悪名
『悪名』(あくみょう)は、今東光の小説、およびそれを原作とした勝新太郎主演の映画シリーズ(大映製作)。
河内の暴れ者・八尾の朝吉(姓は村上)を主人公とする今東光の小説『悪名』は、1960年に『週刊朝日』にて連載された。同誌の編集長が大映の監督・田中徳三の実兄だったことから、大映で1961年に映画化され、朝吉を勝新太郎、弟分のモートルの貞を田宮二郎が演じた。同作のヒットを受け、以降は脚本家依田義賢のオリジナルでシリーズ化され、全16作が製作された。
2001年に再び映画化され、朝吉役を的場浩司、貞役を東幹久が演じた。
2002年には舞台版が制作され、勝の息子の鴈龍太郎が朝吉役、貞役を堤大二郎が演じた。また2014年にはマキノノゾミ演出で音楽劇となり(原作は『新悪名』)、沢田研二が朝吉役、野田晋市が清次役、いしのようこが朝吉の妻お絹役を演じている。
概要
生まれ故郷の河内を追われた着流しヤクザ八尾の朝吉と、その弟分でハンチング帽にスカジャン、話の節々に英語を挟みインテリぶるチンピラの清次とが[1]、彼らの放浪先、出所先で暗躍するヤクザ、偽善者、権力者を退治する仁侠映画。
勝新太郎主演の映画版
- 悪名(1961年)
- 続悪名(1961年)
- 新悪名(1962年)
- 続新悪名(1962年)
- 第三の悪名(1963年)
- 悪名市場(1963年)
- 悪名波止場(1963年)
- 悪名一番(1963年)
- 悪名太鼓(1964年)
- 悪名幟(1965年)
- 悪名無敵(1965年)
- 悪名桜(1966年)
- 悪名一代(1967年)
- 悪名十八番(1968年)
- 悪名一番勝負(1969年、田宮は大映退社により出演せず)
- 悪名縄張(しま)荒らし(1974年、「悪名」「続悪名」のリメイク)
2001年の映画版
- 悪名(2001年)
- 悪名2 荒ぶる喧嘩魂(2001年、オリジナルビデオ作品)
- 監督:和泉聖治
- 出演:的場浩司、東幹久、櫻井淳子、さとう珠緒、遠藤久美子、トミーズ雅、青田典子、千葉真一、他
備考
同シリーズ中で永田靖が演じた「シルクハットの親分」は、『緋牡丹博徒シリーズ』(東映)でも若山富三郎が演じる「シルクハットの“大”親分」というキャラクターが登場している。原作の版権は東映へ移り、1973年には菅原文太主演でリメイクすると公表されたが、製作されなかった[2]。
脚注
- ^ 朝吉は基本的に流れ者というスタンスだが、第2作では没落した博徒一家に乞われ親分の座に就いていた。貞は対立する博徒に襲われて亡くなり、貞の弟という設定の清次が入れ替わりに登場した。
- ^ 「映画往来」『シナリオ』1973年4月号、日本シナリオ作家協会、85頁。