エキシビション

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エキシビション

エキシビション(エキジビション、Exhibition)は、公式記録としない公開演技や模範試合を意味する[1]スポーツの世界において、行われる特別実演。フィギュアスケート体操競技などの客前で演技するものについては、ガーラ(Gala、演技会)と呼ぶこともある。勝ち負けのある試合を行うが、公式結果としてカウントしない物、勝ち負けの判定をそもそも行わない物、試合ではなくエキシビション専用(模範試合)の演目を行う物まで様々である。

なお「エキシビョン」は誤記。

フィギュアスケート[編集]

フィギュアスケートのエキシビションは、大規模な競技会ですべての競技種目が終了した後に行われる、上位入賞者達(冬季オリンピック世界選手権では原則的に5位以内の選手、及び開催国の選手)による、採点や順位付けを伴わない演技のことである。エキシビションに出場することは、選手にとって名誉なことである。ルール上の規定に沿った技と演出の中で採点される競技とは違い、エキシビションでは技や演出の制限はない。

アイスショーはこのエキシビションを単独の興行として提供しているものである。

ボクシング[編集]

ボクシングのエキシビションは、スパーリング形式で行われる試合の事である。扱いは公式試合では無く、リングなど会場内で興行中に行われるコンサートなどの余興と扱いは同じである。このため公式試合への参加資格を満たさない選手(余興のコンサートで演奏する歌手にボクシングのライセンスが不要なのと同様)も出場可能であり、プロのライセンスを持たない選手でもプロの興行中にスパーリングできる機会でもある。ただし、スパーリングはボクシングの試合にきわめて近いため、主催するボクシング協会は他の余興より厳しい制限を課している場合が多い。

日本では現役王者の顔見せやデビュー前の練習生のお披露目、引退試合として通常の興行内で行う事が多いが、2005年1月25日には「新潟県中越地震チャリティーボクシング」と題したエキシビションイベントも開催された。また、2007年には女子の解禁へ向けて男子の興行でエキシビションも行われている。一方で事情により公式戦が不可能になった際に代替としてエキシビションとなる場合もある(一例として亀田興毅の引退試合。亀田は試合に向けてJBCボクサーライセンスを再取得したが、対戦相手に予定していたポンサクレック・ウォンジョンカムがJBCの定める年齢制限に抵触していたため、エキシビションに変更された)。

その他、総合格闘技DEEP」においてボクシングルールのエキシビションも組まれている。2018年12月31日の「RIZIN.14」のフロイド・メイウェザー VS 那須川天心戦もボクシングルールのエキシビションとして組まれたが、そのルールや内容が大きな波紋を呼んだ[2]

選手は通常のスパーリングと同じくヘッドギアを着用する場合が多い。一方で公式戦同様に計量は実施されるが、これはグローブハンデを決めるためである。ラウンド数はイベントによって異なるが、日本では大体2Rで行われる。通常は決着は付けないか、KO決着のみとなる。決着が付いた場合でも通算戦績には加わらない(無効試合扱いとして加える場合もある)。

JBCの規定[編集]

  • エキシビションとしてのスパーリングは原則として6回戦までと定められている。
  • JBCライセンスを持つ者がJBC管轄外(上記DEEPなど)でスパーリング(ボクシングに関連するエキシビション)を行う場合は、JBCの許可が必要となる。

国際ボクシング協会 (AIBA)の規定[編集]

アマチュアの選手はプロのエキシビションに参加すると、アマチュア規定に触れる場合もある。

プロレス[編集]

プロレスのエキシビションは通常の興行の中で「エキシビションマッチ」として行われることが多く、往年の名レスラーが同世代のレスラーか若手を相手に顔見せ的な試合を行うものである。プロレスは他のスポーツに比して比較的高齢まで現役続行が可能なので(ルー・テーズは59歳でアントニオ猪木NWF王座に挑戦した)、わざわざエキシビションと銘打って試合を行う場合、「往年のクオリティーを期待しないで下さい」という予防線の意味があることもある。

これから転じて、井上義啓ジャイアント馬場アンドレ・ザ・ジャイアント組(大巨人コンビ)の試合を「エキシビション的」と書いたことがあった。

一方でこのエキシビション・マッチは、デビュー前の練習生同士もしくは練習生対選手の形で行われ、試合経験を積ませると共に紹介の意味合いを併せ持ち、WNCなど一部団体では公開プロテストを兼ねる場合もある。大抵の場合は3分から5分間でのスパーリングのような形となり、勝敗は付けないのが原則だが、団体などによっては、一定時間内(3分から5分)にピンフォール・タップアウトを奪った回数で勝敗を付けたり、通常の試合と同様に勝敗を付ける場合もある。

体操競技[編集]

体操競技のエキシビションは、競技会で全ての競技が終了した後、もしくは新体操の競技が始まる前に行われる。出場できるのは上位入賞者(夏季オリンピック世界体操競技選手権では原則として5位以内の選手と開催国の選手)で、出場できることは大変な名誉となる。

フィギュアスケートなど他のスポーツで行われているものと同様、採点は一切行われず、技の規定や制限もない。プレッシャーがない中でのびのびと演技する選手を見ることができる。

バスケットボール[編集]

バスケットボールの場合、非公式戦をエキシビションと呼ぶが、エキシビションのみを行うチームも存在する。

エキシビションでは勝利よりも華麗なプレーに重点が置かれ、これらのチームによるものをショーバスケと呼ぶ場合もある。

特にハーレム・グローブトロッターズが有名。

サッカー[編集]

サッカーにおいては、非公式戦(エキシビションマッチ)を「親善試合」(: friendly)と称し、特に他国の代表・クラブとの試合を「国際親善試合」(: international friendly)と称する。

サッカーの草創期には元々公式戦が存在せず、各チームは親善試合を繰り返して経験を積んだ。しかし、1888年に世界で初めてのサッカーリーグであるフットボールリーグが誕生すると、以降世界各地でサッカーの全国リーグが創設され、その重要度は低下傾向にある。

クラブチーム[編集]

現在のクラブチームにおいては、シーズンの始まる前に親善試合(プレシーズンマッチ)を行い、新たなシーズンに向けてのチーム作りの一環として実施される。このため、公式戦とは異なるルール(選手交代枠の拡大もしくは無制限、カードの累積の無視など)が導入されることも少なくない。多くの場合は近隣の大規模クラブと小規模クラブの間(例えばイングランドにおけるニューカッスル・ユナイテッドFCゲーツヘッドFCの間など)で実施されることが多い。

エミレーツ・カップトロフェオ・テレサ・エレーラインターナショナル・チャンピオンズ・カップのように、スポンサーが賞金を拠出して実施される国際的なプレシーズンマッチも存在するが、これらは多くのクラブにおいて公式な戦績として記録されない。

ナショナルチーム[編集]

サッカー日本代表などのナショナルチーム(代表チーム)における国際親善試合は、主要な国際大会(FIFAワールドカップUEFA EUROAFCアジアカップなどの大陸選手権)の準備の一環として行われる。ナショナルチームは大会ごとにクラブチームからメンバーを招集されるため、戦術面や連携面などでチーム強化の期間が限られており、国際親善試合はチーム力強化のために不可欠な存在となっている。一方で、国内リーグのシーズン中に期間を定めて行われることの多い国際親善試合はクラブチームにとって選手の怪我や疲労のリスクが大きく、利害の対立する存在となっている。

クラブチームの(国際)親善試合と異なり、ナショナルチームの国際親善試合の多くは国際サッカー連盟 (FIFA) によってFIFAランキングを算出する際の対象となる公式戦となり、個人記録においても代表戦への出場回数並びに得点数としてカウントされる。但し、選手にキャリアを積ませる目的で(或いはFIFAランキングを上げるために)選手交代を11回も行うという事例が生じたことにより、FIFAが国際親善試合を公式記録として認定するためには、選手交代枠を最大6人までとする(それ以上の交代枠を認めた場合、代表戦への記録として含めない)ルールが2004年に導入されている[3][4]

国際親善試合の多くはFIFAの定めた年5回の代表戦開催期間(FIFAインターナショナルマッチカレンダー)に行われる。この間に開催された国際親善試合に選手が招集された場合、クラブは原則としてこれに応じなければならないという取り決めがある。逆にこの期間意外に開催される国際親善試合へは、クラブは選手の招集を拒否することが出来るとされている[5]

各国のサッカー協会が主催し複数の代表チームが参加する国際親善試合として、キングスカップタイサッカー協会主催)、キリンカップサッカーキリンチャレンジカップ(共に日本サッカー協会主催)、チャイナ・カップ中国サッカー協会主催)、アルガルヴェ・カップ(女子代表の国際親善試合、ポルトガルサッカー連盟主催)などがある。

その他、別名称で呼ばれるもの[編集]

  • ガーラ - フィギュア-スケートなど順位が決まった後に披露する演技のことをガーラと言う場合がある。
  • オナーダンス - 競技ダンスで順位が決まった後に上位の組が披露するダンス。

脚注[編集]

  1. ^ 「観戦必携/すぐわかる スポーツ用語辞典」1998年1月20日発行、発行人・中山俊介、48頁。
  2. ^ メイウェザー狂想曲は何を残した? 那須川天心TKO劇の衝撃と“謎”。 Number 2019年1月7日
  3. ^ Fifa limits substitutions”. BBC Sport (2004年2月28日). 2022年5月5日閲覧。
  4. ^ Adnan Januzaj's Belgium debut wiped from record books”. BBC Sport (2014年7月4日). 2022年5月5日閲覧。
  5. ^ Release of players for national association representative matches in accordance with the Coordinated International Match Calendar”. FIFA.com. 2022年5月7日閲覧。

関連項目[編集]