日高山脈襟裳国定公園
日高山脈襟裳国定公園 Hidaka Sanmyaku-Erimo Quasi-national Park | |
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幌尻岳から眺めたイドンナップ岳方面 | |
指定区域 |
日高振興局:沙流郡日高町、沙流郡平取町、新冠郡新冠町、日高郡新ひだか町、浦河郡浦河町、様似郡様似町、幌泉郡えりも町 北緯42度43分10秒 東経142度40分58秒 / 北緯42.71944度 東経142.68278度座標: 北緯42度43分10秒 東経142度40分58秒 / 北緯42.71944度 東経142.68278度十勝総合振興局:帯広市、上川郡清水町、河西郡芽室町、河西郡中札内村、広尾郡大樹町、広尾郡広尾町 |
分類 | 国定公園 |
面積 | 103,447ヘクタール[1] |
前身 | 襟裳道立自然公園 |
指定日 | 1981年10月1日 |
運営者 | 北海道 |
年来園者数 | 393,000人[2] |
事務所 |
北海道日高振興局保健環境部環境生活課 北海道十勝総合振興局保健環境部環境生活課 |
事務所所在地 |
北海道浦河郡浦河町栄丘東通56 北海道帯広市東3南3 |
公式サイト | 日高山脈襟裳国定公園 |
日高山脈襟裳国定公園(ひだかさんみゃくえりもこくていこうえん)は、北海道にある国定公園。総面積(103,447 ha)は日本の国定公園の中で最も広い[3]。2021年度にも、国立公園への昇格が予定されている。
概要
日高山脈、広尾町から襟裳岬にかけての海岸線、アポイ岳周辺の地域からなる。日高山脈は日本国内で最も原始的な自然を残しており、固有種や隔離分布する植物を数多く見ることができるのが特徴になっている。登山に関しては難度の高い山域として知られており、一般的な登山コースを整備していないため、ほかの山域とは異なる知識や準備を必要としている。襟裳岬は岬から1.5kmに渡り岩礁が連続し、風が強い地域として知られている。また、日本の白砂青松100選や「百人浜・襟裳岬」として日本の渚百選に選定されている。アポイ岳は世界的にも珍しいかんらん岩からなる山塊や渓谷、特殊な土壌条件などによって低標高ながら高山植物を見ることができる自然環境にあり、登山道も整備している。「アポイ岳と高山植物群落」として国の特別天然記念物に指定されているほか[4]、日本の地質百選に選定されている。また、ジオパークとして2008年(平成20年)に「日本ジオパーク」に、2015年(平成27年)には「世界ジオパーク」に認定された[5][6]。襟裳岬、十勝幌尻岳、幌尻岳は国の名勝「ピリカノカ」に指定されている[7]。
地域
- 日高山脈地区
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戸蔦別岳から見た幌尻岳
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ピラミッド峰から見た札内岳
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中札内村から見た十勝幌尻岳
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神威岳から見たペテガリ岳
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メナシュンベツ林道から見た楽古岳
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戸蔦別岳と七つ沼カール
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様似市街とアポイ岳
- 広尾・襟裳岬海岸及び豊似湖周辺地区
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襟裳岬(2014年4月)
自然
日高山脈の裾野は、日高側で河川流域にトドマツ、エゾマツの針葉樹林帯が多く、十勝側で渓谷沿いにミズナラ、オヒョウ、エゾイタヤ(イタヤカエデ)、ドロノキなどの広葉樹林帯や混交林になっている[8]。高山植物は急峻な地形のため貧弱であるが、ハイマツはじめ固有種のヒダカミネヤナギやカムイビランジ、超塩基性岩の指標植物としてナンブイヌナズナ、ユキバヒゴタイなどの貴重な植生を見ることができる。アポイ岳周辺では、植物の特徴として種類が約800種あってヒダカソウやエゾコウゾリナなどのアポイ岳固有の植物が含まれていること、低い標高にもかかわらず高山植物が数多くあること、北方系と南方系の植物が錯綜していること、ダケカンバの林がハイマツ群落より高い所でも形成されて垂直分布が異常であることが挙げられる[9]。国道336号沿いの海食崖ではエゾイヌナズナ、ミヤマトウキ、エゾカンゾウ(ゼンテイカ)などの植物を見ることができ[9]、海岸草原ではハマエンドウ、センダイハギなどの植物を見ることができる[9]。幌満側の樹林では北海道稀産のゴレツミズゴケの団塊がある[9]。1973年(昭和48年)にアポイ岳でヒメチャマダラセセリが日本国内未記録の蝶として発見され、国の天然記念物に指定されているほか[12]、「幌満ゴヨウマツ自生地」も天然記念物に指定され[13]、「アポイ岳高山植物群落」は国の特別天然記念物に指定されている[4]。広尾から庶野にかけての国道336号(通称黄金道路)沿いの海岸岩質荒原では、エゾスカシユリ、エゾカワラナデシコなどの植物を見ることができ[10]、百人浜では国有林のクロマツの人工林が一帯を占めている[10]。襟裳岬の風衝地ではエゾミヤコザサが一帯を占めている[10]。百人浜の西側丘陵地と襟裳岬の海岸段丘一帯では、ツリガネニンジン、エゾルリトラノオ(ルリトラノオ)などの高山植物を見ることができる[10]。豊似湖周辺の岩礫地ではナキウサギが生息し南限地と言われているほか、襟裳岬はゼニガタアザラシの繁殖地であり、南限の生息地として貴重になっている[10]。
景勝地
ビジターセンター
施設名 | 設置者 | 所在地 | 利用者数(人) |
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日高山脈博物館[17] | 日高町 | 北海道沙流郡日高町本町東1丁目297-12 | |
アポイ岳ジオパークビジターセンター[18] | 様似町 | 北海道様似郡様似町字平宇479-7 | |
中札内村日高山脈山岳センター[19] | 中札内村 | 北海道河西郡中札内村南中札内713 |
脚注
- ^ “国定公園地種区分別面積” (PDF). 環境省 (2016年). 2016年8月25日閲覧。
- ^ “平成25年国定公園利用者数(公園、都道府県別)” (PDF). 環境省. 2016年8月25日閲覧。
- ^ “国定公園土地所有別面積” (PDF). 環境省. 2016年8月25日閲覧。
- ^ a b “2012(平成24年)町勢要覧資料編” (PDF). 様似町. p. 20. 2016年8月25日閲覧。
- ^ “アポイ岳ジオパーク”. 日本ジオパークネットワーク. 2016年8月25日閲覧。
- ^ “Mount Apoi Geopark” (英語). Global Geoparks Network. 2016年8月25日閲覧。
- ^ ピリカノカ - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ a b c 管理指針, p. 1.
- ^ a b c d e 管理指針, pp. 11–12.
- ^ a b c d e f 管理指針, p. 18.
- ^ “豊似湖”. 十勝毎日新聞. 十勝毎日新聞社. 2016年8月25日閲覧。
- ^ ヒメチャマダラセセリ - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ 幌満ゴヨウマツ自生地 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ “日勝園地展望台”. 日高振興局. 2016年8月26日閲覧。
- ^ “襟裳岬駐車場”. ビューポイントパーキング. 北海道開発局. 2016年8月26日閲覧。
- ^ “日高耶馬渓”. 日高振興局. 2016年8月26日閲覧。
- ^ “日高山脈博物館設置及び管理条例”. 日高町例規集. 日高町. 2020年10月13日閲覧。
- ^ “アポイ岳ジオパークビジターセンターの設置及び管理運営に関する要綱”. 様似町例規集. 様似町. 2016年8月25日閲覧。
- ^ “中札内村日高山脈山岳センター設置条例”. 中札内村例規類集. 中札内村. 2016年8月25日閲覧。
参考資料
- “日高山脈襟裳国定公園管理指針” (PDF). 北海道. 2016年8月25日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 日高山脈襟裳国定公園 - 北海道
- 日高山脈襟裳国定公園 - 公益社団法人 北海道観光振興機構
- アポイ岳ジオパーク公式サイト - 様似町アポイ岳ジオパーク推進協議会