宝島
宝島 Treasure Island | ||
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1911年版 | ||
著者 | ロバート・ルイス・スチーブンソン | |
発行日 | 1897年 | |
発行元 | Young Folks | |
ジャンル | 海洋冒険小説 | |
国 | イギリス | |
言語 | 英語 | |
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『宝島』(たからじま、Treasure Island)は、ロバート・ルイス・スチーブンソン著の子供向け海洋冒険小説。
概要
1883年に、それまで子供向け雑誌『Young Folks』誌上にて、1881年から1882年にかけて連載されていたものを一冊にまとめたものが出版された。原題は『The Sea Cook, or Treasure Island』(海のコック、あるいは宝島)であったが、後に『Treasure Island』(宝島)と改題されて広く親しまれるようになる。そもそもは、スチーブンソンが妻の連れ子であったロイド少年のために書いたもの。[1]伝統的には教養小説として捉えられているが、登場する人物やアクション要素の多彩さから冒険小説として知られている。特に海賊ジョン・シルバーの不道徳な挙動は児童文学としては珍しい。
最も頻繁に劇やテレビドラマ、映画、アニメなどの題材になっている物語の1つである。イギリスの放送局、BBCだけでも少なくとも3度、テレビ化している。最近では、ディズニーが2002年にアメリカで『トレジャー・プラネット』として宇宙に舞台を変えて公開されている。これを元にした手塚治虫の漫画作品「新宝島」とは別。この他中沢啓治が原作に忠実に漫画化している。
本が有名になったために、宝島という言葉が一般に広まり、ゲームや遊園地の乗り物などに使われるようになっている。
ストーリー
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
物語は、ある海辺のさびれた宿屋に、ビリー・ボーンズと名乗る、顔に刀傷があり大きな箱を抱えた謎の大男が現れるところから始まる。宿屋の息子のジム・ホーキンズ少年が本作の主人公であり、語り手である。ビリー・ボーンズは「片足の男」にひどく脅えており、ホーキンズ少年に「片足の男に気をつけろ。片足の男が現れたら、すぐ俺に知らせろ」と言いつける。
やがてビリー・ボーンズの周囲に、彼を追跡してきたらしい怪しげな人物が出没するようになる。ボーンズは次第に酒浸りになり、ある晩、そのうちの1人と乱闘の末に死んでしまった。ホーキンズ少年は地元郷士のトレローニとリブシー医師とともにボーンズの箱を調べ、帳面から彼がかつてフリント船長という海賊の船の一味であったことと、海賊団は集めた財宝を大西洋のある弧島に隠したことを知り、そしてその島の位置を記した地図を見つける。トレローニとリブシーはブリストルで船を仕立て、財宝を探しに行くことになった。航海には素人のトレローニは、波止場で居酒屋を開いていたジョン・シルバーという片足の男の助けを借りて乗組員を集め、シルバー本人もコックとして船に乗り込んだ。やがて、ホーキンズ少年をはじめ一行が乗り込んだ船はブリストルを出港する。
一行は航海の末に宝島にたどり着くが、シルバーは実はフリント海賊団の元一味で、自分が乗りこませた海賊仲間と共に島で反乱を起こす。幸運にもホーキンズが事前に反乱の相談を耳にし、船長のスモレットに通報していたおかげで船長以下、トレローニやリブシー医師は辛くも脱出し、島で海賊一味との戦いがはじまる。海賊たちの間にも内輪もめがあり、またむかしこの島に置きざりにされた元海賊のベン・ガンの助けを借りて、一行は海賊たちを撃退し、財宝を手に入れることに成功する。
生き残ったジョン・シルバーは降伏し、ホーキンズたち一行と共に島を離れるが、イギリスでの処罰を恐れ、帰途に寄航したカリブのある島で銀貨数袋をくすねて脱走し姿を消す。イギリスに帰り着いた一行は、財宝を分配し、それぞれの道を歩むことになった。
派生作品
映画
- 宝島(Treasure Island 1934年公開 メトロ・ゴールドウィン・メイヤー製作 ジム・ホーキンズ:ジャッキー・クーパー、ジョン・シルバー:ウォーレス・ビアリー)
- 宝島(Treasure Island 1950年公開 ディズニー・プロ製作 ジム・ホーキンズ:ボビー・ドリスコール、ジョン・シルバー:ロパート・ニュートン )
- どうぶつ宝島(1971年公開 東映動画製作)
- 宝島(1987年公開 東京ムービー製作 下記のテレビシリーズの総集編 )
テレビスペシャルアニメ
- 新宝島(虫プロダクション)
テレビアニメ
- 宝島(東京ムービー新社)
原作を大胆に解釈し直し、原作では敵役であるジョン・シルバーを「男の中の男」と位置づけ真の主人公とした。原作では端役に過ぎなかったグレーもこの作品ではシルバーに劣らぬ「男」として描かれており、シルバーの好敵手として活躍するのも特徴。また、ジュブナイル作品としての性格も強化している。かもめのパピー役であった神谷明はまったく未経験の大阪弁をレッドルース役の北村弘一から直接、教えてもらい、声優としての幅を広げた作品であると後に回想している。羽田健太郎は本作品で劇伴作曲家デビューとなった。
なお、「宝島」をもって3年半続いた日テレ系日曜18時台の児童向け番組枠は廃止され、以後は情報番組枠となった(『独占!!スポーツ情報』)。
1987年5月9日には劇場版が公開された。テレビシリーズの総集編的内容となっている(88分)。
1992年には、ほぼ同一スタッフの下で、一等航海士となったジムを語り部として、シルバーの行方を描いたオリジナル作品“宝島メモリアル「夕凪と呼ばれた男」”が、数分の短編ながらOVAにて制作されている。
登場人物
- ジム・ホーキンズ:清水マリ→三ツ木清隆、野沢雅子→堀内賢雄(映画版)
- 母親とともに宿屋兼居酒屋「ベンボー亭」を切り盛りしている13歳の少年。船乗りだった父親は1か月前に病気で亡くなった。夢は父のような立派な船乗りになること。
- ジョン・シルバー:若山弦蔵、羽佐間道夫(映画版)
- ブリストルの町で食堂「遠眼鏡屋」を営んでいる一本足のコックで、経験豊かな船乗りでもある。その正体は海賊で、かつての伝説の大海賊フリントのもとで操舵長を務めていた。「混血のものすごい美人」と評判の妻がいる。
- リブシー:家弓家正
- ジムの住む村ブラックヒルの医者兼治安判事。ジムの父親とは幼馴染で、ジムの事を気にかけている。
- トレローニ:滝口順平
- ブラックヒルで一番のお金持ち。ジムの父親とは幼馴染で、ジムの事を気にかけている。
- スモレット:江角英明
- 宝島を目指すヒスパニオラ号の船長。
- ビリー・ボーンズ:黒沢良
- フリントの下で副船長を務めていた男で、フリントが隠した莫大な財宝のありかを示す宝島の地図を持っている。彼とジムとの出会いから物語は始まる。「一本足」と呼ばれる男を恐れている。
- グレー:野島昭生
- ヒスパニオラ号の乗組員の一人。ナイフの名手。弱い者に味方する性分。原作と最も設定の異なるキャラで、物語の後半からシルバーのライバルとして活躍する。原作では、結婚して幸福な家庭を持ったことになっているが、本作品では故郷アイルランドの独立戦争に身を投じ、壮絶な最期を遂げた。
- ベン・ガン:肝付兼太
- フリントの元手下で、フリントから島流しにされたが、宝島で生き延びていた。
- オウムのフリント:北村弘一
- シルバーのペットのオウム。
- レッドルース:北村弘一
- トレローニの老執事。
- カモメのパピー:神谷明
- ヒスパニオラ号の乗組員の一人で、関西弁を話すお調子者。
- ジョイス:石丸博也
- ヒスパニオラ号の乗組員の一人で、かつてトレローニのもとで働いていた。ハンターの兄。
- ハンター:水島裕
- ヒスパニオラ号の乗組員の一人で、かつてトレローニのもとで働いていた。ジョイスの弟。
- 黒犬:玄田哲章
- 海賊の一味。ビリーの持つ宝島の地図を奪いにベンボー亭にやって来た。
- ピュー:大竹宏
- 通称「暗闇のピュー」。海賊の一味で、盲目だが剣の達人。
- ハンズ:飯塚昭三
- ヒスパニオラ号の操舵主。
- アンダーソン:加藤治
- ヒスパニオラ号の水夫長。
- ジョージ:千田光男
- モーガン:野本礼三
- アブラハム:北村弘一
- ヒスパニオラ号の乗組員の一人で、聖書を片手にいつも意味不明なことを話している。
- アロー
- ヒスパニオラ号の副船長。酒癖が悪く、だらしがない。厳格なスモレットを快く思っていない。
- リリー:吉田理保子
- ジムの幼馴染の女の子。
- リリーの祖父:増岡弘
- 羊飼い。
- カレン・ホーキンズ:前田敏子
- ジムの母親で未亡人。ジムと二人で宿屋兼居酒屋「ベンボー亭」を切り盛りしている。
- ベンボー
- ジムの飼っている豹の子供。
- シルバーの妻:菅谷政子
「夕凪と呼ばれた男」キャスト
その他
- スタッフ
- 主題歌
- 挿入歌
- 「夕凪と呼ばれた男」ではEDとして使用された。
- 放映リスト
話数 | 放映日 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ |
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第1話 | 1978年10月8日 | 恐怖のビリーがやって来た! | 山崎晴哉 | さきまくら |
第2話 | 1978年10月15日 | 黒犬って・・・何だ!? | ||
第3話 | 1978年10月22日 | 振りおろされた松葉杖 | 篠崎好 | |
第4話 | 1978年10月29日 | 宝島の地図が手に入る! | ||
第5話 | 1978年11月5日 | 行って来るよ、母さん! | 山崎晴哉 | 紺屋行男 |
第6話 | 1978年11月12日 | 敵か味方かジョン・シルバー | さきまくら | |
第7話 | 1978年11月19日 | 肉焼きおやじはニクい奴 | 篠崎好 | |
第8話 | 1978年11月26日 | 幽霊船がオレを呼ぶ! | ||
第9話 | 1978年12月3日 | 奴隷みなとの人さらい | ||
第10話 | 1978年12月10日 | リンゴ樽の中で聞いた! | ||
第11話 | 1978年12月17日 | 宝島で何かが始まる!? | 山崎晴哉 | 紺屋行男 |
第12話 | 1978年12月24日 | 出た!ジャングルの怪物 | 今切洗 | |
第13話 | 1978年12月31日 | じいさまのちっちゃな鈴 | 篠崎好 | さきまくら |
第14話 | 1979年1月7日 | これも人生!敵・味方 | ||
第15話 | 1979年1月14日 | シルバー式降伏のすすめ | 山崎晴哉 | |
第16話 | 1979年1月21日 | おいら少年流れ鳥・・・!? | ||
第17話 | 1979年1月28日 | 甘くみるなョ子供じゃないぜ | 篠崎好 | 紺屋行男 |
第18話 | 1979年2月4日 | 死んだはずだよ、ハンズさん | さきまくら | |
第19話 | 1979年2月11日 | これで最期か?不死身のシルバー | 山崎晴哉 | |
第20話 | 1979年2月18日 | こんどは磔!ロング・ジョン | 今切洗 | |
第21話 | 1979年2月25日 | 生きてりゃこそのお宝よ! | 篠崎好 | さきまくら |
第22話 | 1979年3月4日 | 海賊死んでガイコツ残る | ||
第23話 | 1979年3月11日 | 翔んでる男!カモメのパピー | 山崎晴哉 | |
第24話 | 1979年3月18日 | 亡者の箱は満月に輝くか!? | ||
第25話 | 1979年3月25日 | 潮風よ、縁があったらまた逢おう | 篠崎好 | |
第26話 | 1979年4月1日 | フリントはもう飛べない- |
その他のアニメ化
- 1959年MEL-O-TOONS 内で「Treasure Island」を放映。子供向けのカートゥーン。
- 1973年にアメリカで「Treasure Island」題でノーム・プレスコットがアニメ化してるが日本に入って来たかは不明。
漫画
パソコンゲーム
- 『TREASURE ISLAND』DATA POP、1984年、PC-8800シリーズ、アドベンチャーゲーム。
オーディオ・ドラマCD
スタッフ
- 脚色:横光晃
- 演出:小山雄二
- 音楽:宮本一
- 効果:西村喜雄(サウンズ・アート)
- 技術:新島次郎
- 制作:村井亨子
- 企画・製作:株式会社スタジオ・エコー
キャスト
- ジム・ホーキンズ:浪川大輔
- ビル:納谷悟朗
- 母:丸山裕子
- 老人:槐柳二
- リブジー:根本泰彦
- スモレット船長:石井隆夫
- ジョン・シルバー:落合弘治
- オウム:石本竜介
- ディック:溝口敦
- ハンズ:小池浩司
- トム:竹若拓磨
- モーガン:川本克彦
- ベン・ガン:八代駿
- トリローニ:熊倉一雄
脚注
- ^ 近見正彦「海賊と保険」『書斎の窓』2011年9月p.56-60
外部リンク
日本テレビ系 日曜日18時30分枠 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
宝島
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