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上田電鉄別所線

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上田電鉄別所線
上田電鉄1000系
上田電鉄1000系
上田電鉄1000系
路線総延長11.6 km
軌間1067 mm
電圧1500 V(直流
停車場・施設・接続路線
STRq
長野新幹線
STRq
しなの鉄道線
STRrg
0.0 上田駅
WBRÜCKE
千曲川
BHF
0.8 城下駅
BHF
1.5 三好町駅
BHF
2.2 赤坂上駅
BHF
2.9 上田原駅
exSTRq eABZrf
青木線
BHF
3.8 寺下駅
BHF
4.5 神畑駅
BHF
5.2 大学前駅
WBRÜCKE
産川鉄橋
BHF
6.1 下之郷駅
eABZlf exSTRq
西丸子線
BHF
7.4 中塩田駅
BHF
8.0 塩田町駅
BHF
8.5 中野駅
BHF
9.4 舞田駅
BHF
10.1 八木沢駅
KBHFe
11.6 別所温泉駅

別所線(べっしょせん)は、長野県上田市上田駅から別所温泉駅までを結ぶ上田電鉄鉄道路線である。

2005年10月3日より上田交通から鉄道部門を分社化した子会社の上田電鉄の運営となった。

別所温泉への湯治客輸送のために1921年に開業した。かつて側面に丸窓を持つ「丸窓電車」が走っていたことで知られる。1993年に元東急7200系電車を投入し冷房化を果たした。1973年に別所線廃止の方針が出されたが、地元の運動や軌道整備補助金(欠損補助)の交付が決まったことで危機を免れた。しかし2000年に上田交通の親会社の東京急行電鉄からの設備改修の提言を受け、国土交通省の地方鉄道安全新基準を満たすために上田交通が地元自治体に対し財政支援を求めており、再び存続問題が浮上している。

2005年8月に上田市が分社化後も支援継続することを発表したが、現在も予断を許さない状況が続いている。

路線データ

  • 路線距離(営業キロ):11.6km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:15駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:なし(全線単線)
  • 電化区間:全線電化(直流1500V)
  • 閉塞方式:自動閉塞式
  • 交換可能駅:3駅(城下、上田原、下之郷)

運行形態

1990年から1994年まで快速列車が運転されていたが、現在はすべて各駅停車である。毎時おおむね1 - 2本の列車がある。上田-別所温泉間の全線通し運転のほか、上田-下之郷間に区間列車が数本設定されている。

ワンマン運転方式は地方型方式を採用。一番前の扉のみ開閉し整理券を取る方式で、バスの運賃箱に近い物が車両の乗務員室後ろに取り付けられている。ちなみに上田駅下之郷駅では終日全扉が開閉し、別所温泉駅では9:00 - 17:00の間のみ全扉が開閉する。

高架の上田駅を発車するとすぐに千曲川を渡り、全線が上田平を走る。全線単線で、S字型の路線となっている。半径の小さい曲線が多く、何箇所かでは一気に90度ほど曲がる。車庫のある下之郷駅付近から登りがきつくなり、終点の別所温泉駅付近は40‰の急勾配となっている。この勾配は750V時代の旧型車は時速20km程しかスピードが出せない難所であった。

かつては上田原駅青木線、下之郷駅で西丸子線と接続していたが、いずれも既に廃線となっている。

利用状況

輸送実績

収入実績

営業成績

車両

丸窓電車モハ5250形、1986年9月30日撮影

1986年9月までの架線電圧が750Vであった時代は、自社発注の丸窓電車をはじめ、長野電鉄からの譲受車など雑多な経年車が多い状態だった。しかし電動車の制御方式の不統一など保守が困難な状態であったことから、同年10月の1500V化の際に東急5000系(初代)を2連5本譲り受け旧型車を全廃した。

しかしその5000系も、非冷房車であったことから、1993年5月28日からは冷房車である東急7200系を2連5本譲り受け、使用を開始した。これにより長野県の私鉄で初めて100%冷房化を達成した。また、2005年からは、かつて走っていた丸窓電車を模して一部の窓をシールで丸くした「まるまどりーむ」号が運行されている。

なお、2006年に上田電鉄が発表した「鉄道安全報告書」によると、2008年度までに2両編成4本(8両)の車両の更新をすると発表されている。

750V時代

特記無きものは1986年の昇圧時に廃車。

電車

電気機関車

1500V昇圧後

  • 5000系 - モハ5001 - 5004、クハ5051 - 5054
  • 5200系 - モハ5201、クハ5251
    昇圧から、1993年に7200系に代替されるまで使用された。
  • 7200系 - モハ7251 - 7255、クハ7551 - 7555
  • 1000系 - モハ1001 - 1004、クハ1101 - 1104

歴史

千曲川鉄橋を渡る別所線
  • 1921年(大正10年)6月17日 上田温泉電軌が青木線三好町(現在の城下) - 青木間、川西線上田原 - 別所(現在の別所温泉)間を開業。
  • 1921年(大正10年)9月12日? 三好町 - 三好町三丁目間に三好町二丁目駅設置(廃止日不明)。
  • 1923年(大正12年) 下之郷 - 五加(現在の中塩田)間の産川駅、八木沢 - 別所間の天神前駅廃止。
  • 1924年(大正13年)8月15日 千曲川鉄橋が開通し、青木線の上田 - 三好町間が開業し全通。国鉄上田駅に乗り入れる。
  • 1924年(大正13年)11月22日 別所駅を信濃別所駅に改称。
  • 1925年(大正14年)1月8日 上田 - 三好町間に諏訪形駅設置(廃止日不明)。
  • 1927年(昭和2年)12月 青木線の三好町 - 上田原間が専用軌道化、変則複線化され三好町駅が城下駅に、三好町三丁目駅が三好町駅に改称。
  • 1929年(昭和4年)3月3日 五加駅を中塩田駅に改称。
  • 1930年(昭和5年)1月19日 信濃別所駅を別所温泉駅に改称。
  • 1932年(昭和7年)9月21日 三好町 - 上田原間に赤坂上駅設置。
  • 1934年(昭和9年)7月14日 中塩田 - 中野間に上本郷駅設置。
  • 1938年(昭和13年)7月25日 青木線の上田原 - 青木間が廃止。三好町 - 上田原間は単線化[1]。上田 - 上田原間も川西線となる。
  • 1939年(昭和14年)3月19日 川西線を軌道法による軌道から地方鉄道法による鉄道に変更。別所線に改称。
  • 1939年(昭和14年)8月30日 上田電鉄に社名変更。
  • 1943年(昭和18年)10月21日 丸子鉄道と合併し、上田丸子電鉄となる。
  • 1951年(昭和26年)4月 赤坂上駅の位置が変更される。
  • 1953年(昭和28年)9月 架線電圧を600Vから750Vに昇圧。
  • 1960年(昭和35年) 上本郷駅を塩田町駅に改称。
  • 1966年(昭和41年)6月 4月1日本州大学開学に伴い、下本郷駅がその最寄駅となったため本州大学前駅と改称。
  • 1969年(昭和44年)5月31日 上田交通に社名変更。
  • 1974年(昭和49年)5月1日 本州大学前駅、大学名が長野大学に変更されたため大学前駅と改称。
  • 1984年(昭和59年)11月1日 貨物営業廃止。
  • 1986年(昭和61年)10月1日 架線電圧を1500Vに昇圧。5000系5200系電車営業運転開始。モハ5250形「丸窓電車」を始め、従来車全車が営業運転終了。昇圧と勾配対応のため、三好町駅の位置を変更。
  • 1993年(平成5年)5月28日 7200系電車営業運転開始。全車冷房化。
  • 1998年(平成10年)3月29日 上田駅が高架化される。
  • 2005年(平成17年)1月27日 7200系をベースに「丸窓電車」をイメージしたラッピングを施した編成が運行開始。4月に「まるまどりーむ号」と命名。
  • 2005年(平成17年)10月3日 上田交通から上田電鉄に移管。
  • 2008年(平成20年)8月1日 1000系電車営業運転開始。
  • 2008年(平成20年)10月 7200系電車が「まるまどりーむ号」を除いて営業運転終了。
  • 2008年(平成20年)10月4日 画家の原田泰治デザインの1000系ラッピング電車「自然と友だち1号」運行開始。
  • 2010年(平成22年)7月30日 映画「サマーウォーズ」の主題歌で山下達郎の楽曲「僕らの夏の夢」が上田駅の発車メロディとして採用され、同日から使用が開始される。

駅一覧

全駅長野県上田市に所在。

駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線
上田駅 - 0.0 東日本旅客鉄道北陸新幹線長野新幹線
しなの鉄道しなの鉄道線
城下駅 0.8 0.8  
三好町駅 0.7 1.5  
赤坂上駅 0.7 2.2  
上田原駅 0.7 2.9  
寺下駅 0.9 3.8  
神畑駅 0.7 4.5  
大学前駅 0.7 5.2  
下之郷駅 0.9 6.1  
中塩田駅 1.3 7.4  
塩田町駅 0.6 8.0  
中野駅 0.5 8.5  
舞田駅 0.9 9.4  
八木沢駅 0.7 10.1  
別所温泉駅 1.5 11.6  

運賃

大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ) - 2008年8月現在

距離 運賃(円)
- 3km 170
- 4km 210
- 5km 260
- 6km 320
- 7km 360
- 8km 400
- 9km 440
- 10km 480
- 11km 520
- 12km 570

別所線が登場する作品

  • サマーウォーズ - 作中で同線の列車が登場する。
  • 鉄道むすめ - 作中で同線が舞台になっている。
  • 走る男F - 2週に渡って沿線が紹介されている。
  • マルシンハンバーグCM - 1980年代、マルシンフーズのマルシンハンバーグのCMロケーションに当路線が使われた。まだ雪残る早春の田舎の小さな駅(ロケ地は舞田駅)。転校する小学生がクラスメートらの見送りを受け、電車(丸窓電車)に乗車、クラスメートは電車発車後もホームを走って電車を追いかけ別れを惜しむ、車中の小学生がふと外を見ると、駅からあっという間に移動したらしいクラスメートたちが田んぼの中に立っている木に皆で登り、大きく手や腕を振りながらなおも別れを惜しむ、最後は夕暮れの鉄橋(千曲川橋梁)を行く単行電車を背景に同社商品「マルシンハンバーグ」3種とシンボルマークが映し出されるという内容であった。昭和50年代の当路線と印象的な夫神岳などの山なみや沿線風景が映し出され、当時広く知られたCMの一つであった。なおCM冒頭テロップでは「長野県 別所線」とのみ表示され「上田交通」の社名(当時)の紹介はなかった。丸窓電車も丸窓そのものが映し出される場面はなく、また小学生は遠方へ転校するように見られたものの舞田駅から乗り込んだ電車は下り(別所温泉方面)、千曲川橋梁を行く電車も下り(上田駅から城下駅へ向かう電車)であった。
  • 君のままで (映画) - 作中で同線の列車が登場する。別所線電車利用促進シンポジウムでも上映された。

脚注

  1. ^ 電気車研究会鉄道ピクトリアル』1963年9月号(通巻149号)小林宇一郎 私鉄車両めぐり59 上田丸子電鉄[前]

参考文献

  • 今尾恵介監修『日本鉄道旅行地図帳 6号 北信越』新潮社、2008年 - 駅の改廃について

関連項目

外部リンク