智頭急行

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智頭急行株式会社
Chizu Express Company
種類 株式会社
市場情報 非上場
略称 智頭急、ちずきゅう、CKK
本社所在地 日本の旗 日本
689-1402
鳥取県八頭郡智頭町智頭2052番地1
設立 1986年(昭和61年)5月31日(智頭鉄道株式会社)
業種 陸運業
法人番号 4270001000456 ウィキデータを編集
事業内容 旅客鉄道事業 他
代表者 代表取締役社長 池上勝治
資本金 450百万円(2011年3月31日時点)
発行済株式総数 9,000株(2011年3月31日時点)
売上高 2,857百万円(2011年3月期)
営業利益 432百万円(2011年3月期)
純利益 254百万円(2011年3月期)
純資産 4,039百万円(2011年3月31日時点)
総資産 5,411百万円(2011年3月31日時点)
従業員数 76人(2011年3月31日時点)
決算期 3月31日
主要株主 鳥取県岡山県兵庫県
鳥取市八頭町智頭町
西粟倉村美作市佐用町
上郡町西日本旅客鉄道
山陰合同銀行 他(株主総数47名)
外部リンク http://www.chizukyu.co.jp/
特記事項:2009年4月1日に本社を移転。
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智頭急行株式会社(ちずきゅうこう、Chizu Express Company、略号CKK[1])は、兵庫県岡山県鳥取県の3県において旧日本鉄道建設公団建設線の智頭線を運営している鉄道会社である。鳥取県など沿線自治体の出資による第三セクター方式で設立された、第三セクター鉄道の一つである。

概要

本社所在地は鳥取県八頭郡智頭町大字智頭2052番地1(智頭駅前、JA鳥取いなば智頭支店ビル)、運輸部は鳥取県八頭郡智頭町大字智頭1862番地2(智頭駅構内)。なお、社名・駅名のかな表記は「ちず」、町名・地名のかな表記は「ちづ」と異なっている。

1994年暮れの開業後間もない1995年1月に阪神・淡路大震災が発生、これによって智頭線を走る特急列車「スーパーはくと」が全面運休に追い込まれ、初年度決算では売上高が当初予想の10分の1にとどまって倒産の危機にも見舞われたが、どうにか持ちこたえて危機を脱し、1998年度以降は連続して黒字を計上している。

数多くの第三セクター鉄道が赤字を抱える中、北越急行に次ぐ経常収益があり、北越急行と共に「第三セクター鉄道の二大優等生」と並び称されることがある[2]。これは京阪神と鳥取県を結ぶ特急列車「スーパーはくと」の輸送に負うところが大きい。岡山と鳥取県を結ぶ特急「スーパーいなば」も走るが、普通列車の営業成績は芳しくない。このように好調な数字の陰にも隠れた苦しさを抱えている経営状況であるが、北越急行は2014年度に北陸新幹線金沢駅まで開業した後は、現状よりも経営が大幅に悪化することが確実視される状況であるのに対し、鳥取自動車道の開通で高速バスの速達化が予想されるが、時間面での優位を覆すには至らない智頭急行には経営に急激な影響を与えると予測される要素は、現時点でほとんど無い。

2006年6月、株主総会後に第三セクター鉄道で全国初の額面の2%の株主配当を実施、2007年も同様に配当することとなった。

旅客収入は約13.1億円のうち、定期外が12.9億円で定期が0.2億円と、圧倒的に定期外収入が多いのが特徴である(数字はいずれも2010年度の統計)[3]

歴史

智頭急行が運営する智頭線は、もともと陰陽連絡路線の1つである日本国有鉄道(国鉄)智頭線として、日本鉄道建設公団(鉄道公団)により建設が進められていた。しかし国鉄の経営悪化を受けて、1980年(昭和55年)に日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)が成立し、鉄道公団が建設中のAB線(地方開発線、地方幹線)のうち、開業後の予想輸送密度が4,000人/日未満のものについては建設が凍結されることになった。この時点で智頭線は、用地の95%、路盤の30%、軌道の10%まで工事が完成していたが、予想輸送密度が3,900人/日とわずかに基準に届かなかったために建設凍結となった[4]

1983年(昭和58年)に鳥取県知事に就任した西尾邑次は、建設凍結中の智頭線について第三セクターによる運営引き受けの検討を行い、専門機関に委託して経営の調査を行ったところ、地域輸送のみであれば赤字であるが、国鉄との特急列車の直通を行えば黒字になるという調査結果を得た。国鉄智頭線建設促進期成同盟会を通じた活動がなされ、1985年(昭和60年)11月28日に兵庫県知事と、29日に岡山県知事と会談を行い、工事再開への共同歩調を取ることで合意された[5]

翌1月10日に期成同盟会の名前から「国鉄」が取れて智頭線建設促進期成同盟会となり、第三セクター会社設立準備組織となった。3月31日に鳥取・岡山・兵庫の3県で出資割合の覚書が締結され、4月11日に設立発起人会開催、5月30日創立総会が行われて、5月31日に「智頭鉄道株式会社」として設立登記が行われた[6]

路線

路線の大半が高架なので智頭線内には踏切がほとんど存在しない。平福駅構内にある乗客専用の踏切を除いて、すべてJR線との共用踏切である。

保有車両

HOT7000系「スーパーはくと」(2009年4月3日、因美線、国英 - 河原)
智頭急行HOT3500形気動車3501・3504(2008年8月12日、鳥取駅

形式称号の「HOT」は智頭急行沿線の県名にちなみ、「H=兵庫」、「O=岡山」、「T=鳥取」を意味している。また、形式番号は機関出力に由来する。全車が自社大原車両基地の所属である。

2007年7月には、現在保有している「スーパーはくと」用特急車両(HOT7000系気動車)全34両を2007年度から2009年度にかけて車内内装を中心としたリニューアルを行うと発表した。

特急用気動車

普通列車用気動車

  • HOT3500形気動車 - 自社線内のほか、JR因美線の智頭 - 鳥取間にも乗り入れる。

運輸部

智頭急行の乗務員(運転士車掌)が所属する組織である。智頭駅に併設されており、運輸指令所も兼ねる。また電気・保線を管理する施設係も常勤する。大原車両基地も運輸部に属する。

車掌乗務線区

運転士乗務線区

  • 智頭線全線 - 特急列車を含む、すべての列車を担当する。

運賃・料金

普通旅客運賃
小児半額・10円未満切り上げ。2004年12月1日現在
キロ程 運賃(円)
初乗り3km 160
4 - 6 220
7 - 9 290
10 - 12 350
13 - 15 410
16 - 18 470
19 - 21 530
22 - 24 590
25 - 27 650
28 - 30 710
31 - 33 770
34 - 36 840
37 - 39 900
40 - 42 960
43 - 45 1,020
46 - 48 1,080
49 - 51 1,140
52 - 54 1,200
55 - 57 1,260
特急料金
小児半額・10円未満切り上げ。2004年12月1日現在。特急列車の普通車を利用の場合は、乗車券・特急券が必要。全線均一。
  • 指定席 … 510円
  • 自由席 … 410円
グリーン料金
全線均一大人510円。小児同額。2004年12月1日現在。特急列車のグリーン車を利用の場合は、乗車券・指定席特急券・グリーン券が必要。

企画乗車券

智頭線満喫普通列車1日乗り放題きっぷ
JRの青春18きっぷは利用できないが、青春18きっぷの期間中は智頭線内で「智頭線満喫普通列車1日乗り放題きっぷ」という企画乗車券を大人1000円、小児500円で発売している。上郡駅 - 智頭駅間の片道運賃1260円より安く、智頭線内を43km以上乗るだけで元が取れる。車内では買えないため、あらかじめ上郡、佐用、大原、智頭駅の窓口営業時間内に購入するか、郵送で取り寄せとなる。また特急列車では使えないため、特急列車に乗車する場合は運賃・料金を別途払わなければならない。なお、2011年冬季の発売期間は青春18きっぷの利用期間が1月10日までに短縮されたが当切符は例年通り1月20日までの発売・利用期間となった。

その他

脚注

  1. ^ 社名のローマ字表記から。
  2. ^ ここでの「第三セクター鉄道」とは第三セクター鉄道等協議会に加盟する鉄道事業者を指し、北大阪急行電鉄ゆりかもめなどそれ以外の第三セクター方式の鉄道は含まない
  3. ^ 国土交通省中国運輸局「管内鉄軌道事業者の運輸成績
  4. ^ 『三セク新線高速化の軌跡』p.20
  5. ^ 『三セク新線高速化の軌跡』pp.21 - 23
  6. ^ 『三セク新線高速化の軌跡』p.24

参考文献

  • 日本鉄道建設公団高速化研究会 編『三セク新線高速化の軌跡』(初版)交通新聞社、1998年10月20日。ISBN 4-87513-077-5 

外部リンク