤ達と違い眉があり、両翼に1本ずつ黒い羽根が生えている。カン十一世、女王に次いで高い地位にいることが窺える。
カン十一世
カナリヤ島に最初に連れてこられたカナリヤのカン一世の子孫でカナリヤ島の王様。他のカナリヤより少し大きく、羽がフワフワしている。カン一世は人間たちが隠した宝の秘密を息子のカン二世にだけ伝え、以後、代々秘密を受け継いできた。また、カン一世からずっと宝箱の中身を知りたがり、知りたがりの病気にかかっていた。島に住む他のカナリヤ達は王様が何を知りたがっているかが気になるという、別の知りたがり病にかかっていた。

エルマーと16ぴきのりゅう[編集]

ボリスの両親
「そらいろこうげん」に住むりゅう達の親。ボリス同様、金色の翼と赤色の爪と角を持つが、父親が空色一色の体色で、母親が黄色一色の体色。
ボリスの兄妹
「そらいろこうげん」に住むりゅう達。女のりゅうが6ぴき、男のりゅうが7ひきずついる。女の名前は、インゲボルグ、ユースタシア、ガートルード、バーサ、ミルドレッド、ヒルデガルド。男の名前は、エミール、ホレイショ、コンラッド、ジェローム、ウイルヘルム、ダゴバード、アーノルド。体色は、金色の翼と赤色の爪と角はボリスや親と同様だが、女は黄緑から青緑。男は空色と黄色の組み合わせだが、7匹の内、2匹は縞が細く、1ぴきは縦縞。他のは、1ぴきは空色の上に黄色の水玉模様、もう1ぴきは黄色の上に空色の水玉模様。もう1ぴきは体と足の一本が黄色で、他の3本の足と尻尾が空色。もう1ぴきは黄色の体に空色の小さなぶちが散らばり、もう1ぴきは黄色に牛のような空色の大きな斑模様がある。
ワゴンさん
かれき町とわかめ町の間に住むお百姓さん。ボリスを目撃してしまう。

シリーズ作品[編集]

日本語版[編集]

すべて福音館書店から出版。

アニメ映画[編集]

エルマーの冒険
監督 波多正美
脚本 寺田憲史
原作 ルース・スタイルス・ガネット (Ruth Stiles Gannett
音楽 木根尚登
配給 松竹
公開 1997年7月5日
上映時間 98分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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エルマーの冒険」というタイトルで1997年7月5日に公開。カラー作品で98分。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]