トヨタ・F型エンジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トヨタ・F型エンジン
生産拠点 トヨタ自動車工業トヨタ自動車
豊田自動織機
(産業用向けのみ)
製造期間 1949年9月 - 1992年
(自動車搭載用での場合)
タイプ 直列6気筒OHV12バルブ
排気量 3.9L
4.0L
4.2L
テンプレートを表示

トヨタ・F型エンジン(トヨタ・Fがたエンジン)は、トヨタ自動車1981年昭和56年〉以前はトヨタ自動車工業名義)、および豊田自動織機がかつて製造していた自動車用・産業機械水冷直列6気筒ガソリンエンジンの系列である。

初代B型に代わるバス、トラック用高速エンジンとして1949年(昭和24年)に登場。基本的にはB型のボアを拡大して排気量を増大し、各部を強化したエンジンシリーズである。

本来の大型車両用のほか、特殊用途自動車用シャーシのパトロールカー救急車にも特殊高出力エンジンとして搭載され、四輪駆動車トヨタ・ランドクルーザーのエンジンとしても用いられて成功を収めた。

基本レイアウトはトヨタ創業当初にシボレーエンジンをコピーした初代A型エンジン(1935年〈昭和10年〉)にまで遡ることができるほど古いものであるが、改良を重ねながら晩年はフォークリフト等の産業機械用エンジンとして生産が続けられていたため、トヨタはもとより、日本国内で戦後以降に市販向けとして開発・生産されたエンジンとしても最古のエンジンシリーズでもあった。

後継はFZ型となる。  

系譜[編集]

型式[編集]

ガソリンエンジン

水冷直列6気筒OHV

F - 3,900cc[編集]

F
登場年月 1949年10月
エンジン種別 ガソリンエンジン
冷却方式 水冷
シリンダー配置・数 直列6気筒
弁形式 OHV
ボア×ストローク 90 mm×101.6 mm
排気量 3,878 cc
圧縮比 (初)6.4
7.5
馬力 1 (初)95 PS/3,000 rpm
125 PS/3,600 rpm
ランドクルーザー他
馬力 2 130 PS/3,600 rpm
トラック/バス
トルク 1 (初)24.0 kg・m/1,600 rpm
29.0 kgf·m/1,800 rpm
ランドクルーザー他
トルク 2 30.0 kgf·m/2,000 rpm
トラック/バス
重量 282 kg
  • フロントエンジンフレーム式バス/バスシャシ
    • (初)トヨタ・FL型バス/バスシャシ(1949年10月[1]
    • トヨタ・FY型バス/バスシャシ(1951年8月[2]
    • トヨタ・FB60系/FB60C系バス(1954年3月[3]※ リンク先資料はFB75型のもの。無印は標準型、記号Cはキャブオーバー型)
    • トヨタ・FB70系/FB70C系バス
    • トヨタ・FB80/80C、90/90C系バス
    • トヨタ・FB100系バス/バスシャシ(1964年12月[4]※ リンク先資料は同形状のDB100型のもの)
  • リアエンジンモノコック車体バス。
    • トヨタ・FR型バス(1953年8月[5]
  • トヨタ・BM(FM)型トラック 4t積(1949年11月)
  • トヨタ・FX型トラック 4t積(1951年8月)
  • トヨタ・FA型トラック 4.5t積(1954年)
  • トヨタ・トラックFA5型 5t積(1954年-1956年3月)
  • トヨタ・トラックFA60系 5t積(1956年2月1958年2月)
  • トヨタ・トラックFA70系 5t積(1958年1月1959年10月)
  • トヨタ・トラックFA80、90系 5t、6t積(1959年9月)
  • トヨタ・トラックFA100・110・115系 5t、6t積(1964年9月)
  • トヨタ・BS(FS)型トラック 4t積(1949年11月1950年10月)
  • トヨタ・FZ、FZJ型トラック 2.5t積(1951年10月-1953年3月)
  • トヨタ・FCトラック 2.5t積(1954年9月-1956年2月年)
  • トヨタ・トラックFC60系 2.5t積(1956年1月-1958年1月)
  • トヨタ・トラックFC70系 2.5t積(1958年1月-1959年11月)
  • トヨタ・トラックFC80系 3t積(1959年11月-1964年9月)
  • トヨタ・トラックFC100系 3t積(1964年10月-?)
  • トヨタ・キャブオーバートラックFA115C系 5.5t積
  • トヨタ・FQ10 3/4t ウエポンキャリアー - 自衛隊向け3/4tトラック
  • 初代ランドクルーザー消防用シャーシ・FJJ型(1954年-1955年)
  • ランドクルーザー20系(1955年-1959年12月)
  • ランドクルーザー40系(1960年1月-1975年1月)
  • ランドクルーザー55型(1967年7月-1975年1月)
  • トヨタ・パトロールFH26型(1957年-1959年)
  • トヨタ・パトロールFS40型
  • トヨタ・救急車FS45V型
  • トヨタ・救急車FS55V型
  • トヨタ・消防用シャーシFH26型
  • マッシーダイナFC10型
  • 大原・スノータイガー

2F - 4,200cc[編集]

2F
登場年月 1975年1月
エンジン種別 ガソリンエンジン
冷却方式 水冷
シリンダー配置・数 直列6気筒
弁形式 OHV
ボア×ストローク 94mm×101.6mm
排気量 4,230cc
圧縮比 7.8
馬力 140PS/3,600rpm
トルク 30.0kgf·m/1,800rpm
重量 286kg
  • トヨタ・トラックFA100・110・115系(1975年?のマイナーチェンジでF型から2F型へ変更-生産中)
  • トヨタ・トラックFC100系 3t積
  • ランドクルーザー40系(1975年1月-1984年10月 海外のみ)
  • ランドクルーザー55型(1975年1月1980年6月 海外FJ55G・V、国内FJ56V)
    1975年?、各車とも排ガス規制に対応して、F型から2F型への変更が行われた。
  • ランドクルーザー60系(1980年7月-1984年10月 海外FJ60G・V、国内FJ60V、61V)

3F - 4,000cc[編集]

2Fの小型化と高速化のため、シリンダーブロックの丈が短くなり、ストロークが減らされた。軽量化や内部のフリクション低減も同時に行われた。

バルブタイミングの変更やフライホイールの軽量化もあり、低速では扱い辛くなる。

  • ランドクルーザー60系(1984年11月-1990年1月 海外FJ62G・V、国内FJ62V)
  • ランドクルーザー70系(1984年11月-1992年)
  • トヨタフォークリフト(搭載開始年不詳-1997年)

3F-E - 4,000cc[編集]

3F-E
登場年月 1988年3月
エンジン種別 ガソリンエンジン
冷却方式 水冷
シリンダー配置・数 直列6気筒
弁形式 OHV
ボア×ストローク 94mm×95mm
排気量 3,955cc
圧縮比 8.1
馬力 114kW
(155PS)/4,200rpm
トルク 289N·m
(29.5kgf·m)/2,600rpm
重量 290kg

北米の排出ガス規制に対応させるため、燃料供給をEFIとしたもの。フラップ式のエアフローメーターを持つ。

  • ランドクルーザー60系(1988年3月-1990年1月 海外FJ62G・V、国内FJ62G)
  • ランドクルーザー80系(1990年1月-1992年 海外FJ80G・V、国内FJ80G)

脚注[編集]

  1. ^ トヨタFL型バス”. トヨタ自動車. 2022年11月12日閲覧。
  2. ^ トヨタFY型バス”. トヨタ自動車. 2022年11月12日閲覧。
  3. ^ トヨタFB型バス”. トヨタ自動車. 2022年11月12日閲覧。
  4. ^ トヨタDB100型バス”. トヨタ自動車. 2022年11月12日閲覧。
  5. ^ トヨタFR型バス”. トヨタ自動車. 2022年11月12日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]