トヨタ・KZエンジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Morio (会話 | 投稿記録) による 2022年8月19日 (金) 06:21個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (+cat)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

トヨタ・KZエンジン
1KZ-TE型ディーゼルエンジン
生産拠点 豊田自動織機
ダイハツ工業
製造期間 1993年5月 - 2000年5月
(日本市場向け)
タイプ 直列4気筒DOHC
排気量 3.0 L
テンプレートを表示

トヨタ・KZエンジンは、トヨタ自動車水冷直列4気筒ディーゼルエンジンの系列である。

開発の経緯

小排気量からパワーを搾り出していた2L型(2,446 cc)の各ターボエンジンは、特に車両総重量の大きなRV商用車において、熱変形によるシリンダーヘッドの割れ、ガスケットの吹き抜け、バルブシートの脱落、ピストンの焼きつき、潤滑不良などのトラブルが多発していた。そのため、過給エンジンは2L型までで、より排気量の大きい3L型(2,799 cc)、5L型(2,985 cc)では自然吸気エンジンのみとなっている。

また、バブル景気を背景に巻き起こったRVブームにより、小型ディーゼル車が急激に増加。幹線道路周辺などで粒子状物質が増加し、大気汚染の一因になっていると批判されるようになり、それに伴い、排出ガス規制は年々厳しさを増していった。設計の古いディーゼルエンジンでは、大量のEGRと過剰な燃料噴射でNOxの発生を抑える策を採るものが多く、その結果、排出される多量の黒煙はディーゼル車にネガティブイメージを与える事にもなった。[1]

これらの問題から、最早L系の改良では高性能商品としての成立が難しい状況であった。そこで、市場でのトラブルフリーとモアパワー、そして環境性能改善に対する要求の高まりへの回答として、新系列のKZ型が開発された。

欧州市場で特に問題となっていたL型系での連続高負荷運転時の熱歪み対策として、1KZ型ではアルミ製シリンダーヘッドが採用されたが、腰下や動弁系の成り立ちはL型系の延長線上にあり、5L型との類似点も多い。 同時期のエンジンに倣い、商標名を「LASRE」としている。

KZ型系では3.0 L以外の排気量は設定されていない。コースター用を除く日本国内向けの乗用登録用ディーゼルエンジンとしては、後継の1KD型同様、トヨタのラインナップ中最大排気量となる。

系譜

型式

1993年5月登場

過流室式ディーゼルエンジン

水冷直列4気筒SOHC ターボ / インタークーラー付きターボ

1KZ-TE - 3000cc

1KZ-TE
登場年月 1993年8月
エンジン種別 過流室式ディーゼルターボ
燃料供給方式 電子制御式分配型
噴射ポンプ
冷却方式 水冷
シリンダー配置・数 直列4気筒
弁形式 ベルト駆動
直打式OHC
ボア×ストローク 96mm×103mm
排気量 2982cc
圧縮比 21.2
出力 1 96kW(130PS)/3600rpm
出力 2 IC付き 103kW(140PS)/3600rpm
出力 3 IC付き 96kW(130PS)/3600rpm
トルク 1 289.3Nm
(29.5kg・m)/2000rpm
トルク 2 IC付き 333.4Nm
(34.0kg・m)/2000rpm
トルク 3 IC付き 331.4Nm
(33.8kg・m)/2000rpm
重量 -kg
この表は自動車のスペック表テンプレートを使用しています

脚注

  1. ^ ディーゼルエンジンから排出されるNOxと黒煙(PM)は相反関係にあり、どちらか一方を低減させると一方が増える。日本のディーゼル車に対する排ガス規制はNOxが主で、黒煙の排出に対しては寛容であった。

関連項目