かとり型巡視船

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
かとり型巡視船
PM-51「かとり」
PM-51「かとり」
基本情報
艦種 500トン型PM
就役期間 2016年 - 現在
前級 とから型 (350トン型)
次級 (最新)
要目
総トン数 650トン[1]
全長 72.0メートル[1]
最大幅 10.0メートル[1]
主機 ディーゼルエンジン[2]
推進器 ウォータージェット推進器×2軸[2]
速力 25ノット以上[3]
兵装 JM61-RFS 20mm多銃身機銃×1門
搭載艇 高速警備救難艇複合艇
FCS RFS (20mm機銃用)
光学機器 赤外線捜索監視装置 (RFS兼用)
遠隔監視採証装置
テンプレートを表示

かとり型巡視船(かとりがたじゅんしせん、英語: Katori-class patrol vessel)は海上保安庁巡視船の船級。分類上はPM型(Patrol Vessel Medium)、公称船型は500トン型[4]

来歴[編集]

1970年代、新海洋秩序時代の到来に伴う警備水域面積の激増を受けて、海上保安庁では巡視船の大量建造に着手した。その一環として、昭和54年度から昭和62年度にかけて整備された500トン型の中型巡視船(PM)がてしお型(後になつい型に改称)であった[5]

その後、2010年代に入ると、これらの巡視船も更新時期を迎えることとなった。この時期、尖閣諸島海域における事態の緊迫化と領海侵犯の多発を受けて、まず尖閣領海警備専従体制のための1,000トン型PL(くにがみ型)の整備が優先されたが、こちらが一段落したのち、平成26年度計画より、新型PMの建造が開始されることとなった。これによって整備されたのが本型である[2]

設計[編集]

本型は、中型巡視船の本来業務である沿岸海域での警備救難に加えて、大型巡視船(PL)の業務もある程度肩代わりできるように設計された。これは「戦略的海上保安体制の構築」の一環として、上記の尖閣情勢の緊迫化のような重要事案が発生し、PLが他管区に派遣された場合に、その後を引き継げるようにすることで、柔軟迅速に対応できるように配慮したものであった[6]

このことから、全長は72メートルと、以前の900トン型PL(のじま型)を上回り、1,000トン型PL(しれとこ型)に迫る大型の巡視船となり、耐航性能および曳航能力は大型巡視船と同等にまで強化された[2]。また25ノット以上という速力性能が求められたことから、船容は煙突を廃したシンプルでローシルエットなものとなり、船型も半滑走型とされた[6]。強行接舷を考慮して、船首舷側には脱着式の板状防舷物(樹脂コーティングした発泡プラスチック板)を装着できるようになっている[7]

みはし型などの小型高速巡視船と同様、波浪衝撃や動揺を軽減するために操舵室を船体中央に配置するとともに、船橋構造は1層低くなり、床の位置もなるべく低く設計されている[3]。中型巡視船ながら、船橋後方に隣接してOIC(Operation Information Center)室が設けられている。ただし当初想定されていた多目的室は、甲板面積が確保できずに断念された。高速発揮を想定して、船橋およびOIC室のシートは全て衝撃吸収タイプとなっている[7]。なお艤装にあたっては、女性の乗組みを想定した配慮がなされている[8]。 一番船「かとり」二番船「いしかり」はアンカーレセスが設けられていたが、三番船「とかち」以降は就役時より無く、「かとり」もレセス無しに改修された(平成29年12月現在)

装備[編集]

船首甲板には、他の中小型巡視船と同様、JM61-RFS 20mm多銃身機銃の単装マウントを備えている。これは操舵室上の赤外線捜索監視装置との連接によって目標追尾型遠隔操縦機能(RFS)を備えており、遠距離において精密な射撃を行なうことを可能としている。また遠隔操作型の放水砲も搭載された[3]

搭載艇としては、高速警備救難艇を1隻と複合艇が1隻又2隻ずつ搭載されている。また複合艇揚降用のクレーンは力量2.8トンの性能を備えており、多目的に運用できるように配慮されている。その直後の船尾甲板は災害対応デッキとされており、12フィート・コンテナ(又は二隻目の複合艇)を搭載できるようになっている[3]

同型船[編集]

平成26年度予算で4隻、同年度補正予算で2隻、平成27年度補正予算で2隻の計8隻の取得予算が計上されている。 1〜6番船まで何らか外観上の違いがある。

計画年度 番号 船名 建造 竣工・転属 所属
平成26年度 PM-51 かとり ジャパン マリンユナイテッド鶴見工場 2016年11月28日 銚子第三管区
PM-52 いしかり 2017年2月27日 釧路第一管区
PM-53 とかち 2017年9月29日 広尾(第一管区)
PM-54 いよ 2017年11月22日 松山第六管区
平成26年度補正 PM-55 ひたち 2018年2月28日 鹿島(第三管区)
PM-56 きたかみ 釜石第二管区
平成27年度補正 PM-57 (平成30年度予定)
PM-58

参考文献[編集]

  1. ^ a b c ジャパン マリンユナイテッド (2016年11月28日). “500トン型巡視船「かとり」引渡し”. 2016年11月30日閲覧。
  2. ^ a b c d 「警備救難業務用船 (海上保安庁船艇の全容)」、『世界の艦船』第840号、海人社、2016年7月、 39-92頁、 NAID 40020863436
  3. ^ a b c d 海上保安庁装備技術部船舶課「新型船艇の特徴とその設計手法 (特集 海上保安庁 2016)」、『世界の艦船』第840号、海人社、2016年7月、 142-145頁、 NAID 40020863509
  4. ^ 「海上保安庁ニュース」、『世界の艦船』第851号、海人社、2017年1月、 206-207頁。
  5. ^ 「海上保安庁全船艇史」、『世界の艦船』第613号、海人社、2003年7月、 76頁、 NAID 40005855317
  6. ^ a b 「海上保安庁の新型船艇」、『世界の艦船』第800号、海人社、2014年7月、 144-147頁、 NAID 40020105615
  7. ^ a b 「新型巡視船「かとり」を見る!」、『世界の艦船』第855号、海人社、2017年3月、 62-63頁。
  8. ^ “初の“女性活躍支援”巡視船「かとり」 女性海上保安官の視点反映”. 産経新聞. (2016年11月28日). http://www.sankei.com/life/news/161128/lif1611280028-n1.html 2016年11月29日閲覧。