放水砲

現代のドイツの警察車両に装備されている放水砲
放水砲(ほうすいほう)とは、警察や沿岸警備隊が暴徒などを鎮圧をするために用いる非致死性兵器のひとつ。
概要[編集]
高い圧力をかけて水を吹き出し、対象者の行動を阻止する。威力は非常に高く、放水が直撃した場合には人が打撲を負ったり、転倒するほどである。車輌の屋根に放水銃を搭載した放水車と呼ばれる形態がよく見られ、貯水タンクを車内に備えているものが多い。
日本では、警察で機動隊が装備しており、暴徒鎮圧に効果を発揮する。12気圧の高圧放水では、最大で50メートル近い飛距離を飛翔する。警察の他にも、海上保安庁の巡視船艇や水産庁の漁業取締船[1]に、放水砲が搭載されている。
イギリスにおいては、2011年のイギリス暴動を鎮圧する際、首相の権限で放水砲の使用が許可され、警察部隊が放水砲を使用して暴徒を制圧した。
韓国において公権力とデモ隊が衝突した場合には、戦闘警察の装備としてかなりの頻度で持ち出される。とりわけ、2008年5月以降の米国産牛肉輸入問題に関するデモ(2008年韓国蝋燭デモ)では、警察官による暴力などとともに、過剰な暴力的鎮圧の一例として批判の対象となっている[2][3]。
人体への影響[編集]
状況によって高圧の水流は人体に大きな傷害を与える可能性がある。特に目は衝撃に対して脆弱であり、2010年にドイツのシュトゥットガルトで抗議に参加していた人物が15m先からの放水銃の直撃を受け、顔面骨折と目蓋の裂傷に加え、片目を失明しもう片方の目もほぼ視力を失った事例がある。気温が低ければ、医療環境によっては凍傷や低体温症などの危険性もある。[4][5]
資料[編集]
脚注[編集]
- ^ 漁業取締船の活躍 (1),農林水産省
- ^ “‘무기’가 된 살수차, 강한 수압에 반실명 부상도(「武器」になった放水車、強い放水で半失明)”. 民衆言論チャムセサン. (2008年6月2日) 2011年12月9日閲覧。
- ^ “前記事の日本語訳”. レイバーネット. (2008年6月2日) 2011年12月9日閲覧。
- ^ Dstl Biomedical Sciences (2013年7月19日). “The medical implications of vehicle-mounted water cannon with special reference to the Ziegler Wasserwerfer 9000 (WaWe 9) system”. 2021年5月23日閲覧。
- ^ “Lethal in Disguise: The Health Consequences of Crowd-Control Weapons”. アメリカ自由人権協会. p. 59. 2021年5月23日閲覧。
関連項目[編集]
- 催涙剤
- インパルス消火システム
- ウォータージェット/高圧洗浄機/スプリンクラー
- ウォーター・サルート - 軍艦や大使などの訪問の際に、噴水のような儀礼的な放水を行う。