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コードシェア便

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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コードシェア便(コードシェアびん、:Code sharing)とは、一つの定期航空便に複数の航空会社の便名を付与して運航される便を指す。事実上は同一便の複数社による販売形態と言っても差し障りない。共同運航便とも呼ばれる。

概要

この運航形態は、複数社による座席の販売強化や運航効率の向上を狙って実施される。

全日空の乗務員・航空機で運航される国際線の例を挙げると、同じスターアライアンスメンバーであるアシアナ航空中国国際航空ユナイテッド航空コンチネンタル航空ルフトハンザドイツ航空などの便名が付与される場合がある。

つまり、全日空の航空機で運航される便でありながら、アシアナ航空の便としても航空券が販売され、マイレージサービスについては、それぞれ購入した会社のサービスが受けられる。この際、チェックインや荷物の受け取りなどの手続きは、全日空の窓口に出向く必要があり、利用客に対して混乱が発生する原因にもなっている。したがって、コードシェア便を利用する場合には、成田空港など航空会社によってターミナルが分かれている空港では、受付カウンターの場所などをきちんと確認しないと、ターミナルを間違えることもある。

表記上の違いとして、自社が運用し他社の販売分の席があるものを「共同運航便」、他社が運用し自社の販売分の席があるものを「共同運送便」と区別されていることがある。この例は、一般には鉄道時刻表として有名な『JTB時刻表』(JTBパブリッシング発行)に見られる。

アライアンスによるねじれ

2007年4月1日付でワンワールドに加盟した日本航空は、ワンワールド加盟以前からスターアライアンスメンバーであるタイ国際航空ニュージーランド航空や、スカイチームメンバーであるエールフランス大韓航空とコードシェアを行っており、ワンワールド加盟後も継続され、異なるアライアンス間におけるコードシェア便の運航が見られる。ニュージーランド航空とのコードシェアについては、同航空はコードシェア相手を全日空に変更したため、2012年3月24日限りで日本航空とのコードシェアは解消された。

2010年10月まではアリタリア航空とのコードシェアを行っていたが、日本航空のイタリア撤退により解消された。

このうちタイ国際航空は、スターアライアンスメンバーの全日本空輸とも成田国際空港発着便を中心にバンコク線のみならず日本国内線、タイ国内線、北米線でコードシェアを実施している。

運航面も含めた「共同運航便」

「共同運航」には、機材や乗務員についても運行会社を越えて共通化するケースが稀にある。こういった形態をジョイント・オペレーションと呼ぶ。

  • 1967年に開設されたモスクワ - 羽田線でのアエロフロート・ソビエト連邦国営航空日本航空との共同運航便。機材(ツポレフTu-114)と運航乗務員はアエロフロートのみが提供していたが、客室乗務員はアエロフロートと日本航空がそれぞれ半数ずつ乗務していた。経費負担と運賃収入についても両者で折半となっていた。この形態での運航は1969年まで続けられ、以降はそれぞれでの単独運航となった。
  • ウィーン - 成田線での全日本空輸 (ANA) とオーストリア航空による共同運航便。週3往復の運航のうち、機材と運航乗務員についてはうち2往復はオーストリア航空が、残り1往復はANAが提供していたが、オーストリア航空機材の便ではANAの客室乗務員も乗務していた。2003年4月に週5便へ増便して以降は、ANAの乗務員がオーストリア航空機材便に乗務することはなくなった。
  • 全日空とアシアナ航空は2007年10月28日以降、東京(羽田) - ソウル(金浦)線において相互コードシェアを実施しているが、同時に全日空所属の日本人客室乗務員をアシアナ航空運航便に、アシアナ航空所属の韓国人客室乗務員を全日空運航便に日本語韓国語の言語サービス向上などに努めるため乗務させるようになった。

その他

  • 他社から席の提供を受けているコードシェア便をマイレージの特典として認めているケースはほぼないため(全日本空輸に対するエアーニッポンなどの自社子会社は除く)、コードシェアでカバーしている地域への特典航空券が取得できないケースが発生することが多い。この時には提携航空会社としてマイレージによる特典航空券を取得することになるが、国内接続線が認められず別途手配が必要であり、必要マイレージ数が割高になるケースが多い。
  • 往々にして提供元の航空会社の便名の航空券を購入した方が割安になりがちである。自社手数料を卸値に上乗せしているケースが多いのに対し、提供元は卸値で一般販売しているケースが多いためである。
  • 燃油サーチャージについては、原則として航空券に印字されている航空会社のサーチャージ額が適用される。したがって、同一便でも航空券によってサーチャージ額が異なる場合もある。

関連項目

外部リンク