国道439号
一般国道 | |
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国道439号 | |
路線延長 | 348.3 km(総延長) 241.6 km(実延長) |
制定年 | 1982年指定 |
起点 | 徳島県徳島市 徳島本町交差点(北緯34度4分17.83秒 東経134度33分29.13秒) |
主な 経由都市 |
徳島県名西郡神山町 高知県長岡郡大豊町、吾川郡仁淀川町 |
終点 | 高知県四万十市(北緯32度58分54.99秒 東経132度56分40.30秒) |
接続する 主な道路 (記法) |
国道438号 国道32号 国道194号 国道33号 国道197号 国道381号 国道56号 |
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国道439号(こくどう439ごう)は、徳島県徳島市から高知県四万十市に至る一般国道である。
概要
四国山地に沿って四国地方の中山間地域を東西に縦貫する道路で[1]、総延長は348.3kmあり、四国の国道では第2位の長大路線である[注釈 1]。交差する国道のほとんどが四国を縦断する形をとるため、各国道同士を連絡する道路としても利用されている。国道439号の数字語呂合わせで「ヨサク(与作)」の俗称がある[2]。
起点・徳島市から三好市の剣山までの徳島県内の区間は、他路線である国道192号・438号と重複するため、単独区間は剣山以西になる[2]。
四国きっての「酷道」として知られ[2]、実態は一部の他国道との重複区間や改良済区間を除く大部分の区間は、対面通行不可能な隘路区間が多い。
また、近年ではその過酷な路線状況を逆手にとった自転車イベント「ツールドにし阿波」が開催されており、開催日である5月上旬は多くの人で賑わう。
路線データ
- 本線(Google マップ)
一般国道の路線を指定する政令[3][注釈 2]に基づく起終点および経過地は次のとおり。
- 起点:徳島市(徳島本町交差点=国道11号・国道28号交点、国道192号終点、国道318号・国道438号起点)
- 終点:中村市[注釈 3](=国道56号交点)
- 重要な経過地:徳島県名西郡神山町、同県美馬郡木屋平村[注釈 4]、同県三好郡東祖谷山村[注釈 5]、高知県長岡郡大豊町、同県吾川郡吾北村[注釈 6]、同郡池川町[注釈 7]、同郡吾川村[注釈 7]、同県高岡郡東津野村[注釈 8]、同県幡多郡大正町[注釈 9]
- 路線延長:348.2km(実延長241.6km)[4][注釈 10]
- 徳島県区間:122.8km(実延長43.5km)
- 高知県区間:225.4km(実延長198.1km)
- 指定区間:国道192号、国道32号、国道33号と重複する区間[5]
歴史
路線状況
地図の上では、四国内陸部を袈裟懸けに短絡する道路のように見えるが、起点 - 四国霊場第12番・焼山寺への参道に当たる神山町内の区間(国道438号と重複)、旧吾北村から旧吾川村33号線合流部までの大部分、大杉駅(大豊町)付近の国道32号から吉野川沿いに西進して本山町、土佐町に至る区間を除けば、ほとんどが乗用車1台分の道幅、つまり2.5メートル程度しかなく、いわゆる「酷道」と呼ばれる未改良道路である。一般的に言われる悪路であるほか、路面を覆うコケや落ち葉、脆い崖などが通行条件の悪い酷道の要素を持っている[8]。岐阜県の国道418号(恵那・八百津間の通行不能区間及び温見峠付近の国道157号重複区間)や紀伊半島の国道425号と並んで「日本三大酷道」に挙げられる[要出典]。少しずつではあるが各所で改良工事、防災工事が実施されており、全面通行止、時間規制による通行止や重量・幅員制限が実施されていることが多い[9]。
高知県と徳島県境の京柱峠、徳島県コリトリ - 見ノ越(国道438号との重複区間)は冬季閉鎖される。
“酷道”としてテレビ番組で取り扱われたこともあり、東野・岡村の旅猿では四国酷道走破の旅として国道439号を観光しながら走破するという内容が、ドキュメント20min.では2010年9月6日に酷道にとりつかれたマニアを追ったドキュメンタリー『“酷道”439号』が、2015年7月4日に土曜スペシャル「知られざる国道の旅3」がそれぞれ放送された。
バイパス
- 落合バイパス(徳島県)
- 落合バイパスは徳島県三好市東祖谷落合から同市東祖谷京上に至るバイパス道路。下瀬トンネル供用済み。
- 京上バイパス
- 京上バイパス(きょうじょうバイパス)は、三好市東祖谷京上から同市東祖谷新居屋に至る延長2.6kmのバイパス道路である[11]。2001年(平成13年)4月20日に全線が完成供用となった[12]。
- 同区間の旧道には東祖谷山村役場(現在の三好市役所東祖谷総合支所)が立地する村の中心部となっており、交通量は決して少なくはなかったが、狭隘な道路が連続していたために普通自動車であっても離合に困難を来たし、通過に30分以上を要していた[13]。このため、地域振興と交通安全を目的[14][15]として見ノ越側から道路改良事業に着手し、1990年(平成2年)に現道拡幅部、1995年(平成7年)に京上大橋によって祖谷川対岸に渡って東祖谷山村役場を迂回するバイパス道路、2001年(平成13年)に京上トンネル(1,023m)を含む区間がそれぞれ供用を開始した[16]。開通によって改良前の30分以上が4分に短縮され、また同年に東祖谷山村を訪れた観光客数が前年比1.33倍になった[15]。
- 大峠バイパス
- 大峠バイパス(おおとうバイパス)は、高知県吾川郡いの町小川新別字小倉から同郡仁淀川町大平に至る延長5.9kmのバイパス道路である[17]。いの町の国道194号交点から仁淀川町の国道33号交点までの区間について、いの町中心部や高岡郡佐川町を経由する国道33号の代替ルートとすべく新大峠トンネルをはじめ、道路拡幅などの道路改良を実施するもので、1992年(平成4年)に事業着手し、新大峠トンネルは1994年(平成6年)に工事着手した[18]。かつての旧道道路は、バイパスより140m高所にある大峠トンネルを通過するもので、その距離も10.8kmとバイパスの1.8倍の長さを有し、通過に約30分を要していたが、バイパスは60km/hでの走行が可能なため通過時間は6分に短縮される[19]。このことからも2007年(平成17年)に試算された費用便益分析(B/C)は1.6であったため、整備を妥当とする結果であったが、その根拠となる需要予測については国道33号越知道路との兼ね合いから総務省によって相互の事業効果について疑問視された[17][20]ため、2008年(平成20年)に再計算を行った結果も1.1と、かろうじて事業実施判断となる1.0には届いたが、道路規格が第3種第2級から第3種第3級に降格された[18][19]。同区間の工事のうち、未供用区間の延長720mについては、2011年に工事が発注され[21]、2012年度末に完成した[22]。
- 大植バイパス
- 大植バイパス(おおうえバイパス)は、高知県吾川郡仁淀川町大植の織合から太郎田に至る延長3.04kmのバイパス道路である[1][23]。現道では道路を利用する歩行者は多くなく、事業全体の費用便益分析(B/C)は0.4と試算されているが、緊急輸送道路や太郎田に至る唯一の生活道路であることを考慮し[24]、急カーブや幅員狭小で離合困難な箇所を解消するために1989年(平成元年)より道路整備が実施されている[23]。起点側から大植工区1.140kmと太郎田工区1.900kmに分割して工事着手し、終点側の太郎田工区は2000年(平成12年)3月に全線で供用を開始した[1]。残る大植工区は1995年(平成3年)に工事着手し[25]、トンネルや橋梁といった構造物の建設が多くを占めており、近年のコスト縮減策によって完成が遅れている[23]が、最後のトンネルとなる織合トンネルが2012年(平成24年)4月11日に起工し、2013年(平成25年)度の完成を目指して工事中[26]であったが、2014年(平成26年)7月26日に全線開通した[27]。
重複区間
- 国道192号(起点 - 徳島市・元町交差点)
- 国道438号(起点 - 三好市)
- 国道492号(美馬市 - 大豊町)
- 国道193号 (神山町内)
- 国道32号(大豊町内)
- 国道194号(いの町内)
- 国道494号(仁淀川町内)
- 国道33号(仁淀川町内)
- 国道197号(津野町内)
- 国道381号(四万十町内)
- 国道441号(四万十市内)
道路施設
主なトンネル
- 新府能トンネル(1387m)
- 京上トンネル(1023m)
- 郷ノ峰トンネル(765m)
- 新大峠トンネル(2928m):2002年4月21日開通
- 矢筈トンネル(813m)
- 石原トンネル(736m):2015年11月27日開通
主な橋梁
- 池川大橋
- 八百轟橋
- 小石清流橋
道の駅
- (名前の由来は、国道194号と439号の重複区間にあることから、194+439=633である。)
- 四万十大正(四万十町)
地理
国道438号との重複区間になるが、徳島県美馬市の国道492号との分岐点交差点は、山の中にある小さな交差点で、全国の国道の中でも最も寂しい場所とも評されている[2]。深い山林の中を延々と走り抜けて、いくつかの峠を越えていく地形の険しい地域内の道路であるが、徳島・高知県境の京柱峠は、国道439号の中でも特に展望の良い場所で知られる[2]。
通過する自治体
交差する道路
- 国道11号、国道28号(徳島市・徳島本町交差点)
- 国道192号(徳島市・元町交差点)
- 国道192号徳島南環状道路(徳島市・上八万インターチェンジ)
- 国道193号(神山町)
- 国道492号(美馬市)
- 国道438号 (三好市)
- 国道32号・高知自動車道 (大豊町)
- 国道194号(いの町)
- 国道494号 (仁淀川町)
- 国道33号(仁淀川町)
- 国道197号(津野町)
- 国道381号(四万十町)
- 国道56号、国道441号(四万十市)
主な峠
脚注
出典
- ^ a b c “国道439号大植バイパス” (PDF). 高知県中央西土木事務所越知事務所. 2012年11月16日閲覧。
- ^ a b c d e 佐藤健太郎 2014, p. 79.
- ^ “一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. 2012年10月14日閲覧。
- ^ “道路統計年報2012 - II. 道路の現況 表26”. 国土交通省道路局. p. 25. 2013年9月15日閲覧。
- ^ “一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. 2012年10月14日閲覧。
- ^ “一般国道の路線を指定する政令の一部を改正する政令(昭和56年4月30日政令第153号)”. 法庫. 2012年11月16日閲覧。
- ^ “一般国道の路線を指定する政令の一部を改正する政令(平成4年4月3日政令第104号)”. 法庫. 2012年11月16日閲覧。
- ^ 佐藤健太郎 2014, pp. 79–80.
- ^ 幅員の狭い区間では作業車両が道路を占有せざるを得ない電気工事などでも規制が実施されることがある
- ^ “一般国道439号菅生バイパスが開通しました”. 徳島県. 2015年2月28日閲覧。
- ^ “効果事例集”. 国土交通省. 2012年11月16日閲覧。
- ^ “効果事例集”. 国土交通省. 2012年11月16日閲覧。
- ^ “効果事例集”. 国土交通省. 2012年11月16日閲覧。
- ^ “効果事例(国道439号京上バイパス)”. 国土交通省. 2012年11月16日閲覧。
- ^ a b “効果事例(国道439号京上バイパス)”. 国土交通省. 2012年11月16日閲覧。
- ^ “効果事例集”. 国土交通省. 2012年11月16日閲覧。
- ^ a b “再評価結果(平成19年度事業継続箇所) - 一般国道439号 大峠バイパス” (PDF). 国土交通省. 2012年11月16日閲覧。
- ^ a b “平成20年度 公共事業再評価委員会” (PDF). 高知県道路課. 2012年11月16日閲覧。
- ^ a b “国道439号(大峠バイパス)道路改良進捗状況”. 高知県. 2012年11月16日閲覧。
- ^ “政策策評評価価の内点容検点結検果の(案結)果” (PDF). 総務省. p. 5 (2008年6月16日). 2012年11月16日閲覧。
- ^ “【高知】下期に順次発注 国道439号大峠BP5件”. 地方建設専門紙の会. 2015年3月1日閲覧。
- ^ “国道439号いの町区間が全線開通しました”. 高知県. 2015年3月1日閲覧。
- ^ a b c “再評価結果(平成21年度事業継続箇所) - 一般国道439号 大植バイパス” (PDF). 国土交通省. 2012年11月16日閲覧。
- ^ “平成20年度 第4回高知県公共事業再評価委員会 議事概要” (PDF). 高知県. p. 6. 2012年11月16日閲覧。
- ^ “国道439号 大植バイパスの大植3号(秋升)トンネルが平成22年6月30日に貫通しました” (PDF). 高知県中央西土木事務所越知事務所. 2012年11月16日閲覧。
- ^ “「大植1号トンネル」起工”. 高知新聞 (2012年4月11日). 2012年11月16日閲覧。
- ^ “一般国道439号大植バイパスが開通しました”. 高知県. 2015年2月28日閲覧。
注釈
- ^ 同程度の長さを持つ国道としては国道239号が挙げられる。ちなみに四国の国道における総延長第1位は国道56号。
- ^ 一般国道の路線を指定する政令の最終改正日である2004年3月19日の政令(平成16年3月19日政令第50号)に基づく表記。
- ^ a b 2005年4月10日から四万十市の一部。
- ^ 2005年3月1日から美馬市の一部。
- ^ a b 2006年3月1日から三好市の一部。
- ^ 2004年10月1日から吾川郡いの町の一部。
- ^ a b 2005年8月1日から吾川郡仁淀川町の一部。
- ^ 2005年2月1日から高岡郡津野町の一部。
- ^ 2006年3月20日から高岡郡四万十町の一部。
- ^ 2011年4月1日現在
参考文献
- 佐藤健太郎『ふしぎな国道』講談社〈講談社現代新書〉、2014年。ISBN 978-4-06-288282-8。